ひさぴよ
ひさぴよ
2019/10/24
生誕から退位まで、上皇陛下の人生を漫画で読む
> いかなる時も、国民と心を共に歩まれてきた明仁天皇の85年の人生を、生誕、幼少期、学生時代、皇太子時代、ご成婚、ご家族、即位、慰霊、被災地訪問など… 史実を元に一部創作を交え、豊富なエピソードで綴る。 あらすじの通り、明仁(平成)天皇陛下の人生を描くという前代未聞の漫画です。 ビッグコミックなどで連載してなかったので、完全なる描き下ろしマンガで、制作は『昭和天皇物語』と同じスタッフが手掛けるのですが、作画は能條純一ではなく、なんと古屋兎丸という意外な人選。脚本の永福一成氏と、古屋兎丸氏が旧知の仲ということで白羽の矢が立ったのでしょうか。 過度に美化することなく、あくまでモデルとなっている人を自然に描いていて、それでもどことなく古屋兎丸氏のキャラクターだとわかる雰囲気が残っている所は流石です。読んでみるとわかりますが、間違いが許されない内容だけに、全体を通して作画の苦労というのは相当あったのではないかと思われます。 ストーリーについては、史実を中心に全1巻で構成されている為、どうしても時系列な描写で、駆け足になりがちな部分もあるものの、巧みにシーンを切り替え、教科書的にならないような構成になっています。 「ラヂオから流れる父の声を聴いた───」から始まる第一話を読めば、とにかく凄さが伝わると思います。敗戦直後、少年だった陛下が決起した将校たちに囲まれ、どのようなお気持ちでいたか。ぜひ読んで確かめてみて下さい。 他にも、若い頃のエピソードとして、こっそり銀座に遊びに行かれた「銀ブラ事件」も描かれています。読んでいて一番身近に感じるお話であったのと、帰り際の幻想的なシーンが印象的です。美智子様へのプロポーズのやりとりなど、初めて知るような意外な一面もあり、この辺は楽しく読めました。 即位以降は、戦争で犠牲になった人々への慰霊に関するエピソードが続きますが、過去の戦争への歴史観について、様々な意見があるところでしょうが、自分としては上皇陛下が仰った、「先の戦争のことを十分に知り、考えを深めていくことが日本の将来にとって極めて大切なことと思います」という考えを大事にしたいと思います。 正直、1巻で収めたのが神業のような構成で、上下巻くらいの長さで読みたかったですが、これはこれでスッキリしていて良かったのかなと。家庭教師のヴァイニング先生やブライス先生のエピソードなどは、もっと知りたかったですね。 最後に、参考にしている資料の多さから、歴史考証や資料集めなど 表には出ていないだけで相当な数の人が関わって制作されたことが見て取れました。 これから先も、長く読み継がれてほしい作品だと思います。
mampuku
mampuku
2018/07/11
全年齢向けエ□漫画がなんでこんなに売れてるのか考えてみた
 ①際どいサービスカットのない話数が存在せず、②あの手この手でラッキースケベを引き起こし、③掲載誌で1・2を争う画力を惜しみなく発揮し、④そのくせ全年齢対象のため肝心な部位は描かれず、⑤ストーリーは辛うじてラブコメの体裁を保つ程度のものである。  とりあえずこれら5つの条件…とりわけ①③⑤にあてはまるマンガを仮に「一般誌のニアエロ漫画」と呼びます。最近増えつつあってしかもどれも売れてますね。「終末のハーレム」「無邪気の楽園」あたりを筆頭に、「パラレルパラダイス」や「監獄学園」「デスラバ」もこれに近い分類かもしれません。ただこの世代における「一般誌のニアエロ」ブームを作ったのはやはり「ToLoveる-ダークネス-」の大ヒットなんじゃないかなって気がしてます。そして、ToLoveるの持つ上述の5つの要素を余すことなく持っているのが「なんでここに先生が!?」なのです。  「一般誌のニアエロ」人気の要件としては 【A】物語の要素としての性交渉が極力持ち込まれず、 【B】一般紙で許されるギリギリを攻めることで 【C】成年向けでは得られない特別感・背徳感を得る。  これABどちらも重要です。もし性交渉もしくは行為があったと匂わせる場面を描写してしまうとそこにシリアスな意味が生まれてしまい、条件⑤を満たすのが難しくなります。