六文銭
六文銭
2020/06/04
遠藤達哉と私と20年
遠藤達哉と私の出会いは忘れもしない20年前。 ジャンプの読み切りで掲載された『月華美刃』を読んでからだ。 その新人離れした画力と、スタイリッシュで魅力的なキャラクター、困難に立ち向かう主人公という王道な作風に圧倒され、新たなジャンプの夜明けを感じ、この作家の可能性に期待しまくりだったのです。 続く読み切り連載『WITCH CRAZE』も読み、その期待が確信にかわる。 この作家、絶対くるぞ! (2000年秋) ・・・こなかった。全然、こなかった。 その間、数本の読み切りと、ジャンプスクエアなどで『TISTA』や『月華美刃』(読み切りの連載版)の連載はあったが、お世辞にもヒットにつながらなかった。 悪く言えば、打ち切りだ。 自分の価値観と世間の価値観がズレることは多々ありますが、どこを切っても「嫌われない作風」なのに、この作家がヒットしないことで、自分の審美眼を疑うどころか、人格を否定されたような気持ちに打ち倒されました(言い過ぎ) その後、連載はおろか読み切りの発表スピードが遅れるたびに、作家生命の危機を感じていたが、昨年2019年『SPY×FAMILY』がジャンプ+で大ヒットした。 100万部突破、各賞受賞。 もうね、この大ヒットに、わたくし、膝から崩れ落ちましたよ。 俺は前から目をつけてたぜ~、なんてチープなことを言いたいのではないのです。 心の底から応援していた一人の作家が、長い年月をかけて大成したことが、ただ、ただ、嬉しいのです。 (消えていった人もたくさんいるので) 諦めなければ、いつか必ず報われるというのを魂レベルで理解できました。 20年…20年も続けられるもの、何かありますか?って話なんです。 そんな1作家ファンとして言いたいことは、どうか他の作品も知って欲しいということだけです。 この短編集は、その後続く作品たちの「魅力の原点」が詰まっております。 他の作品からこの作家を気に入った方はこちらを読んでも全く損はありません。 初期作の短編集ですが、ハイセンスな世界観、笑いあり、シリアスありの遠藤達哉ワールドをビンビンに感じる1冊です。
野愛
野愛
2020/10/25
鬼滅ミリしら状態で一巻だけ読んだ感想
ジャンプの漫画ってマサルさんとジャガーさんとアイズしか読んだことない気がするし、流行りすぎちゃって乗っかるタイミングを見失っていたのですが読む機会を得たので読んでみました。一巻だけだけど。 ・強くなりたい、が目的ではなく手段なのがよい 妹を助けたい優しい子っていうのがとてもよいですね。このままでは妹を守れないという気づきを最初に明示するのも素晴らしい。覚悟とか強さとか守るとかフワッとしているけれど物語の根幹になる概念を明確に示しているので、炭治郎とともにこちらの心持ちも変わっていけるのがよいなあと思いました。 ・死はいつだって辛く悲しいもの 結構グロテスクな描写が多いなあと。敵を倒すことはただの過程として捉えてしまうけれど、命を奪うってとんでもないことなんですよね。敵とは言え鬼とは言え、命を奪うことがしっかり悲しみを持って残酷さを持って描かれているのがかえって優しいなあと思いました。 ・単純にグッズとか売れそう アイコニックな色合いがいいですよね。緑と黒のあの色合い見るだけで鬼滅だって思うもんね。天才。 ほぼミリしら状態で読んだけど確かに面白いなあ、売れる理由もわかるわあと思ったんだけど、これが鬼滅だけのものなのか売れてる少年漫画あるあるなのかはわからないのでなんとも言えないのが困ったところ。でもわたしくらいの知識しかないひとも読んでハマってるんだろうからやっぱり凄いんだろうなあ。
ななし
ななし
2019/07/16
二重三重に百合が楽しめる驚きの百合濃度!
