速水螺旋人のプロフィール

速水 螺旋人(はやみ らせんじん、1971年11月30日 - )は、日本の漫画家、イラストレーター。男性。ミリタリー、ソビエト連邦およびロシア、SF、テーブルトークRPG、ボードゲーム、クライムアクションなどを題材とした作品を制作。同人誌はサークル「ボストーク通信社」で個人執筆。

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大砲とスタンプ

棚卸しは大事なのだとよくわかります

大砲とスタンプ 速水螺旋人
ゆゆゆ
ゆゆゆ

架空の国、架空の戦争ではありますが、戦場の後方で戦う人たちの物語です。 撃ち合い、殴り合いでなく、紙の上で戦闘をする兵站部「紙の兵隊」たちの生活が、主人公を中心に描かれています。 あらすじいわく、「ミリタリー法螺漫画」です。 主人公の母国、大公国の軍には、陸海空にくわえて、兵站が存在します。  主人公は、ショートヘアなめがねっ子・マルチナ・M・マヤコフスカヤ少尉です。 食料や衣類や武器など、必要な物資を必要なところへ届ける手続きをする兵站軍。 兵站軍の士官学校を卒業し、アゲゾコ市にある補給廠に配属されるところから、物語は始まります。 四角四面すぎる主人公が、生真面目すぎて当初は疎まれつつも、その個性を大切にされているのが印象的です。 部隊の人たちもよくみれば、みんな個性的です。そしてアットホームです。 使えるものは使えるところで、うまく使えばいいという感じがします。 トラブルに巻き込まれた場合、主人公は銃で打ち合いなどは苦手なようで、かわりにクソ真面目な知識を元にした知恵で切り抜けます。 軍隊内の事情は、パワーでねじ伏せるのでなければ、決まりで乗り切るのが効率的なようです。 読んでいて混乱したのですが、登場する国は、主人公が属する「大公国」、そして占領したアゲゾコ市でともに連合軍を組んでいる「帝国」、敵国である「共和国」の3国です。 長い戦争のせいか、どの国も疲れています。 なぜ戦争をしているのかわからないのですが、振り上げた拳を下ろすのは難しいようです。 ちなみに、物語冒頭に毎回描かれている、緻密な兵器などの紹介も圧巻です。

戦争は女の顔をしていない

教養として一刻も早く読むべき本の一つ

戦争は女の顔をしていない 小梅けいと 速水螺旋人 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
mampuku
mampuku

 小梅けいと先生を知ったのは小説「狼と香辛料」のコミカライズ版だった。可愛らしい絵柄とは裏腹なディープで骨太なストーリーのライトノベルの名作だ。小梅氏の繊細なタッチで描かれた漫画のヒロインの少女もまた、目が大きく髪が柔らかそうで、氏の描く少女の魅力は年月を経てジャンルすら異なる本書「戦争は女の顔をしていない」においても発揮されている。  本書に登場する女たちの多くは実際、戦争当時は少女だった。洗濯兵、衛生兵、狙撃兵……彼女らは様々な戦場で活躍し、そのいずれも悲惨で過酷で血の死にまみれていた。  漫画や映画で描写される戦争はいつも凄惨だが、本書の特筆すべき点はやはり女性特有の(身体的、社会的)苦悩であったり、敵であれ味方であれ「人間同士である」ということが強く感じられるような心の触れ合いが描かれている点であると私は思う。この本の中の戦場では、女たちは男性に馬鹿にされまいと奮闘し、時に自身が女性であることを呪い、時にハイヒールやスカートに密かに憧れ、自らの足跡を経血で文字通り赤く染めながら行軍する。同僚の男たちとしばしばぶつかり合うが、しかし最終的には人々は互いにリスペクトしあっている。本書は原作者・スヴェトラーナによる従軍女性へのインタビューと、それを受けての生存者である女性たちによる回想で構成されているため、文字の大半が彼女らのモノローグからなる。おそらくは部分的に美化された記憶であるだろうことは想像できる。戦場の凄惨さと精神的に前向きな美しさの奇妙なコントラストが、小梅けいとの美麗で繊細な絵柄によって際立つ。戦争ドキュメントと、美少女を得意とする作家、一見ミスマッチにみえる組み合わせだがまさか狙ってやったのだろうか……?読み味が独特すぎて、新鮮さに痺れる。あの有名な「片隅」ともある意味では共通する面白さがあるかもしれない。

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