がすとうのらいぬたんていだん
ガス灯野良犬探偵団
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あらすじ
【ebookjapan限定特典付】19世紀末ロンドン。路地裏で浮浪児として暮らす少年・リューイは、とある殺人事件をきっかけにひとりの探偵と出会う。探偵の名は、シャーロック・ホームズ。リューイは下層階級を顧みないホームズを憎みながらも、犯罪と陰謀が渦巻く魔都ロンドンの浮浪児たちを救うため、彼のもとで“猟犬”として働くことを決意する。少年たちの地下街(アンダーグラウンド)ミステリー叙事詩、開幕!

『緋色の研究』より前のホームズと「ベイカー街イレギュラーズ」 #1巻応援

本格ミステリ『体育館の殺人』の青崎有吾さんが原作を、『リクドウ』の松原利光さんが作画を担当する、19世紀末のロンドンを舞台にした新たなミステリ。 19世紀ロンドンといえば、コナン・ドイルが生んだ世界中に愛好家がいる最も有名な探偵、シャーロック・ホームズですね。本作は、そのホームズを助ける浮浪少年のリューイが主人公の物語です。 巻末に北原尚彦さんの解説がある通り、ホームズ正典における「ベイカー街イレギュラーズ」、ホームズからお駄賃をもらって彼を助ける1ダースの浮浪少年たちという存在からリューイは着想されているものと思われます。 レストレード警部のような原作でもよく見かけた登場人物や名前だけ言及された事件名などが登場して、原作で書かれていたわけではないけれど仄めかされていた事柄を上手く繋ぎ合わせながら補完するような立ち位置の新たなシャーロック・ホームズの物語となっています。ホームズがまた開業したばかりでワトソンと出会う前段階ですね。 とはいえ、ミステリとしてサスペンスとして、また明日もわからぬ浮浪少年が今日を必死に生き抜く物語として純粋に面白いので、ホームズをまったく知らなくても面白く読めることでしょう。本格を得意とする青崎さんらしい、質実剛健な謎解きの楽しみを味わえます。 また、松原さんの高い画力で描かれる19世紀末のベイカー街と息衝くようなキャラクターたちがとても魅力的です。リューイの目力が良いですね。ホームズも癖はありながら、ずば抜けた慧眼を発揮するところはやはり格好いいです。アクションシーンも迫力があります。 今後、原作の他の有名なキャラクターたちは登場するのか、どのように料理されて提供されるのか。非常に楽しみです。

兎来栄寿
兎来栄寿
ちちきゅうのうんどうについて
チ。―地球の運動について―
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あらすじ
動かせ 歴史を 心を 運命を ――星を。舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だった―― 命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか? アツい人間を描かせたら敵ナシの『ひゃくえむ。』魚豊が描く、歴史上最もアツい人々の物語!! ページを捲るたび血が沸き立つのを感じるはず。面白い漫画を読む喜びに打ち震えろ!!
グラシュロス
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あらすじ
累計555万部『神さまの言うとおり』金城宗幸×藤村緋二が再びタッグを組んだ!舞台は今日より遥か30000年前。原始時代を生きた人間(クロマニョン)を紡ぐ物語!!
ヒストリエ
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あらすじ
舞台は紀元前。奴隷の身分にありながら、豊かな教養と観察眼、判断力、そしてそれらを駆使して行動を起こす度胸を兼ね備えた、不思議な青年・エウメネスがいた。あの偉大なる哲学者・アリストテレスの逃亡を助けたりしながら、彼が目指していたのは、「故郷」と呼ぶカルディアの街……。のちにアレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの、波乱に満ちた生涯を描いた歴史大作!

最新刊(12巻)収録話

12巻収録話 第98話「心の座・1」 月刊アフタヌーン 2017年6月号 第99話「心の座・2」 月刊アフタヌーン 2017年8月号 第100話「心の座・3」 月刊アフタヌーン 2017年10月号 第101話「心の座・4」 月刊アフタヌーン 2017年12月号 第102話「心の座・5」 月刊アフタヌーン 2018年2月号 第103話「心の座・6」 月刊アフタヌーン 2018年4月号 第104話「引っ越し祝・1」月刊アフタヌーン 2018年6月号 第105話「引っ越し祝・2」月刊アフタヌーン 2018年8月号 ※13巻以降? 第106話「オリュンピアス処分・1」 月刊アフタヌーン 2018年10月号 第107話「オリュンピアス処分・2」 月刊アフタヌーン 2018年12月号 第108話「歪」月刊アフタヌーン 2020年1月号 第109話「思い出の断片」月刊アフタヌーン2020年3月号 第110話「前夜・1」月刊アフタヌーン2020年5月号 第111話「前夜・2」月刊アフタヌーン2020年7月号 第112話「カルディア(心臓)・1」月刊アフタヌーン2020年9月号 第113話「カルディア(心臓)・2」月刊アフタヌーン2020年11月号 第114話「カルディア(心臓)・3」月刊アフタヌーン2021年1月号 第115話「カルディア(心臓)・4」月刊アフタヌーン2021年3月号 第116話「カルディア(心臓)・5」月刊アフタヌーン2021年5月号 第117話「カルディア(心臓)・6」月刊アフタヌーン2021年7月号 第118話「カルディア(心臓)・7」月刊アフタヌーン2021年10月号 第119話「王宮の外・1」月刊アフタヌーン2021年12月号 第120話「王宮の外・2」月刊アフタヌーン2022年2月号 第121話「王宮の外・3」月刊アフタヌーン2022年4月号 第122話「王宮の外・4」月刊アフタヌーン2022年6月号

