あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2020/02/05
魔球も、百合も、あるんだよ。
カラーボール野球で「魔球」を開発した二人の少女。別々のチームで、一人は投手として、硬式球で魔球を完成させ、もう一人は捕手として、全国レベルの実力をつける。 二人は高校で再び出会う。不祥事で廃れた野球部に十人の仲間が集った時、一人が言う。 「一緒に全国を目指して欲しい」 ……可愛い女子高生達が主役の、この「きらら系」作品だが、本気の野球漫画として、かなり力が入っている。 個性的なチームメイトも、対戦相手にも、設定が沢山あり、面白い。 例えば主人公の「魔球」は、ストレートと同じ球速で大きく縦に割れる、カーブっぽい球。鋭い変化の割に球速が落ちない理由とは……。 他にも、人のプレイのコピーが上手い選手のトリッキーな作戦や、試合自体をクイックに進める相手に翻弄される、など、実際に出来るかどうか、ギリギリの発想が楽しい。 どこか水島新司先生の自由さがある一方、試合の緻密な駆け引き、戦略などは『おおきく振りかぶって』を思わせる。更に洗練されたプレイを大胆に魅せる絵で『ダイヤのA』のように興奮させる。 様々な野球漫画の楽しみを「女子」で魅せてくれる、贅沢な作品。バッテリーや上級生のロマンシスや、もう少しで百合な関係性も生まれ、これからが楽しみ。(ロマンシス=女子の強固な友情、バディ関係。恋愛に近い程の親しい関係。日本人による造語) 大会序盤、早速優勝候補に挑む彼女達。ジャイアントキリングなるか!?
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
2019/03/28
これはいい新連載がきた!
ちょっと未来のちょっと田舎の海辺に住む頑固おじいちゃん。 家族が心配して送ったのは、この仕事が終わったら廃棄が決定している30年動いているメイドロボ。 ガタがきてて首はすぐ落ちるし、包丁を持つとロボット三原則により人間を傷つけてはいけないから震えちゃうし、いろいろぽんこつだけど、とても愛らしくて構ってしまいたくなる。 しかし、500円玉のシーンほんとよかった。妙に説得力があって存在感と寂寥感が漂っててとてもシュールで最高の俯瞰の構図だった。 大ゴマの使い方がとても大胆で潔いので切れ味があって気持ちがいい。 そして、包丁の場面にしろ、イオンにしろ、500円玉にしろ、コマ割りが上手いので間が上手く表現されていてテンポがすごく気持ちいい。 あと単純にかわいい。 ああいう丸い目が好き! 基本的にキャラクターのデザインとか背景の描きこみとか、絵のバランスがすごく良くて好みだ。 最初は、設定的にはベタで手垢がついてるようにも感じたが、いままでの全然上手く描けてなかったんじゃないかって思うくらいすごくよく描けてていいなと思った。 おじいちゃんも「アリスと蔵六」の頑固おじいちゃん的で気持ちがいい。 ドラえもんのような家に転がり込んで一緒に住むタイプになるとは思うけど、のび太君の面倒を保護者の観点から見るような昔のドラえもんとは立場が若干違って、介護という意味では面倒をみられるのはおじいちゃんでも、おじいちゃんの方がより大人だしぽん子の方がトラブル起こすことになりそうだから逆転しそうな気もする。 二人のいい関係性が構築されていきそうで楽しみ。 おじいちゃんのボケ防止になって賑やかで寂しくなくなればいいな。
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
2019/04/28
第一話からぶっ飛ばしてて面白いSFアクション
第一話からぶっ飛ばしてて面白かった。 『辺獄のシュヴェスタ』 『不朽のフェーネチカ』 の竹良実、最新作! 天涯孤独・30歳男性に届いたのは世界を守る公務員の採用通知。 それは、25年前から世界各地に襲来し始めた未知の生命体「亞害体」を水面下で撃退する組織だった。 行ってみるとそこには、不良、オタク、コミュ障等、社会不適合者がずらり。 人型のロボット兵器「RIZE」と神経接続によって遠隔操作し、誰かの役に立つべく、地道に頑張る主人公だったが・・。 わりとガッツリSF感あって楽しい。 いまのところ主人公がとてもいい人に見えるし、地味に頑張っているので応援したくなるのだが、どこかにでっかい落とし穴がありそうでめちゃくちゃ怖い。 