あんさつきょうしつ
暗殺教室
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あらすじ

号令と共に教室を満たす銃声!椚ヶ丘中学校3年E組は生徒全員が先生の命を狙う暗殺教室。教師と生徒、標的と暗殺者の異常な日常が始まる――!!

なつめあらたのけっこん
夏目アラタの結婚
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あらすじ

これは、最も一線を越える「結婚」!! 児童相談所に勤務する夏目アラタは、結婚に夢など抱いていない30代・独身。彼はある日、担当児童・卓斗から「父を殺した犯人に代わりに会って欲しい」という依頼を受ける。犯人の名は品川真珠。【品川ピエロ】と呼ばれる有名連続殺人犯だった…!!

約束のネバーランド
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あらすじ

母と慕う彼女は親ではない。共に暮らす彼らは兄弟ではない。エマ・ノーマン・レイの三人はこの小さな孤児院で幸せな毎日を送っていた。しかし、彼らの日常はある日突然終わりを告げた。真実を知った彼らを待つ運命とは…!?

モンキーピーク
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あらすじ

社員の結束を高める為の、登山レクリエーション。雄大な自然を感じる爽やかな山は、夜と共に惨劇の舞台と化す!藤谷製薬36名が体験した、未体験の悪意とは…!?凍牌の志名坂高次が初の原作を手がけ、俊英・粂田晃宏が入魂の筆致で迫る。戦慄と衝撃の山岳パニックホラー開幕!!

わたしは真悟
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あらすじ

産業用ロボットが、ある日突然意識を持った!それは、少年さとると少女まりんの純粋な心が作り出した意識でもあった!父親から「うちの会社にロボットが入社する」と聞いたさとるは、興味津々。モンローと名付けられたロボットとさとるは出会うが!?

壮絶なまでの、愛と真実の物語

奇跡は 誰にでも 一度おきる だが おきたことには 誰も気がつかない 各巻の冒頭に冠せられる一句です。 このことを産まれてくることのメタファーと捉えるかどうかは、ひとまず端に避けておきたいと思います。 それはともかくとして、皆さんにも憶えがあるでしょうか。子どもの頃に、どうやったら子どもができるんだろう、と悩んだことが。 小学三年生の夏休みでした。私は急性の髄膜炎に罹り、救急車に運ばれました。運ばれた先の入院病棟で、私はAちゃんと知り合ったのでした。 私たちはすぐお互いを好き同士になりました。 それぞれの学校で、日記の宿題がでていたのですが、外へ出られない入院患者の私たちには書くネタがほとんどありません。そこで、ふたりで協力をして、空想の日記をしたためることにしたのです。 この悪巧みは、部屋の消灯時間がきてから秘密裏に行われました。灯りが落とされると、どちらかがカーテンに閉ざされたベッドのなかに忍び込みます。そして布団をあたままで被ってライトのひかりを漏らさないようにしながら日記を綴りました。 ある日の夜、空想の日記を書く延長で筆談をしていたときでした。どうしたら子どもができるのか、という話になったのです。当時の私にとって、その謎はあまりにも大きなものでした。それはAちゃんにとっても同様だったようです。私たちは日頃の空想癖にさらに拍車をかけて、どうしたら子どもができるのかについて筆談しつづけました。しかも、その謎はあまりに大きなものでありながら、あらゆるところで人知れず行われている、もっとも身近で、もっとも不可思議なことなのでした。 Aちゃんはまだ憶えているでしょうか、あの日の夜のことを。私は『わたしは真悟』を読み返して、また、ふと思い出しました。きっと、この本を読み返すたびに思い出すのだと思います。

影絵が趣味
影絵が趣味
あおのくんにさわりたいからしにたい
青野くんに触りたいから死にたい
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あらすじ

君に触れるなら、死んでもいいよ。これがわたしの愛なんだ。アフタヌーン公式サイト「モアイ」掲載の1話が300000PV突破! 話題の「青野くん」がついに単行本化! 天然少女・優里ちゃんと、その彼氏・青野くん。ごく普通のお付き合いをしていたふたりだが、ある日突然、青野くんが「いなくなって」しまう……。絶対に結ばれないし、触れ合えないふたりの、でたらめで切実すぎるラブ・ストーリー。

