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高野 文子(たかの ふみこ、1957年11月12日 - )は、日本の漫画家、イラストレーター。新潟県新津市(現在の新潟市秋葉区)出身。看護師として勤める傍ら、1979年『JUNE』掲載の「絶対安全剃刀」で商業誌デビュー。従来の少女漫画とも少年・青年漫画とも隔絶した作風が注目され、大友克洋やさべあのまなどとともに漫画界の「ニューウェーブ」の旗手と目された。デビュー30年で単行本7冊ときわめて寡作であるが、強弱のない単純な線と独特な演出方法、一読では理解しがたい心理描写などが特長とされる。
夫はフリー編集者の秋山協一郎。秋山はワセダミステリクラブ出身で、奇譚社の発行人として大友克洋の『GOOD WEATHER』(1981年)『BOOGIE WOOGIE WALZ』(1982年)や高野の『おともだち』(1982年)を刊行している。秋山狂介名義で大藪春彦の評論・研究もおこなう。
わずか1冊の単行本の中にものすごく壮大なテーマが託されている。 あえて手前の部屋と向こうの部屋のパースをずらすことで、あちらの世界とこちらの世界の彼岸を再現していたり、ベランダの柵がコマ割りとなっていたり、ここでは書ききれない程の重層的な技法が含まれている。そして、それら全てを包括するように、あえて切り離された記号とも文字とも絵とも捉えられる高野のみが到達出来た線画によって、生と死の彼岸が描かれている。