あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2020/03/13
奈良吉野の里山ごはんに癒される……
【「ごはん日和」作品ピックアップ①】 ぶんか社から出ている、「食」がテーマの「ごはん日和」という雑誌をご存知ですか?漫画誌でありながら、表紙に作品名や作者名がほとんど無く、代わりに描かれている料理名がふんだんに散りばめられている、という徹底したテーマ性がすごいこの雑誌。 幾つか単行本化された連載があるので、面白いものをピックアップしてご紹介してみます。(ちなみに先週レビューした『釣りとごはんと、恋は凪』もこの雑誌連載) ※※※※※ 仕事も婚約者も捨てた30前の男は、東京から奈良県東吉野村の祖父の家に逃げて来る。疲れ果てた男は、隣人の中学生女子に「すき焼き」をご馳走になる。……なんだこれ、美味っ! ※※※※※ このすき焼きの肉、実は地元のブランド牛。「ここは自然いっぱい、美味しいものいっぱい!」という女子中学生・海青子に、その後も美味しいご飯をもらい、彼は元気を取り戻していきます。 三輪そうめんなど特産品あり、季節の野菜や竹の子もあり、クレソンやハーブもその辺で採れ、素材は豊富。更に人助けするとお礼に色々もらえる田舎の食生活は豊かで、羨ましい! 食材は海青子の手で見事な料理になり、二人で感動しながら食べているうち……辛いことってなんだっけ? 海青子の方にも重い過去がありながら、そんなことは全く感じさせない元気さ。 色々あっても、ごはんの間は棚上げして、そのうち時間が解決してくれる……そんな食による「精神の回復」の過程を見せ、穏やかな気持ちにさせてくれます。 気軽に読めて、奈良吉野の食知識とリラックス効果を得られる、疲れた人におすすめの作品。本当に恋愛要素も犯罪要素も、面倒なことは全くないので、安心して! ----- 【「ごはん日和」作品ピックアップ】として、以下の作品を取り上げています。 ①14歳の里山レシピ 東吉野で、いただきます。 ② 笑とお兄ちゃんのなりゆきごはん ③ 午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】
(とりあえず)名無し
(とりあえず)名無し
2019/05/09
漫画の最高峰
…は、なにかと考える時、一番頭に浮かぶ機会が多いのが、この『カムイ外伝』である。 (当然、その日の気分によって、この選択はコロコロ変わるのですが) もちろん、白土三平であれば、正篇の『カムイ伝』『忍者武芸帳』『サスケ』『赤目』…なんでも最高!であることに議論の余地はないのだが、でも、初めて通読した時に「漫画って、本当にすごいものだなあ」と感じ入り、今も一番心に残っているのは、『カムイ外伝』。ちなみに、岡本鉄二がからんでると思われる第二部まで含めてこその、最高!である。なんつったって「スガルの島」と「黒塚の風」、最高! この外伝はもともと、雑誌ガロに大作『カムイ伝』を執筆するにあたり、原稿料が少ない(あるいは「出ない」)ため、生活費を稼ぐべく大手の週刊少年サンデーで連載を始めた…と読んだ記憶がある。 そのため、エンターテインメント性がかなりビシっと意識されていて、主人公である抜け忍カムイとその追手たちとの戦いメイン、超カッコイイ技もバンバンある、読んで嬉しい見て痺れる「漫画」なのだ。 (だから、アニメ化されたり松山ケンイチ主演で映画化されたりしたわけです。正篇の『カムイ伝』は絶対無理ですもんね) 白土三平を知らない今の読者にとっても、きっと、『カムイ外伝』は最高!、な素晴らしい漫画であると心からお薦めいたします。
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2020/03/20
世界と闘う乙女の身体美!
