マガジン発、超大型巨星GALAXIAS 果坂青starstarstarstarstarmampukuこの衝撃度合いといったら、『ランウェイで笑って』の第一話を読んだときに匹敵する。 軽快なノリと迫力のあるシリアスなバトルとの緩急が、新人離れという言葉すら失礼なほど完成度が高い。 あらすじの説明はあえて書かないでおこうと思う。まだ第一話とはいえ、説明の必要があると思えないほどシンプルで完璧なストーリーだからだ。 今後への伏線か?といくつか気になった点をメモ ・最初の故郷の島の名前が「ラニアケア」なのは、タイトル『ガラクシアス』と関係があるのか?(我々の住む天の川銀河を含むのがラニアケア超銀河団) ・もう一人の主人公の少年がフランシスコ・デ・ゴヤの絵画『我が子を喰らうサトゥルヌス』のパロディをしていたのは、これまでの旅の中で西洋の芸術に触れる機会があったからか?mampuku7日前『GALAXIAS』のお気に入り度をstarstarstarstarstarにしました。GALAXIAS果坂青映画『怪物』みたいな構成の話だったMA・MA・Match 末次由紀starstarstarstarstar_bordermampukuいい意味で誤解や異説の飛び交いそうな、多層構造のストーリーだったように思う。 主人公の一人である芦原(母)は、生意気な息子とモラハラ夫を見返すべく、息子の得意なサッカーで勝負を挑む。 前半は、ママさんたちが友情や努力によって青春を取り戻しながら、悪役(息子と夫)に挑むという物語で、この悪役というのがちょっとやり過ぎなくらいのヘイトタンクっぷりなのだ。その場限りのヘイトを買うキャラクターは、ヒーロー役の株を上げるための装置として少女漫画では常套手段だ。だが『マ・マ・マッチ』はそういう物語ではないため、話はここで終わらない。 後半は時を遡り、息子と夫の目線で描かれ直す。母目線ではイヤ〜な輩にしか映らなかった彼らにも彼らの言い分や考えがあったのだと明かされる。 真っ先に私が思い出したのが、是枝監督の映画『怪物』の主人公の一人、安藤サクラさん演じるシングルマザーの早織である。 息子が教師に暴力を振るわれたことに抗議するため学校に乗り込むも学校側からぞんざいな対応をされ不信感を募らせる早織。その後教師や子供など、さまざまな視点が映し出されることでやがて全体観が像を結ぶ。 『マ・マ・マッチ』でも、後半部分を読んだあとに最初から読み返すと些か感想が変わる。息子や夫がイヤな奴らとして描かれているのは確かだが、先入観によって印象が悪化していたのも事実だ。なにより、序盤に出てくる夫のコマは母を嘲弄するような不快なものだったが、そもそもこれは芦原母の回想であり主観だ。その後実際に登場する夫は彼女と衝突こそすれ至って真面目だ。 つまり、それぞれの立場から不満を抱いたり譲れない部分でぶつかり合いながら、逐一仲直りしたり折り合いをつけているのだ、という話に畢竟見えなくもない。悪者退治という少女漫画にありがちなフォーマットで導入を描いて入り込みやすくしておいて、後半の考えさせる話でモヤモヤさせる。末次由紀先生、さすがの巨匠っぷりを見せつけた怪作だ。mampuku7日前『MA・MA・Match』のお気に入り度をstarstarstarstarstar_borderにしました。MA・MA・Match末次由紀少し前に流行った「行動経済学」の面白うんちく漫画カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義 夏原武 甲斐谷忍starstarstarstarstarmampuku現代経済学の小難しい骨子の部分はすっ飛ばして投資詐欺のスキームや行動経済学のキャッチーなうんちくを楽しく教えてくれるために、「経済学を教えない経済学教授」というユニークなキャラ設定になっています。じつに巧妙。 教授が詐欺師をギャフンと言わせ、読者はスッキリなだけでなく身につかない知識で賢くなった気になれる。まさに読者自身がカモだったのだ…!!と、そこまで性格の悪い作者かどうかまではわかりませんが、これを読んで行動経済学に興味を持って実際にダニエル・カーネマンを読んでみる、くらいの意欲がある人以外は、この漫画読んでも「賢くなったつもり」で終わりでしょうね。mampuku12日前『カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義』のお気に入り度をstarstarstarstarstarにしました。カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義夏原武甲斐谷忍「海底撈月」あまりにかっこいい響きだが、稀によく見る咲-Saki- 小林立starstarstarstarstar_bordermampuku【7巻まで読了】 アニメをリアルタイムで見てた頃は麻雀やらなかったんですが、最近雀魂がマイブーム化しつつあり懐かしくなって読みました。 