天沢聖司
天沢聖司
2020/09/26
この2人のやり取りをいつまでも見ていたい…!
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契約社員として日々無味乾燥な毎日を送っている主人公・ミズキは、心機一転シェアハウスに転居したことで抹茶好きのフランス人の学生・エマに出会うのですが、毎日2人で楽しそうに過ごしている姿は見ているこっちが思わずホッと和んでしまう優しさにあふれています。 2人で東京近辺(そして京都)の実在のお店やワークショップに出かけてお抹茶の世界を楽しむので、まるで自分も一緒にお出かけしているような気持ちになれます。まるで上品な街歩き番組を 見ているようなリアルさがたまりません。 自分は電子書籍で購入したのですが、何より素敵なのが白黒の紙面の中に毎話カラーのコマが挿入されていること…! いつもパッと鮮やかな和菓子や陶器が目に飛び込んで来くるので、次は何が来るのかなぁと、思わずワクワクしてしまいました。 また、もう1人の主人公エマはフランス人ですが、だからと言って「日本語お上手ですね」とか「外国人なのにすごいね」のような、外国人がよく言われるであろう鬱陶しいやり取りが一切ないところも、読んでいてすごく自然でスマートで読んでいて心地よかったです。外国人ではなく、あくまでエマという女の子を描いている感じがしてすごく好きです。 非常に残念なことに、第3巻は集英社から出版されないようで、昨年行われたクラウドファンディングも実行に至らなかったため、2巻の続きはアプリ「ヤンジャン!」のみでしか読むことができないようです…。コツコツ1話ずつ読んでいきたいと思います。 https://ynjn.jp/app/title/837
まるまる
まるまる
2021/02/26
なぜ「いじめ」はこんなに長く続いているのか?
五十嵐かおる先生の言わずとしれた代表作「いじめ」シリーズ。1話完結のオムニバスです。2021年2月現在、17巻も出てるうえに、いまだに連載が続いていることに驚愕。今更ながら読んでみたいと思いつつ、17冊買うのはなかなか勇気がいる。そこで、1巻と最新17巻のみ、とりあえず読んでみることにしました。 ストーリーの基本的な構成としては ・女子生徒から女子生徒へのいじめ ・視点はいじめ側、いじめられ側、いじめリーダー格に逆らえない立場側など様々 ・最終的には同級生や近い年齢の女生徒が味方についていじめから抜け出す という感じ。 共通しているメッセージとしては「ひとりじゃない。きっと誰かが味方になってくれるから諦めないで」というものだと思います(多分)。 1巻と17巻を読んで比べた結果、ほとんど内容は同じであることがわかりました。16年続いてても変わらないって色んな意味ですごい。 私はちゃお読者ではないし、対象年齢からははるかにかけ離れているのでなんとも言えませんが、この漫画が16年も同じような内容で続いていて、そしてきっとこれからも続いていく。その意味ってなんなんでしょうか。 確実なことは、対象者は女子小学生なのでその子達が「読みたくない」ものではいけない。したがって、悪は粛正され、正義は勝たなくてはいけない。だとすると、中にはこの漫画を完全フィクションの勧善懲悪エンタメとして楽しんでいる人もたくさんいるのでは。しかし現実はそう簡単ではなく、いじめ問題の根は深く複雑で、むしろいじめる側にこそケアが必要な場合もあるけれど…。 他の巻も読めば、男子が主人公だったり、親や教師がもっと介入してきたり、いじめる側の心の病に焦点を当てるエピソードもあるんだろうか?いや、無さそう。 ちょっと調べてみたところ、結構教材として使われていることがあるみたいです。なるほど。そう考えると、余計にもっとバリエーションを増やしたほうがいいんじゃないかと思ってしまうな。うーん。 漫画にいじめをなくす力はなくても、いじめられている子の心を少しでも救うことはできる。それを続けることにはとても大きな意味があるということですかね。 (あえてここでは続く理由は「売れるから」とは言わないでおきますよ。)
TKD
TKD
2020/03/07
画力と繊細なトーンワークに裏打ちされた演出力
表紙の目ヂカラに心を掴まれてジャケ買いし、内容を読んでさらに心を掴まれました。とにかく画力を活かした演出が抜群です。 キャラの作画はCLAMPの目ヂカラと矢沢あいのフェミニンな細身のシルエットを見事に融合させており奇跡的なバランスで成り立っています。 そして手の細かな演技や表情付けなどは週刊漫画とは思えないほど繊細に描写されており手の動きだけでキャラの悲痛な感情が伝わってきます。 背景に関しては繊細なトーンワークによる光の表現が特に素晴らしく、この現実感のあまりないキャラたちを違和感なく世界に溶け込ませています。 さらに、シリアスとギャグの配分が非常によく。80〜90年代のサンデーが好きだった人にはたまらない配分になっていると思います。店長がパトレイバーの後藤さんに似ていますがその辺りの感覚はパトレイバーに近いと思います。 ストーリーに関しても初めての挫折を経験した少女の鬱と中年の危機に差し掛かったおじさんの鬱という2種類の鬱を恋愛という誰にでもわかる主題を使いながら見事に描き切っています。 少女漫画が好きな人、そして少年漫画が好きな人、もちろん青年漫画が好きな人、どの層の人にもお勧めできる恋愛マンガです!
ひさぴよ
ひさぴよ
2019/10/20
メディアミックスと同時多発コミカライズ
「薬屋のひとりごと」が話題になってますね。なろう原作の大ヒットからのコミカライズですが、2019年現在、別々の雑誌(「月刊ビッグガンガン」「月刊サンデーGX」)で同時期にコミカライズを連載するという事態になってます。これはまぁ、色々とメディアミックスに関わる事情があってこういう事が起きてるんでしょうか。 で、過去にも同時コミカライズパターンあったな〜と思い出したのが、この「武士道シックスティーン」です。2009年に、「アフタヌーン」と「マーガレット」が同じようにコミカライズを展開していたのですね。結局どっちの方が売れたのか?今更ながら気になるところですが、とりあえずここではアフタヌーン版の感想を書こうと思います。 作画は安藤慈郎。「しおんの王」のコミカライズを経験し、次の作品で今度は武士道シックティーンの作画を手掛けています。他作品と比較してみて、特に違いを感じるのはキャラの性格付け。個人的にはアフタ版の方が地味…いや、落ち着いた雰囲気があって好きです。逆に、「地味なのは嫌!」という人はマーガレット版を読むのがいいかと。 キャラの性格の違いについて。剣道エリート・磯山香織に関して言うと、表情の変化こそ少ないものの、武士のような真剣味や生真面目さ、気迫のこもった表情が良いんですよね。これは、青年誌だからこそ磯山の「男っぽい」部分をより上手く引き出せたのかなと。 対する西荻早苗についても、ウザくなりすぎない天真爛漫さ(←ここ大事)と、舞踊の経験から来るしなやかさ、芯の強さを感じます。磯山と西荻、どちらも過不足なく、対比の描き分けが秀逸です。 メディアミックス化作品の場合、小説、映画、漫画のどこから触れるかで、作品の印象は変わるものだと思います。そういう意味では、最初にこの漫画から読めたのは自分にとって幸せなことでした。
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