あらすじグルメ評論家の江戸川先生を連れて、「とりで寿司」を訪れた三代目。店主の取手が握る寿司は舌の肥えた先生にも大好評で、特にウニの握りはウニ嫌いだったレポーターの桜井みさきも絶賛の味だった。ウニ嫌いの原因の多くが、ウニを洗う時のミョウバン臭さにあると知った三代目は…!?
魚に関してはド素人だった銀行マンが転職して 妻の実家の家業の築地魚河岸の仲卸の三代目に。 ド素人でありながらもそれに甘えず、 けしてプロフェッショナルを軽視もしない。 謙虚でいながら大胆な行動力と才能を活かし、努力をし、 プロの競う場所でありながら義理と人情に 揉まれて包まれて鍛えられる場所でもある 「築地魚河岸」で修行をして、 人間味と魚愛に溢れた魚河岸の男に成長していく物語。 大好きな漫画です。 けれど全肯定も出来ない部分もあります。 プロフェッショナルな世界を描きながら、 採算度外視な面に走りすぎたり。 まあそこは人情ドラマでもあるからとは言えますが。 話のベースは基本的に人情ドラマなんですよね。 けれどもプロの厳しさと人情の甘さを融合しているというか、 その良し悪しが出ているのがそれがまた魅力というか。 特に第6巻に載っている話が好きです。 「カキ喰えば・・・」では食の美味い不味いと安全性と、 それに関する世間の認識について考えさせられます。 まあチョット、前編から後編への引っ張り方には ?と思う部分もありましたが。 「サヨリの意気地」では古典落語に出てくるような人情噺と 食品の旬に関する考え方が見事に絡み合っています。 「魔法をかけられた魚」ではイケスの魚を中心に 魚の鮮度や〆方や、それに携わる人や努力の仕方や、 それらが確立する過程にも色々あるのだということ が描かれていると思います。 「下支えの出汁」今現在も人気の豚骨醤油魚介系ラーメンの 美味しさについての解説とともに、 単純なラーメン味対決漫画よりも一つ捻った兄弟弟子愛が いい出汁として効いている泣けるグルメ漫画。 全42巻を通しての三代目の成長譚や 魚中心の食品に関する面白くてためになる話の以外にも、 とりで寿司さんの努力成功話とか、 スーパーマーケットの横山さんが人間性まで含めて 築地に影響をうけて変わる話とか、 干物屋の息子の若くんの試行錯誤成長話とか、 英二さん千秋さん、雅さんエリさんのラブストーリーとか、 全42巻を読んでこそ味わえる漫画としての物語の 醍醐味もありますので、 ほんと、御一読をお勧めさせていただきます。