名無し
あれよほしくず
あれよ星屑
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あらすじ
敗戦から1年あまり。ぼろぼろに焼け落ちた東京で、酒浸りの暮らしをしていた川島徳太郎は、かつて死線を共にした戦友・黒田門松に再会し……。その非凡なる画力に、同業者からも熱烈な賛辞を受ける、異色の漫画家・山田参助が挑む初の長編作。闇市、パンパンガール、戦災孤児、進駐軍用慰安施設など、戦後日本のアンダーワールドの日常を、匂い立つような筆致で生々しく猥雑に描き出す、敗戦焼け跡グラフティ、開幕。
ゴールデンカムイ
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あらすじ
『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!

一生、ナコルルに支配されるはずだった僕のアイヌ知識を更新してくれた

僕と同世代でゲームに夢中だった人間は、少しだけアイヌ語を知っているものです。「アムベヤトロ」とか「アンヌムツベ」とか、意味は全くわからなくてもなんとなく言えてしまうのは、格闘ゲーム『サムライスピリッツ』の美少女・ナコルルのおかげなのです。このままでは一生、ナコルルに支配されるはずだった僕のアイヌ知識を更新してくれたのが『ゴールデンカムイ』です。  『ゴールデンカムイ』の舞台は日露戦争直後の北海道。主人公である杉元は、一攫千金を狙って砂金掘りをしています。戦争中、鬼神のような戦いぶりから「不死身の杉元」と呼ばれた杉元が、なぜそのようなことをしているかというと、戦死した親友の妻の病気を直すため、どうしても大金が必要になったのです。  そんな杉元に、酔っ払った男が北の大地のどこかに隠された「金塊」の話をします。そして、大金の隠し場所を示した暗号が、網走監獄から脱走した死刑囚の身体に刺青として掘られていることも…。酔が覚めた男は「しゃべりすぎた」と杉元を殺そうとします。そこで杉元はこの話が与太話ではなく真実であると確信し、謎を追うことになります。  杉元の相棒となるのがアイヌの少女アシリパ。彼女の父は「金塊」のために殺されていて、その仇を探しています。アシリパのアイヌ猟師としての知恵と知識と、杉元の不屈の精神で、彼らは北の大地を巡っていくのです  それにしても『ゴールデンカムイ』の良い所は次から次に話が展開していくところですね。3巻の時点で杉元が戦った相手は熊→熊→囚人→屯田兵→集団屯田兵→熊→ベテラン猟師…大自然の脅威から新撰組まで次々と二人に襲いかかり、それを知恵と勇気で乗り越えていくのです。  『ゴールデンカムイ』にはサスペンスとド派手なアクション、異文化の知識と、面白い要素がたくさん詰まっています。中でも料理漫画としての要素を見逃してはいけません。戦い、追い、逃げる二人はとにかくよく食べます。鹿や熊はもちろん、兎やカワウソまで、捌き方から料理法まで詳しく書かれていて、なんだかとても美味しそうなのです。  脳みそから目玉までおいしく頂くアイヌの料理に戸惑う杉元や、味噌がうんこにしか見えないと拒否するアシリパさんの異文化交流ぶりも楽しく、料理が『ゴールデンカムイ』という作品の壮大さにもつながっているのです。  厳しい自然との戦いや、骨太のサスペンス、それていて生活感があるという『ゴールデンカムイ』不思議なエンターテイメント巨編なのです。

名無し

電子版は見開きで読めるデバイスを!

ストーリーはいろいろな方が書かれているので、私が気づいた読む環境についての感想。 電子版が無料公開されたときに初めて読んだ。 でも絵柄が嫌いなわけでもないのに何故か読みづらく、第一話を読み切ることなく挫折した。 自分でも何が起きたか理解できなかった。アニメはおもしろいし、趣味が合う友達は絶賛している。おかしい。 しばらくして気づいた理由が、スマホから1ページずつ読んでいたこと。 「ゴールデンカムイ」は、本誌連載時に近い環境のほうがたのしく読めるマンガなのだと思う。 見開きでバババン! めくってドドン!! しばしば、のびのびと、かつ迫力がある描き方をされているので、1ページずつ読む場合は見開き展開の魅力も、付随するストーリーも、いろいろとパワーダウンしてしまうようだ。 タブレットを使い、2ページ見開きにして読める環境にしてみたら、今度は読み止まらなくなった。 今はくつろげる時間とはいえ、他にもやりたいことはあるのだよと無理やり、きりは良くないけど、きりが良いところと思い込んで、読み止まることができた。 ゴールデンカムイ、恐ろしいマンガ! まだ未読の方は、できれば紙版を。 難しければ、電子版は2ページ見開きで、余裕を持って読めるデバイスから読むことをおすすめします。 話がブツ切れにならないうえ、迫力が増します。

ゆゆゆ
ゆゆゆ
ゔぃんらんどさが
ヴィンランド・サガ
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あらすじ
千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。そのなかにあってなお、最強と謳われた伝説の戦士が息子をひとり授かった。トルフィンと名づけられた彼は、幼くして戦場を生き場所とし、血煙の彼方に幻の大陸“ヴィンランド”を目指す!!『プラネテス』の幸村誠が描く最強民族(ヴァイキング)叙事詩、堂々登場!