2017年からずっと一番好きな漫画

この作者はいわゆる天才なんだと思う。 いつも年末にその年一番良かった、好きだった漫画は何かを考える。 でも結局いつもよく分からなくなりそこから数か月経って、これかもしれないなーというのがふわっと浮かび上がってくる。 それが2017年は『青野くんに触りたいから死にたい』だった。 天然で思い込みが激しいタイプの女の子・優里に青野くんという初めての彼氏が出来るが二週間後に事故で亡くしてしまう。 優里は絶望し死のうとすると、幽霊になった青野くんが現れ…。 という始まり方で、これは一風変わったラブストーリーなのかと思った。 ところが読んでみると、とんでもない、そんなところじゃ収まっていなかった。 女の子の方のタガが外れているので何をしでかすか分からないドキドキ感と、青野くん本人も自覚していない隠された秘密が少しずつ露呈していく描き方がたまらなくゾッとする。 ピンク色イチャイチャからのゾッ、これがたまらない。 黄金比だ。 そして、異常事態を許容してしまうタガが外れた女の子優里ちゃん。 ここには人間の怖ささえある。 この漫画には、論理で捉えられない人たちの逸脱した思考・行動の怖さのようなものがずっと漂っていて、頭で理解できない本能的な部分にこそ恐怖を訴えかけてくるのだ。 なんかよく分からないけど怖いってやつ。 でもこれはホラー漫画では決してない。 1人の女子高生の繊細な恋心と仲間たちの感情の機微、つまりは青春を描いた漫画なのだ。 大好きだ。 この漫画が好きな人には是非、映画『イット・フォローズ』も観てほしいし、『イット・フォローズ』が好きな人にはこの漫画を読んでほしい。 ----------------------------- 追記 2020.07.04 話が続いていくほどに怖くなるこの漫画がなんでこんなに怖いんだろうと考えるんだけど、恐怖の根源ってそもそも理解が及ばないものということに気づいた。 昔から人間は理解できない自然現象や見えないけど確実に存在するもの、光や闇などを神とか悪魔とかの所業として畏敬や恐怖を感じていたから、それに近い気がする。 そこに厳然たる理論が横たわっているはずなのに、自分の理解ではどうにも分解できなくて考えが追いつかない感覚。 僕たちには理不尽にすら感じる霊との関わりの中で、ミオちゃんらの協力で少しずつ法則性が見えてきて恐怖が緩和されてきたようにも感じる。 恐怖に対抗する武器は理解なのかも。 自分自身の読解力のせいかもしれないけど、物語から作者さんの意図を読みきれないのが素晴らしくて、対談相手に『青野くん〜』は切り分けられずに様々な感情が付随して描かれていると言われたのに対して、 「私は、境界線を引きたくないんです。明確に境界線を引くって、何かを切り落とすってことだと思うから。そうすると、解像度が下がるので。」 と言っていて、すごく腑に落ちた。 漫画って線画のように、いかに現実の場面から情報量を減らして伝えたいものを画面に落とし込んで伝えられるかっていうメディアだと思ってたんだけど、それは線画の話であって、感情の話ではない。 一般的にデフォルメされた絵柄の漫画で語られる内容は絵柄に比例してシンプルなものが多いので、思えば『青野くん〜』の絵柄もそういう前提で読んでしまってこの感情の解像度の高さとのギャップに面食らってしまったのかもしれない。 当時テレビ放送時に『魔法少女まどか☆マギカ』にも驚いた記憶がある。 作者が感情ではなく理の人だと分かって、それ故に客観視されたような感情の言語化が果たされているのかと。 『青野くん〜』が三幕構成の話で、「キスを返して」までが一幕、『四つ首様編』までが二幕。 二人と仲間たち、どういう結末に向かっていくのか楽しみで仕方がない。

吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
ぼくだけがいないまち
僕だけがいない街
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あらすじ

毎日を懊悩して暮らす青年漫画家の藤沼。ただ彼には、彼にしか起きない特別な症状を持ち合わせていた。それは…時間が巻き戻るということ!この現象、藤沼にもたらすものは輝く未来?それとも…。

みすてりというなかれ
ミステリと言う勿れ
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あらすじ

話題沸騰★ 青年・久能整! ついに登場!! 『BASARA』『7SEEDS』の田村由美、超ひさびさの新シリーズがついに始動!! その主人公は、たった一人の青年! しかも謎めいた、天然パーマの久能 整(くのう ととのう)なのです!! 解決解読青年・久能 整、颯爽登場の第一巻!! 冬のある、カレー日和。アパートの部屋で大学生・整がタマネギをザク切りしていると… 警察官がやってきて…!? 突然任意同行された整に、近隣で起こった殺人事件の容疑がかけられる。しかもその被害者は、整の同級生で…。次々に容疑を裏付ける証拠を突きつけられた整はいったいどうなる…??? 新感覚ストーリー「ミステリと言う勿れ」、注目の第一巻です!!

おうじょうぎわのいみをしれ
往生際の意味を知れ!
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あらすじ

「元カノと結婚したい」は叶うのか!? 主人公・市松海路(いちまつかいろ)の前に、7年前に失踪した元カノジョ・日下部日和(くさかべひより)がある日突然、現れた。恋い焦がれ、待ち望みすぎて、元カノ教の敬虔な信徒と化していた市松だったが、彼女の無理難題な要求が明かされて… 「市松君に私の出産記録を撮って欲しいの。」「だから市松君の精子が欲しい。」 『あげくの果てのカノン』米代恭が新時代を切り開く、新しいアンモラル…!? 深呼吸必至の元カノ×元カレ“やり直し”ラブストーリー!!!

