sogor25
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2019/08/12
様々な角度から楽しめるヒューマンドラマ
地球と宇宙上の軌道ステーションとを結ぶ"東京軌道エレベーター"が存在する世界。エレベーターの登場者と、案内を務めるエレベーターガール・石刀伊奈との物語。 見かけ上はエレベーターというクローズドな空間で起こる一話完結型のヒューマンドラマ。なんだけど、その密室空間自体が一歩出ると宇宙空間という場所にあるため、例えば隕石が流れ着くことがあるかもしれないし、宇宙人がいたりするかもしれない。そういう不確定要素を多く孕んだ密室空間のため、単純な密室劇では作れないような様々なバリエーションを生むことができる。また、"Another story"という形で後日談が描き下ろされている話もあり、そちらもいい味を出している。 そして、実はこの物語はそれだけでは終わらない。何故この"軌道エレベーター"という超技術が成立しているのか。そして"石刀伊奈"とは何者なのか。一話完結の物語の裏でこの世界全体の謎についても語られる。 一話完結の各物語、世界全体に関わる大きな物語、そしてその両要素が交わる物語もあり、様々な角度から楽しめる物語。 1巻まで読了。
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2020/07/05
優しくて切ない天才の短編集
この短編集は、オールカラーである……水彩タッチのとても淡く、優しい色彩と、繊細な描線。 「萌え」という言葉にある程度、揶揄が込められているとすれば、優先生の描く造形は、「萌え」に水彩的な「優しさ」を加えて、誰も揶揄する気になれない程にまで美しく、愛らしく突き詰めた芸術品だ……控えめに言って天才だ、と思っている。 『おおかみこどもの雨と雪』『五時間目の戦争』も美しかったが、優先生の本質はカラーにある……と私が思い込んでいるのは、私がはじめて触れた先生の作品が、この短編集『さよなら、またね。』の表題作だったからだろう。 『季刊GERATINE』というカラー漫画雑誌の2010年秋号に掲載されたこの作品。いつ単行本になるのか……と思っていたら、2017年まで待つことになる。 表題作を始めとして、優しい雰囲気の中に描かれるのは、残酷な状況が多い。もう取り戻せない物、気づいた時には失われている恋、否応ない別れ……余りにも切なくて、私は表題作でいつも手が止まってしまう。 この年、優先生は亡くなられ、もうこの様な作品達は生み出されない……という事情を差し引いても尚、この切ない天才の、決して色褪せない作品に、是非一度触れてみていただきたい。まずはこの短編集がいいだろう。そして『五時間目の戦争』を是非。 ①さよなら、またね。 七年ぶりに化けて出た元クラスメートは、生まれ変わるから挨拶に来た、と言う。 ②なくしたことば 自分を模したAIを載せたサイボーグが、眠りから覚めない……何の夢を見てる? ③はるのはな 遠く離れた兄と妹。レシーバーで偶々の交信。人の体でない兄が向かうのは……。 ④なつのいと 先生は私の名を間違える。私とよく似た、婚約者の名前と。 ⑤おかえりなさい 田舎に帰省する姉は、いつも明るい。俺が望んだのと、違う。 ⑥猫の日 飼い猫を助けてくれた級友に、つい暗い本音を話してしまう。彼の反応は……? ⑦きずあと 切りすぎた前髪を、男の子に見せに行く。彼のせいで、残った痕を、苦しい初恋を。
takaaki
takaaki
2020/07/25
鬼太郎にはないテイスト
水木しげるの貸本時代の作品には,何とも言えない独特の没入感がある.画風も,広く知られているいわゆる水木絵とも異なっている. 貸本時代の作品には,ホラー要素の強いかなり不気味なものもいくつかあり,自分が読んだことのある作品の中で,特に怖さを感じるのが本書に収録されている『墓をほる男』である. 話の大筋は,有名なフランスの詩人からしゃれこうべの入手を依頼された三島ユキ夫が,墓から3名のしゃれこうべを盗み出し,デパートでの奇妙な体験の後,使用禁止となっているはずのエレベーターで死亡してしまうというものだ. 話の最後では,しゃれこうべは14年前の同日に同デパートで起きた,エレベーター墜落事故で無くなった3名のものであった…ということが明かされる. ストーリー的に凄くひねられたような展開ではないものの,特に最後の演出がなんとも不気味なのだ. ユキ夫が何気なくエレベーターに乗り,やたら降りていくのが気になってエレベーターガールにどこまで行くのか聞くと,地獄までと告げられ,落下後,死亡事故の新聞記事の内容が淡々と語られるという内容なのだが,見せ方がシンプルでありながら何とも不気味. 今と違ってスクリーントーン等もなく,技術的な見せ方も少なかった約60年前の作品ならではの演出という印象も受ける. 鬼太郎とはまた違う,水木しげる貸本時代の独特の雰囲気と没入感は,ぜひ多くの人に味わってほしいと思う.
