nyae
nyae
2021/01/02
おにぎりを握ると鈍器になっちゃうピアノの先生
こんな面白いと思わなかったー!笑い泣き必至。 ピアノの先生という職業と、見た目の美しさで私生活も優雅でパーフェクトだと思われてしまう主人公・すみれ。その実態は…ピアノ教師は忙しい割に薄給なうえ、なによりも「料理が苦手でやりたくない」。やりたくないならやらなくて良いと思うけど、やたら料理の腕を試される場面が多いのがかわいそう。笑 すみれは地がお人好しなので、その度に努力はしてみるものの結果が全くついてこない様が申し訳ないけど笑えるんです。おにぎりが鈍器と手榴弾になっちゃう。なかでもクッキーを作ろうとする回がいちばん秀逸です。あなたはクッキーが焼けたときに「誰もいないっ…!」って言ったことありますか? 困った時はバズレシピで有名な“キッチンお兄さん”のツイッターに頼るのが今風。 そんな自分を受け入れてくれる料理上手な王子様が現れてくれるのを待ってるところは少しイタいけど、すみれがピアノクラブの講師をしてる幼稚園のイケメン朝日先生(優しい)や、ギャル先生(料理上手い)、料理家である朝日先生の姉など、すみれの今後を左右しそうな良いキャラがたくさん出てきます。3巻がもう待ち遠しくてしょうがない!
mampuku
mampuku
2018/04/03
「可愛さの音圧が高い」美術部ラブコメ
 まさにアニメを切り出して漫画にでもしたような高クオリティの作画で、作監でもつけてんのかってくらい異様に安定しています。表紙もアニメ塗りでなんかキービジュアルみたいです。あるいはラノベの表紙。10年前のアニメ好きな人が好きそうな絵柄ですよね、とらドラ!とか、ゼロ使とか、かんなぎとか。私も好きです。  この「可愛さが高い水準で安定している」というのが非常に素晴らしいのです。音楽に無理やり例えるなら、音圧が高くRMS値が高い状態です(音圧競争には賛否ありますがダンスミュージックなどでは大事な要素です)。私は以後これを『可愛さの音圧が高い』と呼び表したいと思います。  話は一話完結式で、落語みたいに丁寧で笑える話や人情系の話が多いですね。そして1巻の一話くらいの割合でたまにあるラブ濃度の高い話数はかなり尊みが深く、美麗な絵ばかりに目がいきがちですがラブコメとしてもかなり質が高いです。  作品内で頻繁に使われる「カメラを固定したまま時間の経過を数コマに渡って描く」やつ、ARIAやよつばとを読んだとき初めて「こんな素敵な技法が!」と感動したのですが、めちゃめちゃ上手くないとできないやつですよねこれ。他にも視覚的に飽きさせないカメラワークやつけPANみたいな動き(1巻で宇佐美さんが泣く前のページ)とか、映像的な演出が各所に盛り込まれています。  一方でコマをぶち抜いた立ち絵(さよなら絶望先生でよく見るやつ)とか可愛い描き文字など漫画的な表現もしっかりしていて、よくあるイラストだけ上手い人とは一線を画します。  基本的にマンガは話の面白さと同じかそれ以上に絵のうまさと完成度が大事だと考えているので、そういう意味で文句のつけどころがほとんどないなと感じました。欲をいえば、シリアス展開とか恋敵とか、好みが別れるような刺激的な展開があったほうがより私好みではあるんですが(笑)
(とりあえず)名無し
(とりあえず)名無し
2020/04/28
洒脱な結晶
鴨沢祐仁は、漫画史にポツンと光る宵の明星である。 イラストレーターとしての活動のほうが知られているだろうが、本書のような漫画では、カッチリとした、『タンタンの冒険』のエルジェをさらにモダナイズしたような熟練の洒脱なタッチで、稲垣足穂『一千一秒物語』に強い影響を受けたクリスタルなエピソードを描く。 足穂インスパイアな作品は多くあるが、これほどまでに美事な仕事はちょっと思い浮かばない。 読んで満足、棚に飾って嬉しく、オシャレなプレゼントとしても最適! いや、ホント、こんな漫画家は他にいない。 劇画やヘタウマというムーブメントが激しい意識の変容をもたらした時代に、その潮流に与せず我が道を進んだ「西洋アンティーク版“林静一”」とも呼び得る存在として、真にユニークな才能である。 だが、林静一のイラストレーションが手に負えないほどの危険なエロスを秘蔵しているのと同様、鴨沢祐仁も、実はかなりエロスな人なのだ。 稲垣足穂は『少年愛の美学』『A感覚とV感覚』の「大変な変態」(雑な回文)な人でもあるので、その影響下にある鴨沢も、初期には、かなりネットリと耽美的なタッチだったりもしていることが、本書では分かる(…と思う。自分は青林堂版で持っていて、このPARCO出版の復刻版を電子化したと思しいeBookJapan Plus版を読んでいないのだが)。 後の作風ではそれを漂白してしまっているが、どちらも自分はとても好きなのです。
ANAGUMA
ANAGUMA
2020/11/10
少年ジャンプで異種族年の差同棲百合…! #読切応援
