あうしぃ@カワイイマンガ
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2020/10/17
美少女ゲーム、三つの視点 #1巻応援
ゲームメーカーでグラフィッカーとなる女性の視点から、1990年代以降の所謂「美少女ゲーム」の隆興を追うこの作品……と聞くと、「美少女ゲーム詳しくないしな……」と後ずさりする方もいるかもしれません。でも大丈夫!私も詳しくないけど、凄く楽しめました。 視点としては三つ。 ①1990年代の時代背景と美少女ゲーム大流行のリンク ②実在の会社名が出たり出せなかったりの可笑しさ ③美少女絵の進化と描き続ける心得 ■□□□ ①パソコンの普及と共に成長する「エロゲー」から始まるこのジャンル。地下鉄サリン等暗い事件、エロの規制を経て「エロゲー」はエロを抜いた「美少女ゲーム」へ変貌。そこで求められた物は、二人の女性グラフィッカーを駆り立てる。 基本OSのヒットにより、拡大する市場で膨らむ物語に、目が離せない! □■□□ ②この作品、実在のゲームタイトルやメーカー、その他名前がバンバン出てきます。しかしそれらを知らなくても面白いのが「名前を出せない」者の存在。伏字すらNGの某基本OSは苦笑いしかないのですが、場合によっては空白の横に「権利者不明により削除」と書いてあったり……背景の複雑さが垣間見えて楽しい。 □□■□ ③ 美少女ゲームに求められた美少女絵とは何だったのか……それは現在の漫画・イラストレーションにも波及する大きな潮流となります。 そしてこの作品、インタビューまで面白い!アリスソフトで初期から製作に携わってこられたイラストレーターのMIN-NARAKENさんのお話は、美少女絵に命を吹き込むこと、それを20年、30年続けていく為の心得を教えてくれます。 イラストレーターだけでなく漫画家も必見! □□□■ 歴史の波長が噛み合って、大きなうねりが生まれる。そのうねりの本質を知り、世界の末端からメインストリームへ飛び込んで行く物語は、ドキドキしますよね?そんな面白さが、今後紡がれそうな予感。今はまだ、貧乏臭いけど……期待!
sogor25
sogor25
2020/10/19
女子高生がゼロから始める鉱物採集 #1巻応援
アクセサリー好きの女子校生・谷川瑠璃は、お店で見つけた水晶のネックレスを買うために母親に小遣いをせびるのですが、あっけなく断られてしまいます。 しかし、その時 母親が「昔、おじいちゃんが山菜採りに行った時によく水晶を拾って来ていた」という話をします。 その話を聞き、興味本位でその水晶が取れるという山に向かったるりでしたが、そこで鉱物学専攻の大学院生・荒砥凪と出会います。 この作品は凪との出会いにより鉱物採集の世界に足を踏み入れていく瑠璃の物語です 凪の方は大学院で鉱物学を専攻していることもあり、地質学の知識や鉱物の学術的な価値にも造詣が深い女性です。 一方の瑠璃は元々アクセサリーとしての宝石が好きだということもあり、鉱物の純粋な宝石としての価値のほうに興味があり、凪の説明そっちのけで鉱物採集に夢中になりがちです。 この2人が共に鉱物採集に行くようになる物語なのですが、凪が詳しく説明してくれるので鉱物の知識も得ることができ、その一方で瑠璃が鉱物採集に自ら積極的に動いていくので物語としてもテンポよく進んでいきます。 また、凪が所属する大学院の研究室の様子も描かれていて、もちろんデフォルメもあるでしょうが 鉱物学という理系的な学問の専門的な部分にも触れられる作品になっています 単行本の巻末には実際に鉱物採集ができるスポットの紹介もされているので、実際に鉱物採集をしてみたいという方の入り口としてもよい作品だと思います。 1巻まで読了
ANAGUMA
ANAGUMA
2019/07/10
ゴッサムを守るのはジョーカー…!!
