きめつのやいば
鬼滅の刃
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あらすじ

時は大正時代。炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで一変する。唯一生き残ったものの、鬼に変貌した妹・禰豆子を元に戻すため、また家族を殺した鬼を討つため、炭治郎と禰豆子は旅立つ!! 血風剣戟冒険譚、開幕!!

生まれて初めてジャンプを買った話

私は、幼い頃から漫画が好きだった。定かな記憶ではないが、初めて読んだ漫画は星のカービィとポケモンの四コマ劇場だったと思う。その後も、週刊少年ジャンプの漫画を中心に数々の作品に読み触れていった。 私は週刊少年ジャンプを買ったことがなかった。読み始めた小学生の頃から、読むのをやめた高校生の頃までずっと、隣に住む従兄弟のお兄さんに貰って読んでいたのだ。読み始めた頃には、アイシールド21でまだデスマーチが行われていたし、愛染もまだ良い人だと思っていた。テコンドーを題材にした漫画がすぐに打ち切りになってしまったり、リボーンやムヒョ、銀魂、SKET DANCE、ToLOVEる等等の作品が輝きを放っていたりと、沢山の漫画に囲まれていたあの頃を懐かしく思う。成人した今でも漫画は好きで、継続して読んでいる作品も少なくないが、週刊少年ジャンプの世界はもう私の知るところにはなくなってしまっていた。 鬼滅の刃を読もうと思ったのは別に奇跡でも必然でも数奇な巡り合わせでも何でもない。私がこの作品を読み始めた時には既に19巻まで刊行され、TVでは社会現象的な人気と報道されるほどの一大ムーブメントな作品として周知されていた。情けない話だが、私という人間は天邪鬼で人気で話題の作品ほど読むことを躊躇い、敬遠する。いつからこんな厄介な人間性になったのか…… 連休を迎える前、職場の後輩くんが「もうすぐ完結するかも」と、教えてくれたことで今が丁度良い頃合いかもしらんと思い、この度鬼滅の刃を読むに至ったのだ。 私が漫画を読んで泣いたのはこれが二回目だった。 この作品は、鬼狩りと呼ばれる鬼殺隊の青少年たちが、家族や友人の仇となる鬼を殲滅するまでのお話で、各登場人物が信念を胸に文字通り命懸けで鬼に立ち向かっていく。 3巻ほど読み終えた時の印象は、「サンデー作品っぽい」というところだった。想起したのは犬夜叉とうしおととら(こちらは未読)で、"妖怪奇譚"モノという印象を受けた。心地よいコメディ調、可愛らしいデフォルメ顔、インフレを起こさない"考える戦い方"に惹き込まれていった。 少年漫画から暫く距離が空いていた私がこの作品で感じたのは、"敵が強すぎる"ということ。ONE PIECEのアラバスタ編のように味方陣営、敵陣営ともに一人ずつが各人を相手に戦っていくスタイルに馴染みが深かった私は、「上限の鬼強すぎるぞ……」と、登場人物同様に絶望した。鬼滅の刃の戦いは基本的に鬼の首を斬り落とすことに注力して進んでいく。ただ、鬼が強すぎてまぁ斬れない斬れない。そこで現れるのが心強い味方。それも一人じゃなく二人。場合によっては何人でも味方が駆けつけて共闘してくれるのだ。まさに物量作戦!と思ったが、そんな糞みたいな冗談では片せないほどにこの作品のキャラクター達は生命力に溢れていて、強く優しい。どんなにボロボロになっても折れることなく進み続ける。弱きを助け悪しきを挫く彼らのその姿は、私がかつて憧れたジャンプヒーローそのものだった。 主人公・炭治郎は真っ直ぐでクソ真面目でとにかく優しい心の綺麗な少年。共に闘う仲間たちは勿論、命のやり取りをした鬼でさえも、炭治郎の温かな優しさに触れてしまえば、忘れていた大切なことを思い出してしまうのだ。その優しい炭治郎もまた、様々な人の優しさに助けられ、自らを奮い立たせ、どんな窮地でも諦めることを選ばなかった。誰かに守って貰ったように、自分も誰かを守る。優しさの連鎖は絶ち切れることなく繋がっていく。数珠繋ぎになり循環し、滅ぶことはない。 ONE PIECEのチョッパーの出自の話で泣いたのは小学生の頃のこと。齢二十五にもなった自分が漫画を読んで何度も泣いてしまうとは思わなかった。そのことに気恥ずかしさもあるが、少し嬉しくも感じた。素晴らしい少年漫画は、次話を渇望させる。コミックスで読み始めた私が、ジャンプ+のアプリで本誌を購入してまで続きを読んだように。サラリーマンの自分が月曜日を待ち遠しく感じるなんて有り得なかった。人生で最初で最後になるかもしれないが、私は週刊少年ジャンプを買いに行った。 ありがとう鬼滅の刃。 心を燃やせ。赫い刃を。折れない心を。 (204話で完結と思ったら205話で完結だったので結局二回買うことになりました)

TAT
TAT

鬼滅ミリしら状態で一巻だけ読んだ感想

ジャンプの漫画ってマサルさんとジャガーさんとアイズしか読んだことない気がするし、流行りすぎちゃって乗っかるタイミングを見失っていたのですが読む機会を得たので読んでみました。一巻だけだけど。 ・強くなりたい、が目的ではなく手段なのがよい 妹を助けたい優しい子っていうのがとてもよいですね。このままでは妹を守れないという気づきを最初に明示するのも素晴らしい。覚悟とか強さとか守るとかフワッとしているけれど物語の根幹になる概念を明確に示しているので、炭治郎とともにこちらの心持ちも変わっていけるのがよいなあと思いました。 ・死はいつだって辛く悲しいもの 結構グロテスクな描写が多いなあと。敵を倒すことはただの過程として捉えてしまうけれど、命を奪うってとんでもないことなんですよね。敵とは言え鬼とは言え、命を奪うことがしっかり悲しみを持って残酷さを持って描かれているのがかえって優しいなあと思いました。 ・単純にグッズとか売れそう アイコニックな色合いがいいですよね。緑と黒のあの色合い見るだけで鬼滅だって思うもんね。天才。 ほぼミリしら状態で読んだけど確かに面白いなあ、売れる理由もわかるわあと思ったんだけど、これが鬼滅だけのものなのか売れてる少年漫画あるあるなのかはわからないのでなんとも言えないのが困ったところ。でもわたしくらいの知識しかないひとも読んでハマってるんだろうからやっぱり凄いんだろうなあ。

野愛
野愛
この世界の片隅に
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あらすじ

主人公・すずは広島市から呉へ嫁ぎ、新しい家族、新しい街、新しい世界に戸惑う。だが、昭和18年から描かれる一日一日を確かに健気に生きていく。戦中の広島県の軍都「呉」を舞台にした戦中を生きる小さな家族の物語。

漫画と映画を久しぶりに見返した!