大袈裟にたとえるなら「チェーホフの銃」みたいなものです。主人公とヒロインの関係になるべく波風を立てないためにも【A】は守られなければなりません。(「パラレルパラダイス」に関しては物語において性交渉は重要なカギであるにもかかわらず、性交渉しないと話が進まないこともあり、セックス投げ売り&大暴落しているので【A】を満たしていなくても現状問題はないように思われます)  また、【B】を踏み越えた先(成年向けの領域)にあるものは (a.)結合部や陰部の描写と (b.)行為が明確な描写を伴って官能的に描かれること  この2つが主かなと勝手に思っているのですが、ハードル(a.)は一般紙で踏み越えられることはまずなさそうです。ハードル(b.)は少女漫画やBL漫画、一部の青年漫画(主要登場人物の男女が愛情で結ばれる、悪意ある暴力行為が行われる、など、ストーリーの構成要素として描かれる)、あとは例外的ですが週刊少年マガジンの袋とじのようなオマケ漫画……で見られますが、いずれを見ていても思うのは「行為の描写」そのものを楽しむなら多少値は張っても18禁の本を読んだ方がずっと実用的だなってことですね。【C】を得るには【B】をとことん攻めたほうが効果的なはずなのに、行き過ぎて(b.)にまで踏み込んでしまうとじゃあ成年向けでいいじゃん、という矛盾を起こしてしまう。消費者はワガママですね。  結局すべてをバランスよく満たした「ToLoveる」、そして「なんでここに先生が!?」が一番優れているという結論に……。  ちなみに個人的には「終末のハーレム」「デスラバ」が読み応えあって好きなんですが、ストーリー色が強いのでそういうの要らないって人は多いかもしれないですね。
hysysk
hysysk
2020/12/06
アイドルを好きになることのポジティブな効果
私もおじさんですが最初にK-POPを好きになったのは約10年前。KARAや少女時代、2NE1が活躍していた頃です。f(x)が初来日すると聞きつけて東京国際フォーラムにも行きました。めちゃくちゃ女性客が多くて、こんなに女性のファンがいるのか?と驚いたのですが、一緒に出演していたSHINee目当てだったことが判明(青春不敗というテレビ番組の記念イベントだったのだけど、そういう文脈を知らなかった)。女性ファンのお洒落さと、いい匂いに衝撃を受けました。 当時男性ファンが中心のアイドル現場に行くと、悪臭で不快な思いをするし、服装もだらしないので、正直周りから同類だと思われたくないという気持ちが強かったのですが、女性ファンには「好きな人に会いに行く」という意識を感じました(これが「女オタオタ」という別の問題を生むのですが)。。 前置きが長くなり過ぎました。 話自体はおっさんがアイドルを好きになることで、会社でも若者と打ち解け、家庭の絆も深まり、いいことづくめというご都合主義的なもの。でも、これ実際本当にいいことづくめなんですよ。アイドル達はダンス、歌、語学とあらゆる面で努力しており、その姿を公開しています。ファンはそれに刺激されて、自分も頑張ろうと思う。そういう熱量が描かれています。熱量だけでなく、節度(自分の振る舞いが周りにどう影響するか)についても。当初は3話の予定が7話になったとのことですが、もっと長く続けて、K-POP業界の仕組みや文化(カムバックとかトレーニングとかオーディション番組とか)も解説的に描いて欲しかったです。 私もNizi ProjectをきっかけにK-POP熱が再燃、TWICE、ITZY、BLACKPINKとはまっていき、挫折した韓国語の学習も再開し、ようやくハングルは読めるようになりました。早く歌詞や会話をダイレクトに理解できるようになりたい。そして踊れるようになりたい。。
なかやま
なかやま
2020/12/21
江戸の魅力が濃縮された60ページ