市松くん、さり気なくイケメン

ゆゆゆ
ゆゆゆ
くすりやのひとりごと
薬屋のひとりごと
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あらすじ

「小説家になろう」発! ヒーロー文庫の大人気タイトル『薬屋のひとりごと』が、待望のコミカライズ! 中世の宮中で下働きをする少女・猫猫(マオマオ)。花街で薬師をやっていた彼女が、帝の御子たちが皆短命であるという噂を聞いてしまったところから、物語は動き始める。持ち前の好奇心と知識欲に突き動かされ、興味本位でその原因を調べ始める猫猫の運命は――…!? ※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です。

中国皇帝専用ハーレムの名探偵

次にくるマンガ大賞2019コミックス部門1位にランクインしていたのが手に取ったきっかけだけど、絵がかわいいなと思って気になってはいた。 僕は歴史にはとんと疎いけどそれでも楽しんで読めるようになっているし、どの程度史実通りに描いてるのか分からないけどそれでいいと思う。 薬師をやっていた少女が薬草の調達にいった先でさらわれて、昔の中国の宮廷の後宮で働かせられる様子を描いた話なんですが、思ってもいなかったのがわりとお話がミステリー仕立てなんですね。 主人公の少女は、毒とか薬に関しては好奇心旺盛で、自分の体でどんどん実験して毒に強くなったり痺れるのを楽しんだり左腕がボロボロになってしまうほど。 このキャラ造形がとてもよくて、基本的によっぽどのことがなければ動じない性格で、興味もったことに対しては頭をつっこんでしまう。 この時代では毒も薬も表裏一体で医食同源で、後宮という皇帝専用のハーレム、つまり隔離された空間で女同士の政治は毒殺で動いたりするもので、毒味役に抜擢されたことで毒の発見から原因の解明も処方も、手口の究明もすべてお手の物というわけで名探偵のできあがり。 名探偵特有のゆるさやどこか抜けた感じも持っていていいし、活躍するたびに本人の意志とは別に「こいつやるな」ということでどんどん株が上がっていくのは「小説家になろう」らしさがある。 薬師としての能力をもったまま後宮にいくというある意味チートなわけですね。 後宮というのが画面が華やかでとてもいい。 主人公が男だったら男ばっかり診て、後宮にいくにはソレを切らなきゃいけないわけで読者は無駄に辛くなってしまう。 宦官(かんがん)が出てきて、あー、歴史で習ったことあるな、女の園に入って仕事するためにイチモツ取った男の人達だ、そうだそうだ、という感じでなかなか楽しい。 タイトルにひとりごとと入っているくらいは、周囲をよく観察して一人で考えているシーンが多い。 やはり高貴な人たちが集まる場所には高度な政治とミステリーが発生して人間関係などの謎解きが行われる楽しさは癖になる。 他の漫画だと「Landreaall(ランドリオール)」は主人公が王城の貴族の学校へ行ってから話のテイストがガラッと変わるけど、そこからが面白い。 血筋、産まれ、階級、王位争奪、そんな要素があれば権謀術数うずまくものだ。 5巻まで読んだのでこれからも楽しみ。

吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

フィクションと事実の織り交ぜかたが巧みな作品

狂科学者っぽさのある薬師の主人公・猫猫(マオマオ)が宮廷内で起こる様々を解決するという物語。作品の雰囲気は「応天の門」にも近いが、そちらが時代考証も交えつつ日本の史実に基づき物語を編んでいるのに対し、今作は中世の中国を思わせる架空の世界観の中に現実世界に即する事実や通説を見事に溶け込ませるストーリーの巧みさがある。2巻の園遊会の話では現代人であればすぐにピンとくるテーマを上手く織り交ぜたり、かと思えば4巻では最近話題になったある食べ物を物語のキーに置くという、バックグラウンドの知識があればあるほどニヤリとできるニクい構成になっている。 要所要所でハードな設定が織り交ぜられつつも重くなりすぎないように雰囲気が作られている点や、ぶつ切りのようにも見える個々の事件が絶妙にリンクしているのもポイントが高い。 主人公の猫猫が薬師というのもあるけど、主人公の猫猫が謎を解く思考の過程が面白い作品でもあるので、理系の人に特に刺さりそうな作品。 最新4巻で原作1巻を消化したようなので、新規開拓するなら今。 ちなみにどうやらビッグガンガン版とサンデーGX版があるらしいけど、どちらも原作準拠でストーリーはほぼ同じっぽいので絵の好みで選べばいいのかも。 4巻まで読了

sogor25
sogor25
テセウスの船
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1989年6月24日、北海道・音臼村の小学校で、児童含む21人が毒殺された。逮捕されたのは、村の警察官だった佐野文吾。28年後、佐野の息子・田村心は、死刑判決を受けてなお一貫して無罪を主張する父親に冤罪の可能性を感じ、独自に調査を始める。事件現場を訪れた心は、突如発生した濃霧に包まれ、気付くと1989年にタイムスリップしていた。時空を超えて「真実」と対峙する、本格クライムサスペンス、開幕。

どちらかというと『テセウスの船』というより『動的平衡』じゃない?