まずこれがジャンプで読めちゃうという事実に感動。ありがてえ…。作品を振り返りつつ個人的な最高ポイントを3つ挙げていきたいと思います。 ◯主人公ふたりの距離感と関係性が最高 異星人のポポと彼女の監察担当のカヲルはふたりで同居中。奔放なポポに振り回されながらも日々の仕事で疲れ切っているカヲルがポポに癒やされている様子が自然と伝わってきます。一方のポポも人類にとって「ヨソモノ」であり厄介な存在である自分を受け入れてくれるカヲルのことを大切に思っているのですよ…完璧か? 物語を貫くふたりの「関係性・パワー」が炸裂するラストまで見届けてほしい。 ◯演出とセリフ回しが最高 スマートだなと思ったのが「宇宙人がいて、人類は敵対しているけど、なんとなくやれています」というともすれば複雑な状況説明が「緩やかに侵略されている」というセンテンスに凝縮されていること。カオルの所属など細かな設定や世界観に言及しきらずとも余白で伝わってくるんですよね。これがすごく読みやすかったです。 ◯デザインとビジュアルが最高 キャラクターデザインをはじめとにかくカワイらしくて、かつスタイリッシュな線が迸っているんですわ。どのコマを見ても気持ちいい絵が目に入るので嬉しくなっちゃいます。 特にクライマックスシーンは圧巻。気分がゾワッとアガるすごい見開きでした。 もう全部好きでした本当にありがとうございます。未読の方、読んで!!!
TKD
TKD
2020/09/22
『ジョジョ』の基本思想が詰まった始まりの部
大ヒット漫画『ジョジョ』の 記念すべき開幕を告げる部 ではありますが、 ファンの人でもわざわざ読み返すことは あまりないのではないでしょうか? 私の周りでも「1部が一番好き!」 という人は1人もいません。 確かにその後の部に比べて バトルも地味なものが多く 現代から見ると時代を感じるキャラクターが多いので若い人たちが見ると 物足りなさを感じてしまうのは 仕方ないことだと思います。 しかし、今回久々に読み返して 私はビックリしました! 第1部にはこの後30年近く貫かれ続ける 「ジョジョの基本思想」が 詰まっていたのですッ! それは3巻で語られる ツェペリさんの3つの教えです! ①相手の立場に身を置く思考。 ②「勇気」とは怖さを知ること  「恐怖」我がものとすること。 ③「成長」には犠牲が付き物  「犠牲」成長につなげられる人間こそ   美しい人間である。 おそらく『ジョジョ』はこの3箇条をもとに 作られているのでしょう。 相手の立場に身を置くことで、 敵キャラの造形を 細かく描写することができる。 そして、「恐怖」を我がものとする。 つまり、克服しようとするからこそ 「ホラー映画」に影響を受けた シーンづくりをする。 そして、ジョジョたちが犠牲を成長に つなげていくからこそこの漫画は 「王道」なのだと思います。 これらの基本思想があり、 そして、ジョナサンの正義漢としての描写も 少し過剰ではありますが、 キチンと入っています。 このジョナサンの過剰なまでの 「いい子」「正義漢」描写があったから 後のジョジョはどんなに不良でも ジョナサンの子孫だからという 土台の安定感から ヒーローとして自然に 読者に迎え入れられる のではないでしょうか? そんな感じで、あの『ジョジョ』の 始まりの部がただの旧時代の 漫画の訳がありません。 一回読んだだけで その後読み返してないという人は 是非一度読み返してみてください! 自分の好きな 『ジョジョ』のエッセンスが 生まれた瞬間を 何個も発見できると思います!
すなわ食堂
すなわ食堂
2019/07/12
漫画力の高い漫画
かつて高校球児だった作者さんによる高校野球の話です。決して明るく楽しいだけではない展開になる部分も多々あるのでその辺りはきっとリアルなんだと思います。 でもそんなリアルな雰囲気に気持ちが引っ張られてしまうことはなく、主人公の朝富士大生くんがとにかく前向きなので読んでいて元気になります。 ここからは少しテクニカルな話になります 漫画を読んで「絵がうまいなあ」と思ったことは過去幾度もありますが「漫画を描くのがうまいなあ」と思ったのは高嶋さんの漫画を読んだ時が初めてです。 変則的ながら見やすいコマ割りおよびフキダシの配置、比較的多用されていながらひとつひとつが印象に残る見開き、読み手がテーマ(今回の場合は野球)に造詣が深くなくともスッと入り込んでくるネーム。 漫画だからこその技巧がこれでもかと詰め込まれていて臨場感がすさまじく、時には目の前で試合が繰り広げられているんじゃないかという錯覚に陥ったこともあるので 漫画家志望の人にもぜひ読んでみてほしいです。 3巻の途中でライバル校が出てきてからがそれまでに増して絵も話もグッと良くなります。おすすめです。
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