希望を胸に抱き、ここで幸せを掴もうと最初は頑張ってるが、そんなんじゃないとどこかで絶望してしまうはず・・こわい・・報われてほしい・・でも絶望もしてほしい・・。 痛みはダイレクトに伝わってくるが、「通信機」を破壊されるまで死なない身体をどう使うのか、第一話の見所だ。 そして後出しで告げられる大事なルール。 やはり闇は彼にしっかりと寄り添っていた。 亡くなった両親の直接の描写は無く、言葉で語られるのみなのも実は意味があるんじゃないかと勘繰ってしまう。 幸せな人生にしなきゃと自分のためのように見えてあくまで人の願いのために頑張ってきて、素直でいい人すぎる主人公がどうなるのか見ものだ。
たか
たか
2020/01/23
生きづらい少年の焦げる青春
白星のギャロップ、スリースター、アオアシの阿久津など、最近のスポーツ漫画は、友情、努力、効率的なトレーニングだけでなく、憎しみや怒りといった負の感情を肯定しているところが本当に読んでて楽しい!! この剣に焦ぐもまさにそのタイプ。サイコミ・裏サンデーのスポーツ漫画は本当に面白くて困る…! https://cycomi.com/fw/cycomibrowser/chapter/title/99 中学生の主人公・了一は高校生をビール瓶で血塗れになるまで殴ってブチのめす、「八王子の鬼子」という二つ名通りの苛烈な暴力衝動を抱えた少年。ある日友人たちが万引きしているときに補導に受け、26歳の高潔な警察官・小宮から剣道で指導を受けることになり…というあらすじ。 「小学生の妹と2人だけで、半額の惣菜を汚い箸の持ち方で食べる」。この絵だけで語られる、了一の家庭環境の描写がすごく好き。 初めて了一が剣道と出会うシーンは、了一が抱えているあまりの暴力衝動にゾッとする。与えられた竹刀を故意に折って殺傷力を高め、致命傷を与える気で振り抜き、口に含んだ水を顔面に吐きかける……。しかし、こんな「鬼子」と呼ぶにふさわしい手の施しようのない暴れ振りを、小宮は傷を負いながら大人として見事に諭してみせる。 人間の悪行のせいで暴れる化け物や動物を、人が深い愛情で傷つきながら受け止めるシーン(ナウシカとか)は心を打たれるものだけど、この作品は了一がこんなにも鬼子になってしまった理由が1巻時点では不明だからその暴力がただただ怖い。それが面白い…! 絵は全体的に拙さがあるけれど、演出、決めのシーンの迫力など、表現したいものがしっかりしているから、読んでいてあまり気にならない。指導で了一が小宮に一撃喰らわせた技・片手左上段がその後の鍵になる演出は燃えました。 青春でスポーツだけど全く爽やかじゃない。怒りや苦しみで焦げついた10代もあり寄りのありだと思います!!
(とりあえず)名無し
(とりあえず)名無し
2019/05/02
誠実な「原石」。
後に長篇の代表作を描く漫画家の、初期作品集が好きだ。 それも、ただその作家さんが(キャリア初期に)描いた短篇を集めた本というのではなく、「自分はなぜ漫画を描くのだろう…」と自問自答しながら足掻いている、そんな苦悶がページから匂ってくるような、不器用で地味な作品集が好きだ。 (「私はこういう世界が好きなんです」といろいろ表明している感じの初期短篇集が多いのですが、そうじゃない無骨なヤツ。もちろん「好きなんです」系の作品集にも優れた本はたくさんあります) 『骨の音』は、とても誠実で、地味で、絶対売れなそうだけど、でも、読んだ時に、こちらの心をギシギシ揺すってくるようなザラついた力に溢れていて、とても心に残ります。 これがあるからこその、『寄生獣』なんですよ!(『風子』もあるけど) 新井英樹『「8月の光」「ひな」その他の短編』とか、豊田徹也『ゴーグル』とか、伊図透『辺境で』とか、五十嵐大介『はなしっぱなし』もそうかな、同じ感じで、好きですねえ。 作者が「これは売れないだろうなあ…でも、今はこれしか考えられないんだよなあ、仕方ないよなあ。クソぉ」と思いながら描いていそうな感じ。(実際どうかは知りませんよ) ものを作ると決めて、見返りはないかもしれないけれど、誠実に漫画に向き合っている。 ダイヤの「原石」というのは、『骨の音』のような本のことを言うのだと思います。
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