くにお
くにお
2019/10/17
変人揃いだが、わりと楽しそうに生きてるおじさんたち
気の抜けたようなタイトルと表紙のおじさんたちの顔が気になり、本屋で買ってみたところ、これは面白いと思った。 そこらへんにいるような、そうでいないような、一癖も二癖もある変なおじさんたちが一話ずつ登場して、独特でマイペースな生き様を見せてくれる。 (ちなみに表紙ではおじさんが集合してるけど皆孤立してます) 展開がファンタジックすぎて、なんだかよくわからん話もあるけどそれも含め好き。 他人の家の雑草を刈りたがる「ボーボーおじさん」という、ほとんど妖怪か仙人のようなおじさんから、 生き辛さ、孤独を抱えるおじさんの話(「なめくじおじさん」「2個ずつおじさん」)もあり、登場するおじさんの幅が広い。 お掃除道具と会話する「ハッピーおじさん」、ハンドパワーで家事をこなそうととする「念力おじさん」、電柱や自転車の気持ちになりきる「イマジンおじさん」など、想像力でもって楽しそうに暮らしているおじさんたち。これは独身中年に差し掛かってる自分も共感する部分が多かった。 憎めないけど、ちょっと迷惑なタイプのおじさん(「センチメンタルおじさん」「案内おじさん」など)も登場。 実際にこういう近付きたくないおっさんいるな〜と思いながらも「自分もいつかこうなってしまうのでは…」という考えが頭をよぎってしまう。これは反面教師にしたい。 おじさんに(比較的)やさしい世界で、ホンワカとした絵柄なので全体を通して、明るい気分で読めた。 おじさん自身も、あまり自虐的になったり卑屈になることはなく、 「ありのままで生きてる」って感じなのが、 いいよな〜(いいよなおじさん)
野愛
野愛
2020/04/14
将太≒ガンジー説
物語として素晴らしい。 装備ゼロの勇者が敵を倒し故郷を救う物語でもあり 闘いの果てに愛と友情で世界を照らす物語でもあり ひとりの少年が父を超えるイニシエーションの物語でもある。 関口将太くんが立派な寿司職人になるまでの成長物語、というワンセンテンスで片付けてはいけない。 関口将太が寿司を通じて人間力を高め、その清らかな心で病める人々を救う物語なのだ。 第一話から将太くんは間違いなくいい子であるが、困難に立ち向かい寿司の技術を身につけていき、人類がおよそ到達できないような高みにまでのぼりつめている。 ガンジーはピストルで襲撃され命を落とすその瞬間に、あなたを許すという意味のジェスチャーをしたと言われている。 関口将太自身を、関口将太の家族を苦しめ続けた笹寿司に対して何を見せたのか 人の心を失い修羅のように寿司を握った敵に対して何を見せたのか その答えは、ガンジーが死の淵まで提示し続けた許しの心に匹敵するものではないか。 寿司を握るという行為を通じて、ひとりの少年が神の域にたどり着くまでをわたしたちは見届けることができるのだ。 将太の寿司は創世記である。 将太の寿司は神話である。 将太の寿司は…寿司がめちゃめちゃ美味しそうである。芽ねぎ食べたい!マグロステーキ食べたい!お寿司食べたい!!! 煩悩を刺激する神話ってすごくないですか? 地球に将太の寿司が産み落とされたという事実、それがもはや神の御加護なのでは…!? 将太くんが神なのか寺沢先生が神なのかはたまた寿司が神なのかもうわからないけれども、とにかく将太の寿司は全人類に読んでいただきたい漫画であること間違いなし。 全ての人類が将太くんのように常に誰かを思えば世界は変わるのではないか。 隣人を愛せよ、隣人に寿司を握れよ。こんなご時世だからこそ愛を忘れずに生きていきたい。 ちなみにわたしが好きなお寿司屋さんは回らないかっぱ寿司です。新幹線すこ。 というわけでワールドステージ読んできます。
熊蔵
熊蔵
2020/05/30
闇カジノをイカサマで食い荒らす #1巻応援
