あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2019/10/20
秋田弁女子の春夏秋冬
おばあちゃんと二人暮らしで秋田弁強めの中二女子・えみちゃん。田舎暮らしの毎日はとっても楽しい! 読んでいくと、秋田独自のイベントや風物や食、細かな風習の多さに驚かされる。意外と楽しさいっぱいの秋田を素直に享受し、楽しむえみちゃんは、最初から最後まで純粋で愛らしい。 さらに共に楽しむ方言少なめ幼馴染のかなこ、カルチャーショックを楽しむ東京出身のみよしさんの三人娘が揃うと、途端に賑やかになって楽しい。 食べること大好き、演歌大好き、ゆるキャラ大好きな、まだまだ垢抜けないえみちゃんには、「素直」という言葉がよく似合う。その感性を通して見る世界のきらめきは、例えば『明日ちゃんのセーラー服』と同じような眩しい感動を与えてくれる。 春の芽吹きにときめき、眩しい夏に弾け、秋の実りに喜び、長い冬にも楽しみを見つける、とことん前向きなえみちゃんと、無数に散りばめられた「秋田あるある」を楽しむ、どこまでも明るい秋田漫画。方言を使いたくなる! (ちょっと調べた限りでは、ここまでしっかり秋田を舞台にした漫画って、見当たらない。そういう意味でもレアな漫画かもしれない、多分)
pennzou
pennzou
2020/05/04
小さな物語で描くもの
「窓辺の春」は月刊フラワーズ2019年4月号に掲載された鯖ななこ先生による短編読切作品だ。 鯖先生は現状自著の発行がなく、また作品も月刊ないしは増刊フラワーズにしか掲載されていない。そのため、鯖先生を存じない方が多いと判断し、まず鯖先生の経歴を記す。(間違いがあればご指摘頂けると嬉しいです!) 鯖ななこ先生は月刊フラワーズ2017年8月号にて発表された第90回フラワーズコミックオーディションにて金の花賞(賞の位としては第2位にあたるが、金の花賞以上が出ることはそうそうない)を受賞、受賞作「最適な異性となる要因の主観的考察」が増刊フラワーズの同月号に掲載されデビューした。以降より増刊フラワーズでは短編読切を、月刊フラワーズでは定期購読の販促4コマを執筆されていた。初の連載作品は月刊フラワーズ2018年5月号より開始された「きょうのヤギさん」で、現在も続いている。「きょうのヤギさん」は先述の販促4コマの設定を汲んだ4コマショートで、物語形式の作品が月刊フラワーズ本誌に掲載されたのは2018年10月号の短編読切「おとぎの杜」が初めて。以降、いくつかの短編読切と短期連載作品「Hide&Seek」が発表されている。 この経歴は、例えばデビュー当時の岩本ナオ先生も同様に販促4コマ(「町でうわさの天狗の子」の巻末に収録)や短編読切・短期連載(「スケルトン イン ザ クローゼット」に収録)を執筆しているように、フラワーズ生え抜き作家の定番ルートといえる。ただし、4コマショートとはいえかなり早い時期から連載を任されているパターンは珍しく、ここから編集部から特に期待されている(悪い言い方だと囲い込まれてる)のでは?と察することも出来る。 「窓辺の春」に話を戻す。本作は月刊フラワーズで発表された作品としては2作目となる。自分は前作の「おとぎの杜」で鯖先生の読切をはじめて読み、もしかしてこの人のマンガはすごいのでは……?と思いはじめ、本作でそれが間違いでなかったことを確信した。 鯖先生作品では「主人公が失ったものや隠れていたものに気がつき、見方を変える」ということが多く行われる。その変化がもたらす心地よさが魅力だと思う。本作ではその上で主人公の行動が他のキャラクターに伝播していく様子が描かれており、より風通しのよい作品になっている。 個人的にビビっときたのは、(ややネタバレになるが)おじさんが清潔な身なりで出掛けるシーンがあるのだが、なぜおじさんがその格好をしたのかを、後のたった1コマで表していた点だ。そのほんの小さな、しかしあざやかな手腕に惚れ惚れした。 本作は決してスケールの大きい物語ではない。小さな物語だ。しかしながら、岩本先生などフラワーズの先達が描いてきたように、小さな物語によって表せるものはあり、それがフラワーズらしさを形作る要素のひとつだと考えている。その潮流に鯖先生は乗っていると思う。 絵柄については丸みを帯びた親しみやすい画風であるが、大胆なトーンワークなどグラフィカルな要素も多く含まれており、それが鯖先生らしい画面にしている。 先述の通り、鯖先生単独名義の自著は未だに発行されていない状況である。しかし現在も断続的に短編は掲載されており、直近だと月刊フラワーズ2020年7月号に短編「おしゃべりな人魚」を掲載予定だ。これを除いても、単行本一冊分のストックは十分にある。 ただし、フラワーズ新人の初単行本は、めちゃくちゃハードルが高いのか、それはもう全然出ないのだ。最後に出たのは2017年12月の笠原千鶴先生「ボクんちの幽霊」が最後だったはずで、つまりここ2年以上出ていません。 それでも、初の自著が出版されるのを自分は心より待っています……