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
2019/08/28
おねショタ×怪異×食!こんなの見たことない!
ずっと気になってて、まだ2巻までしか読んでないんだけど、なんだこのマンガ!激おもろいんだけど!!! すぐ3巻買わなきゃ! こんなジャンル見たことないよ! 読み終わって良すぎてかーっとして何も考えられなかったよ! Twitterの載せられたマンガに対してよく「尊い」って書かれてて言いすぎじゃない?って思ってたけどこれは完全にそれでした! 「尊い」のやつでした! もし読んでない人いたら読んでほしいし、最初のリアクションは大切にしてほしいからできるだけネタバレは避けたいんだけど、ほんと作者さんめちゃくちゃセンスいいなー。 まず、おねショタの時点でめちゃくちゃいいんですけど、身長差は当然のこと、力関係とか経験の差とか、中等部の年下男子的には高校生の年上のお姉さんにはもじもじしてしまうわけで、もじもじしながらも頑張ってアプローチしてるのかわいいし、すぐお腹すいちゃうお姉さんの健康的でいろいろでっかいかわいさ最高だし、なんだか思わせぶりな感じも最高! まず、ここまでが第一段階の最高さ。でもここまではまだギリギリ想定内の良さ。 だけど、その最高の皿の上に「怪異」が乗っかってたら、ほら、もうめっっちゃいいじゃん・・!ってなる! グッと来すぎる!! おねショタのラブコメ見てニヨニヨしてたら突然、後頭部を丸太で殴られた感じ! 語彙力失うってこれか! 物語に急に広がりが出てきて、ストーリー的な展開も気になるし、この二人の進展も気になるし、怪異の謎とか、どうやら普通ではない主人公の出生の秘密的な部分もいよいよ気になってくるしで、むちゃくちゃのめり込んじゃう!! 普通じゃないきっかけで二人は近づくし、普通じゃないきっかけで距離を取ることにもなりそうで、簡単に言うと、この恋は全く予想がつかないし違う意味でもハラハラする!! あ、ラブコメ(ラノベ?)特有の、両親ともいなくて謎にヒロインと同居するっていう部分もあるじゃん・・。 主人公の料理上手なところとか健気で一生懸命な部分もめちゃめちゃかわいいんだけど、ヒロインもめちゃくちゃよくって、『富士山さんは思春期』みたいにおっきい女の子が、大食いなところともマッチしてて最高。 さらに言うと、食べる行為のエロさったらない。 なんの映画だったか忘れたけど、男女がテーブルいっぱいに広がった料理を挟んで、ひたすらに互いの目を見てひたすらに食べるシーンがあってもはやセックスみたいなエロさがあった。 『盲獣』という映画では快楽を求めた先にお互いの体を食べるという結末が待っていて衝撃だったけど痺れるエロさがあった。(映画のネタバレすいません) 個人的にはこの作者さんは漫画が上手なんだなーと思う部分がたくさんあって、なによりコマ割りがめちゃくちゃ読みやすい! 気づいてないだけで読みやすいってめちゃくちゃ重要で、ノンストレスでテンポよく読めるのって最高ですからね。 ニヤニヤしちゃうやりとりとゾッとする何かを描ける振り幅もたまらない~。 このままいけば早い内にアニメ化するんだろうなーと思った!