バットマン最大の宿敵といえば犯罪のカリスマ、ジョーカーです。 狂人である彼が正気を取り戻した時、ゴッサムに何が起こるのか、バットマンは彼を裁けるのか?という「もしも」を描いたシリーズ。 単に善悪の設定を入れ換えただけでなく、ブルース・ウェインという上流階級と、社会的弱者ジャック・ネイピアという対立構造を描くなど、現代のアメリカ社会を背景にしたテーマ構成が秀逸で、説得力があります。 市民の味方として声を上げた「ホワイトナイト」が現れたことで、法に縛られずに暴力を振るう「ダークナイト」とビランの違いはどこにあるのかという問題が浮き彫りになり、バットマンのフォロワーとして声援を送っていた読者の心も揺さぶられることに。 アルフレッドが病に倒れたことで深まるブルースの孤独、何時ジョーカーに戻るかわからない不安を抱えたジャックの葛藤…。 「ふたりのヒーロー」が悩み、傷つき、それでも戦うようすには胸が熱くなること必至です。 シリーズのヴィランも総登場するほか、ジョーカーを付け狙う黒幕ネオ・ジョーカーの設計などオタクが喜ぶ要素もタップリ。 特にクライマックスのバトルは『スパイダーバース』的なお祭り感があってテンション爆上がり。 映画になってくれ…!! 設定の奇抜さだけではない上質なエンタメに仕上がっているので、バットマンを読んだことがない人にこそ読んでほしい一作です!
たか
たか
2019/07/10
これはスゴイ…!!圧倒的なファンタジー流離譚
camera週刊少年サンデー2019年31号に掲載された、ガチガチにガチの硬派なファンタジー漫画。これは「異世界漫画」と読んで一緒くたにカテゴライズは絶対したくない…! https://twitter.com/tano_so/status/1146183694077456384?s=20 異世界にやってきてしまった女子高生・アールが、「黒いマスク」を手がかりに同じトーキョーからやってきた人間を探しつつ観光を楽しむというストーリー。 ・雨の降りかたで120もの呼び方がある街 ・50年に一度ボードゲームの一手を指す街 ・寝相の悪い街 など、文化や習慣が異なる街が魅力的に描かれていてたまりません…! アールの移動手段「クロ」についての説明をあえてせず省いているところも、世界観を想像する余地を残してくれていてすごく好きです。 またたった1コマだけ描かれているアールの回想シーンで、現在とは違う「まだセーラー服(しかもリボンがない)を着ていたアール」が描かれていて、言葉を使わずに時間の経過を伝えているところが見事でした。 田埜宗一先生が描くファンタジーの世界への「流離譚」。絶対読んだほうがいい読切です…! https://csbs.shogakukan.co.jp/book?comic_id=31113 (画像は本編より)
ぺそ
ぺそ
2020/07/09
「ネコとじーちゃん」とか泣くしかない…
camera温かくて優しくてホッとする素敵な読切でした。最初に読んだあとすぐ2回め読み返したんですけど、やっぱり涙がジワッと出てきてました。ネコとじーちゃんはずるいって…! 死んでしまったネコの「ミー」。ツナ缶がどうしても食べたくて、もうすぐ小学生になる「ちえちゃん」の身体に入り込み、いつもくれた「じーちゃん」のところへ行くことに。 ネコに追いかけられたり、犬に吠えられたり、知らんおばちゃんに話しかけられたり…いろいろあって土手の草むらで丸くなっていると、ちえちゃんの祖父であるじーちゃんと偶然出会う。 子供の中にネコが入ってても、元気に遊び回るにゃーにゃー言ってる子にしか見えないところがすごく可愛い…! そして細くて柔らかい線で描かれる、生活感溢れるおうちの描写がたまらない…! いかにも「じーちゃん家」って感じの家で、じーちゃんが料理をする音を聞きながらご飯を待つ。食べたら2人で縁側でのんびりする。 この穏やかな空気があまりに優しくてそれだけでも切ないのに、お母さんが迎えに来て別れ際、ミーはじーちゃんを抱きしめる。 すると、じーちゃんはハッとした様子で「この子はちえじゃない」と気づき、感極まった様子でミーを抱きしめ返す。 も〜〜ここで何度読んでも涙が…。 スタンド・バイ・「ミー」というタイトルの良さもここで効いてくるんですよね…ミーはじーちゃんの側にいた…。 そして最後、ミーがじーちゃんとの出会いを語るという終わり方でとどめを刺されます…切なすぎる…! 柱コメントでちばてつや先生が「間」を評価していましたが、まさにその通りですね。誰も何も言わない、ただ時間だけが流れるコマの作る空気が最高でした。 松本勇気先生の次回作楽しみにしています…!! 【作品掲載ページ】 http://d.morningmanga.jp/viewer/1642/1624 (↓このページ、あったかくて最高に好きです)