時間遡行をして人生をやり直したとしたら、それは本当に同一の自分といえるのか?という問いを有名なパラドックス「テセウスの船」になぞらえたタイトルだ。 ストーリーに関しては論理的整合性や感情的整合性においてやや粗い部分も感じられたもののサスペンスとして緊張感もあり、ラストは新海誠監督『君の名は。』のような美しい締め方だったし概ね面白かった。 ただ、タイトル『テセウスの船』がイマイチストーリーにハマっていない感じがした。 どちらかといえば「動的平衡」のほうが比喩としてしっくりくるのではないだろうか。 「動的平衡」とはシェーンハイマーの提唱した概念であり、日本では福岡伸一氏による著書『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』で有名になった言葉である。“生命”とは、取り込まれ代謝されていく物質、生まれ変わり続ける細胞どうしの相互作用によって現れる“現象”である、という考え方だ。 主人公の田村心は生まれる前の過去に遡り、そこで巻き起こる惨劇を阻止することで、その惨劇により自身に降りかかった不幸な運命を変えようと奮闘する。作品では、過去を改変して自らの人生を曲げようとする一連の試みをテセウスの船にたとえているが、やはりピンとこない。作中、田村心は殺人事件を未然に防ぐため凶器となった薬物を隠したり被害者に避難を呼びかけたりするが、その影響で心の知る未来とは異なる人物が命を落としたり、結果的に大量殺人を防げなかったばかりか予想だにしなかった事態を招くことになる。 この予測不可能性こそがまさに動的平衡そのものって感じなのだ。生命体は、船の部品のように壊れた部分を取り替えれば前と変わらず機能する、ということにはならない。ある重要なホルモンの分泌に作用する細胞を、遺伝子操作によってあらかじめ削除してしまったとしても、ほかの細胞がそのポジションを埋めることがある。これは心が殺人事件の阻止に何度も失敗したことに似ている。思わぬ不運や予想しない死者が出てしまったのも、脚のツボを押すと胃腸の働きが改善するなどの神経細胞の複雑さに似ている。 船は組み立てて積み上げれば完成するが、生命は時間という大きな流れの中で分子同士が複雑に相互作用しあうことで初めて現象する。『テセウスの船』での田村心の試みは人生あるいは歴史という動的平衡に翻弄されながらも抗う物語だったのかもしれない。

mampuku
mampuku

ミステリーとしてもヒューマンドラマとしても楽しめる

小生、僕だけがいない街とか、タイムスリップ✕ミステリー・サスペンスが好きなんすよね。 事件を理解しているから修正していく要素も、結果として現代に影響を及ぼしてしまうのも、ほんのりロジカルな感じがいいんです。 本作も1巻読んで、これ超好き!と思っていたので、完結まで待ってました。 「待っている」理由は、至極単純で、ミステリー・サスペンスものは読み始めたら最後まで一気に読みたいんですよね。 じゃないと、毎回先が気になって発狂してしまう恐れがあるので。 (こういう方、多いと思います) テセウスの船も同様に、寝かせて楽しみの熟成をしていました。 まさか完結して速攻ドラマ放映とはね、やられました。 そんなの両方気になってみてしまいますよ。 そして、そのドラマの出来のいいこと。 (あんまりドラマ見ない勢だから、目が肥えてないだけかもですが。) 原作と犯人をかえるとかいう噂もあって、 結局、先が気になって発狂してしまう運命は避けられなかったです。 両方みているものとして、違いとしては原作のほうが犯人わかりやすかったなと感じました。 ドラマよりも怪しい雰囲気の人物が他にいなかったし、真犯人に関しても想像ができてしまいました。 そういう意味での驚きは少なかったのですが、とはいえ、最後にどういう終わり方するのかは予想もできなかったし、結末に関してはある種のカタルシスを得られました。 爽快感とは違うのですが、納得感というか満足感というか。 テセウスの船というパラドックスを使う意味も、最終話で再度納得した始末。(彼が、違う人になったのかどうかの疑問も含めて示唆してますね。) また、ミステリー要素だけでなく、本作は家族の描き方もいいですね。 こちらもドラマの影響が大きいのですが、家族が思い支え合っている姿に何度も心救われました。 犯人を追い詰めるハラハラする面も、家族の絆を描いたヒューマンドラマでほっこりする面も、両面で十分に楽しめる内容だったなと思います。 メディアミックスで相乗効果を得られた好例の作品ですね。

六文銭
六文銭
モンキーピーク the Rock
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あらすじ

岩砕山の惨劇を越え、平和を取り戻した早乙女達。しかし行方不明になった友・宮田を救う為、早乙女は猿の探索隊に加入することに。猿の研究者、政府主導の精鋭部隊、早乙女。総員20名。いま再び、彼らに死を運ぶ“猿”の恐怖が襲い掛かる──!!戦慄の洞窟パニック、開幕!!