sogor25
sogor25
2019/09/06
圧倒的筆致で描かれる、AIと一人の男との闘いの物語
「高度な知能を持ったアンドロイドやAIが人類に対して反逆を企てる」というお話は、割ともう手垢が付いてきているように思う。私が最初に思いついたのはウィル・スミス主演の映画「アイ,ロボット」なのだが、Wikiを見るとその原点はアイザック・アシモフとのことなので、アイディアとしてはかなり古くから用いられていたのだろう。 今作も大まかなプロットはそこから大きく外れてはないのだが、異なる部分があるとすれば主人公のアイデンティティである。 主人公・保はアンドロイド製造会社の社員であったが、とある"事故"により重症を負ったため、緊急措置でそのアンドロイドに用いているものと同じ基盤・義体を移植される。辛うじて一命を取り留めた保つであったが、果たして身体の大半を機械に置換された人間が、アンドロイドの暴走が始まった時にどういう行動を起こすのか…。 時系列は飛び、それから1年後、街はアンドロイドの反乱により壊滅状態となり、保は記憶を失いただ憎悪のままにアンドロイドを破壊し続ける存在となっていた。彼が謎の少女・鳩と出会ったところから、物語は再度動き始める。 この物語は、アンドロイドの反乱に決死の対抗を行う者たちの物語であると同時に、主人公・保が"人間だった頃の記憶"を取り戻していく物語である。 下敷きとなるプロットは使い古されてたものだとしても、様々な要素の組み合わせ、キャラクターに対する物語の付与、そして圧巻の画力を持ってすればここまで読ませる作品になる、というのを感じられた一作。 1巻まで読了。
みど丸
みど丸
2020/07/02
「人間」アレクサンドロスの物語
本作を読んだのは高校3年生だったか大学に入りたての頃だったか…。受験で世界史を選択したのですが、古代史の勉強範囲で最もワクワクさせてくれたのがアレクサンドロス3世の記述でした。 安彦良和先生の表紙とマンガっぽくないハードカバーの装丁に心躍ったのをよく覚えています。 まず見どころはアクションシーン。大軍勢が見開きで激突し、長槍と軍馬がひしめき合う合戦のようすはスペクタクルに満ちています。 迫力の戦争シーンと並行し、作中ではアレクサンドロスがどんな人物だったのか、帝国の後継者のひとり老リュシマコスの回想の形で語られます。 作中、アレクサンドロスは決して一面的な英雄として描かれることはありません。 ダレイオス3世との因縁を制し、世界を征服した男。果てない破壊の旅路に乗り出した暴虐の王。病に倒れ、大勢の兵に見守られながら逝った最期の姿…。 悩み、過ち、殺し、壊し、そして愛し、愛されながら、自身の夢を追い続けたのが「人間」アレクサンドロスなのです。 クライマックスのリュシマコスのことばは圧巻です。 アレクサンドロスが存在した結果として、数多の人間が歴史の闇に消えていったこと、自らもそのひとりであることをリュシマコスは伝え、残そうとします。 アレクサンドロスのせいで多くの人間が犠牲になった、それでも彼が為したことの巨大さ、彼に関われたことの誇らしさを伝えたいという気持ちが迸るシーンです。 歴史上のできごとは、当たり前の話ですが誰かが語り継がなければ消えていってしまいます。 今日に至るまでアレクサンドロスがいかに多くの人を惹き付けてきたのか、リュシマコスの最期のことばを噛み締めながら、改めて思いを馳せました。
たか
たか
2020/07/20
これで連載してくれ〜〜!!!