【世界と戦うアスリート漫画②〜スポーツコラム風に】 『もういっぽん!』等の柔道女子漫画を描かれる村岡ユウ先生が作画を担当された、七人制ラグビー女子日本代表が2016年リオ五輪出場を目指した記録であるこの作品。まず注目すべきは、闘う女子の身体描写である。 肥大した太腿、広い肩幅、鍛えて大きくなった身体に比して、小さな頭。そのプロポーションが、自然かつ美しく描かれている。レオナルド・ダ・ヴィンチがかつて導き出した理想の比率が、コートで躍動する、その美しさ、力強さ! 世界で闘う為に、極限まで鍛えられた身体に感動させられた後で、それがむごい程にぶつかり合い、弾き飛ばされ、振り解かれるのを見る時、私達は世界レベルの厳しさを共に体感する事になる。これでもまだ、敵わないのか……と。 日本の女子ラグビーの競技人口は2012年で2355人(https://www.jpnsport.go.jp/kokuritu/sisetu/kankou/tabid/409/Default.aspx )。世界1位のニュージーランドの約1万人には敵わないが、1988年の女子協会設立以来の普及・強化の努力で幼少からラグビーに親しむ女子も増え、その中から生まれた代表選手達が、より高い世界を見据えていた。 そしてそこに、他競技からの転向組が混ざり合っていく。 物語は陸上の円盤投げからの転向組・ラグビー歴1年の桑井亜乃選手が代表に招集されるところから始まる。 ラグビーにおいては当たり負けない事も重要だが、七人制では更に、走り負けない事が重視される。短い試合時間・速い展開・短いインターバルという特性から、気持ちの切り替えの速さも大切なようだ。 そういう点に強みを持っていれば、他競技で活躍してきた転向組にもラグビー経験の浅さを補ってチームを底上げし、鼓舞する可能性はある。 陸上の円盤投げで上を目指すのを諦めた桑井選手は、特性を見込まれてラグビーを始めるが、すぐに次を見据え前向きなスピリットで走り続け、苦しいチームに明るい風を入れる事で、リオ五輪出場の夢を繋いだ。そんな風に個人もチームも、例え挫折があっても、前向きにチャレンジし続ける事が大事なのだ、という事をこの作品は教えてくれる。 因みに、日本のラグビー女子競技人口は、平成30年度で4672人に増えた。(https://blog.rcn.or.jp/rugby/ ) リオ五輪代表の頑張りが、結果としてこの様な所にも現れている。その頑張りの軌跡、前を向いて進んだ姿の記録として、この作品は大事な物と言えるだろう。
天沢聖司
天沢聖司
2020/02/18
初恋の人の弟が教え子(悶絶)
camera設定だけで優勝って感じでめっちゃ最高でした…!ずっと目で追って憧れているだけだった千葉くん。その弟がが自分の学校に転校してきて初恋が蘇り、打算ではない恋にスコーーンと落ちてしまう。 https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,h_365,q_80,w_255/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/book/regular_thumbnail/176496/7c0bd427-4d18-4b3a-a510-fd35466bd42c.jpg (△『私の町の千葉くんは。』おかもととかさ 1巻) **主人公・マチの恋愛に対するリアルなスタンスがすごく好き。** 高校生同士の恋愛マンガだと、主人公がちょっとのこといちいちときめいたりドキドキして恥ずかしがって身動きが取れなくなってることが多い。 一方、マチは27歳。 生徒と恋愛はありえないという前提がきちんとあり、千葉にときめいていても、合コンで知り合った男と寝る。学校で腕を舐められても、**一方的に翻弄されたりせず客観的に相手の意図を分析して冷静になるところが年相応で良い。** https://i.imgur.com/c179KE3.png (△『私の町の千葉くんは。』おかもととかさ 1巻) **この、「いくら当時の恋心が蘇ったとしても、それはそれ」と頭で割り切り行動できるところがリアルで、読んでて楽しい!** 格好いい男の子の格好いい行動だけじゃなくて、それ以外の部分で読ませてくれるから本当に面白い。 あと王道ではない絵柄が超いいんですよ…!シンプルなデフォルメでありつつ、一方で男性キャラを描く線は色っぽい。 まだ1巻までしか読めてないけれど、千葉(兄)が参戦してきたので、んも〜〜〜どうなるのよこれ!?忙しい忙しい…となりました。早く続きが読みたい…!! (▼いやこんなん好きになっちゃうに決まってんじゃん…『私の町の千葉くんは。』おかもととかさ 1巻)
ナベテツ
ナベテツ
2019/05/06
全ての知識は等価である
自分がまだ小学生の頃、母ちゃんが兄貴に買っていた旺文社の「高校合格」という雑誌に、恐ろしくひねくれたエッセイが掲載されていました。自らカットも描いていたのですが、そのページを書いていた男性は後にサンデー増刊で読み切り漫画を描いたりしたりもしていて、その名前はよく覚えていました。 それから10年後くらいにSPA!のコミック紹介のページで、自分の知らない「がらくたストリート」という作品が取り上げられていました(ライターがどなたかは失念してしまいました)。 かつて山田Xというペンネームで、という一文を読んで思わず目を疑いました。その後この作品を読んで、全て納得しました。 自分も基本おたくですが、中途半端であるという自覚は嫌になるくらいありますし、求道というのはまあ終わらんもんだとも思います。 この作品に関して、面白いけど説明出来ない、という評価をよくみます(まあ自分もよくそう言ってますが)。ギャグに関して「デペイズマン」という概念をエッセイで取り上げていたのは故・中島らもさんなんですが、「構図のズレ」によって産まれる笑いというのは、対象の間にどれくらいの距離があるのか理解出来るだけの知識が問われると思います。そしてこの作品には作者の培ってきたオタクとしての知識がふんだんに込められていますが、それが理解出来るかは突き詰めてしまうと読者次第ということになってしまいます。 おたくとオタクは恐らく違っていて、前者がクリエイターになって後者に受けるかどうかというある種の実験だったのかもしれないと、ふとこの文章を書いていて思ったりもしました。
