だいやもんどのこうざい
ダイヤモンドの功罪
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「オレは野球だったんだ!」 運動の才に恵まれた綾瀬川次郎は何をしても孤高の存在。自分のせいで負ける人がいる、自分のせいで夢をあきらめる人がいる。その孤独に悩む中、“楽しい”がモットーの弱小・少年野球チーム「バンビーズ」を見つける。みんなで楽しく、野球を謳歌する綾瀬川だったが…。

めっちゃ現代的な梶原一騎

小学五年生で運動に異常な才能を持つが心はエンジョイ勢な主人公が、野球と出会う事で巻き起こしてしまう波乱とドラマなのだが、滅茶苦茶梶原一騎作品の様な雰囲気がある。 物理法則こそねじ曲がっていないのだが、主人公が競技をやるのが競技が好きで自発的というより、周囲に才能を見込まれ運命というか半ば強制的に競技をすることになってたり、主人公が強すぎて勝負という形にはなってないのだが、競技よりもそこから生じる人間ドラマの方を主軸としてたり、全体的に漂う陰鬱で重い悲劇的な雰囲気は、かなりあしたのジョーや巨人の星とかの60年代スポ根ドラマに通じるものがある。 とはいっても、基本的にキャラデザはイケメン少年で、物理法則が現実そのものという点でやはり現代スポーツ漫画らしい部分も多い。 ただそういうストーリーの為とはいえ、主人公である綾瀬川の運動能力が完全に人間離れしていて、受け入れられるよう慎重に書いているにせよ、もはやゲームやギャグ漫画に片足突っ込んでるレベルで尋常ではなく、冷める人も相当居そうに思う。 しかしそういう並外れた才能だからこそ、勝負を通じたスポーツマンシップの美しさの裏にある残酷さ、才能に振り回される大人も含めた周囲、エンジョイ勢とガチ勢の溝などと言ったストーリーが映える部分も多く、特にその才能に魅せられてしまう大人というのは野球という競技と、主人公の圧倒的な運動能力から強烈な生々しさが漂っている。 主人公以外のキャラも弱小チームにせよ強豪チームにせよ、それぞれの年齢や居場所に合わせたメンタリティをしているために抱く苦悩も描かれているが、主人公自身もその能力の高さゆえに馴染めない苦悩も描かれていて、強烈な負の面白さが出ている。 この手の「才能により歪んでしまう」スポーツ漫画としては黒子のバスケとかが記憶に新しいが、そういう才能が複数人居たお陰でバトル漫画的になっていたあちらに比べると、たった一人だけそういう才能を持っている事により周りが一般人である分、その人間ドラマが際立っている。 プロトタイプに当たる読み切り(高校・プロ年代)も幾つか存在するが、こちらはあくまでプロトタイプとして別物と思っていて、こちらで描かれた未来に収束するかは未知数。 野球を題材としてはいるが、才能により才能の持ち主も含め全てが振り回されるドラマは非常に生々しくも強烈で面白い。 幸か不幸か大谷翔平という、一昔前なら漫画でしかありえなかった活躍をする人間が現れていて、ギリギリでリアルとファンタジーのバランスはとれているように思うが、主人公が本当にゲームかギャグ漫画並に突出した運動能力があるので、ココで脱落する人もいるように思う。

ピサ朗
ピサ朗

大谷翔平もこうだったのかと思いを馳せる

今、めっちゃ面白い野球マンガ。 野球マンガ・・・というよりも、天才が才能に苦悩する様のほうが目を引くので、単純なスポーツマンガになっていないのが、少年ジャンプではなくヤンジャンなんだと思った。 内容は、スポーツなら何をやってもずば抜けた結果を出してしまう主人公・綾瀬川。 しかもその結果を鼻にかけることなく純粋に競技そのものを楽しんでいるだけで、底抜けにいいヤツという感じ。 ただ周囲の同年代のメンバーにとって、彼の眩しすぎる才能は絶望を与える存在となり、少し経つと嫉妬かヒカれてみんな離れていってしまう。 少年マンガの主人公がもっている高い能力って、むしろ羨望か格好いいもののはずなのに、この違い。 だからこそ現実的でもあり、それをきちんと描いた作品に出会えたのは個人的に初めてだったので新鮮だった。 そして、この恵まれた才能によって狂わされたのは本人ではなく、指導者である大人で、彼の意図に反し野球のU-12日本代表という大きな流れに飲まれていく。 そこでもずば抜けた結果を出してあっさりエースに。 だけど、根っこである動機や情熱がないから、その価値にも気づかず誰もが憧れたエースの称号も粗末に扱う。 この幼さゆえの、残酷さがエグい。 自分が結果を出すことで、相手が傷つくことを恐れわざと負けようとしたり、それをナジラれて板挟みになったり。 天才すぎるゆえの苦悩が見事に描かれ、そしてまた周囲の言い分もわかり双方に共感できて面白い。 随所に出てくる、主人公が甲子園?にいっているようなシーンも伏線となって今後出てくるのかと思うと期待しかない。 また現在の時の人でもある、大谷翔平も幼少期はこんな気分だったのかな?とか思いながら読むのも一興です。 上述のとおりスポーツ漫画としての枠におさめるのはもったいない作品なので、ヒューマンドラマとか青春群像劇的なものが好きな人にはぜひおすすめしたい作品です!