cameraまず最初のカラー扉絵の美しさでもう引き込まれたけど、キャラもストーリーも超最高でした!! 明るくてさっぱりしたJK(巨乳)の咲夜は、田舎道をチャリで通学中にアブダクションされかけるが、謎のロボット風美少年に助けられる。 そのまま学校へ行き、一体あれは何だったのかと悩む咲夜の前に謎の美少年が転校生としてやってくる。彼は自己紹介で「オレは銀河連邦軍所属の汎用人型宇宙戦艦アルマ・ネーヴィス・セブン。本日付けで着任した」とぶちかまし…!? というあらすじ。 なんというか、2人のキャラがとにかくいい!! 個性的でありながらクドくなくて爽やか。会話にもわざとらしいところが全然なくて、物語の展開にも無理がない。 鬱陶しくないお姉さんキャラの咲夜も可愛いけど、特にセブンがフェチの全部載せみたいなキャラで最高…!! ・手足がメカメカしくなって、背中にも主翼(?)が生えると、手から重力子砲をぶっぱなす。 ・製造されて13年(13歳)のショタ ・咲夜のパンチラに照れる素直さ いや〜〜ミウラタダヒロ先生怖い…。男の子を可愛く描く才能もあるんですね…! 「JK=パンチラ」がお約束なら、「アンドロイド=メカバレ」というのがお約束。 あんなに可愛いセブンの下半身が吹き飛び、脊髄ズルムケで頭蓋が見えてるメカバレは、寿司屋にいって寿司を頼んで寿司が出てきたような「期待通りのものが出てきた」興奮が凄まじかったです(メカバレ好き並みの感想) 全体的に、宇宙船に関するSFっぽい会話が結構ガッツリあって、しっかり宇宙もの。物語の舞台が田んぼに囲まれてる田舎町なのも、セブンや敵の宇宙船のメカメカしさと良い対比になってて素晴らしい。 クライマックスでセブンが咲夜を助けたときのセリフにはしびれました…! てっきり第1話だと思って読んでたので、最終ページで読切だと気づきショックでした…。アンケート1位に入れたのでぜひ連載化してほしいです!! 【週刊少年ジャンプ 2020年33・34合併号】 https://jumpbookstore.com/item/SHSA_JP01WJ2020030D01_57.html
sogor25
sogor25
2019/09/12
読者の倫理観に答えのない問いを投げかける物語
「黒白(こくびゃく)を弁ぜず」 意味: 物事の正邪・善悪・是非の区別ができない。  ― デジタル大辞泉(小学館)より引用 犯罪心理学を学びながら自らも7人もの人間を殺害した連続殺人犯・黒枝生。彼を捜査に参加させる上でもしもの時に"彼を撃つことができる"という理由で彼の護衛を任された捜査一課の刑事・白葉大地。かつてなく歪な組み合わせの2人によるバディサスペンス。 絶対に理解り合わない2人が対峙するのは数々の猟奇的な連続殺人、そして決して混じり合わないはずの善悪の価値観。 それを根底からを揺るがすことで読者の倫理観の奥底に訴えかけてくる、答えのないメッセージが強い作品。 また、ストーリーもさることながら、マンガとしての画面作りの"白さ"も強烈に印象に残る。会話劇が中心のために絵の情報量を少なくしようという意図なのか、背景を極端に省略したコマを多用していることも理由の1つなのだが、それよりも黒枝と白葉、2人のコントラストとしての白さが目につく。 名前およびキャラの背景に反するように、黒枝は白髪の青年として描かれ、服装は勿論、影の描写すらも黒塗りを最小限に留めている。それに対して白葉は黒髪かつ服装もスーツなので黒なのだが、まるで照明に照らされているかのように髪や服装の大部分が白く塗られる形で描かれることが多い。言い方を変えれば黒の部分が白色に"侵食"されているようにも見えるのだが、果たしてこの表現には何か意図があるのだろうか…。 1巻まで読了
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