漫画ゴラクらしい、裏社会のギャンブルノワールといった感じで、1話目からずっと緊張感と勢いのある漫画です。大型店舗のカジノではなく、闇カジノと呼ばれる違法賭博店を舞台に、主人公ゲンがディーラーとなり、客や店側をイカサマにかけて金を巻き上げようとするのですが、その場の緊迫感たるや尋常ではありません。ミスれば「死」という状況の中、イカサマをどうやって成立させるか?読者をドキドキさせる演出が抜群にうまいのです。作画・吉田史朗さんの漫画はけっこう好きで、これまで『村上海賊の娘』『甲鉄城のカバネリ』など読んできましたが、いずれの作品でも「雰囲気」を持ってる主人公像が良いんですよねぇ。劇画すぎない、かといって今どきの画とも違う、画力のある作家さんだと思います。覚悟と胆力を感じさせる顔つきだったり、人物の表情が素晴らしいですね。あと、原作者の方も相当凄い人じゃないかと睨んでますが、検索しても情報が一切出てこないので何者なのか気になるところです。(誰かご存知でしたら教えてください) ちなみに、この作品タイトルを初めて見たとき、オッサン的には「女喰い」という往年のエロ作品を連想いたしました。ちょっとしたエロ要素を期待してた部分も正直ありましたが、いい意味で裏切られたというか、本格的なギャンブル漫画で逆に良かった感じがあります。日本でもカジノ法案ができて、これから盛り上がる題材かもしれないので、ヒットしてほしいですね。
せのおです( ˘ω˘ )
せのおです( ˘ω˘ )
2019/11/04
「アレックス」と「リーテ」という名前
本作は、10月末にあったマンバ読書会「ハロウィンに読みたいマンガ」の会に持って行きました🎃 10月31日、アメリカとドイツの、"世界のはしとはしで同時刻に"死んだ2人の子供、アレックスとリーテ。"片方はニュースになり片方は揉み消された"というプロローグから始まります。 本作は、大きく分けて2つの物語があります。 1つは、霊になったアレックスとリーテのことが見える、本編の主人公たちの話。 もう1つは、アレックスとリーテ自身の話です。 本作の面白さは、この2つの物語が絶妙に交差してオムニバス形式の話が進んでいくことです。 本編では、プロローグとは一転変わり、アレックスまたはリーテのことが見える人物の話が、オムニバス形式で進められます。 生きている頃の記憶が曖昧なアレックスとリーテの霊になった姿は、"魂の双子"、つまり"自分の「半身」がどこかにいる人"にのみ見えます。 本編に出てくる主人公たちは、物理的、または精神的な双子関係にあたる人物について、何かしら悩みだったり葛藤だったり、事情を抱えています。しかし、アレックスまたはリーテと出会うことにより、登場人物たちは気持ちの整理をつけていきます。そしてアレックスとリーテも、徐々に記憶を取り戻していきます。 記憶を取り戻していくうちに、アレックスとリーテは自分たちがなぜ成仏せずに彷徨っているのか、 「僕を見つけて」、 「私を探して」、 現世での目的を思い出していきます。 そして、アレックスのことが見える春陽と、リーテのことが見えるテオの、"魂の双子"同士が出会うとき、アレックスとリーテに何かが起こる…?!✨ 人物が抱えている闇を何一つ取りこぼさず描いている作風や、ファッショナブルな絵柄は、とても三原先生らしいです! 加えて、複雑なストーリーの混ざり合いを読み手に分かりやすく伝える巧妙な物語構成から、三原先生の代表作といっても過言ではありません。 特にラストはもう本当に見ものです…!!😭
sogor25
sogor25
2020/11/29
"魔女狩り"から人々を救うため奔走した、実在した医師の物語 #1巻応援
物語の舞台は16世紀ヨーロッパ。 領主のヴィルヘルム5世に仕える医師・ヨーハン・ヴァイヤーは、狼の姿になって人間襲う“人狼”が現れたという町に派遣される。 そこで彼は自身の医学の知識と当時の宗教観に囚われない分析眼で人狼の正体を見極めようとする、というのが導入のエピソードとなる作品。 16世紀のヨーロッパに実在し、魔女裁判に反対した最初期の人物として知られる医師・ヨーハンの生涯を描く物語。 作中では魔女を筆頭に人狼や悪魔など、人々を恐怖に陥れる者たちの存在が仄めかされる。 それに対しヨーハンは、それら未知の存在は医学で説明することが可能だというスタンスをとり、その上で「無知こそが恐怖の根源であり、知ることをためらってはいけない」という師の教えに従い、"魔女"とされてしまった人々を医療の力で救うために奔走する。 なのでこの作品は決してファンタジーではなく、自らの信じる道に従い人々のために奮闘するヨーハンの戦いの記録である。 また、ヨーハンの行っている治療は当時の倫理観で見るならば異端であるが、現在の医療の知識を持ってこの作品を読むと作中のヨーハンすらも辿り着いていない事実が見えてくる。 この「当時の人々の視点」「主人公の視点」に加え「現代にいる読者の視点」によって見え方が異なる、そういう意味ではこの作品はもはや"歴史"そのものを描いているのかもしれない、そういう感覚を覚える作品。 上中下巻読了
banner
banner
banner