ゆきおんなとかにをくう
雪女と蟹を食う
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金も行き場もない男・北は、自殺を図るが、どうしてもあと一歩が踏み出せずにいた。ある日、テレビのグルメ番組を観て、「人生最後の日は北海道で蟹を食べたい」と思い立ち、強盗を決意する。高級住宅に押し入り、人妻に金を要求するが、彼女の行動は、全く予期せぬものだった――。

三十路美女に転がされる楽しさと絶望のスパイスがいいバランス

例えば『からかい上手の高木さん』のアダルト版のような良さがある。 色気のあるタッチ、夏の暑さを感じさせる温度感、どこか涼し気な美女、手玉に取られてしまうちょっとダメな男性。 なんでだろう、吸い付くように読んでしまう。 余裕と少しの陰がある三十路美女にダメな自分の欲求を見透かされて気持ちよくコロコロ転がされたい男性諸君は読むべし。 主人公(男)が人生めちゃくちゃになって自殺する前に蟹食べたくなったけど金無くてセレブ妻脅したら逆にマウント取られてなぜか一緒に蟹食べに車で北海道に向かうちょっとエッチで闇が垣間見えるロードムービー的なお話。 女性が描いてそうで実は男性が描いてるのかなと思ったら、ちゃんと女性が描いているという部分になんでだか妙に興奮してしまう。 ここで出てくる美女は意識的にか、なんでも許してくれちゃう「嘘のような」母性を見せてくれるし、男性のすべてを見透かし幼稚な欲求さえも叶えてくれるミューズを演じてくれてるので、非常に性的に消費しやすい。 だからこそ、達観したような全く見えてこない本心の部分にやきもきしてしまうし、何が目的か分からないミステリアスさにもんもんとさせられるが、それも気づけば目の前の性欲にかき消されてしまう巧妙さもある。 この女の前だと男はみんな、なんだかよく分からないけど事態は進んでるし気持ちいいからいっか、みたいに思考をスポイルされてアホな感じになってしまう。 この美女は凄まじく出来た女なのだ。 果たしてこれは、上手く行ってない旦那への憂さ晴らしなのか、自分だけを見てくれる純情青年の新鮮さ、嬉しさから振り回しているのか、今後の展開で描かれていくかと思うと楽しみだ。 「幻想ですよ、三十路の女に貞操観念なんて・・」 序盤で事後に出るこのセリフのすごいのは、金の為に強盗した男が人妻と半ば無理矢理にセックスした罪悪感を(じゃあいいか、と)軽減させる謎の効果があることと、ここまで肝が座ってるこの女はなんだか普通じゃないぞ、思わせてくれてワクワクすることだ。 このあたりから毒のようにじわりじわりと効いてきて気づいたらいいように気持ちよくマウント取られて自分では舵を切れなくなってしまっている。 死ぬための旅だと忘れて読んでいてエッチなシーンでドキドキしながら感情移入していると、たまに旅の終わりの死に向き合ったときにとんでもなく気持ちが落ちるので、その感情の落差で頭がクラクラする。 しかしエッチなシーンではどうしても感情移入せざるを得ないので、引き込んで一緒に落とすというすごく上手な作り方だなーと思った。 この手法ってホラー映画でよくある、序盤で若い男女がエッチなことしてると殺人鬼に殺されるみたいなベタなあれと同じ効果なのかもしれない。 それにしても、こんだけ肉体的にも精神的にも良くしてもらったらそこらの男は簡単にコロっと好きになっちゃうわけで、でも相手には世間的に成功している立派な旦那がいるのに比べて自分は北海道にゴールして蟹食ったら自殺するわけで、そして好きになった美女は旦那のもとに帰ってしまうということを考えると、死んでも死にきれないというか、なんて残酷なんだ、と。 もう、恋と性と愛と性と嫉妬と絶望と憧憬と性がぐちゃぐちゃに混ざっていて混乱しまくりの楽しさがあります。

吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
しゅうえんち
終園地
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あらすじ

平凡だが真面目な父、美しく優しい母、問題のない息子と娘。何一つ不満のない幸せな家族……のはずだった。そんな小宮一家が謎の遊園地“Happy Land”に迷い込むまでは──。家族同士の秘密が暴かれ、目を覆う惨劇の幕が上がる…! 「ハカイジュウ」「切子」の本田真吾が新たに放つ、戦慄の家族崩壊パニックホラー開園!!