六文銭
六文銭
2020/02/23
なんとも悲しいループ #1巻応援
ループものって無条件で好きなんです。 同様に「はたらく魔王様」みたいな異世界からきた(逆に異世界にいく)的なストーリーも好きなんですが、 両者に共通するのは「別れの話」だと思っているんです。 なんやかやストーリーはありますが、結局は ループものは、繰り返しの終わりを 異世界からきたものは、自分の世界にどうやって戻るかを こんな感じで、最後に必ず別れを描く必要がある。 どんなに楽しいシーンでも、うっすら漂う終わりを予感させられて、物悲しくて好きなんです。 もちろんそうじゃない作品もありますが、そんな中で、本作「私の神様」は、久しぶりのアタリでした。 ループものを上記のように感じている人がいたら是非おすすめしたい作品です。 その内容ですが、 かつて神様が人間の女性と恋をし、彼女の命を助けるため、人間の少年の姿のまま不老不死の呪いをかけられる。 命を助けられた女性は、同じ呪いを望み、記憶を残したまま、輪廻転生を繰り返し神様の前に何度もあらわれるという話。 かつての恋心を残したまま、ある時はネコで、ある時は鳥で、姿形は変われど、何度も神様の前に現れる。 しかも、そのことを伝えたら、呪いも終わってしまうため、何も言えずただそばにいる。 自分が恋人だということも、あれからずっと一緒にいたことも全て言えないのに、彼を一人にしたくないという一心で、ただ、ただそばにいる。 神様にしてみれば、なぜそばにいるかもわからない。 なんとも悲しい物語。もう、ドツボです。 恋人は現在は、人間の女性「かずさ」として生まれ変わったのですが、成長から老いへと変わる感覚が、神様との別れを予感させて、得も言われぬ不安感がたまりません。 思いが伝わらない焦燥感も悲壮感も、ループものの醍醐味です。 まだ1巻ですが、この後どう転ぶのか、どう別れを描くのか楽しみです。
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
2020/03/15
2年前の読切だけどまた読みたい #読切応援
cameraウルトラジャンプに載ってるのを当時読んで、これは面白い!って強烈に感じた。 ホラーでありゆるいコメディな設定に女の子二人の百合。 「ユリトラジャンプ~ウルトラジャンプ百合アンソロジー~」に収録されているということで『未織と山神様』を読むためだけに購入して改めて読み直した。 ふとした瞬間に内容の断片を思い出したけど、タイトルや作者など忘れていてなんだっけなーと思っていた読切。 やっと思い出せてすっきり。 未織とさくら、女子高生二人が山を散策していると、頭からお腹まで半分まるかじりしたような異様なイノシシの死骸を発見する。 ずんずん山の奥へ進む未織と怖がるさくら。 二人は噂になっている山神様の話を思い出し、伝承を話す。 「山神様を食べたら不老不死になれる」 じゃあ、これは知ってる? 「山神様に噛まれたものはすぐに殺せ」 そして、その理由はすぐに分かることになる・・。 可愛らしい絵と女の子のゆるい空気とは真逆の奇怪な出来事が彼女たちの身に降りかかる。 読切としてここで終わるが、このあとこの二人はどうなってしまうんだろう、どんな生活を送るのかな、など考えるのが楽しくなる素晴らしい作品。 二人のときは度胸があるけどいざとなったら頼りない未織と、怖がりだけどいざとなったら肝が座ってるさくら。 そんな二人はどんな事があってもいつまでもずーっと仲良しでいてほしい。
(とりあえず)名無し
(とりあえず)名無し
2019/04/25
ラストシーンは永遠です。
昔の漫画の名作って、ある意味、主人公の「死」がラストなんですよね。アトム、009、デビルマン、ワイルド7、ジョー、男組…他にもいっぱい(その後に続いちゃったのも多いけどw)。 シェークスピアの悲劇ですな。 この漫画のフィナーレは、そういう定型を打ち破り、小学生だった自分に「こんな終わり方があるんだ!」と感動をぶち込んだ超名シーン。 『熱風の虎』『赤いペガサス』と、モーターレース漫画の地平を切り拓いた著者が、ナスカーを舞台にした(…って、凄いな。こんなテーマ、今でも絶対無理だろう)、飛びっきりの「少年漫画」です。 続く『六三四の剣』でも、連載前に『修羅の剣』短期連載したり、村上もとかはオーソドックスに見えて、構成や演出に実に凝った技を使う、極めて先鋭的な才能だったのです。(当時のアメリカやフランスの映画の匂いがプンプンするしね) その後、漫画界では、今度は「主人公が最後に死なない」≓ハッピーエンドな作品が多くなって(80年代)、さらにそれ以降、「いつまで経っても終わらない」時代が長く続いてしまうのですが、そういう分析を始めると、この「クチコミ」には収まらなくなっちゃうので、それはともかくとして、いや、ラストシーンは大事ですよ、本当。 『ドロファイター』初読から40年以上経った今でも、思い出すと勇気が出るもの。 ちなみに、『がんばれ元気』は大好きだけど、あの最終回よりも今作のラストが、未来へ開いていて好きです。(小山ゆうなら『おれは直角』の最終回のほうが好み)
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