2025年のお正月にNHK広島放送で映画「この世界の片隅に」が放送されたのは、今年で原爆投下から80年が経つからだそうです。この機会に私も久しぶりに漫画と映画をどちらも見返してみました。 やはり漫画と映画の一番の違いはリンさんの描き方ですよね。漫画では夫である周作さんとリンさんの関係について触れられていますが、映画ではありません。とくに時限爆弾によって晴美さんと右手を失ったすずさんが初めて周作さんと再会した時に、漫画ではリンさんの安否を気にしますが、映画ではそれがないので、いきなり「広島に帰りたい」という言葉を言い出したような印象になっていました。映画は子供のまま縁もゆかりもない土地にお嫁に来たすずさんが大人になる話に重点を置いているような気がします。それに比べると戦時下無月経症なので子供が出来ないとはっきり描いてある漫画はもっとリアルな女性の話ですよね。だから漫画の方が幼なじみの海兵さんと2人きりにさせた周作さんに対して、あんなに腹を立てたすずさんの気持ちがすんなり理解することが出来ました。個人的には男性達に対してだけではなく、当時の価値観で大事とされていた後継ぎを残せない自分に対しての悔しさもあるのかもしれないと思いました。けれどもあえて女性のリアルな部分を描きすぎない選択をしたのは、原作である漫画を十分に理解してるからこそなのは映画を見れば明らかです。 久しぶりに漫画と映画を見返してどちらも戦争が普通の人の生活も脅かすことを伝えているのはもちろん、すべてを一瞬で無いものにしてしまう核兵器の恐ろしさは動きのある映画だから強く感じた喪失がありました。そして漫画には「間違っていたら教えて下さい 今のうちに」と巻末に記載されていることに初めて気づきました。戦争を知らない私達が80年前の出来事を想像するのは難しいですが、だからこそ「この世界の片隅に」という物語があります。どんなに素晴らしい漫画でもより多くの人に長く読み続けてもらうのは大変なので映像化ほどの後押しはないです。これからも漫画と映画どちらも折に触れて見返したいと思います。

かしこ
かしこ
あずみ
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あらすじ

少女のあずみを含む10人の子供達が、人里離れた場所で秘かに刺客として育てられていた。そして、彼らは爺の言葉をすべて正しいこととして疑うことを知らない、精鋭の刺客として育った。ある日、爺からいよいよ外界に出る時になったと告げられる。しかし、その前にこれまでの修業の総仕上げとも言うべき凄まじい試練が待っていた!

くろはくぶつかんごーすとあんどれでぃ
黒博物館 ゴーストアンドレディ
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あらすじ

ロンドン警視庁の犯罪資料館「黒博物館」に展示された“かち合い弾”と呼ばれる謎の銃弾。ある日、それを見せてほしいという老人が訪れたとき、黒衣の学芸員は知ることになる。超有名な「お嬢様」と、「もうひとり」が歴史的大事件の裏で繰り広げた、不思議な冒険と戦いを…! 藤田和日郎の19世紀英国伝奇アクション超待望の第2弾、ここに開幕!!

ベルサイユのばら
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あらすじ

1755年、この年ヨーロッパの3つの国で、やがてフランスのベルサイユで宿命的な出会いを持つことになる3人の人間が生まれる。スウェーデンの上院議員の長男として生まれたハンス・アクセル・フォン・フェルゼン、フランスの将軍家の末娘として生まれたオスカル・フランソワ・ド・ジャルジュ、そして、オーストリア、ハプスブルグ家の皇女として生まれたマリー・アントワネット!!少女漫画史上に輝く大傑作、ついに登場!

ゴールデンカムイ
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あらすじ

『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!

一生、ナコルルに支配されるはずだった僕のアイヌ知識を更新してくれた

僕と同世代でゲームに夢中だった人間は、少しだけアイヌ語を知っているものです。「アムベヤトロ」とか「アンヌムツベ」とか、意味は全くわからなくてもなんとなく言えてしまうのは、格闘ゲーム『サムライスピリッツ』の美少女・ナコルルのおかげなのです。このままでは一生、ナコルルに支配されるはずだった僕のアイヌ知識を更新してくれたのが『ゴールデンカムイ』です。  『ゴールデンカムイ』の舞台は日露戦争直後の北海道。主人公である杉元は、一攫千金を狙って砂金掘りをしています。戦争中、鬼神のような戦いぶりから「不死身の杉元」と呼ばれた杉元が、なぜそのようなことをしているかというと、戦死した親友の妻の病気を直すため、どうしても大金が必要になったのです。  そんな杉元に、酔っ払った男が北の大地のどこかに隠された「金塊」の話をします。そして、大金の隠し場所を示した暗号が、網走監獄から脱走した死刑囚の身体に刺青として掘られていることも…。酔が覚めた男は「しゃべりすぎた」と杉元を殺そうとします。そこで杉元はこの話が与太話ではなく真実であると確信し、謎を追うことになります。  杉元の相棒となるのがアイヌの少女アシリパ。彼女の父は「金塊」のために殺されていて、その仇を探しています。アシリパのアイヌ猟師としての知恵と知識と、杉元の不屈の精神で、彼らは北の大地を巡っていくのです  それにしても『ゴールデンカムイ』の良い所は次から次に話が展開していくところですね。3巻の時点で杉元が戦った相手は熊→熊→囚人→屯田兵→集団屯田兵→熊→ベテラン猟師…大自然の脅威から新撰組まで次々と二人に襲いかかり、それを知恵と勇気で乗り越えていくのです。  『ゴールデンカムイ』にはサスペンスとド派手なアクション、異文化の知識と、面白い要素がたくさん詰まっています。中でも料理漫画としての要素を見逃してはいけません。戦い、追い、逃げる二人はとにかくよく食べます。鹿や熊はもちろん、兎やカワウソまで、捌き方から料理法まで詳しく書かれていて、なんだかとても美味しそうなのです。  脳みそから目玉までおいしく頂くアイヌの料理に戸惑う杉元や、味噌がうんこにしか見えないと拒否するアシリパさんの異文化交流ぶりも楽しく、料理が『ゴールデンカムイ』という作品の壮大さにもつながっているのです。  厳しい自然との戦いや、骨太のサスペンス、それていて生活感があるという『ゴールデンカムイ』不思議なエンターテイメント巨編なのです。

名無し

電子版は見開きで読めるデバイスを!

