sogor25
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2019/08/28
頽廃(たいはい)した世界で生きる少女と"ガーディアン"の兄の物語
どうやら世界は人類のせいで滅びかけているらしい。そんな世界の中で人類以外の種族は身体を腐敗させながら何とか生活をしている。人類はというと、滅びてはないようだが他の種族からの迫害や虐殺に怯えながら細々と生き長らえているらしい。 そんな頽廃した世界で生きる人間の少女・ネコと街を外敵から守る傭兵"ガーディアン"のグアルディングリーの兄妹の物語。 ツイ4連載のため基本はコメディチックだが、ところどころにこの世界に影を落とす闇の部分が垣間見える。それは人類への迫害の様子などという直接的なものもあるが、例えば作中では直接提示されないが幕間の設定画で書かれる"腐敗進行度"の情報、人類は勿論のこと住人に頼りにされているガーディアンすらも固有名詞を用いて呼ばれることがないという様子など、間接的にも否応なく示される。 全てが緩やかに朽ちてゆく世界、でもそれと不釣り合いなほどの気丈さを見せるネコと、そんなネコとの生活を生き甲斐に任務へと赴くグアルディングリー。しかしその生活も長くは続かず、物語は一つの結末へと向かってゆく。 物語の結末は印象的で、(短期集中連載で尺が決まってたということも多少関わってくるのだろうが)見せられる部分を敢えて見せず、その結果として非常に余韻が深く、かつ遠くに未来への希望も見出すことの出来る結末となっている。 全1巻と非常に読みやすい長さでもあるので、特に「少女終末旅行」などのポストアポカリプスを描く作品が好きな方には全力でオススメしたい作品。 全1巻読了。
ぺそ
ぺそ
2020/07/31
3組の研修医&指導医の小児医療ドラマ
「表紙が優しくていいなぁ」と眺めているときに、「そういえば面白くない医療漫画ってないな」と思い立ち買いました。大変なことばかりの厳しい研修医生活を描きながら、表紙どおり温かさのある素敵なお話でした! ほのぼの天然研修医・美貴先生。 エリートで自信満々で超優秀な指導医・名越先生。 小児科医1年目の指導医で幼馴染・ひかる先生(年下) 勉強熱心で優秀で何でもソツなくこなす研修医で幼馴染・健太郎先生(年上)。 怖い指導医にまいっている研修医・しんのすけ先生。 名越と仲が悪くて気難しい高城先生。 美貴先生のド天然っぷりが最高でした…! こういう先生が病院にいたら安心できますよね。 そして幼馴染コンビの関係にはすっごくキュンとしました。「私はいつの間にBLを…!?」と錯覚するほど素敵な関係でした。 タイトルの意味がわからなかったので調べてみたら、 「ネーベン(ねーべん)とは、研修医のことである。ドイツ語のNebenより。 ネーベンに対し、指導する立場の医師のことをオーベンという。」 https://bit.ly/39GBugI とのこと。テーマそのままズバリのタイトルだった。 6人の先生が出てくるのですが、1巻では最初の2組にフォーカスが当たっていたので、早くしんのすけ先生回が見たいです。2巻も楽しみにしています! https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_CB01201123010000_68/
影絵が趣味
影絵が趣味
2020/07/10
泡のような愛の物語集 ~その愛は祈りだね~