贖罪の物語

ヴィンランド・サガは、ずーっと昔に最初のあたりを読んだきりだったんですが、機会があったので最新刊(26巻)まで一気読みしました いい作品でした…。本当に真摯な作品です 描かれているのは、主人公トルフィンの成長と、そして贖罪の姿 父の仇への仇討ちのためとはいえ、罪なき人々を殺し続けたトルフィンが、平和な国の建国を目指す物語です 本来であれば、多数を殺した人間は、死をもって償うしかありません しかし、逆にいえば、死をもって償えば、それで終わりです 本作は、トルフィンに対し、そんな安易な贖罪は許さず、もっとも困難な償いの道を選択させます これは、トルフィンにとっても困難な道ですが、作者自身にとっても本当に困難な道のはずです それなのに、作者の幸村誠先生は、その困難な道を、説得力をもって描き続けている それがひとつ結実するのが、26巻の最後に収録されている話で(191話「その日」)、いやぁもうたまらないですねコレ 敵を殺すという選択肢を排し、可能な限り敵対以外の選択肢を選び取って困難を乗り越えていくトルフィンは、本当に立派で、応援したくなります もちろん、物語は終わっておらず、贖罪も終わってはいませんし、トルフィンの贖罪は、どこかで終わりが来るという性質のものでもありません また、なんだかんだ描きましたが、結局、最終的にはトルフィンの死をもって全てを清算することになるのかもしれません しかし、だからといって、トルフィンのしてきたことが無駄というわけではありません 贖罪の本質というのは、結果ではなく、そこを目指す道筋そのものです トルフィンの生き方は、周囲の人々の生き方にも大きな影響を与えていますし、メタ的には、読者の生き方にすら、影響を与えているのかもしれません 本当に、素晴らしい作品です

toyoneko
toyoneko
ドリフターズ
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あらすじ
紀元1600年、天下分け目の関ヶ原……敵陣突破の撤退戦「島津の退き口」「捨てがまり」で敵将の首を狙うは島津豊久!!生死の狭間で開いた異世界への扉……現在では無い何時か、現実では無い何処かへ、戦国最強のサムライは、新たな戦世界へ招かれる!!異才・平野耕太が描く新世界が今、拡がる……
キングダム
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あらすじ
時は紀元前――。いまだ一度も統一されたことのない中国大陸は、500年の大戦争時代。苛烈な戦乱の世に生きる少年・信は、自らの腕で天下に名を成すことを目指す!! 2013年、第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞!

無数の事実としての、無数の奇跡としての・・・

いよいよ『キングダム』が化けの皮を脱ぎ捨てて、その本質を剥き出しにしてきたと思うわけです。これまで毎週のようにキングダムに夢中になっていながら、どうも周囲の熱狂ぶりから一歩身を引いてしまう自分がいました、自分の夢中になるポイントがどうも周囲とはズレているように思われて仕方なかったのです。 あるいは戦術的な細かな考察であったり、あるいは将軍たちの個性をマネジメント能力や経営論の名のもとにビジネス書にまでしてしまう素っ頓狂な連中、そろそろこういったものたちに厳しくノーを突き付けなければならないような気がするのです。やれキングダムから世間を語ろうがビジネスを語ろうが何を語ろうがそれはまったくの自由だが、そうすることでキングダムというこの漫画の一頁一頁に迸っている本来の魅力をうっかり見逃してしまいはしないか、そんな危惧があるのです。キングダムの魅力は、そんなふうに何かに援用されて語られるような二義的なものではないと切に思うのです。二義的であるというのは、すなわち根本的ではないということ。上記のような援用の仕草は、無数の事象の積み重ねによる幾重もの絡まり合いから途方もない事実として現前にあらわれる「いま、ここ」にあるものを単なる何かの理由からくる結果として弄んでしまう。 世間的には支離滅裂だと不評だった犬戎戦で、「元と正せば我こそが貴様らの祖、貴様らの王である」と因果論を振りかざすロゾに対して、フィゴ王は言わなかったか。 「何が王か、何が祖か、一体何百年前の話をしているのだ貴様は  貴様ら犬戎と我ら山の民は大きく違う  貴様らはこの平地の孤島遼陽に滞まり続けたが  我らは西の大山界で覇を争い戦い続けてきた  滞まるお前たちと違い、我らはそれぞれ夢に立ち向かう者」 まずフィゴ王は犬戎と山の民の違いを指摘してみせた、それはまさしく、ひとつの因果としての捏造された物語に組み入れられることへの拒否にほかならない、つまり、お前はお前だが、俺は俺だ、勝手に一緒にしてくれるなということ。その上で「我らは"それぞれ"の夢に立ち向かう者」、つまり、我らはお前が勝手にのたまう因果の物語には生きていない、我はそれぞれの目の前に瞬間ごとに立ちはだかるこの現実をしかと見据えている、ということだと思うのです。 そして最新話、散々騒がれた隊の覚醒とは、ひとはそこに因果を探りたくもなるものだが、じっさいには単なる因果とはまるで無縁の、いや無数の一瞬一瞬からくる因果のはてに荒唐無稽と呼びうるまでになった途方もない現実の積み重ね、ほとんどそのひとつひとつが奇跡ともいえる圧倒的に現前する事実また事実の一回かぎりの繰り返し、そのたったひとつとしての士気の爆発でした。 だいたい私たちはどんな因果の物語に括られようが、じぶんにこの先いったい何が待っているのか、そんなことは誰に言われるでもなくわかっているのです。同じようにキングダムの結果だってわかっているのです、秦は中華を統一して、やがて滅び去るのです。そして、ほかでもない私たちは秦が中華を統一した後の世界に生きている、そこにどんな因果があるだろうかはひとそれぞれにしても、とにかくこの事実だけはどうしてもひっくり返りようのない途方もない奇跡のような事実なのです。

