(とりあえず)名無し
(とりあえず)名無し
2019/04/19
日本漫画界が到達した、ひとつの極点
です。 今も昔も、この高み(深み)にいったものは誰もいない。 間違いないです、ハイ。 以上、終わり。 …っていうので、本当は言いたいことのすべてなのですが、まあ、それもどうかと思うので、もう少し贅言を重ねます。 大島弓子は、どこにでもある、でも「特別な痛み」を、途方もなく切実に、軽やかに描いて、そして常に、魂を照らし温める「救い」へと、読むものを導いていきます。 漫画界に限らない、同時代の文芸や映像など「物語り」表現すべてを見渡しても、大島弓子に比肩する「文学的」深淵を描き出すことが出来たものを、ちょっと思いつくことができない。 この『ロストハウス』が、彼女のキャリアで特に優れた一冊だとは思わないのですが、いかんせん現在流通している本は再編集されたものが多く、初読時の印象を適切に反映させられないので、とりあえず。 あと、個人的に『ロストハウス』は、七十年代からずっと読んでいた大島さんの新刊として、刊行された当時なに気なく読んで(たぶん九十年代中盤)、自分が心から愛好する後続の同時代漫画家さんたちの作品と比べて、それこそ「ケタが違う…」と、打ちのめされた記憶がある、忘れられない本なのです。 「たそがれは逢魔の時間」が収録された花ゆめコミックス版『綿の国星2』が私的には最高なのですが、まあ、大島弓子はどれもメチャクチャ凄いので、どれでも良いんです。 『バナナブレッドのプディング』でも『四月怪談』でも『秋日子かく語りき』でも『毎日が夏休み』でも、とにかく1975年~1995年に描かれたすべての「物語り」が、唯一無二にとんでもなく素晴らしいので、未読のかたは、ぜひ。 (「サバ」や「グーグー」とかは、やっぱちょっと別枠で)
兎来栄寿
兎来栄寿
2020/02/28
本格野球マンガ、そしてちば少年マンガの源流
野球マンガの歴史自体は1940年代頃から始まっているが、現在に至るまでの野球マンガの基礎となる部分を規定したのは貝塚ひろしの『くりくり投手』である。それまでは打者中心だった野球マンガを、この作品以降は投手中心に描くようになった(近年でも『おおきく振りかぶって』や『ダイヤのA』、『群青にサイレン』や『ビッグシックス』など投手中心に描かれた野球マンガは枚挙にいとまがない)。 そして、この作品で初めて俗に言う「魔球」が登場し、また打者も必殺技的な打法を使う言わば「超人スポーツマンガ」の先駆者的な存在となっていた(ちなみに、魔球という言葉自体は変化球を指す言葉として戦前から存在したと言われている)。 その流れを受け継ぎ、ちばてつやの画風とシリアスな物語展開で硬派な魅力も併せ持ったのが『ちかいの魔球』である。記号性の強い絵である『くりくり投手』に比べ、男性は格好よく女性はかわいくとよりキャラクターのリアルな魅力が絵からもエピソードからも溢れていた。 王貞治が一本足打法に開眼し、長嶋茂雄とのON砲が国民的人気を誇り始めたのが1962年だが、『ちかいの魔球』はそれに重なるように1961年〜1962年の間に黎明期の週刊少年マガジンで連載され大人気を博した。彼らや巨人のV9時代を率いた川上監督など、実在の有名プロ野球選手が作中に多数登場するのもこの時代の野球マンガの特徴だ。 17歳でデビューし、少女マンガで活躍していたちばてつやは21歳にしてこの『ちかいの魔球』を少年マンガ誌でも描き始め、ブレイクし始める。その後、マガジン誌上で『紫電改のタカ』や『ハリスの旋風』を経て68年には爆発的な人気を誇る『あしたのジョー』へと至るのはご存知の通り。 止まる魔球、分身魔球、消える魔球と、後の野球マンガや野球ゲームでも頻出する魔球が60年近く前のこの作品には登場している。 球が増える魔球自体は『くりくり投手』にも存在したが、『ちかいの魔球』での大きな変化は、魔球のメカニズムに理由付けがなされたことだ。それはあたかも当時マンガ表現全体に影響を与えた白土三平の忍者マンガにおける忍術や武器の解説のようであり、また大人が読んでも楽しめる骨太なドラマ作りにも白土三平の影響が感じられる。 66年に連載が始まる野球マンガの金字塔『巨人の星』との設定的な共通項も数多く、知名度では『巨人の星』に及んでいないものの本格的な野球ドラマの大きな一つの源流となった作品である。 『あしたのジョー』くらいしかちばてつや作品を読んだことはないという人も多いかもしれないが、野球マンガ及び超人スポーツマンガのルーツとして触れてみるのも良いだろう。
天沢聖司
天沢聖司
2020/06/22
「ボスの右腕=愛人」の極道コメディ!