今読んでも全然面白い、さすがの名作ですね。これだけ多くのキャラクターが全員立ってるのも素晴らしい。 そして今なら解るのだが、想像以上に超次元麻雀だった!(笑)県予選決勝では主人公とライバルがハイテーと嶺上開花で殴り合ってて最高。県予選でこれなら全国で戦うであろうラスボスと思しき主人公のお姉ちゃんはどんなヤバい異能を持っているやら… 最近はMリーグの配信でプロの試合が身近になったので、そういう意味でも当時とは見方が変わってそうですね。 mampuku14日前『咲-Saki-』のお気に入り度をstarstarstarstarstar_borderにしました。咲-Saki-小林立どちらかというと『テセウスの船』というより『動的平衡』じゃない?テセウスの船 東元俊也 東元俊哉starstarstarstarstar_bordermampuku時間遡行をして人生をやり直したとしたら、それは本当に同一の自分といえるのか?という問いを有名なパラドックス「テセウスの船」になぞらえたタイトルだ。 ストーリーに関しては論理的整合性や感情的整合性においてやや粗い部分も感じられたもののサスペンスとして緊張感もあり、ラストは新海誠監督『君の名は。』のような美しい締め方だったし概ね面白かった。 ただ、タイトル『テセウスの船』がイマイチストーリーにハマっていない感じがした。 どちらかといえば「動的平衡」のほうが比喩としてしっくりくるのではないだろうか。 「動的平衡」とはシェーンハイマーの提唱した概念であり、日本では福岡伸一氏による著書『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』で有名になった言葉である。“生命”とは、取り込まれ代謝されていく物質、生まれ変わり続ける細胞どうしの相互作用によって現れる“現象”である、という考え方だ。 主人公の田村心は生まれる前の過去に遡り、そこで巻き起こる惨劇を阻止することで、その惨劇により自身に降りかかった不幸な運命を変えようと奮闘する。作品では、過去を改変して自らの人生を曲げようとする一連の試みをテセウスの船にたとえているが、やはりピンとこない。作中、田村心は殺人事件を未然に防ぐため凶器となった薬物を隠したり被害者に避難を呼びかけたりするが、その影響で心の知る未来とは異なる人物が命を落としたり、結果的に大量殺人を防げなかったばかりか予想だにしなかった事態を招くことになる。 この予測不可能性こそがまさに動的平衡そのものって感じなのだ。生命体は、船の部品のように壊れた部分を取り替えれば前と変わらず機能する、ということにはならない。ある重要なホルモンの分泌に作用する細胞を、遺伝子操作によってあらかじめ削除してしまったとしても、ほかの細胞がそのポジションを埋めることがある。これは心が殺人事件の阻止に何度も失敗したことに似ている。思わぬ不運や予想しない死者が出てしまったのも、脚のツボを押すと胃腸の働きが改善するなどの神経細胞の複雑さに似ている。 船は組み立てて積み上げれば完成するが、生命は時間という大きな流れの中で分子同士が複雑に相互作用しあうことで初めて現象する。『テセウスの船』での田村心の試みは人生あるいは歴史という動的平衡に翻弄されながらも抗う物語だったのかもしれない。mampuku約1ヶ月前『テセウスの船』のお気に入り度をstarstarstarstarstar_borderにしました。テセウスの船東元俊也東元俊哉輝きをとりもどせ!ズッコケ三人娘(アラサー)さよならダイヤモンド 蛭塚都starstarstarstarstarmampuku『ゴゴゴゴーゴーゴースト』作者の新作とあって期待値MAX。 あの日思い描いていた理想の未来にはたどり着けなかった、かつての部活仲間のアラサー女三人が、もう一度立ち上がりサヨナラ逆転を目指す友情の物語。 必要以上に飾らず、ツッパらず、アラサー女の物語といいつつも属性関係なく人間の青春の1ページって感じで、カッコ悪いのにカッコいい。蛭塚都先生の見目麗しいキャラクターデザインのなせるわざでもあるようなきがします。 「私たちの延長線の幕が上がる。」という激エモフレーズに殴られてしまったので、これからの連載が楽しみで仕方ないです。mampuku約1ヶ月前『さよならダイヤモンド』のお気に入り度をstarstarstarstarstarにしました。さよならダイヤモンド蛭塚都 1 2 3 4 5 … Next › Last » もっとみる