ストーリーはいろいろな方が書かれているので、私が気づいた読む環境についての感想。 電子版が無料公開されたときに初めて読んだ。 でも絵柄が嫌いなわけでもないのに何故か読みづらく、第一話を読み切ることなく挫折した。 自分でも何が起きたか理解できなかった。アニメはおもしろいし、趣味が合う友達は絶賛している。おかしい。 しばらくして気づいた理由が、スマホから1ページずつ読んでいたこと。 「ゴールデンカムイ」は、本誌連載時に近い環境のほうがたのしく読めるマンガなのだと思う。 見開きでバババン! めくってドドン!! しばしば、のびのびと、かつ迫力がある描き方をされているので、1ページずつ読む場合は見開き展開の魅力も、付随するストーリーも、いろいろとパワーダウンしてしまうようだ。 タブレットを使い、2ページ見開きにして読める環境にしてみたら、今度は読み止まらなくなった。 今はくつろげる時間とはいえ、他にもやりたいことはあるのだよと無理やり、きりは良くないけど、きりが良いところと思い込んで、読み止まることができた。 ゴールデンカムイ、恐ろしいマンガ! まだ未読の方は、できれば紙版を。 難しければ、電子版は2ページ見開きで、余裕を持って読めるデバイスから読むことをおすすめします。 話がブツ切れにならないうえ、迫力が増します。

ゆゆゆ
ゆゆゆ
れっかのほのお
烈火の炎
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あらすじ

花火師である父親と2人暮らしの少年・花菱烈火は、「忍者」に強い憧れを抱く高校1年生。地元では負けナシと恐れられている同級生・石島土門をも一蹴してしまう烈火は、日頃から「ケンカでオレに勝ったらその人の『忍』になる」と公言しているものの、いまだに自らの君主を見つけられずにいたが…。400年の時を超えた因縁を巡る戦いが幕を開ける!炎を操る烈火が繰り広げる、長編忍術スペクタクル!!

シグルイ
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あらすじ

江戸時代初頭、天下の法に反して駿河城内で挙行された真剣御前試合で対峙したのは、片腕の若武者と盲目の天才剣士だった!!残酷無惨時代劇!!

武士道は死に狂いなり

「武士道は死に狂いなり」は“武士道”の代名詞ともいえる「葉隠」に書かれた言葉です。『シグルイ』という作品のタイトルは、もちろん、ここからとられたものです。ストーリーは御前試合で盲目の剣士・伊良子清玄と隻腕の剣士・藤木源之助が対峙するところから始まり、そこから彼らの因縁に遡っていきます。もともろ『シグルイ』は、直木賞作家・南條範夫の『駿河城御前試合』という連作短編集の一編「無明逆流れ」をコミカライズした作品。残酷もののブームを作ったといわれる南條範夫の原作も凄惨ですが『シグルイ』も相当に凄惨です。そこら中で内臓の花が咲きます。「封建社会の完成形は 少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ」このセリフに表されている通り、登場人物達の多くは、自分の能力の如何に関わらず身分という枠の中でしか動くことができません。枠の中でしか動けない人々は、自身の行動を合理化していく過程でマゾヒストになっていくのです。その結果、主君の常軌を逸した命令でさえ、家臣は顔色一つ変えず、平静な心のままに実行していくのです。主人公の一人・藤木源之助もそのタイプで、自分の範疇から一歩もでることなく、許された唯一つの事――剣術を鬼気迫る勢いで極めていきます。逆に伊良子清玄は、類まれな才能を使って、どこまでも上に向かおうという野心がある、封建社会のはぐれ者です。この二人は互いに互いを殺そうと思っています。ただその殺意がどのようなものであるのか、言葉で言い表すことのできない複雑な感情を『シグルイ』では15巻にわたって描かれていきます。  『覚悟のススメ』や『悟空道』など、山口貴由さんのそれまでの作品はド迫力の絵とその上に大きな文字がバンバンと置かれるという描写が多かったと思います。『シグルイ』でも、初めはそのような目立たせる演出が多いのですが、段々とそのような描写はなくなり、セリフ自体も減っていきます。その結果、より研ぎ澄まされた言葉と静謐な描写は、人々の内面にこもった狂気をこれでもかと醸し出し、作品全体に不穏な空気を漂わせていきます。私が特に好きなシーンは、3巻の終わり「この日 生まれ出でた 怪物は二匹」「いや 三……」というところ。文字だけでみればなんてことはないセリフですが、ここにいたる構成が素晴らしすぎるのです。研ぎ澄まされたこの2つのセリフが、この後どのような意味を持つのか…。続きは是非よんでみてください。

名無し
信長のシェフ
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現代の料理人・ケン。彼が目を覚ますとそこは戦国時代だった。京で評判の料理の噂を聞きつけた信長は、強引にケンを自分の料理人にするが…!?戦と料理が織りなす前代未聞の戦国グルメ絵巻!コラム&レシピ「戦国めし」も必見!

ほうしんえんぎ
封神演義
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【カラーページを収録したデジタル特別編集版!】紀元前11世紀の中国、殷(いん)の時代末期。崑崙山脈(こんろんさんみゃく)の仙人・太公望(たいこうぼう)は、悪しき仙人・道士を封印する「封神計画」という任務を受ける!殷の皇帝・紂王(ちゅうおう)を誘惑して暴虐の限りを尽くす仙女・妲己(だっき)を、太公望は真っ先に封神しようとするが…!?