Twitterでパンチの効いた漫画がバズってたのでさっそく1巻を購入。こんなに隙きあらばキスしてる漫画は初めて読んだかもしれない。そして、おおむね笑いながら読んでいたのですが…1巻読み終わってみて、色んな感情がよぎってどんな顔をすればいいかわからない…。 https://twitter.com/ja_pants/status/988371655821934592?s=20 「自らに催眠術をかけることで、頼れる右腕・ヤスをもろタイプの美人に見えるようにすれば役に立つ愛人が手に入る」という、ボスの凄まじい発想力で物語は始まるのですが、とにかくヤスが健気! あとボスめっちゃ愛情深い。というか、ナチュラルに元男のTSを受け入れている器のデカさが半端ない…! さすがボス。 そして、最初に「どんな顔をしたらいいかわからない」と書いたのは、この漫画をどう解釈したらいいか、読後すぐに考えがまとまらなかったからです。 いままでいろんなBL・ブロマンスを読んできて、そして少年漫画を読んでは「火のないところに煙を立たせて」生きてきましたが、この漫画は自分にとってまだBLではないですね…ただ同性愛の関係で笑いをとってるコメディです。 ヤスのボスへの献身は愛と言っていいかもしれないけれど、ボスはヤスのことを便利な存在orただ見た目が抜群に好みの女としか認識していない…。 もちろん、男としても女としても高く評価しているには違いないのですが、そこに想いの強さ(クソデカ感情)が感じられないんですよね。 とは言え。ボスのためなら催眠術も料理も極めるし、意識は男のままボスの女になることも厭わないヤスと、そんな有能なヤスを女にしてまでそばに置いておきたいボス…と考えれば、2人の関係は充分特別。 ぜひ自分で2人のことを自分の目で見極めてみてください…! https://twitter.com/ja_pants/status/1272853210403758082?s=20
(とりあえず)名無し
(とりあえず)名無し
2019/04/25
ラストシーンは永遠です。
昔の漫画の名作って、ある意味、主人公の「死」がラストなんですよね。アトム、009、デビルマン、ワイルド7、ジョー、男組…他にもいっぱい(その後に続いちゃったのも多いけどw)。 シェークスピアの悲劇ですな。 この漫画のフィナーレは、そういう定型を打ち破り、小学生だった自分に「こんな終わり方があるんだ!」と感動をぶち込んだ超名シーン。 『熱風の虎』『赤いペガサス』と、モーターレース漫画の地平を切り拓いた著者が、ナスカーを舞台にした(…って、凄いな。こんなテーマ、今でも絶対無理だろう)、飛びっきりの「少年漫画」です。 続く『六三四の剣』でも、連載前に『修羅の剣』短期連載したり、村上もとかはオーソドックスに見えて、構成や演出に実に凝った技を使う、極めて先鋭的な才能だったのです。(当時のアメリカやフランスの映画の匂いがプンプンするしね) その後、漫画界では、今度は「主人公が最後に死なない」≓ハッピーエンドな作品が多くなって(80年代)、さらにそれ以降、「いつまで経っても終わらない」時代が長く続いてしまうのですが、そういう分析を始めると、この「クチコミ」には収まらなくなっちゃうので、それはともかくとして、いや、ラストシーンは大事ですよ、本当。 『ドロファイター』初読から40年以上経った今でも、思い出すと勇気が出るもの。 ちなみに、『がんばれ元気』は大好きだけど、あの最終回よりも今作のラストが、未来へ開いていて好きです。(小山ゆうなら『おれは直角』の最終回のほうが好み)
天沢聖司
天沢聖司
2020/03/12
こういうのが読みたかったんだよ…!冷酷美男子と薄幸少女の明治風ファンタジー!
cameraネットのバナー広告で度々目にしていたこの作品。「絵が線が細くてのっぺりしててあまりタイプじゃないな…」とか、「ま〜た明治・大正時代風ファンタジーかぁ…」とか思っていたのですが、読んで反省しました。んも〜めっちゃ好きです…! https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,h_365,q_80,w_255/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/book/regular_thumbnail/281673/e97e0ec7-9680-4a94-a8b5-a524ae7aac6d.jpg 主人公・美世は異能の力を持つ名家に生まれたものの、能力が一切ない少女。 母の死後、父が想い人と再婚して生まれた異母妹・香耶は、優秀な能力を持つうえに器量よし。美世はこの異母妹と義母にとことん虐げられ、父からは冷遇され使用人のように育つ。 唯一心を許し話すことができたのは幼馴染の幸次だったが、父が幸次の結婚相手に選んだのは妹の香耶だった…。 かわりに美世にあたえられたのは、冷酷な久堂家の当主・清霞との婚約で…というあらすじ。 https://twitter.com/ganganonline/status/1075722538230005761?s=20 辛い過去ゆえ、非常に謙虚で慎ましやかな美世。初めは冷たいけれど、きちんと美世のことを見て大切にしてくれる旦那様の清霞。2人の性格(と美貌)の良さがたまらない! **そして何より今からざまぁ・スカッと予感しかしないからワクワクする〜〜!!**美世が持っているらしい精神に干渉する能力を、他家の人間が高く評価している描写に溜飲が下がりました(笑) 絵に関しては、繊細な線で服装や背景がしっかり描き込まれていて世界観がよく伝わってくるところがいい…!そして場面の転換などのタイミングで木の枝が差し込まれたり、背景に花が描かれる表現がすごく素敵だな〜とうっとりしてしまいます。あとカラーがめちゃくちゃ綺麗。 続き気になりすぎるのでなろうの原作に手を出そうと思います。これは「アリ」ななろうだ…! https://www.ganganonline.com/contents/kekkon/

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