さまーたいむれんだ
サマータイムレンダ
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あらすじ

【デジタル版限定!「少年ジャンプ+」掲載時のカラーページを完全収録!!】幼馴染の潮が死んだ――。その報せを聞き、故郷の和歌山市・日都ケ島に帰ってきた慎平。家族との再会。滞りなく行われる葬儀。だが島にはある異変が…? ひと夏の離島サスペンス!!

うずまき
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女子高生の五島桐絵は、隣町の高校に通う斎藤秀一を駅に迎えに行く途中、路地に座り込んで壁をじっと見つめている秀一の父親を見つけた。彼は桐絵のあいさつにも気付かない様子で、壁にはりついたカタツムリの殻を見つめ続けていた…。新感覚ホラーの鬼才・伊藤潤二が描く、世にも不思議な恐怖の世界!!

じゅうじかのろくにん
十字架のろくにん
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人は、殺してもいい? 「別マガ」沸騰の新星・中武士竜が描く、背徳の復讐サスペンス! 「俊、改心した者は見逃せ。人には生まれ変わるチャンスが必要や。」「じいちゃん、僕は奴らが変わってないことを祈るよ。」──人ならざる化け物たちを斃すため、少年もまた、人ならざる何かに成った。“実験体A”と名付けられ、同級生5人から嬲られる日々。小学6年生の漆間俊は、壮絶ないじめに苦しむ「地獄」の中にいた。だが、そこには兄想いの弟と、子を守る父母という「救い」があった。あの日、5人の化け物たちが、鬼畜の所業で家族を奪い去るまでは……。やがて、全てを失い、真の地獄を見た俊の中に暗い「願い」が宿った。戦時中、秘密部隊に所属した祖父の指導の下、生まれ変わる少年。そして4年が経った時、彼は因縁の敵の前に姿を現す……。この復讐は誰にも渡さない。

ぼくはまりのなか
ぼくは麻理のなか
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友達が一人もいない大学生の≪ぼく≫の唯一の楽しみは、コンビニで見かけた名も知らぬ女子高生を定期的に尾行すること。いつものようにその娘を尾行していたら突然記憶が飛び、≪ぼく≫はその娘のベッドで寝ていて、≪ぼく≫はその娘になっていた。その娘は≪麻理≫という名だった――。

じょじょのきみょうなぼうけんものくろばん006
ジョジョの奇妙な冒険 第6部 モノクロ版
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2011年アメリカ、空条徐倫は恋人・ロメオの運転する車でのドライブ中、交通事故に遭遇する。そして弁護士とロメオに嵌められ、なんと15年の刑務所暮らしが確定してしまった…。母親の差し入れにより、父・承太郎から託されたペンダントに触れた徐倫にある変化が!?

ジーンブライド
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あらすじ

【電子限定!描き下ろし特典ペーパー&雑誌掲載時のカラー扉収録】[私の少年]の高野ひと深最新作!ヤマシタトモコ氏推薦!!!【一緒に戦おう。クソみたいな世界でもがく私たちのクソみたいな毎日を知っている「私たち」がこの中にいる。】女であるゆえの生きづらさに、日々新鮮に絶望する諫早依知(30)。 仕事相手からのセクハラにも、変質者との遭遇にも飽き飽きだ。そんな彼女の元へ、元同級生の正木蒔人が突然会いに来た。 15年前の出来事の礼に来たと言う彼を依知は警戒するが、独特なペースで生きる蒔人は依知を全くおびやかさない。依知の護身のための奇抜な解決策を蒔人が提案したり、イレギュラーな事態に弱い蒔人の探しものを依知が手伝ったり。凸凹なふたりは互いに助け合う仲になっていき……?これは、現実を生き抜くあなたの手を取る物語。『私の少年』の著者が放つ、世界に風穴を開ける第1巻!

無能なナナ
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あらすじ

絶海の孤島にある学園。そこでは人類の敵に対抗すべく、若き能力者達が訓練に明け暮れていた。そして転校生の主人公も同様に「人類の敵抹殺」を胸に、行動を開始する…。想像をことごとく裏切る、正義と悪の知略サスペンス開幕!!

とーきょーぐーるりますたーばん
東京喰種トーキョーグール リマスター版
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あらすじ

【雑誌掲載時の著者カラー原画を収録したリマスター版!】“東京”には、或るひとつの「絶望」が潜む…。群衆に紛れ、人間を狩り、その死肉を喰す怪人、人はそれを「喰種(グール)」と呼ぶ。青年が怪人に邂逅したとき、数奇な運命が廻り始める──!