マガジン発、超大型巨星GALAXIAS 果坂青starstarstarstarstarmampukuこの衝撃度合いといったら、『ランウェイで笑って』の第一話を読んだときに匹敵する。 軽快なノリと迫力のあるシリアスなバトルとの緩急が、新人離れという言葉すら失礼なほど完成度が高い。 あらすじの説明はあえて書かないでおこうと思う。まだ第一話とはいえ、説明の必要があると思えないほどシンプルで完璧なストーリーだからだ。 今後への伏線か?といくつか気になった点をメモ ・最初の故郷の島の名前が「ラニアケア」なのは、タイトル『ガラクシアス』と関係があるのか?(我々の住む天の川銀河を含むのがラニアケア超銀河団) ・もう一人の主人公の少年がフランシスコ・デ・ゴヤの絵画『我が子を喰らうサトゥルヌス』のパロディをしていたのは、これまでの旅の中で西洋の芸術に触れる機会があったからか?mampuku7日前『GALAXIAS』のお気に入り度をstarstarstarstarstarにしました。GALAXIAS果坂青映画『怪物』みたいな構成の話だったMA・MA・Match 末次由紀starstarstarstarstar_bordermampukuいい意味で誤解や異説の飛び交いそうな、多層構造のストーリーだったように思う。 主人公の一人である芦原(母)は、生意気な息子とモラハラ夫を見返すべく、息子の得意なサッカーで勝負を挑む。 前半は、ママさんたちが友情や努力によって青春を取り戻しながら、悪役(息子と夫)に挑むという物語で、この悪役というのがちょっとやり過ぎなくらいのヘイトタンクっぷりなのだ。その場限りのヘイトを買うキャラクターは、ヒーロー役の株を上げるための装置として少女漫画では常套手段だ。だが『マ・マ・マッチ』はそういう物語ではないため、話はここで終わらない。 後半は時を遡り、息子と夫の目線で描かれ直す。母目線ではイヤ〜な輩にしか映らなかった彼らにも彼らの言い分や考えがあったのだと明かされる。 真っ先に私が思い出したのが、是枝監督の映画『怪物』の主人公の一人、安藤サクラさん演じるシングルマザーの早織である。 息子が教師に暴力を振るわれたことに抗議するため学校に乗り込むも学校側からぞんざいな対応をされ不信感を募らせる早織。その後教師や子供など、さまざまな視点が映し出されることでやがて全体観が像を結ぶ。 『マ・マ・マッチ』でも、後半部分を読んだあとに最初から読み返すと些か感想が変わる。息子や夫がイヤな奴らとして描かれているのは確かだが、先入観によって印象が悪化していたのも事実だ。なにより、序盤に出てくる夫のコマは母を嘲弄するような不快なものだったが、そもそもこれは芦原母の回想であり主観だ。その後実際に登場する夫は彼女と衝突こそすれ至って真面目だ。 つまり、それぞれの立場から不満を抱いたり譲れない部分でぶつかり合いながら、逐一仲直りしたり折り合いをつけているのだ、という話に畢竟見えなくもない。悪者退治という少女漫画にありがちなフォーマットで導入を描いて入り込みやすくしておいて、後半の考えさせる話でモヤモヤさせる。末次由紀先生、さすがの巨匠っぷりを見せつけた怪作だ。mampuku7日前『MA・MA・Match』のお気に入り度をstarstarstarstarstar_borderにしました。MA・MA・Match末次由紀少し前に流行った「行動経済学」の面白うんちく漫画カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義 夏原武 甲斐谷忍starstarstarstarstarmampuku現代経済学の小難しい骨子の部分はすっ飛ばして投資詐欺のスキームや行動経済学のキャッチーなうんちくを楽しく教えてくれるために、「経済学を教えない経済学教授」というユニークなキャラ設定になっています。じつに巧妙。 教授が詐欺師をギャフンと言わせ、読者はスッキリなだけでなく身につかない知識で賢くなった気になれる。まさに読者自身がカモだったのだ…!!と、そこまで性格の悪い作者かどうかまではわかりませんが、これを読んで行動経済学に興味を持って実際にダニエル・カーネマンを読んでみる、くらいの意欲がある人以外は、この漫画読んでも「賢くなったつもり」で終わりでしょうね。mampuku12日前『カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義』のお気に入り度をstarstarstarstarstarにしました。カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義夏原武甲斐谷忍「海底撈月」あまりにかっこいい響きだが、稀によく見る咲-Saki- 小林立starstarstarstarstar_bordermampuku【7巻まで読了】 アニメをリアルタイムで見てた頃は麻雀やらなかったんですが、最近雀魂がマイブーム化しつつあり懐かしくなって読みました。 今読んでも全然面白い、さすがの名作ですね。これだけ多くのキャラクターが全員立ってるのも素晴らしい。 そして今なら解るのだが、想像以上に超次元麻雀だった!(笑)県予選決勝では主人公とライバルがハイテーと嶺上開花で殴り合ってて最高。