影絵が趣味
影絵が趣味

現代の働き方にも通じることを実感

この作品の主人公は下僕から這い上がって中華の大将軍になるために「いくさ」で命がけで戦っていく物語です。 マンガなので仲間、裏切り、ライバル、強大な敵などなど、物語を盛り上げる個性がある登場人物が出てくるのは当然です。 しかし、このマンガでは、現代の働き方にも通じる一つの問題提起も見えてきます。それは「帰属意識」です。 現代は転職してより良い報酬で働けるように「所属先」を変更して「今日の見方は明日の敵」になって「個人」が戦います。 その転職理由には「人間関係」がキーフレーズになって、リーダーへの不満、会社への不満につながって、 常にそこには「自分」が登場していないように感じます。 このマンガは「個人=武将=リーダー」であり、「それぞれのチームを引きいるリーダーの生き様」を見せてくれます。 主人公はその姿を見て、「自分の足りない部分を自覚」することで成長に変えていきます。 現代の労働者の働き方でも自分のリーダーに尊敬の眼差しと見方を持って、「自分との違い」を「評論家」で見ずに、 自分が実力で勝つ見方で接していけば、すぐに転職するようなことも馬鹿げたことに見えるかもしれないことに、 気づかせてくれるマンガだと思い、ずっと継続して読ませていただいています。

名無し
この世界の片隅に
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あらすじ
主人公・すずは広島市から呉へ嫁ぎ、新しい家族、新しい街、新しい世界に戸惑う。だが、昭和18年から描かれる一日一日を確かに健気に生きていく。戦中の広島県の軍都「呉」を舞台にした戦中を生きる小さな家族の物語。
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─
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あらすじ
昭和19年、夏。太平洋戦争末期のペリリュー島に漫画家志望の兵士、田丸はいた。そこはサンゴ礁の海に囲まれ、美しい森に覆われた楽園。そして日米合わせて5万人の兵士が殺し合う狂気の戦場。当時、東洋一と謳われた飛行場奪取を目的に襲い掛かる米軍の精鋭4万。迎え撃つは『徹底持久』を命じられた日本軍守備隊1万。祖国から遠く離れた小さな島で、彼らは何のために戦い、何を思い生きたのか――!?『戦争』の時代に生きた若者の長く忘れ去られた真実の記録!
パリピ孔明
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あらすじ
五丈原の戦いで死期を迎えた名軍師・諸葛亮孔明は、若い肉体に戻り、現代日本へと転生した! 渋谷のパリピ達に誘われ、たどり着いたのはダンスミュージックが鳴り響くチャラめなクラブ。そこでシンガーを目指す月見英子と出逢い、孔明の二度目の人生が幕を開けた! 三国志時代、天下泰平のために生きた彼は、なんの為に生きるのか--!!
おとよめがたり
乙嫁語り
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あらすじ
美貌の娘・アミル(20歳)が嫁いだ相手は、若干12歳の少年・カルルク。遊牧民と定住民、8歳の年の差を越えて、ふたりは結ばれるのか……?『エマ』で19世紀末の英国を活写した森薫の最新作はシルクロードの生活文化。馬の背に乗り弓を構え、悠久の大地に生きるキャラクターたちの物語!
テルマエ・ロマエ
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あらすじ
すべての“風呂”は、“ローマ”に通ず。「マンガ大賞2010」と「第14回手塚治虫文化賞短編賞」をW受賞、実写映画(主演:阿部寛)も記録的な大ヒットとなった超ベストセラー・爆笑コミック! 紀元前128年、第14代皇帝ハドリアヌスが統治し、かつてない活気に溢れているローマ。すべてに斬新さが求められるこの時代、古き良き浴場を愛する設計技師のルシウス・モデストゥスは、生真面目すぎる性格が時代の変化に合わず、職を失ってしまう。落ち込むルシウスは友人に誘われた公衆浴場から、突然現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまい……!?
るーざーずにほんはつのしゅうかんせいねんまんがしのたんじょう
ルーザーズ~日本初の週刊青年漫画誌の誕生~
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あらすじ
1967年7月、日本初の週刊青年マンガ誌「漫画アクション」が誕生―― その約2年前、後の初代編集長である清水文人は、「漫画ストーリー」編集長として新しい漫画を世に送り出そうと悩んでいた。そんな中、ゴミ箱から拾い上げた一冊の同人誌「マニア」に“何か”を感じる。徹底した取材と漫画への愛情から紡ぎだされる「漫画アクション」創刊秘話!