ひゃくまんじょうらびりんす
百万畳ラビリンス
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あらすじ

人と関わるのが苦手な礼香はゲーム会社でバグ探しのアルバイトをしていたが、ルームメイトの庸子と共に木造迷路に迷い込んでしまい!? ミステリーファンタジー!

2013年、多くの人の"想像"が拡がった頃

連載開始からもう11年も経ったんだなーと驚いたりショックだったりもするけれど、思い返すと10年代前半は漫画もアニメも「なろう」の波に押し流されないように必死だった時期でもあったと思う。 なんでか、なろう系に限らずだけどオタク文化は未だギリギリ悪いものとして扱われがちだった時代な気がする。ラノベも一部インフルエンサーにTwitterで酷評され続けていたり。多様性を受け入れられていない社会だったんだきっと。 今思えば慣れたよね、受け入れられないのカッコ悪いみたいな空気ができて。でもって今はまた本流に戻そうとしていたりする風潮も一部ようだけど、それはずっと一部なのだろう。 脱線しまくったけど、2013年に連載が始まったこのJDが迷宮に迷い込んでなんとかしていくマンガ「百万畳ラビリンス」はそこそこ異彩を放つ存在だった。 ファンタジー要素ナシで(異世界じゃない)、流行ってた俺つえーでもなくて。 かつ絵が上手い。 登場人物が可愛い(人外も含む)。 ゲーム大好きデバッガー(自分の世代だとその頃デバッガーバイトでやってたやつが珍しくなかった)な女子大生が主人公。 なにより、話がショートショートっぽくてとてもいい具合にキュッとまとまっていて、かつ壮大だったので当時一度読んだだけだったけどお気に入りだった。 #2巻で完結したマンガ としてマンバでまとめられているところで超久しぶりに出会えてすごく嬉しかったので改めて電子購入。

さいろく
さいろく
よげんしゃぴっぴ
預言者ピッピ
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あらすじ

「つまりぼくら、人類の未来をすべて計算しつくしちゃったんだ」究極の頭脳が紡ぎ出す預言は福音か、それとも……?鬼才が描く長編ストーリーが、満を持して登場!ピッピは地震を予知し、災害から人類を救う為に開発されたロボット。親友・タミオとともに成長していくピッピは、衝撃的な事件をきっかけに自ら活動を停止してしまう。そして再び目覚めたピッピが語る畏るべき預言とは……傑作SFコミック!