舞台は近未来の都市か、もしくは、誰からも忘れ去られた過去の都市か。 この外殻都市は、都市の上に都市を重ねる形で成長を続けている。いったい、いつ造られたのかさえ定かではない。下部階層の劣化は激しく、このグラスを伏せたような形の殻構造がなければ、上部階層の安定はおぼつかない。いや、古い下部階層では、その殻構造の強度さえ低下している。 白を基調としたコマに、淡々として、きわめて抑制的なモノローグをそえて展開される七つの愛の物語。それは愛の物語であり、同時に、消えていってしまうものへの祈りの物語でもあると思う。 愛は、その形を定義づけた瞬間にも、泡のように、古くなって崩落する殻都市の一部のように、たちまち立ち消えてしまう。その一瞬一瞬を描くことに注がれた『殻都市の夢』には、痛々しい描写こそ数あれども、そこには不思議と慈しみの表情がある。それは消えていってしまうものへの祈りの態度であると思う。愛が、泡のように、古くなって崩落する殻都市の一部のように消えてしまっても、そこに愛があったことは永遠に変えられない。もはや触れることができず、干渉することができず、だからこそ永遠に不変のかつてそこにあった愛。それは消えてしまうのではなく、そこにずっと在り続ける、私たちが祈ることさえ忘れなければ。 川の水の流れるように、つぎつぎと積み重なる殻都市、あるいは私たちの記憶。その絶え間のない流れは、目に触れた先から流れ去っていってしまう。でも、いつかの川のせせらぎが陽光をきらきら反射させていたのを私はいまも憶えている。見せておきたい景色が、ひとつ、ふたつ、と募ってゆく。それをいつか誰かに話し聞かせたいと思っている、祈りのように。そして、モノローグはようやくセリフへと変わる。 これから話すのは いつか存在した 今では存在すら忘れられた都市 ひたすら上へ上へと積みあがっていった都市 目的もわからず 理由も定かではなく その行為に没頭した都市 そんな 都市の抱いた 夢の残滓の こと そんな 人々の 物語
影絵が趣味
影絵が趣味
2019/08/03
思い出せない父の顔
気がつくと『団地ともお』の連載が終了していた。およそ10年近く、ともおとの付き合い方はだいたいこんな感じで、気がつくと数冊の新刊がでていて、読んで笑ってホロリとして、忘れた頃にまた、読んで笑ってホロリとする。 まったくこんなにも滋養のようなマンガはほかにあまりない。日々はっきりいってしまえば"意味のない"ことばかりに熱中するともおたちをみていると、なんと心が和むことだろう。大人になって"意味のある"ことばかりを選択して行うようになったせいだろうか。 ところで気がつくと連載が終わっていた『団地ともお』の数いる登場人物のなかで、あのひとはいったいどうなったのかな、とすぐに気になるひとがいた。そう、ともおの父親である。どうしても顔のみられなかった父親である。最後には素顔を明かしてもらえたのか、それとも最後まで顔はみられず仕舞いなのか、それがまず第一に気になるところであった。 結論からいえば、顔が明かされようが明かされまいがそれはどっちでもよかったのだが、32巻の最後に父親が登場する回にちょっと泣いてしまった、笑いながら。 本社の"お祈り課"なる部署に配属された父。そこでは日々会社で社交辞令として行われる"祈り"をすべて本気で代行しているのである。就活生への不採用通知における「今後のご活躍をお祈りします」から接待ゴルフの晴れ乞いまで、すべての社交祈りをじっさいに本気で祈っているのである。あるいはこの題材を描くひとが諸星大二郎ならば不条理劇になっていたにちがいないが、これを小田扉が描くと、なぜだかホロリとなる恩寵のようなものがひっそりと佇んでいるように思えるのは自分だけだろうか。合理的に考えてみれば"意味のない"こととしか言いようない"祈り"を本気で、アクロバティックに、行うが故にまたしても顔のみえない父。しかし、この無意味と思える行為を本気でやることこそが『団地ともお』の主題ではなかったか。 ひとは自らの行為に意味を追い求めてやまない生き物だが、意味というのはあくまでも後追いであり、副次的であり、限定的で不自由なものにしかならない。ほんとうの自由や豊かさというのは、実は"祈り"のようないっけん"意味のない"ものに潜んでいるのかもしれない。『団地ともお』ははじめからさいごまで一貫して"祈り"をつらぬいたマンガといえるかもしれない。
たか
たか
2019/08/26
笑いのセンスが新しい読切!