思わず自分語りしてしまうほど、絶大な影響

封神演義は中国のお話が原作なんだって! と友人から聞き、先のストーリーを知りたいと思った当時の私は図書館にあった「封神演義」に果敢にも挑戦、文字の多さにあえなく敗退した。 そして、漫画家という職業を尊敬すると同時に、毎週のジャンプを楽しみにする生活に戻った。 とはいえ、この漫画のお陰で中国に殷と周という時代があって、紂王と武王がいて、と簡単な中国史の始まりを知ることができ、歴史の授業でさらっと名称が出ればキャラクターの顔が思い浮かび、なんだか心浮き立つ気分を味わうこともできた。 四字熟語の「酒池肉林」も「封神演義」で知った。あれはなかなか衝撃的なビジュアルだった。 知らないことを自然と身につけることができる漫画のパワーって偉大だよなあと思う。 そして私が好きだったキャラクター・藤崎竜先生版の太公望といえば、ぐだぁっとしたマイペースな性格と、あのツノのような頭のかっこいい結び目、ほっぺたのカワイイZマーク。 イラストを描くときは真似してZをほっぺたに描くだけで、絵がものすごく下手な自分でも、カワイイ絵が描けた気がした。 さらに手足を大きくデフォルメして描く技を真似して、さらに上手になった気分を味わった。 周囲の絵が上手な友達は、先生が描くイラストの要素があった気がする。 他の方のレビューをみても、みんな思わず思い出すことがあれこれあるようで、絶大な影響を与えた作品だと思う。

ゆゆゆ
ゆゆゆ

唯一無二「フジリュー」というセンス

まず、皆思うのが、巻数を重ねるごとに 「絵柄変わってない?」 ということだと思います。 最初のほうはシュッとしているのに、だんだん靴とかガンダムみたいになっていきます。 本題。 小さい頃どハマリして再読。 今でも、最後にかけて畳かける摩訶不思議な展開は、ドラッグやっているかのような中毒性があります。(ドラッグやったことないけど。) 中国の古典怪奇小説『封神演義』を原作としながら、作者の類稀なるセンスによって大胆にアレンジしたところが、本作の魅力だと思います。 SF、ファンタジー、ギャグ、バトルの要素を取り入れつつ、ちょいちょい美形キャラも出して…といった上質な少年漫画として仕上がってます。 自分自身、『史記』における『キングダム』同様、 有名原作を「忠実」に再現したから面白いわけではないと常々思っているんですね。 同じ題材でも、ストーリーの構成や演出、登場人物のキャラ付けなど、作家によって異なりますよね。 そこが、ポイントなのだとしたら、作者のもつ独創的発想と幻想的なデザインに、摩訶不思議な古典小説が、見事にマッチしたからでしょう。 本作がここまでヒットしたのは、そこにあると改めて思いました。 余談ですが、何年たってもスープーシャンは可愛いっすね。

六文銭
六文銭
バジリスク~甲賀忍法帖~
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あらすじ

江戸の世、天下人・徳川家康は甲賀(こうが)と伊賀(いが)という忍法の二大宗家を相争わせ、十人対十人の忍法殺戮(さつりく)合戦の結果どちらが生き残るかによって、三代将軍の世継ぎ問題を解決させることにした。だが憎み合う両家にあってそれぞれの跡取り、甲賀弦之介(げんのすけ)と伊賀の朧(おぼろ)は深く愛し合っていた――。時代に翻弄(ほんろう)される忍術使いたちのあまりにも過酷な運命の幕が上がる!!

原作が残したマンガへの影響

2/22のマンバ読書会「忍者マンガ&マンガにでてくるネコ」の時に、ゲストの兎来さんのトークでとっても興味を持ったので読んでみました! 以下はトークショーで教えてもらったことですが、原作がなんと1959年。 しかし、60年以上も前の作品とは思えない、奇抜で斬新なキャラクターと忍法、展開の読めない10対10のチーム戦、そして伊賀と甲賀の一族を超えた想い…! 現代のマンガにも多く用いられている物語のテーマやキャラクター設定が本当に盛り沢山!! マンバ読書会のトークショーで兎来さんは、「この作品がなければNARUTO、ONE PIECE、H×Hやジョジョも生まれていなかった」とおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思いました!! 2003年から連載が始まったこちらのマンガですが、…かなり夢中になって一気読みしてしまいました。 絵がとにかく美しくて素晴らしい、、!! 少女漫画が大好きで、普段女性向けの作品を読んでいる私なので、 せがわまさき先生のお名前や作品名は知っていたものの、まず読むきっかけが全くありませんでした(笑)が、 今はとにかく読了後のあのラストの余韻と、こんな素晴らしい作品を読むきっかけをくれたマンバ読書会と兎来さんに感謝の気持ちでいっぱいです…!!

せのおです( ˘ω˘ )
せのおです( ˘ω˘ )
ムジナ
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あらすじ

登場人物/ムジナ(修行中の忍者。忍者としての生き方に悩む)ゴキブリ(ムジナの父親。自分が生き抜くためダメ忍者を装っている)シロベ(下忍。首領の駒としての生き方に疑問を持ち里を抜ける)あらすじ/皆からゴキブリと呼ばれるダメ忍者の親父をもつムジナ。「この親にしてこの子あり」の如く、修行中のムジナもぱっとしない。ゴキブリは、首領のために死ぬ生き方の悲しさを秘術とともにムジナに教え、後日、任務中に囮として使われ死ぬ。ゴキブリの妻・アヤメは復讐のために首領に近づく。以前から、首領のために死ぬ生き方に疑問を持っていたシロベが里を抜け出す。このシロベの始末をムジナが所属する組に命じられた。死んだかに見せかけたシロベを発見したムジナ。口封じのためにシロベに殺されそうになり、追いつめられたムジナは、父・ゴキブリに教えられた秘術を使おうとする。▼第1話/鎌鼬(かまいたち)▼第2話/鮟鱇(あんこう)▼第3話/でんでん太鼓▼第4話/秘術▼第5話/月▼第6話/馬追虫(うまおいむし)▼第7話/抜け忍▼第8話/察気術(さっきじゅつ)▼第9話/鯣(するめ)▼第10話/糞(くそ)▼第11話/陰(ほと)▼第12話/猿(さる)▼第13話/簪(かんざし)▼第14話/死装隠れ▼第15話/再び秘術◆その一/手裏剣◆その二/忍び刀登場人物/ムジナ(卍衆の忍び、下忍の中でも劣等生)陣内(首領の息子、ムジナの友人)ゴキブリ(ムジナの父親、出来の悪い下忍)

どろろてづかおさむぶんこぜんしゅう
どろろ
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あらすじ

戦国時代。武士・醍醐景光(だいご・かげみつ)は己の天下取りという野望のために、わが子を48体の魔物に差し出した。体の48か所を奪われ、不思議な能力を持って生まれた百鬼丸(ひゃっきまる)は、妖怪から自らの体を取り戻すため旅に出るが……。 <手塚治虫漫画全集収録巻数>◦MT147「どろろ」1巻収録 ◦MT148「どろろ」2巻収録<初出掲載>◦『どろろ』 少年サンデー 1967年8月27日号~1968年7月22日号 ◦『どろろ』 冒険王 1969年5月号~10月号

最近もなにかと話題の作品ですが、ちょっと待ってください!!!!

