たか
たか
2018/11/05
1920年代、世界を股にかける「小さな奥様」の物語
 はあぁ〜〜ッッ!! うっ! ハァン...何もかも素敵すぎる。物語は新婚の大正乙女が、夫と一緒にトルコからオリエント急行でパリに向かうところから始まります。正確に言うと、駅に向かうフェリーに乗るところから始まるのですが、主人公の万里子は市場から逃げた羊をフェリーに向かって馬で追い立てながらやってきます。な…何を言っているのかわからねーと思うが、読めばわかります。やだこの子超かっこい...!!  ネタバレを避けると熱く語りたい部分が何ひとつ言えないのですが、ネタバレにならない素敵な部分を列挙すると ・1920年代(大正時代)のヨーロッパが舞台 ・客室や異国の街並みの精緻で美しい背景 ・オリエント急行で起こる事件 ・勇気と能力のある自立した主人公 ・インドから来た明らかに裕福で高い教育を受けた青年 ・多国籍な友人たち ・世界を股にかける壮大な物語 ...とまあ、こんな感じです。  大正時代の日本が舞台の少女漫画でも、1920年代のヨーロッパが舞台の少女漫画でもない、「大正乙女が印欧で活躍する少女漫画」というかなり珍しいこの作品。2人の関係が歴史と絡めて深く掘り下げており、恋愛漫画としても歴史(時代)漫画としても非常に読み応えがあります! 全11巻という手頃な巻数で、濃密なヒストリック・ラブロマンスをお楽しみいただけますので、ぜひ買ってください(ダイレクトマーケティング)
たか
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2018/11/02
元フィギュア選手が異種畑を駆け上がる…!
 ある分野で努力してきた人が、違う世界で活躍する話ってみんな好きですよね? わたしも大好きです。  主人公の朗(ろう)は、15歳にして世界を目指していた東京のフィギュアスケーターで、北海道の凍った湖で有名ホッケー兄弟をスケーティングで圧倒するところから物語は始まります。もうすでにこれだけでおもしろいのに、出てくるキャラクターがみんな濃い…! https://shonenjumpplus.com/episode/13932016480028833016  色黒で爽やかな紅露キャプテン、幸運の分だけ不幸を連れてくるアズミン、ほほえみデブ・水嶋、鬼監督・二瓶、センター分けの不気味な猫。個性の強いキャラたちが、野田先生独特のギャグ&パロディを繰り広げるんだからそりゃおもしろいに決まってる…!  試合・体育館・道具の作画がとてもリアルで、運動部ならではのキツイ・苦しい・理不尽な練習と上下関係の描写も素晴らしくて、気づいたら選手たちを心から応援してました。  個人的には1巻を読み始めて、3ページ2コマ目の時点で「はい!もうこの作品好き!!」が確定しました。ここのコマの姿勢だけで「ああこの子、今からアクセル跳ぶな」とわかるからです(スケオタ並の感想) フィギュアスケートの大会でアクセルを跳ぶ朗。見開きページで体が宙に浮き、さらに次のページで着地した瞬間、彼がいたのは試合中のホッケーリンクでーーー  …って始まり方、はい最高。 この「1人で美しく戦うフィギュアスケーターから、チームで荒々しく戦うホッケープレイヤーになる」という、物語のあらすじを端的に表現する見事なシーンが、1巻の冒頭5ページに収まっているんですよ。はい、もう読みたくなった!!(※上のリンクから読んでください)    そして何よりスピナマラダ!の最高なところは、フィギュアスケーターとしてプレイしてきた朗が、**真に、心からアイスホッケー選手に変わる瞬間が最終巻で描かれているところです。**ここホント最高なので死ぬ前に必ず読んでください。全6巻なんで。  「え...6巻しかないとか終わるの早すぎ」って思うでしょ? わたしもそう思います。(「スピナが終わったからゴールデンカムイっていうめっちゃおもしろい漫画が始まったんだよな...」というジレンマを、野田サトル先生のファンはみんなが抱えています(※諸説あり))  ちなみにスピナマラダ!の中には、次作ゴールデンカムイでも登場するキャラクターや、有名なフィギュアスケーターネタ(ランビエールさんの赤猫、羽生選手の衣装)など、知ってる人だけが気づくイースターエッグ的要素もありニヤリとできますので各方面のファンにおすすめです…!
たか
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2018/11/07
2018年最も幸せになってほしいカップル
camera ヒロイン以上に主人公がかわいくて、主人公以上にヒロインが攻め攻めでたまらない。主人公の坊ちゃんは、生き物に触れると命を奪ってしまうという魔女の呪いをかけられ、家族と離れ1人で暮らしている。  坊ちゃんは気が弱いくせに、大好きなアリスに対してサラッと自分の気持ちを伝えることのできるジェントルなのが最高に素敵。  一方でアリスはおっぱいが大きくてかわいいメイドさんで、決して自分に触れることの出来ない坊ちゃんに対してかなり大胆なセクハラをしかける小悪魔系女子で、そのセクシーな振る舞いの陰に坊ちゃんへの純粋な恋心と敬意があるのがいじらしい…!  2人の心の距離が近づけば近づくほど、2人は手を繋ぐことすらできない事実が読んでいてひたすら辛い。まるでシザーハンズのよう…。けどその切なさを2人の周りにいる愉快な同僚と妹が吹き飛ばしてくれるので安心して読んでください!    画風については、頻繁に出てくる坊ちゃんのデフォルメされた顔がバチクソかわいくて、アリスはお色気たっぷりなのに決して下品ではなく、アリスの着ているゴシックなドレスも毎回かわいくて、太めのアウトラインと少年漫画らしいコマ割りが大変読みやすい。  いずれ本誌に移籍しても全く不思議じゃないし、むしろなんで移籍しないんだというレベルのウェブ連載作品。ぜひコミックを買ってキュンキュンしてください…! (画像は1巻2話より。絶対に触ってはいけない美人メイド24時。心臓ちぎれそうなぼっちゃんかわいい)
たか
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2018/11/09
心動かされる最後の「選択」
camera 3巻とも表紙のロゴの色が異なるのが、まるでトキの心理の変化のように感じられた。トキの性別が定まらなかった1巻と2巻は中性色の緑と紫で、トキが自分の性別を選択した3巻は、寒色の青ーートイレのアイコンなどで男性を意味する色ーーなのが面白い。  性別が未定の友人が出てくる作品といえば、あまりにも有名な「11人いる!」が挙げられる。その中でフロルは状況に応じていつも性別の選択を言い切り、最後はタダと恋人としての関係を築いた。  一方でトキはずっと性別に迷い選べずにいたが、「ミツハルへの憧れ」という、トキらしい理由で友人を選択する。  両作品とも美麗な画風のSFという共通点があるが、**選択のトキには「SFと友情が今の時代を舞台に描かれている」という確固とした良さがある。** >「友達って夫婦とか恋人と違って証明する紙も 指輪も言葉も体も何ひとつなくたって 友達なんだよ」  最終巻のこのトキのセリフに、**自分が無意識に感じていた恋人でも家族でもない「友達」という存在の特別さをズバリ文章にして言い表され、ただただ感動した。**  3巻という短い巻数の中で、SFと友情がギュッと詰まった読み応えのある作品です…! https://shonenjumpplus.com/episode/13932016480029149767
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