昭和まんが史を刻む快作

双葉社「漫画アクション」の初代編集長の話。 いわゆる、漫画家漫画の派生、漫画関係者漫画ともいえるジャンル。 編集者とか出版業界系を扱ったこの手のジャンル、自分好きなんですよね。 非効率でアナログな時代に、それでも何かを表現したくてたまらない人間たちの情熱とか、それを見抜くセンスとか読んでいて熱くなるのです。 本作も、そんな内容。 モンキー・パンチをみて何かを感じ、後に漫画アクションをつくり、はては双葉社の社長にまでなる男の話。 双葉社。控えめにいっても、大手ではない中堅出版社ですが、だからこそ飛び道具といいますが、王道ではないところで勝負にでて、結果を出していく様は、読んでいて痛快でした。 自分の価値観やセンスを信じるしかない。 これは、別に編集者だけではないと思います。 仕事も全て、最後は、自分の価値観、センス、いわゆる自分の中にある美学的なもので腹をくくるシーンが必ずでてくると思います。 特に、サラリーマンでも中堅を超えてくると決断を迫られるシーンが多々あるので。 そうした意思決定のプロセスも垣間見える作品で、読んでいてグッとくるものがありました。 自分の価値観を信じて動くって、実はとても怖いことなんですけどね。 だからこそ、最後は大きくはっていくしかないんでしょうね。 情熱を武器に、仲間を集め、自分の信じる道を行く。 昭和の激動のなか、小さくもアツい男たちの生き様に感動しました。

六文銭
六文銭
まんしゅうあへんすくわっど
満州アヘンスクワッド
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「満州で一番軽いものは、人の命だ」時は昭和12年。関東軍の兵士として満州にやってきた日方勇は、戦地で右目の視力を失ってしまう。「使えない兵隊」として軍の食糧を作る農業義勇軍に回され、上官に虐げられる日々を送るも、ある日農場の片隅でアヘンの原料であるケシが栽培されていることに気づく。病気の母を救うためアヘンの密造に手を染める勇だったが、その決断が自身の、そして満州の運命を狂わせていく…。
ちんもくのかんたい
沈黙の艦隊
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あらすじ
日米は、世界でも類をみない高性能な原子力潜水艦「シーバット」を、極秘裡に造り上げる。日本によって資金、技術提供をされた日本初の原潜であったが、米第7艦隊所属という、数奇の宿命を背負った落とし子でもあった。艦長には、海上自衛隊一の操艦と慎重さを誇る海江田四郎が任命された。しかし、海江田は試験航海中に指揮下を離れ、深海へと潜行、突如反乱逃亡をする!原潜、核兵器、国家、戦争、そして…真の平和とは!?激動の20世紀末、人類最大のテーマに挑む最高傑作!

無っ茶苦茶面白い超名作。故に要注意。

漫画家・かわぐちかいじの名声を高めた代表作であり、今読んでも無茶苦茶面白くて熱い名作である。 まだ読んでない人は、すぐ読んだ方がいい。このレビューを読み終わる前に読破する方がいい。海面下の武骨な”てつのくじら”とそれを取り巻く人々が織りなす、全地球スケールに広がる風呂敷のファンタスティックな面白さに痺れること間違いなしだ。 そして、だからこそ、この漫画は要注意なのだ。 この漫画はファンタスティックを通り越すぶっ飛んだファンタジー作品であり、「いやいやそれはおかしい」と逐一ツッコむぐらいの冷静さが最終的には必要な、あぶない漫画である。 これは戦闘描写に限った話ではなく、軍人描写・政治描写でも同様の話だ。 というか、素人目にもわかりやすい戦闘描写の範囲だけでこの漫画のファンタジー成分を看破した気になりかねない点が余計にあぶない。このことに関しては、交渉を優位に進めるための心理的トリックに通じるものを感じる。あるいは(いい譬えではないが)巧妙なプロパガンダと似ている。 要するに、面白さに痺れたまま、作品に感化されたまま、染まり切ったままは危険だということだ。 本作はその面白さと現実世界に即した設定故に、なぜ現実はこの作品のようになれないのかと憤って、現実から離れたところに行ってしまって戻ってこれなくなってしまう恐れがある。これは最高の読書体験でもあるが、現実に生きる私たちはいつまでもそのままではいられないだろう。デビルマンを読んで「地獄へ落ちろ人間ども!」に共感しっぱなしでいてはいられないのと大差ない。 なお、私は本作を読んでしばらくはかなり感化されていた。最高の読書体験の一つであった。こんな気持ちいい体験、味わえるなら味わった方がいいに決まっている。 故に、本作が提供してくれるかもしれない最高の読書体験に水を差すようなものは、あらかじめ見ないよう注意(※読者の冷静さを取り戻す激うまギャグ)するのがよいだろう。 こんな長文駄文レビューを読む前に、最も面白く読めるうちに面白い漫画は面白く読むべきなのだ。