1967〜1968年に週刊少年サンデーに、その後1969年に冒険王にて連載された作品。サンデー時代は「暗い」という理由で打ち切りになったようです。 なぜか手塚治虫先生の代表作の一つっぽく扱われることが多いのですが、自分自身(ヅカラーです)はそこまで好みではありません。 2000年代に入ってからも、2度の小説化(2001、2006)、ゲーム化@PS2(2004)、アニメ化(2019)、映画化(2007)、舞台化(2004、2009、2019)と、ひくて数多のメディアミックス王となっています。 そして2022年12月になんとタテヨミマンガとしてリメイクされ、日韓同時配信開始とのことでしたので、再読しました。 https://tezukaosamu.net/jp/mushi/entry/26314.html ストーリーは、戦国時代に、父の天下統一の願いと引き換えに魔神の生贄とされた主人公(百鬼丸)が、失われた自己の48個の体のパーツを取り戻すため、48匹の妖怪を倒す旅に出るというものです。 つくりは、基本的には1匹とのバトルを1週〜数週で描くのの繰り返しで、いわゆるバトルものの王道ともいえるものになりましょうか。ちなみに百鬼丸は拾って育ててくれた医者に、ピノコ的な魔改造を施され、失ったパーツの各部分に武器(剣や爆弾など)を仕込まれており、それらを駆使して敵と戦います。 ヅカ先自らお認めになられてるとおり、水木しげる先生の各種妖怪もののヒットに触発されて生み出された作品とのことですが、正直手塚先生にこういった王道バトルものは向いてないように思われます。 各種メディアミックスの影響や、あたかも先生の代表作かのような扱いで誤解してほしくないのですが、手塚先生の作品に興味を持つことがあったら、個人的には、絶対にどろろからは読んでほしくないです!!!火の鳥やブラックジャック、ブッダ、きりひと讃歌、奇子、陽だまりの樹、アドルフに告ぐあたりがまだでしたら、そちらの方を先に読んでほしいです!!!! もし「どうしてもバトルものが読みたいんだ!!」ということでしたら手塚先生の作品ではなく、宮下あきら先生の「魁!男塾」にしてください!

酒チャビン
酒チャビン
テルマエ・ロマエ
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あらすじ

すべての“風呂”は、“ローマ”に通ず。「マンガ大賞2010」と「第14回手塚治虫文化賞短編賞」をW受賞、実写映画(主演:阿部寛)も記録的な大ヒットとなった超ベストセラー・爆笑コミック! 紀元前128年、第14代皇帝ハドリアヌスが統治し、かつてない活気に溢れているローマ。すべてに斬新さが求められるこの時代、古き良き浴場を愛する設計技師のルシウス・モデストゥスは、生真面目すぎる性格が時代の変化に合わず、職を失ってしまう。落ち込むルシウスは友人に誘われた公衆浴場から、突然現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまい……!?

ふうたろうふせんにっき
風太郎不戦日記
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あらすじ

山田誠也、のちに「忍法帖」シリーズでその地位を確立する大作家・山田風太郎は、昭和20年、医学生として東京にいた。時は太平洋戦争末期、同世代の若者は、みな戦地へ。しかし体調不良で召集を見送られた誠也は、お国のために体を張れない葛藤を抱えながら、日々を送っていた。そんな彼が当時の世間を、そして日本をどう見ていたか。克明に綴られた日記を、令和の今だからこそ、コミカライズ。個性派漫画家・勝田文がユーモアを交えて描く風太郎と昭和20年は、必読ものです!

あるきめですのたいせん
アルキメデスの大戦
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あらすじ

戦艦「大和」を阻止せよ!!! 日本の未来を1人の数学の天才が変える!? 時は1933年。日本海軍の中枢・海軍省の会議室で、次世代の旗艦を決める新型戦艦建造計画会議が開かれ、2つの陣営が設計採用を争う事に。これからの海戦を見据え、高速の小型戦艦を打ち出す“航空主兵主義”派に対し、海軍内で権力を握る“大艦巨砲主義”派の計画は、世界でも類を見ない超巨大戦艦の建造だった――!!

空母いぶき
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『沈黙の艦隊』『ジパング』に続く、かわぐちかいじの新軍事エンターテインメント第1集!! 20XX年、尖閣諸島沖で海上自衛隊と中国海軍が衝突!! 戦闘は回避したものの、危機感を募らせた日本政府は、最新鋭戦闘機を搭載した事実上の空母「いぶき」を就役させ、新艦隊を編成――――!!! 艦長は、空自出身の男・秋津―――。

たなばたのくに
七夕の国
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あらすじ

ちょっとした超能力が使えるのが取り柄の南丸こと、ナン丸はある日、知り合いでもない民俗学の教授・丸神から呼び出しを受けた。だが丸神は調査のため「丸神の里」へ行ったきりで戻っておらず、残された研究生からは「教授とナン丸は、同じルーツを持つらしい」と告げられ、心当たりを尋ねられた。だが何も知らない――。いっぽう「丸神の里」東北の丸川町では、殺害方法のわからない猟奇事件が起きた。失踪した丸神教授の研究内容と足取りを追って、丸神ゼミとナン丸は「丸神の里へ」おもむくが…。