結論から言うとめっっっちゃ良かった…!(同じWJ39号から新連載の夜桜さんちの大作戦より断然こっちが好き) 可愛らしくて柔らかいタッチ 独特のノリとテンション 癖のあるセリフ 特に見所のない作品も多い中で、とにかく個性が光っていて気づくとドハマりしてました…! https://i.imgur.com/Ztz5hDP.png https://i.imgur.com/Yt30JJa.png (△『ボーンコレクション(読切)』雲母坂盾) 「ふふっ…何か“ハムナプトラ”っぽいな」 「田舎に引っ越せばいいんだああああ」 「北陸とかいいね!! 福井とか石川とかさ!!!」 「こんな短時間で2回も緊縛されることなんてある?」 「触ってないしキッモ」 いや、本当セリフがよすぎる…!! 読み始めてすぐは「骨で戦う」という設定が、NARUTOの君麻呂と被ってて引っかかったのですが、読んでいくうちに「サバけたヒロイン、ゆるいお色気、シリアスな笑い」が渾然一体となった、他にない独特の味が好きになっていました。 読み味が従来のジャンプっぽくない笑いのセンスが新しい読切。連載で2人の結末を見てみたい…!! 【週刊少年ジャンプ2019年39号】 http://jumpbookstore.com/item/SHSA_JP01WJ2019035D01_57.html (追記: 2020/04/27) ▼連載版の感想スレはこちら▼ https://manba.co.jp/topics/22714
sogor25
sogor25
2019/08/12
様々な角度から楽しめるヒューマンドラマ
地球と宇宙上の軌道ステーションとを結ぶ"東京軌道エレベーター"が存在する世界。エレベーターの登場者と、案内を務めるエレベーターガール・石刀伊奈との物語。 見かけ上はエレベーターというクローズドな空間で起こる一話完結型のヒューマンドラマ。なんだけど、その密室空間自体が一歩出ると宇宙空間という場所にあるため、例えば隕石が流れ着くことがあるかもしれないし、宇宙人がいたりするかもしれない。そういう不確定要素を多く孕んだ密室空間のため、単純な密室劇では作れないような様々なバリエーションを生むことができる。また、"Another story"という形で後日談が描き下ろされている話もあり、そちらもいい味を出している。 そして、実はこの物語はそれだけでは終わらない。何故この"軌道エレベーター"という超技術が成立しているのか。そして"石刀伊奈"とは何者なのか。一話完結の物語の裏でこの世界全体の謎についても語られる。 一話完結の各物語、世界全体に関わる大きな物語、そしてその両要素が交わる物語もあり、様々な角度から楽しめる物語。 1巻まで読了。
天沢聖司
天沢聖司
2019/08/29
これ読んだほうがいいよマジで
もしかしたらもう世の中の「〇〇くん、〇〇ちゃん」漫画に飽きてるかもしれないけど、最後にこれだけは読んでほしい。 このマンガはタイトル通り「顔に出る太田が顔に出ない柏田さんをビビらせるだけの話」なんだけど、まあ〜とにかく2人がかわいい…! 太田はいかにも子供っぽい悪ガキで、悪ぶってるけど根がメチャクチャいいやつでそれが顔に出ちゃう。 柏田さんは顔には出ないけど感情豊かで、頻繁に3等身くらいにデフォルメ(真顔)されてお茶目なことして太田をからかう。 **もはや柏田さんが可愛いのか、太田が可愛いのかわからない。** 私はいつの間にからかわれ上手の太田君を読んでいたのか。 https://twitter.com/fukuma333/status/1148480642516017152?s=20 からかい上手の高木さんという同ジャンル・類似作品の金字塔と比較してみると、「高木さん」は高木さんがかなり大人で高度な恋の駆け引きを繰り広げるのに対し、**こちらは2人ともまだまだ子供で純粋に友達同士のふざけ合いをしてるだけ。** 両片思いで、実質カレカノで、実質恋愛をしてる「高木さん」に比べると、太田と柏田さんはまだお互い「ちょっといいな」と気になってるぐらい。そこがいいんだよそこが…!! **まだまだ子供っぽい中学生らしいピュアさに、読んでいてたびたび浄化されそうになる。最高😇** さらに比較すると、基本的に周囲と隔絶された2人きりの世界を描いている「高木さん」に対し、**「柏田さん」は仲良しグループの中に主人公の2人がいるところが特徴。**そこがまた中学生がワチャワチャしてるところが見れて良いんですわ…! ちなみに太田の男友達の名前は「田所と佐田」、柏田さんのことが大好きな委員長(女)の名前は田淵で全員「田繫がり」。 疲れたときに読むと最高に癒やされるので一家に一冊おすすめします。 「顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君」 http://seiga.nicovideo.jp/comic/35172
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