世界の変革が抉りだす人間の本質『預言者ピッピ』

一体、これは何なのか。 ページを捲り、フキダシの中の台詞を追う度に、脳髄を殴られるような衝撃。
初めて『預言者ピッピ』を読んだ時、あまりにも面白過ぎて目眩がしました。 私はマンガソムリエ活動の一環として、日々漫画のレビューを行っています。
その中で100点満点で80点を超える作品は稀で、90点台ともなると年に1冊出るか出ないかという位です。
しかし、この『預言者ピッピ』には1巻90点、2巻95点という最高の評価をしています。 今世紀刊行された漫画の中でも個人的ベスト1候補の、最高に物凄い作品です。  『預言者ピッピ』が掲載されていたCOMIC CUEという雑誌を知っている方は、かなりの漫画好きでしょう。
マイナーではありますが、大友克洋先生、松本大洋先生から安野モヨコ先生、羽海野チカ先生まで実に幅広く錚々たる大家が寄稿していた、特濃の漫画雑誌です。  1999年に出たその6号目。
『火の鳥』のロビタを表紙に据えた、「手塚治虫リミックス」という特集号から『預言者ピッピ』はスタートしました。 実際、初めて単行本で読んだ時に「手塚治虫作品クラスの圧倒的な領域に達している」と感じたので、この表紙を見た時は感慨深いものがありました。
そう、今作は『火の鳥』で描かれているような、人間や生命、社会や世界に対する深い洞察に満ち満ちているのです。 それまでギャグ漫画をメインに描いてきた地下沢中也先生が、こんなにもシリアスで重厚なSFを描くのか! と非常に驚愕しました。
手塚治虫先生の諸作品も、何かが取り憑いて描かせたのではないかと思うような超越性を半ば感じますが、それに似た印象をこの『預言者ピッピ』からも受けるのです。 同じ99年開始の『愛人[AI-REN]』以上の曰くつき作品でもあります。
CUEに五話目が掲載されたのが、2001年。
そして、そこまでを収録した単行本第一巻が出たのは、2007年。
何と、実に六年の歳月を要しました。 その段階で未掲載分が二話分ありながらも、連載が止まってから四年も経っていては続刊は絶望的かと思われていました…… が、2011年10月に奇跡の2巻が刊行! しかも、84ページの描き下ろしを伴って!
これには私を含むファンが熱狂的な喜びを以って迎え入れました。 そして、4年ぶりの新刊、実に8年ぶりとなる続きが、また想像を超えてくる出来でした。 息もつかせぬ、とは正に『預言者ピッピ』の為にあるような言葉。 途方も無い領域まで話は突き進んで行き、ただただ圧倒されます。 アイザック・アシモフが50年前に想像した2014年の様子が現在に照らしてみると驚くほど的中しているように、この作品で呈示されているものも本当に実現するのではないか、と思わされます。 今、世界で一番続きが読みたくて狂おしい漫画です。 それにしても、岩手県出身である地下沢中也先生が、2011年にこの物語の続きを刊行したことは、大変に意義深いことです。 3.11から今日で丸三年。 あの災禍、そして断続する余震や原発事故。 私も、親しい人を喪いました。 世界の関節が外れ、当たり前が当たり前でなくなり、それまでとは理が一変してしまったように感じました。 ともかくもう二度と、こんな悲劇が起こらないで欲しい…… そんな願いがある種実現されているのが、現代を舞台にした『預言者ピッピ』で描かれる世界です。 ピッピは地震予知の為に開発された予言ロボット。 彼のお陰で3ヶ月前に大地震が起こると予知された地域の住民は避難し、死傷者ゼロという快挙を成し遂げます。 しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れるように、予知できるようになった災害はやがて世界的な見せ物へと変貌して行きます。  人口350万人都市ロサンゼルスが一瞬にして滅び行く中継映像を狂騒的に見つめる者達と、故郷が瓦礫の山へと変わって行く姿を涙を流して悲しむ者達の対比は、非常にそら恐ろしいものです。 「忘却も能力」と作中の科学者が言いますが、辛い記憶と共に大切なことすらも忘れてしまう愚かさ。 どんなに科学技術が進歩しても、変わらず自分の信じたいものだけを信じる愚かさ。 自らのポジションに利することにしか興味のない政治家やマスコミの愚かさ。 作中では、様々な人間の愚かさが抉り出されて行きます。  そして、地震予知のみに制限されていた能力を、そんな人の愚かさ故に解除されたピッピは、やがて人間や世界の全ての未来を演算してしまいます。 そこに使える技術があるのに使わない、救える命があるのに救わない、人間にはそんな選択はできません。 その結果として全ての運命が予め判明してしまった世界で、人はどう生きるのか、生きるべきなのか…… 先の見えない未来こそが、逆説的に人の希望その物なのだということも、本を置いた時に実感として噛み締められます。 一つ一つの会話も哲学的で味わい深く、読むことで自らの深淵と向き合うことをも可能にする稀有な書です。 かといって難解になり過ぎることもなく、可愛い絵柄とのバランスが絶妙と言えます。 こういう作品がある限り、私はこれからも漫画を読み続けるでしょう。 「第3巻は、そこまでお待たせしない予定です」
という担当編集者の言葉に期待を高まらせつつ、今年で3年目を迎えますが…… 是非とも読んで、そして「早く3巻を」という声を一緒に発して欲しいです そして、地下沢中也先生になるべく早く続きを描いて頂きましょう。 この作品は間違いなく現代漫画界の掛け替えの無い財産です。 3月11日ということで、『預言者ピッピ』とは関係無いですが、以下の作品も推薦します。 売上の一部が義援金に回されるので、募金と思って購入するのも良いのではないでしょうか。

兎来栄寿
兎来栄寿

もしかしてAIが発達したらこうなるんじゃね?

マトグロッソさんのインタビューで預言者ピッピの続きについて触れられていたので久しぶりに読みたくなりました! https://manba.co.jp/manba_magazines/25517 自然災害を予知する為に作られたロボットのピッピ。災害に対するあらゆるデータをインプットし予測の実験を繰り返すことで大地震の発生を3ヶ月前に予知することにも成功していました。ピッピを作り出した科学博士の息子タカオは「ピッピが願ったから多くの人を助けられたんだ!」とまるで兄のように慕っていましたが、交通事故によりピッピの目の前で亡くなってしまいます。自分の予測に反した出来事が起きたことで一時的に活動を停止してしまいますが、再起動したピッピの中にはなんとタカオの人格が生まれていたのです。そしてピッピは自然災害の予知以外にも自分の能力を使いたいとデータの入力制限の解除を求めてきて…。 AIが発達した社会はこうなるんじゃないかと予知していたかのような内容です。読んでいて最初は人知を超えた力を持ったピッピのことを畏怖しますが、だんだんとそれに振り回される人間の集団心理の方が恐ろしく感じられるようになります。ピッピがデータの入力制限の解除をすることに反対していた博士の「人間には迷う自由、間違う自由がある」という言葉に今は共感するけど、今よりAIが発達するであろう10年後の自分が全然違うことを感じたらどうしよう。

かしこ
かしこ