岩明均の魅力とは

ことしも夏がやってきます。何やらことしは猛暑になるそうで、夏を迎える準備は出来ているでしょうか? 夏の情景を想像してみてみましょう。まだ夜の涼しさをのこした光りかがやく希望に満ちた朝、狂ったような太陽に照らさせて蜃気楼さえ見えてしまいそうな日中、沈みかけの夕陽が乱反射してちょっぴり切ない夕方、冷えたビールをゴクリと酔いも手伝い不埒な予感な熱帯夜などなど。夏、夏、夏、ほんとうに夏って魅惑されますね。どの瞬間を切り取っても胸を鷲掴みにされてしまいます。さて、私の夏好き話はこのぐらいにしておいて、皆さんにはこんな経験がお有りでしょうか? 暑い夏の昼下がり、涼しい部屋のなかで映画なり漫画なり小説なりを見たり読んだりして、物語の世界に入り込んでいる。読み終えて現実の世界に戻ってくると、どこからか蝉の鳴き声が聴こえてくる。立ち上がり、窓を開けると猛烈な熱気と狂ったような蝉の声がクーラーで冷えた身体を直撃する……。そんな時って、一瞬、現実と非現実の区別がつかなくなったりしないでしょうか? そんな夢まぼろし、白昼夢のような世界へと貴方をいざなう一夏の物語が『七夕の国』です。 作者は『寄生獣』や『ヒストリエ』でお馴染みの岩明均。乾いた作風なのに不思議な後読感を残す、ドロドロした内容なのに妙に風通しが良い、なんとも掴みどころがないんですよね、この人の作品は。もっというと、絵もそんなに上手いわけではないし、だからといってヘタウマな魅力があるわけでもない。特徴といったら、多用する苦笑いみたいな表情くらいのもので、なんだかな~という感じです。でも、不思議と彼の創り出す世界には引き込まれてしまいます。 何年か前に江口寿史が漫画の背景がトレース技術の向上と多用によって写実的になっている傾向に対して、浅野いにおや花沢健吾の名前を出して批判したことを発端に大きな論争になったことがありました。その際、江口寿史は岩明均の名前を出して「岩明均さんという漫画家さんがいらっしゃいますね。あの人の絵はこう言っちゃなんだけど、そんなに上手じゃない。絵も構図も演出も簡素です。なのに、何十億もかけて撮った映画以上にドキドキハラハラ面白く、感動させる物語を見せてくれる。僕はここらへんに漫画表現というものの謎というか秘密というかパワーを感じるんです。」といっていたのです。これを見てなるほどな~と感心しまして、改めて岩明均の宙ぶらりん(あるいは唯一無二)な魅力を再確認したのです。 そんなわけで岩明均の魅力を説明するのは大変そうなのですが、それでもひとついえそうなのは、苦手な部分を長所で補っているということだと思います。漫画表現力、江口寿史が挙げていた絵や構図や演出、その他にも幾つかの要素があるとは思いますが、岩明均はそれらの能力の殆んどが平均値かそれ以下なんですよね。いわゆる、人気漫画家という方々はこれら漫画表現力の各要素が総合的に高いのでしょう。では何故、岩明均の漫画が魅力的なのか?それは、ほとんどの能力がダメでも、いくつかの部門で圧倒的に突出した強みがあり、さらに、それを魅せるのが上手いということなのではと思うのです。逆にいうと、ダメな部分を隠すのが上手いとも言えるかもしれないです。何しろ、弱みに対して強みが圧倒的なので、他の人気漫画家のそれと比べても、より深く読者をエグることができるのでしょう。 浅野いにおにしても花沢健吾にしても各能力が高いだけに作品自体が放つ雰囲気が華やか(内容とは関係なく)ですよね。対して、岩明均の作品はどうあがいても地味な雰囲気が漂っているのですが、ひとつの道を極めた魅力というものには凄みがあり、"いぶし銀"といった言葉が良く似合います。 何はともあれ、『七夕の国』に話を戻しますと、時期的には『寄生獣』と『ヒストリエ』の間に描かれた作品です。SFと歴史物ではずいぶん差があるように思うかも知れませんが、作者本人にしてみれば過去も未来も同じように未体験で未知な領域であるからして似たようなものなのでしょう。『七夕の国』はそんな気分を象徴するかのようにSFと歴史を一緒くたに引き受けたトンデモ誇大妄想物語です。それを現代目線であっけらかんと描いてしまうから不思議なものです。 最初にもいった通り、ひとときの夢まぼろし、白昼夢のような世界へと誘ってくれること間違いないでしょう。一番最後のページで、浴衣姿でうちわを持ったヒロイン的な女の子が「ようこそ。」って言うのがすごく効くのです。これほどまでに夏を感じさせる漫画はなかなかないのではないないでしょうか。いや、実はぜんぜん夏っぽくはないんですけど、やっぱりそこここに夏が漂っているような気がするんですよね……。

影絵が趣味
影絵が趣味
ひのとりてづかおさむぶんこぜんしゅう
火の鳥
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「その生き血を飲めば永遠の命を得ることができると言われている……」。「永遠の命」をテーマに、手塚治虫が生涯にわたって描き続けたライフワーク作品「火の鳥」シリーズがついにはじまる! 第1巻には「騎馬民族渡来説」を取り入れ、独自の解釈による日本神話を描いた「黎明編」に加え、手塚治虫エッセイ集より抜粋した「『火の鳥』のロマン」を掲載。 <手塚治虫漫画全集収録巻数>・『火の鳥』黎明編(手塚治虫漫画全集MT201~202『火の鳥』第1~2巻収録) ・『「火の鳥」のロマン』(手塚治虫漫画全集別巻MT389『手塚治虫エッセイ集』第3巻収録) <初出掲載>・『火の鳥』黎明編 1967年1月号~11月号 COM連載 ・『「火の鳥」のロマン』1983年1月号 「旅」掲載

「ヤマト編」の感想です!