完兀
完兀
そうてんこうろ
蒼天航路
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あらすじ
“乱世の姦雄(かんゆう)”と呼ばれ、中国史上に巨大な悪名を残した英雄・曹操(そうそう)。だがその破格な生き様は、天に愛された者のみが持つ輝きに満ちている。この物語は、その輝きによって照らし出される新たな「三国志」である。

わたし史上No.1三国志マンガ

表題のとおりです。たしか新丸子の本屋さんで1・2巻同時発売になっていたのを見かけて、好きな三国志モノだったのでなけなしのお小遣いで買った気がします。 最初は絵柄があまり好きではなかったのと、謎のオリキャラなのか史実キャラなのかわからないようなキャラが出てきたり、ファンタジーっぽいところがあったりで、そこまで夢中になってませんでしたが、3巻4巻と読み進むにつれてやばいくらい面白くなっていきました!! 当時ネットとか全然なかったため、基本的には三国志の情報はコーエーから出ているガイドブック&ハンドブックの武将紹介か、みんな大好き横山三国志という形だったのですが、知らない(なおかつ興味深い)エピソードもどんどん出てくるし、脇役っぽい武将の掘り下げなんかもあったりとかして、ぐんぐんのめりこんでいきました!それこそ毎日読んでました! 中盤からは絵柄もすごく良くなってきて、ケチの付け所がない名作中の名作に!!キャラの個性の付け方も秀逸中の秀逸で、本当に天才だと思っていました。マイナー武将もすごい個性で描かれるので本当にありがたい!!! 基本的には三国志は群雄ものなので、キャラの個性がものすごく立っているっていうのは、面白さを決定づける超重要な要素なのですよね(別に横山三国志をディスってるわけではないです)!! いつか死ぬまでにこれを超える三国志マンガを読んでみたいというのが夢ですが、もう無理かもしれません。

酒チャビン
酒チャビン
テンカイチ 日本最強武芸者決定戦
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あらすじ
日ノ本最強の武芸者は誰か!? これは我々の知る歴史ではない。時は西暦1600年。“織田信長”が天下統一してから10年が経過していた。信長は自分の死期を悟ると、最強の武芸者を輩出したものに“この国”を譲ると発表。天下統一の夢破れた武将たちは、それぞれ最強の武芸者を擁立し、この国の王を目指す! 第一試合は“天下無双槍”本多忠勝(後援:徳川家康)VS.“進化する天稟”宮本武蔵(後援:長宗我部元親)!! 誰もが夢見た異種武術時代絵巻、堂々開幕!!!!!!!
ぜつめつどうぶつものがたり
絶滅動物物語
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あらすじ
人間が無慈悲に絶滅させた動物たちのお話。ドードー、ステラーカイギュウ、ニホンオオカミ………人間によって絶滅させられた8種の動物や鳥たち。絶滅に至る経緯と、人間がいったい何をしたか、その所業を描きます。生きるために食うために、我が先祖の原始人たちが全滅させたマンモスならともかく、本作の動物は、人間の金儲けや貪欲、虚栄心とエゴに因って死に絶えたものばかりです。絶滅動物を通して、醜悪な人間の心が透けて見えてきます。
にゅくすのらんたん
ニュクスの角灯
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あらすじ
1878年(明治11年)、動乱の幕末は遠ざかり、長崎では海外貿易で莫大な利益を得る商人が多く現れはじめていた。西南戦争で親を亡くした少女・美世(みよ)は奉公先を求めて鍛冶屋町の道具屋「蛮」(ばん)の扉を叩くが、そこで彼女を待っていたのは、店主・小浦百年(こうら・ももとし)がパリ万博で仕入れてきた最先端の品々と、それらに宿るベルエポックの興奮と喧騒だった……ジャック・ドゥーセのドレス、ダニエル・ペーターのミルクチョコレート、シンガー社のミシン、セーラー服、エジソンの蓄音機、革ブーツ、眼鏡、幻灯機(マジック・ランタン)……先進と享楽の都・パリ渡来からやってきた“夢の品々”に導かれ、少女はまだ見ぬ世界へ歩み出す……