県予選でこれなら全国で戦うであろうラスボスと思しき主人公のお姉ちゃんはどんなヤバい異能を持っているやら… 最近はMリーグの配信でプロの試合が身近になったので、そういう意味でも当時とは見方が変わってそうですね。 mampuku14日前『咲-Saki-』のお気に入り度をstarstarstarstarstar_borderにしました。咲-Saki-小林立どちらかというと『テセウスの船』というより『動的平衡』じゃない?テセウスの船 東元俊也 東元俊哉starstarstarstarstar_bordermampuku時間遡行をして人生をやり直したとしたら、それは本当に同一の自分といえるのか?という問いを有名なパラドックス「テセウスの船」になぞらえたタイトルだ。 ストーリーに関しては論理的整合性や感情的整合性においてやや粗い部分も感じられたもののサスペンスとして緊張感もあり、ラストは新海誠監督『君の名は。』のような美しい締め方だったし概ね面白かった。 ただ、タイトル『テセウスの船』がイマイチストーリーにハマっていない感じがした。 どちらかといえば「動的平衡」のほうが比喩としてしっくりくるのではないだろうか。 「動的平衡」とはシェーンハイマーの提唱した概念であり、日本では福岡伸一氏による著書『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』で有名になった言葉である。“生命”とは、取り込まれ代謝されていく物質、生まれ変わり続ける細胞どうしの相互作用によって現れる“現象”である、という考え方だ。 主人公の田村心は生まれる前の過去に遡り、そこで巻き起こる惨劇を阻止することで、その惨劇により自身に降りかかった不幸な運命を変えようと奮闘する。作品では、過去を改変して自らの人生を曲げようとする一連の試みをテセウスの船にたとえているが、やはりピンとこない。作中、田村心は殺人事件を未然に防ぐため凶器となった薬物を隠したり被害者に避難を呼びかけたりするが、その影響で心の知る未来とは異なる人物が命を落としたり、結果的に大量殺人を防げなかったばかりか予想だにしなかった事態を招くことになる。 この予測不可能性こそがまさに動的平衡そのものって感じなのだ。生命体は、船の部品のように壊れた部分を取り替えれば前と変わらず機能する、ということにはならない。ある重要なホルモンの分泌に作用する細胞を、遺伝子操作によってあらかじめ削除してしまったとしても、ほかの細胞がそのポジションを埋めることがある。これは心が殺人事件の阻止に何度も失敗したことに似ている。思わぬ不運や予想しない死者が出てしまったのも、脚のツボを押すと胃腸の働きが改善するなどの神経細胞の複雑さに似ている。 船は組み立てて積み上げれば完成するが、生命は時間という大きな流れの中で分子同士が複雑に相互作用しあうことで初めて現象する。『テセウスの船』での田村心の試みは人生あるいは歴史という動的平衡に翻弄されながらも抗う物語だったのかもしれない。mampuku約1ヶ月前『テセウスの船』のお気に入り度をstarstarstarstarstar_borderにしました。テセウスの船東元俊也東元俊哉輝きをとりもどせ!ズッコケ三人娘(アラサー)さよならダイヤモンド 蛭塚都starstarstarstarstarmampuku『ゴゴゴゴーゴーゴースト』作者の新作とあって期待値MAX。 あの日思い描いていた理想の未来にはたどり着けなかった、かつての部活仲間のアラサー女三人が、もう一度立ち上がりサヨナラ逆転を目指す友情の物語。 必要以上に飾らず、ツッパらず、アラサー女の物語といいつつも属性関係なく人間の青春の1ページって感じで、カッコ悪いのにカッコいい。蛭塚都先生の見目麗しいキャラクターデザインのなせるわざでもあるようなきがします。 「私たちの延長線の幕が上がる。」という激エモフレーズに殴られてしまったので、これからの連載が楽しみで仕方ないです。mampuku約1ヶ月前『さよならダイヤモンド』のお気に入り度をstarstarstarstarstarにしました。さよならダイヤモンド蛭塚都
この衝撃度合いといったら、『ランウェイで笑って』の第一話を読んだときに匹敵する。 軽快なノリと迫力のあるシリアスなバトルとの緩急が、新人離れという言葉すら失礼なほど完成度が高い。 あらすじの説明はあえて書かないでおこうと思う。まだ第一話とはいえ、説明の必要があると思えないほどシンプルで完璧なストーリーだからだ。 今後への伏線か?といくつか気になった点をメモ ・最初の故郷の島の名前が「ラニアケア」なのは、タイトル『ガラクシアス』と関係があるのか?(我々の住む天の川銀河を含むのがラニアケア超銀河団) ・もう一人の主人公の少年がフランシスコ・デ・ゴヤの絵画『我が子を喰らうサトゥルヌス』のパロディをしていたのは、これまでの旅の中で西洋の芸術に触れる機会があったからか?