黎明編に引き続き、ヤマト編を読みました。 時代としては手塚治虫公式サイトによると、4世紀頃とのこと。物語としては、ヤマトタケルインスパイア(オリジナルの方を知らないのでどれくらい下敷きになってるのかわわかりませんが)です。 黎明編の最後で崖を登って旅立ったタケルが出てくるのですが、それが80年前とのことなので、前作は3世紀の設定ですかね。黎明編には卑弥呼が出てきて、卑弥呼は242〜248年ころ没とのことなので、大体そんな感じかもしれません。 黎明編のタケルが外界に出て作った国の名が「クマソ」なのですが、これはタケルのお母さんが生まれ育った国の名と同じで、黎明編で滅ぼされてしまっているのですが、同じ名前をつけているところがすごくジーンときました。 長さ自体は結構短く、1時間もあれば読み終わってしまうのですが、体感としてはかなり内容が濃く、読み終わった後の充実感がありました。 印象に残った一コマは、オグナがかなりサイケデリックな背景の中、火の鳥に笛を聞かせているシーンです。P-FUNK系の曲調だったのでしょうか。 作品のメッセージ自体は「生きる幸せとは」といったかなり壮大なものですが、作風がかなり砕けており、すごくわかりやすく読みやすいので、お子様にも安心してオススメすることができると思います。 次回は、作中の時系列で読み進めるということだと、「太陽編」の半分くらいが7世紀なのですが、もう半分が21世紀なので、前編8世紀頃の「鳳凰編」とどちらに進むか迷います・・

酒チャビン
酒チャビン

「復活編」の感想です!

火の鳥の中でトップクラスに好きな話です!!!火の鳥って、好きな編がそれこそ十人十色で、かなり票が割れる傾向にあると思うのですが、それだけ全てのエピソードが粒ぞろいということではないかと思います。 復活編はいくつかの時代を行き来しながらエピソードが進行します。 火の鳥はシリーズ全体からしてそういう構成をとっているのですが、復活編は一つの編の中でそれをしています。 2482年→2483年→3030年→2484年→3009年→2484年→2917年→3344年 主人公がある事故をきっかけに体の6割ほどを人工物に入れ替えられてしまうのですが、それにより、人間が無機物に、ロボットが人間に見えるようになってしまいます。 ・身体の60パーセント人工物に変えられた人間である主人公 ・主人公には人間に見えるロボット(主人公にやさしい) ・主人公には無機物に見える人間(主人公を殺そうとする) ・人間らしさとは人間と形が似ていることだと言い、人間に似せて作られたアンドロイドと愛し合う人間 ・人間とはかけ離れた容姿だが自分はかつて人間であったと信じるこけし型ロボット などが登場し、これまでの編でも何回か出てきた「何が人間を人間たらしめるのか」というテーマを考えさせられます。 他の編との繋がりですが、望郷編でちょろっと登場したチヒロがメインキャラの一人として登場します。あとラストで猿田博士が登場し、ロビタも未来編で登場します!

酒チャビン
酒チャビン
豊作でござる!メジロ殿
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ちさかあや(郷土を愛する実力派)×原恵一郎(漫画家兼農家) 長野県在住コンビが贈る、信州・幕末農業ドラマ!! 人の向上心が農業の発展を促す! 農政を司る郡奉行・目白逸之輔の周囲にはいつも農事にまつわる無理難題と悲喜こもごもが……

侍、農業技術を集約する!幕末農業ドラマ!!

新刊が出た時にあまりの表紙の良さにジャケ買いしたマンガ。1話もすごく面白くて、先を読むのがもったいなくて長いこと積読してしまいました。『豊作でござる!メジロ殿」 は、重要な命綱である農業生産の拡大に欠かせない、農作にまつわる知識・技術を記した「農書」を編纂する侍「郡奉行」を描いた物語。 https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,h_365,q_80,w_255/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/book/regular_thumbnail/278872/eae4999a-0b98-4956-b939-ae71812028ea.jpg **主人公の目白は、蟲師のギンコのように山を超え農村を渡り歩き、農民たちと共に田畑へ入り土をいじるとても感じの良いお侍さん。** 行く先々で、村人たちが不作で困っていることがあれば、所持している農書や自身の経験から改善策を指導してやり、原因がわからないなら懸命に追求し解決に導いていきます。 メジロ殿と村人たちのやり取りは人情に溢れ、また農業指南の部分はすごく論理的・科学的で読み応えがありすごくいい…!科学捜査ドラマとDASH村と田舎に泊まろうと時代劇と一緒に見ているような満足感があります。https://i.imgur.com/5GluUpy.png (『豊作でござる!メジロ殿』原恵一郎/ちさかあや) 原作の原恵一郎先生は漫画家兼農家だそうで、**作中に登場する当時の人々が経験則から見つけた技術を、現代の知識で解説するのが非常にうまい!**わざとらしさやクドさが全くなくて超スマート。 特にすごいなと思ったのが、昆虫食のパート…! 農業をテーマにした作品でありながら、「食糧問題は、農業生産拡大でしか解決できないわけではない(※2013年にFAOは食糧問題解決策として、昆虫食についての報告書を公開しています)」ことを描いているんです。 だからこそ、美味しく食べられる野菜・穀物増産の重要性を感じましたし、農業以外のことを描くことで物語に広がりを感じられて本当にすごい…! 絵が本当に魅力的で、言葉遣いには現代的な和製漢語も取り入れて書かれており、読みやすくわかりやすい。できるだけ長く続いてほしい…そしてJAとか小学校とかに置いてほしいマンガです…!! https://manba.co.jp/boards/109227 【余談】 原先生がこの作品を描くきっかけになったこの「農書」について、読み終わってから、実際にどんなものがあるのか簡単にググってみたのですが、日本最古の農業書『農業全書』は1697年に出版されているとのこと。現代語訳を読んでみたくなりました。 https://agri.mynavi.jp/2018_04_08_24073/ http://codh.rois.ac.jp/pmjt/book/200021654/ https://www.zkai.co.jp/wp-content/uploads/sites/14/2019/09/r670i6000000nkwy.pdf

たか
たか
ぶっだてづかおさむぶんこぜんしゅう
ブッダ
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いまから三千五百年ほどの昔、インダス川のほとりに住むアリアン人はバラモンを頂点とする身分制度を築いていた。そんな中、物語の主人公であるシッダルタが誕生する少し前、奴隷出身のチャプラはコーサラ国の将軍を助けたことがきっかけで彼の養子となる。そして、出自を隠して権力の座を狙うが、チャプラもやはり身分制度の呪縛からは逃れることができなかった……。ブッダが生きた時代とその生涯を描いた大作がここに始まる! <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT287~288『ブッダ』第1~2巻収録 <初出掲載>1972年9月号~1978年7月号 希望の友/1978年8月号~1979年12月号 少年ワールド/1980年7月号~1983年12月号 コミックトム連載

