TKD
TKD
2020/03/07
画力と繊細なトーンワークに裏打ちされた演出力
表紙の目ヂカラに心を掴まれてジャケ買いし、内容を読んでさらに心を掴まれました。とにかく画力を活かした演出が抜群です。 キャラの作画はCLAMPの目ヂカラと矢沢あいのフェミニンな細身のシルエットを見事に融合させており奇跡的なバランスで成り立っています。 そして手の細かな演技や表情付けなどは週刊漫画とは思えないほど繊細に描写されており手の動きだけでキャラの悲痛な感情が伝わってきます。 背景に関しては繊細なトーンワークによる光の表現が特に素晴らしく、この現実感のあまりないキャラたちを違和感なく世界に溶け込ませています。 さらに、シリアスとギャグの配分が非常によく。80〜90年代のサンデーが好きだった人にはたまらない配分になっていると思います。店長がパトレイバーの後藤さんに似ていますがその辺りの感覚はパトレイバーに近いと思います。 ストーリーに関しても初めての挫折を経験した少女の鬱と中年の危機に差し掛かったおじさんの鬱という2種類の鬱を恋愛という誰にでもわかる主題を使いながら見事に描き切っています。 少女漫画が好きな人、そして少年漫画が好きな人、もちろん青年漫画が好きな人、どの層の人にもお勧めできる恋愛マンガです!
ひさぴよ
ひさぴよ
2020/08/04
今日マチ子自伝〜中学受験から藝大受験まで
これから中高一貫校受験しようと考えている親子向けの受験案内&学校紹介情報を扱った書籍です。 学校案内の文章と、今日マチ子先生の体験を描いた漫画を中心とした構成になります。作者も中高一貫校出身であるため、非常に説得力かつユーモアに溢れた自伝的漫画の側面を持っています。 小学生時代の勉強の仕方から、受験に合格して中高一貫校での学校生活、そして大学受験までの体験をサラッと描かれているのですが、これが実に面白い漫画になってます。 変わり者といったらアレですが、一つ一つのエピソードが普通の人と違うので、受験テクニックの参考にはならないかもしれません。しかし、子供の目線で感じていたことが素直に描かれていて、日々の過ごし方や、入学してからの楽しい学生生活の雰囲気を伝えることに力を入れてあり、受験合格後の生活をイメージするには良いと思います。 自分も中高一貫校出身なので分かるのですが、学校によって教育方針や環境が千差万別で、入学してみないとその学校の本当の所は分からないのが、中高一貫校の特徴です。なんと言っても卒業までの期間が長いです。中高6年間の過ごし方を、事前にイメージできている事は特に大事だと思います。高校受験のない一貫校の宿命ともいえる「中だるみ地獄」がどういうものなのか、この漫画を読めば参考になるはずです。 さて、漫画後半で高校生になった今日マチ子先生は、美大への受験を決意します。予備校に通い、努力の末にめでたく合格。短いページ数でサラッと合格したように見えますが、その大学とは「東京藝術大学」です。いや、すごすぎて参考にできない…。いま流行りの美大受験漫画「ブルーピリオド」のようなドラマがあったかもしれないと思うと、それはそれで別の漫画として読みたくなってきます。予備校時代の同級生であり、漫画家の近藤聡乃先生も登場しますし。 あくまでもこの本は受験生とその親に向けられた本になりますが、同時に漫画ファンも楽しめる作品だと思います。エッセイ漫画が好きな人、美大受験漫画が好きな人、自伝漫画が好きな人など。漫画を読むためだけに買っても損はないです。
野愛
野愛
2020/09/24
夢ならば醒めないで
ほのぼの絵柄と美味しそうなご飯と永遠に続いてほしくなる日常感をまといながら、ハチャメチャに美化された初恋みたいな甘酸っぱいエロスを放り込んでくるとんでもない飯漫画です。 トキメキと劣情のちょうどど真ん中を刺してくるような漫画です。 なんて言うと誤解を招いてしまうでしょうが、従姉妹3人と同居っていうのがファンタジーでドリーミングなシチュエーション。 翻弄されつつも楽しい日常をおくり、いちばん歳の近い弥生ちゃんと何かが芽生えちゃいそうになる感じももう夢でしかない。カジュアルファッションででっかい眼鏡で地味そうなのに無邪気で時折セクシーさも感じさせるという弥生ちゃんもどう考えても夢です。 ピンク髪の姫騎士と同等の夢具合です。 なのに浩平ときたら、弥生ちゃんをはじめ従姉妹たちにドギマギしながらも慈愛に満ちた目で美味しそうな料理を作り続けるもんだから…浩平こそ夢じゃん!!という感情でいっぱいです。 気づいたらハーレム的な鈍感主人公じゃないのがよい。わたしも浩平の従姉妹になりたい。 100%日常にひそませた非日常と、ほのぼのに隠したほんのちょっとの色がどうにもこうにも心を捉えて離さないのです。まかない君おそるべし。 芋煮とおにぎりの組み合わせ最高です。家で食べる手作りおにぎりって特別感があってよいですよね。
ななし
ななし
2019/08/20
ワンピース感とオリジナリティ
まずカラー絵がすごく良い。なんとなく五十嵐大介っぽさを感じる。 そして本編の絵の線の感じや白黒ハッキリした塗りは尾田栄一郎や吾峠呼世晴っぽい。 けど描き文字やキャラデザはオリジナリティがある。 物語は、「残虐なヴァイキングに統治された「兵士か奴隷」しかいない町・ギブロン。主人公・バトロは「ギブロンで1番偉い奴に会いに来た」と、少年漫画の主人公らしいセリフで兵士をぶっ倒すが、ゾゲボ(1番偉い奴)が町に戻ってくるまで奴隷として過ごすことに決める」というあらすじ。 この主人公・バトロには「ゾゲボが戻るまでビビらず仲良くしてくれよな」と言ったりするところがあり、こういう強い力を持ちながら「お前が言うな」というボケをカマすところはルフィーに似ているなと思った。 もしここで周囲の人間が極度にデフォルメされた変顔になってツッコミを入れたら、それはもうワンピースでしかないが、群青のバトロはそういうことはしない。 ルフィーはシリアスに振る舞うこともあるけれど、基本的に無邪気に喜怒哀楽をハッキリ示し、熱く怒ったりする。一方、バトロはもう少しクールな男で、笑ったりスッとぼけはするけれど、激しい怒りや熱は内側に隠し、淡々と振る舞っているような印象を受けた。 最初から最後までスラスラ読めたし、最後のオチには笑った。 ファンタジー少年漫画として大きな瑕疵のない、完成された作品だと思う。 個人的には、「バトロが伝説の男と似ている」という設定がうまく活かせていないように感じた。本来だったらもっとワクワクできる設定なんだけど、あとづけ感・蛇足感が強くて「バトロかっけー」とはならなかった。 ワンピースのようなヒット作の要素を、うまく自分のものにすることが出来るのは本当にすごい才能だと思う。ポテンシャルをビンビン感じるので、このままさらにオリジナリティを磨いていって超面白い作品を描いてほしい。 『週刊少年ジャンプ 2019年38号』 http://jumpbookstore.com/item/SHSA_JP01WJ2019034D01_57.html
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