cameraマンバの『おすすめ百合漫画教えて(https://manba.co.jp/free_spaces/16440) 』で知った漫画。 http://www.comic-ryu.jp/_yuridenaru/ **も〜〜バチクソ最高でした…!** 「私は高校卒業と同時に死んでしまう…」というセリフから始まるこの作品。 初めて読んだときは「病気の女の子が主人公が切ない系の話かな?」と思ったのですが、全然違いました。 主人公の駒鳥心は、女の子とお付き合いがしたくて頑張って名門私立に入学するものの、高3の春、誰とも付き合うことが出来ぬまま男性と結婚することが決まってしまいます。今から別れが前提にある恋はできないし、この先**男性と結ばれれば、「(心が)死んでしまう」。** そこで主人公は、**街中の女性たちで百合妄想をして「スケッチブック」にまとめ心の支えとする**ことを思いつきます。 この作品の見所はなんと言っても**「1エピソード2部構成」**…! この漫画は、主人公・駒鳥が**街で見かけた女性2人組を「勝手に妄想するパート」**と、**その女性たちが本当はどんな関係なのかを描く「真実パート」**に分かれていて、1カップルで二度楽しめる構成になっているのがすごい。 そしてさらにすごいのが、**百合カップルを妄想をしている駒鳥と雨海の自身が大変素晴らしい百合**だということ…! とまあ、このように**『1話で二重三重に百合が楽しめる』凄まじく百合濃度の高い作品**になっています。 また賛否分かれるかと思いますが、先生(男)が駒鳥と雨海の間に参入してきそうな気配もあり、**百合・BL・男女問わず雑食の自分はワクワクが止まりません。** ぜひお試しあれ…です。 (画像は1話より。結婚を前にして、目が死んでしまっている駒鳥ちゃん(右)。百合妄想をするときはキラキラ輝きます)
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2020/07/11
殺戮マシーン、一般人になる? #1巻応援
この作品を稲井カオル先生の前作『うたかたダイアログ』で例えると、 「片野さんは心が生まれたばかりのロボットみたいなことを言う……その内『これが…ナミダ…?』とか言いそう」 と言う宇多川さんのセリフ。これを全編に渡って繰り広げる感じになる。 地球外生命体の襲来で滅びそうになりながら、何となく滅びなかった世界で、最前線で戦った英雄・芥は次第に煙たがられ、緊張感の無い鳥取部隊に左遷される。 14歳から7年間、戦い以外を切り捨てて戦闘マシーンとして、英雄とした生きた芥は、ゆるい鳥取で気持ちを持て余す。 人間らしい感情や常識の無い芥が、色々教えられて新しい自分の在り方を探していく物語になるのだが、その物語は決して一筋縄には描かれない。 普通、可愛い子供や仲間、美しい光景などとの出会いで、人間らしい情緒や愛情を取り戻していきそうなものだが、芥が出会うのは、生意気なガキンチョに、ちょっとズレた感じの女性副隊長・百福。年長の隊員・古賀がツッコみ切れない程の、百福&芥のボケに継ぐボケ。更には生意気なガキンチョの遊びや語彙を、貪欲に吸収する芥。 結果、彼が獲得する新たな感情は、人間らしいと言うより……? 結構真剣な話や、「深いい」話もしつつ、様々なズレと畳みかける細かなボケに含み笑いが止まらない感じは『うたかたダイアログ』と同様。結果なんだか不思議な読後感のこの作品、是非人類と共にグダグダと続いていって欲しい!
たか
たか
2020/07/08
1から10まで面白い…!
camera全く知らない漫画を読むときは構えてしまうことが多い。「ストーリーが陳腐だったり、寒かったりイラッとする気に食わない描写や説得力のない無理な展開があったら嫌だな…」と心の底で思っている(ワガママ)から、最初の方のページは恐る恐る読んでいてあまり作品に集中していない。けど、この漫画は最初っから最後まで心の底から楽しめて最高だった! まず始まり方からしていい。 1コマ目「怪獣(エイリアン)襲来!!」がふと縦書き文字でドーン。 2コマ目最初のフキダシで「奴らは人を喰らわず金融資産を喰らうのだ」 「金融資産を食うってなにそれおもしろ〜!!」と、初っ端から作品に興味を持つことができ真剣に読めた。 バンカラな格好をした主人公の少年・兼無欽太郎は、一家心中で親をなくしバイトを掛け持ちしながら妹と自分を養っている苦労人。 貧しい生活でも性格が歪むことなく、前向き実直で清々しい。 対する欽太郎を怪獣と戦うヒーローにしたいヒロインのお嬢様も、お金持ちながらバイトやドラム缶風呂を厭わない(むしろ楽しんでる)気持ちのいい子。 この2人の性格がとにかく良かった…好感度しかない。 見た目についても、欽太郎のがっしりした骨太な体型、傷がある精悍な顔立ちがすごく良かった。戸塚先生は顔に傷がある男が好きなんですね。 最後のバトル、言葉遊びも良かったですが、課金して戦うことでタイトルが回収されるところが見事でした…! アンデッドアンラックで戸塚慶文先生を知り、過去作を読んでみたいという方は、絶対損しないので『ジャンプNEXT!! 2015 vol.6』買いましょう。 http://jumpbookstore.com/item/SHSA_ST01M02993601506_57.html
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2020/05/31
「保護」から本当の愛情へ…
人間不信から老メイドと共に、大きな屋敷に閉じ籠ってきた女性は、老メイドの提案で一人の獣人を引き取る事にした。メイドとして働く獣人の少女・メルと、主人となった女性は、互いを思い遣る優しい関係を築いていく……。 ♡♡♡♡♡ 英国風世界観の美麗さと冒頭2話の優しいお話に、何処までも温かな物語が続いていくことを願ってしまう。しかし、事はそう簡単には進まない。 第3話から語られ始める「獣人」の設定は、ついスルッと受け入れてしまいそうになるが、「国家の保護管理」を示唆するワードがどうしても心に引っかかる。そうするとメルが日頃装着しているある装具が、妙にリアルな重さを常に思い出させるようになる。 世間を知らないメルは主人に信頼を寄せ、心安らぎ、親愛の情を寄せる。そして主人もメルの純粋さに、次第に「人を信じる心」を思い出す。 心を交わし、温もりを確かめ合う二人と、それを支える老メイドの生活は穏やかで、心温まる。しかし、メルの親愛の情が別のものに変容し、主人がそれを受け入れたいと思った時、「獣人」の設定はメルの装具のように生々しく二人に纏わり付く。 優しい日々に不安を潜ませ、二人の行く末の幸福を祈る物語として、または「国家・管理・差別」といった問題意識の寓話としても重みのある作品だ。
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