mampuku
mampuku
2019/01/15
「アカメが斬る!」原作者がジャンプ+で新連載
camera
「パパ聞き」コミカライズ版の竹村洋平と、「アカメが斬る!」のタカヒロによるバトル漫画。女性にしか発現しない異能力により女だらけとなった軍隊に、成り行きで入ることとなった少年主人公という「インフィニット・ストラトス」みたいな話ですね。 ヒロインが能力で主人公を使役する代償としてご褒美の○○をしてしまう、というのは一見ありがちな能力バトルのお約束なようで、使役相手の内なる欲求を満足させてあげるというのは少し斬新です。「女社会に放り込まれる」「美少女の奴隷にされる」というストーリー上のドM要素だけでなく、性癖を見抜かれて満足させられてしまうというあらゆる意味でのドM仕様の美少女漫画となっています。 肝心の絵のほうも流石のクオリティですが、美少女的な可愛さに関してはむしろ前作よりも腕を上げているように見えます。しかしながら、矢吹健太朗や赤松健、「五等分」の春場ねぎに「天野めぐみ」のねこぐちなど少年漫画のお色気美少女業界めちゃくちゃハイレベル競争なので、竹村先生にはさらなるパワーアップとスケールアップを期待したいです。
六文銭
六文銭
2020/06/04
遠藤達哉と私と20年
遠藤達哉と私の出会いは忘れもしない20年前。 ジャンプの読み切りで掲載された『月華美刃』を読んでからだ。 その新人離れした画力と、スタイリッシュで魅力的なキャラクター、困難に立ち向かう主人公という王道な作風に圧倒され、新たなジャンプの夜明けを感じ、この作家の可能性に期待しまくりだったのです。 続く読み切り連載『WITCH CRAZE』も読み、その期待が確信にかわる。 この作家、絶対くるぞ! (2000年秋) ・・・こなかった。全然、こなかった。 その間、数本の読み切りと、ジャンプスクエアなどで『TISTA』や『月華美刃』(読み切りの連載版)の連載はあったが、お世辞にもヒットにつながらなかった。 悪く言えば、打ち切りだ。 自分の価値観と世間の価値観がズレることは多々ありますが、どこを切っても「嫌われない作風」なのに、この作家がヒットしないことで、自分の審美眼を疑うどころか、人格を否定されたような気持ちに打ち倒されました(言い過ぎ) その後、連載はおろか読み切りの発表スピードが遅れるたびに、作家生命の危機を感じていたが、昨年2019年『SPY×FAMILY』がジャンプ+で大ヒットした。 100万部突破、各賞受賞。 もうね、この大ヒットに、わたくし、膝から崩れ落ちましたよ。 俺は前から目をつけてたぜ~、なんてチープなことを言いたいのではないのです。 心の底から応援していた一人の作家が、長い年月をかけて大成したことが、ただ、ただ、嬉しいのです。 (消えていった人もたくさんいるので) 諦めなければ、いつか必ず報われるというのを魂レベルで理解できました。 20年…20年も続けられるもの、何かありますか?って話なんです。 そんな1作家ファンとして言いたいことは、どうか他の作品も知って欲しいということだけです。 この短編集は、その後続く作品たちの「魅力の原点」が詰まっております。 他の作品からこの作家を気に入った方はこちらを読んでも全く損はありません。 初期作の短編集ですが、ハイセンスな世界観、笑いあり、シリアスありの遠藤達哉ワールドをビンビンに感じる1冊です。
ひさぴよ
ひさぴよ
2019/11/20
リアル一休さん