巻が進むごとに重厚感が増す人間ドラマ

舞台は明治の長崎。西南戦争で親を亡くし、叔父の家で世話になることになった少女・美世。彼女には「触れた物の過去や未来の持ち主が分かる」という神通力があった。その能力を買われて、店主・小浦百年がパリで仕入れてきた最先端の品々を取り扱う道具屋「蛮」で奉公することになった彼女の物語。 当時の長崎の風景を丁寧に表現していたり、実在の人物も登場したりして、基本的には明治時代の雰囲気に忠実な作品なのですが、美世の"神通力"という設定もあり、若干のファンタジー感を漂わせながら物語は進み、そのなかで主人公・美世の人間的な成長が描かれていきます。序盤は"神通力"のファンタジー感もあって不思議な魅力のある作品だと思っていたましたが、巻が進むにつれて美世の人間的な成長を中心とした重厚なヒューマンドラマが描かれ、確かな魅力のある作品に変わっていきました。 また、実は美世の"神通力"にはある秘密が隠されているのですが、その秘密が明かされた時に美世の最も大きな成長が見られ、更にそれが最終盤になって活きてくるという、仕掛けの巧みさも兼ね備えています。 私は単行本を1巻から追っていたのですが、美世の人間的な成長と世界観の広がりを読み取れるため、また時間の流れを作品全体から感じられ、読み終わった瞬間また最初から読み始めたくなる作品なので、ぜひ全6巻まとめ読みで読破してほしい作品です。 全6巻読了。

sogor25
sogor25
せんそうはおんなのかおをしていない
戦争は女の顔をしていない
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あらすじ
「一言で言えば、ここに書かれているのはあの戦争ではない」……500人以上の従軍女性を取材し、その内容から出版を拒否され続けた、ノーベル文学賞受賞作家の主著。『狼と香辛料』小梅けいとによるコミカライズ。

戦争という現象を、最大限の解像度で見つめる覚悟

 本作は、ノーベル文学賞を受賞したジャーナリストによる同名のインタビュー集を、小梅けいと先生がマンガにしたものです。第二次世界大戦におけるナチス対ソ連の戦いに兵士として身を投じ、余生を送る女性たちの肉声が集まっています。  ソ連では、男女平等を強調する共産主義思想の影響も受け、他の国よりもはるかに多くの女性が自らの意思で従軍し、最前線に立っていたのです。  皆さん、「戦争」ってどう思いますか?  日本で育った私たちは、敗戦国として徹底された反戦教育の中で生き、漠然とした「絶対あってはならないもの」といったイメージを持っています。しかし、もう日本人のほとんどは戦争を体験したことのない世代です。だから、「戦争=あってはならないもの」という公式を形式的には認識していても、なぜあってはならないのか、実際のところ自分の国が戦争に突入するとはどんな感じなのか、その中身を本当の意味では理解していません。  本作では、原作著者であるインタビュアーが、年老いたかつての女性兵士から丹念に収集した声が、情景が、丁寧に再現されています。  では彼女たちの語る戦争は、単に血も涙もない、ひたすら凄惨を極めるものであるのかといえば、そうではないのです。彼女らの語る戦争は本当に千差万別です。正気を捨てて戦地に赴き、その狂気の痕が心から消えない人、過酷な環境の中でささやかな幸せを見出した人、死の恐怖より、女性の存在を想定していない住環境への忌避が勝った人… その全てに、過酷で凄惨な環境の中でもきらめきを失わないそれぞれの個性が、人間味が、激情があるのです。  加えて、それらの当事者が(戦地にいることがイレギュラーな存在である)女性であるがゆえに、そこで語られる戦争は、私たちが知る「戦争」の視座から、少しずれています。かつて動物を愛した女性が、命を奪うことに躊躇しないようになっている自分に気づいたときの衝撃、復員後数年ぶりに履くスカートへの違和感、男ものの下着を無理やり身に着けることへの嫌悪感… そんな、これまで戦争という文脈では表出してこなかったエピソードが、次々と語られるのです。  そう、私たちがひとえに「あってはならない凄惨なもの」としてとらえてきた戦争という現象をもっと目をこらして眺めてみると、そこにはこれまで見たこともなかった多様で強烈な情景が、パッチワークのように広がっているのです。  このことから読者が思い知らされるのは、「戦争というのは決して一つの現象ではない」ことです。戦争を歴史としてしか知らない私たちは、それを「あってはならない凄惨なもの」としてひとくくりにして処理し、それ以上戦争について考えることをしません。しかし実際は、戦争というものは決して均質な現象ではありません。一口に戦場といっても、そこには個々人固有の多様な時間が、何千層にも、何万層にも折り重なっているのです!  本作は、原作の丹念なインタビュー、そして収集された物語を最大限汲んだ精緻なマンガ化をもって、「戦争という現象を眺める眼」としてはもはや最高峰と言っていい解像度を獲得し、そのレンズで戦争というものの中味を、私たちに覗かせてくれるのです。  あなたはこの作品を読むと、戦争の中で走り、生き、笑い、泣いた一人ひとりの女性の鮮烈な過去を目にすることでしょう。それらの物語を覚悟をもって受け止めた上で、「戦争」とは何なのかもう一度じっくり考えなおしてみても、きっと遅くはありません。

