ネタバレ
名無し

沈黙の艦隊連載がされた初期の頃は、高性能原子力潜水艦同士の闘いに重みが置かれたアクション漫画だったが、徐々に政治的なメッセージ性に軸足が移り、最終的には独立国「やまと」の海江田艦長が国連で世界平和達成すべく演説を行うまでになった。全般的に荒唐無稽な内容ではあるが、この地球から戦争や紛争をなくす為の一つの方法の提示である事は確かだった。

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潜水艦の戦闘力なんて知るわけも無いので、
読んでいくにつれて、高性能の原子力潜水艦を
優秀な指揮官が扱えば、マジで一国の軍事力に比肩するのも
可能なんだと判ってきて、
対潜水艦での攻防戦も未知の戦術でのバトルで
新鮮な驚きを感じました。

漫画の主人公なんてよほどのダークヒーローでもない限りは
正義感で頭のいい人なんだと決まっているけれど、
主人公・海江田は、
正しい人なのか、テロリストなのか、ただの夢想家なのか、
もしかして狂人?と思うくらいに
スケールがでかくて読みきれない存在で、
一体、この男は何者だ、という思いにとらわれて
目が離せなくなっていきました。

また、日米関係の現実とか、自衛隊の専守防衛の立場とか、
よくわからなかったことが実例として?
次々とストーリーに登場してきて、
ぐいぐいと読み進めさせられました。
とて面白いし、色々と考えさせられる漫画でした。

この作品の連載は冷戦終結の時代に始まったそうで、まさに潜水艦が戦略的に最も重要な時代でした。潜水艦の映画で有名な「レッド・オクトーバーを追え!」や「クリムゾン・タイド」より早く、「沈黙の艦隊」で映像化されてるというのは、改めて考えてみても凄い。今も原子力潜水艦のパワーバランスは大きく変わってないと思うので、現代にも通用する名作だと思いますね。

ちなみに海江田艦長は格好良いものの、性格はちょっと苦手でした。そういう意味では深町の存在は大きかった。もし深町がいなかったら大げさな仮想戦記マンガに終わってたかも、とさえ思います。

ロシアが,核保有を前提にして,「ロシアへの直接攻撃は侵略者の壊滅と悲惨な結果につながる」とか言ってるのをみると,こんなときに沈黙の艦隊SSSS)がいれば…!とか思ってしまいますね

まぁ,作中でも言及されているとおり,あれは深海に神を作り出す超危険思想であり(文民統制が及ばないとかのレベルではない),現実的には運用不可能ではあるのですが,有事における核保有国と非保有国の圧倒的格差にはいろいろ考えさせられます(もちろん日本が核保有することは絶対の禁忌ですが)

沈黙の艦隊

無っ茶苦茶面白い超名作。故に要注意。

沈黙の艦隊 かわぐちかいじ
完兀
完兀

漫画家・かわぐちかいじの名声を高めた代表作であり、今読んでも無茶苦茶面白くて熱い名作である。 まだ読んでない人は、すぐ読んだ方がいい。このレビューを読み終わる前に読破する方がいい。海面下の武骨な”てつのくじら”とそれを取り巻く人々が織りなす、全地球スケールに広がる風呂敷のファンタスティックな面白さに痺れること間違いなしだ。 そして、だからこそ、この漫画は要注意なのだ。 この漫画はファンタスティックを通り越すぶっ飛んだファンタジー作品であり、「いやいやそれはおかしい」と逐一ツッコむぐらいの冷静さが最終的には必要な、あぶない漫画である。 これは戦闘描写に限った話ではなく、軍人描写・政治描写でも同様の話だ。 というか、素人目にもわかりやすい戦闘描写の範囲だけでこの漫画のファンタジー成分を看破した気になりかねない点が余計にあぶない。このことに関しては、交渉を優位に進めるための心理的トリックに通じるものを感じる。あるいは(いい譬えではないが)巧妙なプロパガンダと似ている。 要するに、面白さに痺れたまま、作品に感化されたまま、染まり切ったままは危険だということだ。 本作はその面白さと現実世界に即した設定故に、なぜ現実はこの作品のようになれないのかと憤って、現実から離れたところに行ってしまって戻ってこれなくなってしまう恐れがある。これは最高の読書体験でもあるが、現実に生きる私たちはいつまでもそのままではいられないだろう。デビルマンを読んで「地獄へ落ちろ人間ども!」に共感しっぱなしでいてはいられないのと大差ない。 なお、私は本作を読んでしばらくはかなり感化されていた。最高の読書体験の一つであった。こんな気持ちいい体験、味わえるなら味わった方がいいに決まっている。 故に、本作が提供してくれるかもしれない最高の読書体験に水を差すようなものは、あらかじめ見ないよう注意(※読者の冷静さを取り戻す激うまギャグ)するのがよいだろう。 こんな長文駄文レビューを読む前に、最も面白く読めるうちに面白い漫画は面白く読むべきなのだ。

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