手塚治虫の中でも一番

一番面白い、とは言いません。でも一番好き。 漫画を読み始めた小学生の頃、実家にはブッダの愛蔵版と秋田書店版ブラックジャックの単行本とDr.スランプがあり(後に手塚作品は拡充されていってたけど他は自分で買うようになった)それらをひたすらに読み返していたので思い入れも一番深いです。 火の鳥は雑誌ぐらいの大きさの○○編とかごとに別れてるやつがピアノの先生の家にあって待ち時間に読むのが楽しみでした。 なんか書いてるとすぐ脱線してしまう。。。 ブッダ(仏陀)に関して、私は正直この手塚治虫のブッダ以外の知識がないです。本来の意味としては「悟りを開いた人」ということだったと思う。 ただ、どこまでが世間一般で言う意味合いと合致しているのかわからないのでそこは置いときます。 今作はシッダールタがブッダとなり亡くなる(正しい表現じゃなかったらすみません)までの間の物語。 宗教的な背景や知識がなかった小学生でも、シッダールタを取り巻く登場人物たちや出来事のインパクトに惹き込まれあれよあれよと最後まで読み切り、また何度でも読み返してしまうほど深い作品でした。 タッタがすごい好きだったなぁ…ダイバダッタが本当に憎くて、でもみんな憎みきれない感じのストーリーを持ってるんですよ。 一言で言い表せない内容で、なんとも感想が書きづらいけど、本当に面白いし読まないのはほんと損だと思う。 人生への影響が色濃く強い!というほどではないかもしれないけど、きっと心に残ると思います。 大人になってから行ったタイ旅行で見た涅槃像を全部ブッダだと思って見てました。心臓を上にして横になるので右肘で頭を支えてるんですよね。これも事前知識なく手塚ブッダで学んだことだったけど合ってました。楽しい。

さいろく
さいろく

超おもいでの作品

高校生の頃(すでに手塚先生は亡くなられていましたが)、火の鳥を読んで、その面白さに圧倒され、続けて読んだのがこのブッダで、それまでに読んでいたマンガとは完全に別格の面白さに、すっかり虜になりました。わたしがヅカラーになる決定打となった作品で、とても思い入れがあります。この度、再読して、その面白さを再確認しました。 もし「ゆうれい小僧がやってきた!」がもう少し面白ければ、ゆでラーになっていたと思うので、人生なにが起こるかわかりません。 本作品は、ブッダの生涯を描いたものですが、物語は生まれる少し前からスタートします。 仏教の教えについては、そこまで詳しくないので、この作品に書かれている数々の教えが、仏教の教えそのものなのか、それとも手塚先生なりのアレンジが加わっているのかは分かりません。本作中のブッダは、決して最初から聖人だったわけではなく、どちらかというと問題児的な部分や弱い部分もありながら、いろいろ経験していく中で迷いながら悟っていくので、自分を諦めない勇気をもらえます(作中の弟子たちも皆そうです)。 ただ、実在のブッダや本作品中のブッダが数多の人の心をお救いになったように、手塚先生は本作品によって、わたしの心をありがたくもお救いになられました。その意味で、手塚先生は、巷間言われているとおりマンガの神様であると同時に、我が心の仏様でもあります。 ちなみに、作中登場するタッタ、ミゲーラ、チャプラ、ブダイ将軍、バンダカ、アッサジあたりは手塚先生のオリキャラだとのことです。まぁ正確な歴史を知りたいわけではないので、別に良いですし、むしろその辺のオリキャラの存在によって、より心根に響く作品になっていると思います。

酒チャビン
酒チャビン
はいからさんがとおるしんそうばん
はいからさんが通る 新装版
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70年代に少女たちの間で空前の「はいからさん」ブームを巻き起こしたラブコメの名作が、装いも新たに登場!! 時は大正、花村紅緒、17歳。明るく元気いっぱいのハイカラ娘。恋も結婚も自分で選びたいと夢見ていたある日、伊集院忍という許嫁の陸軍少尉が現れる! 自分のじゃじゃ馬ぶりをいつも面白がる笑い上戸の彼が気に入らない紅緒は、この結婚を破談にしようとして!? 2017年に劇場版新作アニメも公開予定!

大正時代を舞台にしたラブコメ大作といえばこの作品

テレビにも映画にもなった大和和紀先生の代表作の一つ、笑い有り、感動有り、ハチャメチャで元気な女の子、花村紅緒とイケメン少尉、伊集院忍の大正時代のラブストーリー大作です。この時代にこんな女の子、もし現実に居たらきっと生き辛かったと思います。でも紅緒はそんな時代でも負けない明るさと強さを持っています。そんな型破りなはいからさんに忍も伊集院家の人達も惹かれて行きます。紅緒は生まれた時から忍の許嫁。それが気に入らない紅緒は忍に嫌われようと頑張りますが、実は初対面から忍が気になっていて、忍の方も元気な紅緒に好感を持っていました。生まれた時から決められた相手をお互い本気で好きになるなんて本当に素敵な運命です。やりたい事が出来ない時代で特に女性は大変だったと思いますが、きっと紅緒の様に自分で切り開いて行く人もいたでしょう。自分も大正時代にスリップした気分になれるぐらい物語に引き込まれてしまいます。また所々に書かれている大和和紀先生のちょっとしたギャグがとても笑えるのです。泣ける感動シーンがあるかと思えば、思わず声をあげて笑ってしまうシーンも有りとにかく面白いのです。この時代が好きな人にはもちろんお勧めですが、マンガが好きな方には一度は読んで欲しい作品です。

名無し
地獄楽
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あらすじ

最強の忍として畏れられ、抜け忍として囚われていた画眉丸は、打ち首執行人の“山田浅ェ門佐切”から無罪放免になる為の条件を突きつけられる。その条件とは極楽浄土と噂の地で「不老不死の仙薬」を手に入れること…!! 生死を悟る忍法浪漫活劇、開幕――!!

むげんのじゅうにん
無限の住人
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あらすじ

父を殺し、母を攫(さら)った剣客集団『逸刀流(いっとうりゅう)』に復讐を誓う少女・浅野凜(あさのりん)は、「百人斬り」の異名を持ち、己の身体に血仙蟲(けっせんちゅう)という虫を寄生させることで不死の肉体を持った剣士・万次(まんじ)を用心棒として雇い、逸刀流の統主である宿敵・天津影久(あのつかげひさ)を追う旅を始める――。