いさお
いさお

教養として一刻も早く読むべき本の一つ

 小梅けいと先生を知ったのは小説「狼と香辛料」のコミカライズ版だった。可愛らしい絵柄とは裏腹なディープで骨太なストーリーのライトノベルの名作だ。小梅氏の繊細なタッチで描かれた漫画のヒロインの少女もまた、目が大きく髪が柔らかそうで、氏の描く少女の魅力は年月を経てジャンルすら異なる本書「戦争は女の顔をしていない」においても発揮されている。  本書に登場する女たちの多くは実際、戦争当時は少女だった。洗濯兵、衛生兵、狙撃兵……彼女らは様々な戦場で活躍し、そのいずれも悲惨で過酷で血の死にまみれていた。  漫画や映画で描写される戦争はいつも凄惨だが、本書の特筆すべき点はやはり女性特有の(身体的、社会的)苦悩であったり、敵であれ味方であれ「人間同士である」ということが強く感じられるような心の触れ合いが描かれている点であると私は思う。この本の中の戦場では、女たちは男性に馬鹿にされまいと奮闘し、時に自身が女性であることを呪い、時にハイヒールやスカートに密かに憧れ、自らの足跡を経血で文字通り赤く染めながら行軍する。同僚の男たちとしばしばぶつかり合うが、しかし最終的には人々は互いにリスペクトしあっている。本書は原作者・スヴェトラーナによる従軍女性へのインタビューと、それを受けての生存者である女性たちによる回想で構成されているため、文字の大半が彼女らのモノローグからなる。おそらくは部分的に美化された記憶であるだろうことは想像できる。戦場の凄惨さと精神的に前向きな美しさの奇妙なコントラストが、小梅けいとの美麗で繊細な絵柄によって際立つ。戦争ドキュメントと、美少女を得意とする作家、一見ミスマッチにみえる組み合わせだがまさか狙ってやったのだろうか……?読み味が独特すぎて、新鮮さに痺れる。あの有名な「片隅」ともある意味では共通する面白さがあるかもしれない。

mampuku
mampuku

生きている内に一度は読むべき名著

ノーベル文学賞を受賞したジャーナリストであるスヴェトラーナ・アレクシェービチさんが500人以上の従軍女性に取材して書いた原作を、『大砲とスタンプ Guns and Stamps』などでも戦争の裏側で直接の戦闘行為を行わない人々の闘いを描いた速水螺旋人さんが監修し、『サフィズムの舷窓』のキャラクターデザインや『ビビッドレッドオペーション』のコミカライズを行なっている小梅けいとさんがマンガにする。 企画の勝利、と言う他ない作品です。ちょっと普通には思い付かないですし、思い付いてもやらない、そんなことをやってのけてこのクオリティで出してしまったことに敬服するしかないです。 こうして本にされることが無ければ絶対に意識もしなかったであろう戦時下の数々の事柄。様々な部隊、部署に女性でありながら従軍した者たちの実体験からくる生々しい苦しみの証言が今回マンガにされたことでより克明に伝わってきます。 兵士の服は誰がどのように洗っていたのか。 女性兵士はなぜ脚が緑色になるのか。 なぜズボンがガラスのようになるのか。 戦火の中での彼女たちが感じる幸せとは何なのか。 その過酷な答はすべて読めば解ります。 「戦争はなんでも真っ黒よ  血だけが別の色  血だけが赤いの……」 といった、心に深々と刺さる生々しいセリフも溢れています。 戦争は手段に過ぎず、双方が望まずとも起こってしまうこともあります。それでも、なるべくその手段を取らなくて済むように、かつて先人が味わわねばならなかったこの悲哀と辛苦をこの先の時代に生まぬように、人類が知識として未来へ伝承していかねばならない大切なものが詰まった本です。 『アンネの日記』や『夜と霧』などと同様に読み継がれて欲しい、あらゆる人に一読を推奨したい名著です。

兎来栄寿
兎来栄寿
あるきめですのたいせん
アルキメデスの大戦
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あらすじ
戦艦「大和」を阻止せよ!!! 日本の未来を1人の数学の天才が変える!? 時は1933年。日本海軍の中枢・海軍省の会議室で、次世代の旗艦を決める新型戦艦建造計画会議が開かれ、2つの陣営が設計採用を争う事に。これからの海戦を見据え、高速の小型戦艦を打ち出す“航空主兵主義”派に対し、海軍内で権力を握る“大艦巨砲主義”派の計画は、世界でも類を見ない超巨大戦艦の建造だった――!!
ぎんがえいゆうでんせつ
銀河英雄伝説
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あらすじ
遠く、遠く、遥かなる未来――“常勝の天才”と“不敗の魔術師”と称される二人の英雄、ラインハルト・フォン・ミューゼルとヤン・ウェンリーがこの世に生を受ける。時代の波濤に煌めく二つの灯火が銀河を翔け、人類の命運を動かす――。悠久の戦乱に終止符を打つべく現れた、二つの巨星の運命を描くSF英雄譚!!

よく見るYouTuberさんがアニメ版の話をしょっちゅうしていて

さいろく
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