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1年以上前
■全巻読了 社会の在り方に関心がある人ほど、『BEASTARS』という作品世界観と現実の人間社会にアナロジーを見出したくなるかもしれない。草食動物のか弱さを現実のジェンダーギャップに、肉食獣の立場の弱さを現実の人種差別に置き換えて読めばなにかのヒントが得られそうな気がしてくる。しかし結局、『BEASTARS』のあまりに独特でイカれた世界は、ジェンダー、人種、宗教、世代、文明などあらゆる現実の問題とも似ていないために、無理矢理アナロジーに当てはめようとすれば作品が持つ複雑で深淵でどうしようもなく残酷な魅力が狭まり損なわれてしまう。 科学や歴史を信奉し、貨幣に飼いならされているところは我々人間とそっくりだが、最も異なるのは『BEASTARS』の獣たちが理性の存在をそれほど信じていないところかもしれない。 作品のクライマックスでルイは語る。肉食獣は肉を欲するが、その本能は否定されるべきではない。それでも肉食獣と草食動物は共存できるはずだと。ルソーの言葉を借りれば、肉食、草食どちらの特殊意志も保持したまま、獣全体の一般意志を追求できるはずだということだ。ずいぶんと理想主義的だが、少年漫画としては百点満点の締め方といえなくもないか。
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アンメット

アンメット(Unmet)であるということは

アンメット 大槻閑人 子鹿ゆずる
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Unmet Medical Need(満たされていない医療ニーズ) これをタイトルに掲げている通り、単に医療という大きなテーマに挑んでいるにとどまらず、いろいろな悩みや欠点を抱えた人間同士の相互のドラマが非常に面白い漫画です。 主人公の脳外科医は外科として優秀なだけでなく常に患者やその家族に寄り添うことによって救おうとする。しかし医療全体の最適化を図りたい経営者たちや、異なる信念を持った同僚たちとしばしば衝突する。また寄り添うべき患者も、患っているのはほかでもない「脳」である。いくら主人公たちが有能かつ真摯だとしても、彼らの苦しみを本当の意味では分かち合えない。数学における不完全性定理のように、医療とは、どこまでいってもアンメット(Unmet)なものである運命なのかもしれません。 医療漫画はどうしてどれもこれも面白いのか、とときどき考えます。膨大な取材や考証、高度な画力、これを社会に訴えかけたいという熱い思い……数え切れないほどに高いハードルが山積みであるため、世に出た医療漫画というのはすべからくハイクオリティでなければならない、という前提はあると思います。ですが読み手の目線から考えたとき、きっと医学とは人間なら誰しも無関係でいられないからなのかもしれないなとも思います。大半の人間は病院で死にますし、日本の制度では死亡確認ができる(=人の生死を判断する)のは医者だけです。病と死について真剣に向き合って本気で描かれたプロの漫画が、面白くないはずなどないのです。

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