350年前の江戸に住む人々を繊細に描きつつ、魅せるアクション部分は迫力のある見開きとセリフ回しで、非常に読み応えのある一作 江戸時代の「火消し」をテーマに取り扱った本作品 当時の江戸は紙と木で出来た世界的な人口過密都市 そのため、火事は人々の命取りです。そんな人々を火事から守るのが町火消でした、彼らは町人で構成された消防隊で、普段は大工などの本職をこなしつつ火事の際には現場へ急行します。 ※タイトルの「鳶」は「鳶職(とびしょく)」の事を表していると思います そんな町火消は江戸の人々のヒーローだった! ■この作品の魅力 『その1:画力とスピード感』 表紙にもなっているシーンが当時の消火方法 「建物を壊して火を止める」まさにそのシーンとなっています。 建物を壊すまでの流れがスピーディー&ダイナミック&カッコイイが揃っています。 流れるように壊していくのですが、そのスピードに自分も巻き込まれるような引き込み力があります 『その2:書き込みと読み応え』 もしお手元にこの作品があるのであれば、最初は勢いに任せて読み そのあと、ひとコマひとコマ絵画を見るように見てください おそらくこの作品にはモブと言われる登場人物は存在しません、描かれている江戸の人々全員に生活が見えてきます。 この部分は元々作者さんの二年間の火消しの研究成果としてアウトプットが本作品の出自ということがあると思います。 『その3:鳶の目線で描かれる江戸』 主人公たち火消しは「鳶職」をしているため、作中に高い目線での江戸の町並みがこれまた繊細に描かれます。 自分はあまり、江戸という町をこの目線で多く描く作品を見たことがなく新鮮でした。 ■こんな人にオススメ シンプルなヒーロー物作品としても読んでもいいですが、味わえば味わうほど味が出る作品で、1話読み切りでありながら色々な想像を膨らますことが出来る作品です。 普段同人誌読まな無いけど、読み切り作品が好きな人に是非読んでもらいたい一作です。 この作品は2020年2月のコミティア131にて発行された同人誌です ※同人誌にも関わらず登録してくださったマンバさんに感謝、ありがとうございます https://twitter.com/sakakky1090/status/1227121287186636800
pennzou
pennzou
2020/03/29
人が持つ、しなやかな強さ
『私の保健室へおいで…』は2002年にハヤカワ文庫JAレーベルにて発行された作品集だ。収録作品は81年〜90年作までと年代で見れば幅広いが、版元の紹介文に「スタイリッシュなラヴロマン」と謳われている通り、全作に恋愛要素を含んだ統一感のあるラインナップである。 こう書くと、恋愛最中の高揚感であるとかシャープな駆け引きみたいなのを想像されるかもしれないが、清原先生の作品ではもっと引いた視点から恋愛が描かれる。それが清原なつのシグネイチャーとしか言いようのない個性をマンガに宿している。 清原先生は、思い込みや呪縛などによって凝り固まってしまった心がフッと解きほぐされる瞬間を描く。 そういった人が持つしなやかな強さに触れた時、自分の心も軽やかになった気分になる。 この特色は、恋愛要素を主軸とした本書において特に傾向が強い。清原作品における恋愛は誰かと誰かの交流であり、他者により自己が変化することがあるためだ。それが本書を魅力的なものにしている。「新説 赤い糸の伝説」とか本当に最高…… 本書から清原先生に入門した場合、次に読むのは何がよいだろうか。 発表当時のコミックスは絶版であるが、近年に月刊フラワーズでポツポツと発表されている作品を除けば、ほぼ全作品が文庫などで網羅されている。(電子書籍化も文庫については殆ど為されている状況) そのゆえ間口がとても広いので、コレという名前を挙げるのは難しい。各々の関心領域と描かれている題材がマッチしている作品が適していると考える。 本書から遠くないニュアンスのものを読みたいのなら『春の微熱』、もしSFが好きであるなら『アレックス・タイムトラベル』、歴史物であれば『飛鳥昔語り』、性に纏わる領域に関心があるなら『花図鑑』あたりだろうか。これらをまとめた清原先生の総体と向き合うのなら自選傑作集『桜の森の満開の下』。清原先生が生み出した発明的キャラクター・花岡ちゃんが活躍する『花岡ちゃんの夏休み』もいい。 ちなみに、マイベスト清原なつの作品は『春の微熱』収録「群青の日々」です。
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