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2020/06/18
「眼差し」と「間」で描く恋愛の強度
かずまこを先生の作品は、登場人物の強い「眼差し」にやられることが多い。 『純粋アドレッセンス』のななおの向こう見ずさ、『ディアティア』の睦子の、純粋に相手を知りたい感情、『さよならフォークロア』の二人の、現状を乗り越える意思etc……彼女達の「眼差し」が伝える強い感情に胸を打たれ、動悸が止まらなくなる。 彼女達に見つめられた者は、時に目を逸らし、時に見つめ返す。表情を僅かに変えながら、その「間」で思考を巡らせ、言葉を返す。 交わす気持ちの、伝わらなさがもどかしかったり、ふと通じる瞬間にときめいたり……いずれにしても、二人の「間」そのものが愛おしい。 かずまこを先生の作品の描く「眼差し」と「間」は、この短編集『名前はまだない』の各掌編に端的に描かれている。 まずこの短編集で、かずまこを先生の「眼差しと間の強度」を知るのもいいと思う。連載作品にも全く同じ強度があるという、その贅沢さをお伝えしておきたい。 ●3秒ルール 相手の言葉に、返事するまで3秒以内。言葉に詰まったら負け。 ●uracoi 睨んでからコミュニケーションする女子の、佇まいに惚れる。でも告白してくれたら、眼を逸らすなんて……。 ●恋はお静かに わたしが頭を打ったら、寡黙な委員長の饒舌な脳内がダダ漏れ? ●消し去る恋と願いごと 片想いしている先輩が、急に明日スイスに引っ越し!?先輩は私の秘密の願いを知りたがる。 ●名前はまだない(recalculation、interim solution含む) 本心を隠して周囲との距離を楽しむ優等生女子は、ぶっきらぼうな孤独女子が気になる。気を引き、距離を縮め、駆け引きするも、彼女はなかなか厄介で……。 ●匿名プロローグ 保健室の先生と女子生徒の恋物語『純粋アドレッセンス』の冒頭エピソード。
あうしぃ@カワイイマンガ
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2020/06/12
誠実な二人の恋は臆病、でも優しい。
周囲の女子が次々と告白しては振られる、先輩の成田秋人に疑問を持って近づいた桐ヶ谷睦子は、彼の重い内情を見てしまう。一方、傷つけるのが怖くて女性を避ける秋人は、強く真っ直ぐに自分を見つめる睦子に、初めての恋を覚える。 互いに初めての恋の戸惑いと、相手への思い遣りと、止められない感情を不器用に交わし合う、とても純粋な恋物語。この物語の魅力は二人の誠実さ、真っ直ぐさにある。 高校生にもなれば、恋人同士ならキスのひとつや……くらい、と思ってしまうが、この二人は恋人らしいこと一つするにも、相手の立場や気持ち、そして周囲の事まで、あまりにも生真面目に考えてしまって、なかなか進展が無くてヤキモキさせられる。 しかしその誠実さは、周囲と読者に安心感と、応援したい気持ちを与える。二人の遣り取りと、悶々とした感情にハラハラしながらも、きっとこの二人なら大丈夫だと思わせてくれるのだ。 問題は、秋人の「優しさ」が「怖れ」の裏返しであること。睦子や周囲との関わりで、彼が本当の優しさと「安心」を得ることが出来るのか……。 それにしても、睦子の真っ直ぐな瞳と、二人の嘘の無い遣り取りは、どこまでも眩しい。出来るならば、彼らを見習って真っ直ぐな恋をやり直したくなる。そんな作品だ。 □□□□□ 1巻が出た時、内容とリンクしたカバーニス加工に、やられた!と思ったものだが、これも名和田耕平デザイン事務所の仕事だった。
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