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「一休さん」の愛称で親しまれ続けてきた一休宗純の人生を、誕生から亡くなるまで丸ごと描いた作品です。一休さんといえば、頓知話が有名ですが、いずれも坊主時代の説話で、修行僧になって以降はどんな暮らしを送っていたのか?いろいろと知らない事だらけです。この本を読めば、生涯をかけて禅宗と向き合ってきた一休さんの姿が見えてきます。 ちなみに一休を描いた漫画はいくつかあり、坂口尚の「あっかんべェ一休」など、どの作品を最初に読むか迷いました。電書化されてないものは、すぐには入手し辛いということで、電子化済みで一番史実に近そうな小島剛夕の「一休伝」を最初に読んだ感想になります。 一休伝では、一休が天皇の実子である、という説をベースにしている為、劇画タッチながら作品全体に高貴な雰囲気を感じました。 母親が南朝の家系なので、暗殺を恐れて一休はお寺に預けられたわけです。坊主の修行時代で1巻が終わりますが、ここ迄で有名な頓知話は大体出てきますね。 成長するにつれ、欲にまみれ腐敗した寺に嫌気がさした一休は寺院を飛び出します。そして「純粋禅」なるものを探求する謙翁という師と出会い、弟子入りすることに。ここでの教えとストイックな修行の日々は読み応えがあって、謙翁師の修行スタイルに感銘を受けること必至です。 師が亡くなってからは、ツテで高名な禅僧の寺へ入ります。ここでも、くだらない権力争いが横行していて、一休は俗世の中に救いを見出そうと、寺から町へ通うのですが…なんだか女遊びが激しくなり、ゆきずりで子ども作ったり、修行が大事だから母子は面倒見れないと言い放ったり…ここでかなりイメージダウンしました…。偉い人に気に入られ、次第に出世して弟子を取り始め、偉くなってきてからは、もうあまり感動はなかったですね…。やっぱり謙翁師と修行していた日々が一番輝いてたと思います。 全体的に堅い内容ですので、伝記モノが好きな人向けです。
sogor25
sogor25
2019/12/19
世にも微笑ましい"限定コミュ症"の物語
「限定コミュ症」とは:人とのコミュニケーションを上手く取ることができない"コミュ症"だけど、幼稚園児くらいの子供相手であれば積極的に対話をすることができる、そんな症状のことである。障害があるということではなく、特定の相手に対してそのような症状が出る、だから"コミュ障"ではなく"コミュ症"。 そんな"限定コミュ症"な主人公の梨川益臣、彼が高校の幼児教育科という保育士になるための学科で送る日々を描いた物語。 限定コミュ症なだけに同級生とのコミュニケーションにはなかなかに苦労する梨川。それでも、舞台が幼児教育科だからなのか、彼の周りには個性が強いながらも梨川と自然と接することのできる友人が集まっている。また、子供とならコミュニケーションが取れるというだけではなく、実は保育士的な意味でも梨川がハイスペックな面を見せたりする。そういう意味で、よくある"コミュニケーションを取るのが苦手な主人公"の物語とはちょっと違う、卑屈な雰囲気の薄い、むしろ爽やかな青春感の溢れる物語。 というか、子供とハイテンションで触れ合う梨川くんが普通にカッコ可愛いのでそれだけ見てても癒やされる作品。 ちなみにタイトルと表紙からは一切わからないけど作品の舞台は神戸。ということで、全編(神戸弁寄りの)関西弁でお送りしている作品でもある。神戸弁に限らずだけど、もしかしたら標準語よりも方言のほうが、普段の会話と子供相手の時とで言葉遣いの差が小さくなっているのかもしれない、と読んでて思った。 1巻まで読了
ANAGUMA
ANAGUMA
2019/11/13
エジソンがヤバい…だけではない「人間讃歌」の短編集
世界の奇妙な人たちの逸話を荒木飛呂彦と鬼窪浩久がマンガで紹介する風変わりな偉人(?)マンガ短編集。 事実は小説より奇なりと言いますが、実在の人物を荒木飛呂彦が取り上げて面白くならないはずがありません。 ニコラ・テスラに向かって「このスカタン野郎がアーッ」と怒鳴り散らす発明王エジソンの姿が有名だと思いますが、読んだ当時もかなりキレてるなと舌を巻いた思い出があります。 今となっては外道エジソンの人物像も割と普及してる気がしますが、1989年の時点で荒木先生がここまで完成させてたわけですね。 個人的に一番好きなのは『ウィンチェスター・ミステリー・ハウス』。 銃火器メーカー・ウィンチェスター社の社長夫人サラは、人命への罪の意識に苦しみ、生涯に渡り「悪霊から逃れるため」自身の邸宅を増築し続けたことで知られています。 夫の手掛けた銃が世界中に広まることは歴史の必然のようなものであり、彼女にはどうにも防ぎようのない出来事でした。 手の届かぬ因縁に人はどう立ち向かうのか、という『ジョジョ』のテーマでもある問いかけが本作にも通底しているのです。 いずれの短編も、とんでもない人物たちへの驚嘆、畏敬の念を綴った荒木イズム満点の紛れもない「人間讃歌」の物語です。 可能であれば初回刊行時の函入り単行本で読むと味わいが増すような…気がします! 実に奇妙なデザインなので。
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