六文銭
六文銭
とうきょうたらればむすめ
東京タラレバ娘
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「タラレバばかり言ってたらこんな歳になってしまった」そんなにイケていないはずじゃないのに気づいたらアラサ―になっていた倫子。6年後の東京オリンピックまでには結婚したいと思うけど…。東村アキコの女子に対する鋭い視点と笑いがさく裂する最新作!!

しゅがしゅがるーん
シュガシュガルーン
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シュガシュガルーン、ショコルーン、あなたのハートをピックアップ!!前代未聞、新感覚ラブ・ファンタジー・コミック!!小さな魔女、ショコラとバニラが、恋するハートをめぐって大かつやく!かわいい魔女のショコラとバニラが、人間界にやってきた!魔界の女王(クイーン)の座をかけて、恋するハートをめぐる、ラブバトルが、いよいよ始まります。「なかよし」で大人気連載の、話題の魔女ストーリー!!

ピエールお誕生日おめでとう!!【1/27】 #ピエール生誕祭

もうすぐピエールのお誕生日! お祝いページをオープンしたところ、公開するやいなや、続々とピエールへのお祝いメッセージが届いています…!す、すごい数のハートが・・・・・・!!!! <お祝いページ&ケーキのプレゼントはこちら!> http://sugar-rune.com/special/pierre_birthday/ 一部メッセージをご紹介します♥ 「ピエールは、私の初恋の人!気づいたらピエールより年上になっちゃったけど、お誕生日おめでとう!笑」 「ピエールお誕生日おめでとう!!そんな王子様ヘアーが似合うのはピエールくらいだと思います…かっこよすぎ!ショコラと末永くお幸せに♡」 「小学生の時にシュガルンをなかよしで読んでいて大学生になった今でも読んでます!その中でもピエールは私にとって今も昔も変わらず素敵な男の子です!お誕生日おめでとう!」 「オグルでもそうじゃなくても、ピエールはピエール。大好きです。」 「初恋と言っても過言ではありません…ショコラも大好きなので諦めましたが(笑)2人の幸せを願ってます!大好きです♡」 プリンスピエールへの想いをここでも語り合いませんかっっっっ!!! 私は大人になってからシュガルンを再読したときに、次第に心を開いていくピエールの姿にあらためて惚れこみました…ピエールだって14歳の男の子なんですね〜〜〜(昔は完璧無敵な王子だと思ってました!) ↓↓↓↓↓↓ ↓↓↓↓↓↓

まい(シュガルンスタッフ)
ぶらっくないとぱれーど
ブラックナイトパレード
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クリスマスを一人むなしくコンビニバイトに費やした日野三春は、その夜、黒いサンタ服の男に遭遇する。「悪い子の所には、黒いサンタがやって来る」そう語る男に「悪い子」だと告げられた三春は、突如、サンタの袋に“捕食”され…!? 気づけばそこは、世にも奇妙なサンタの会社!! 悪い子は、サンタのために強制就労!? 手厚い待遇で可愛い同僚もいるけれど、この仕事夢(ホワイト)か悪夢(ブラック)か!!?

やまとは恋のまほろば
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“古研”の3人にまた会える!『やまとは恋のまほろば 1』が装い新たに登場!2022年6月20日より「文春オンライン」にて待望の新エピソード連載開始。悩める女子ならきっと共感する、古墳×恋愛のキャンパスライフ――。Story大学1年生の穂乃香は、大学デビューした友人に気後れし、疎外感を感じていた。しかし、“心のオアシス”古墳研究会(通称・古研)の同級生・飯田くんのことがとあるきっかけで気になりだし、先輩の可児江さんとも急接近!? 「さえない」自分を苛む穂乃香は、古研を通じて少しずつ成長していく。古墳がもたらす、不器用でいとおしい恋の物語。※この電子書籍は2019年9月にLINE Digital Frontierより刊行されたコミックに描き下ろしページを加えた新装版です

新たな大学恋愛漫画の傑作の予感…!

きのう読んで「2019年一番よかった少女漫画」に躍り出た作品。これはヤバイ…!!!表紙を見ての通り、「前方後円墳みたいな体型の主人公が、部員が同期&先輩のイケメン2人しかいない古墳研究会で充実したキャンパスライフを送る」物語です。(※1巻時点) https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,h_365,q_80,w_255/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/book/regular_thumbnail/280147/417efc3e-e01c-4d7f-bba3-acf825fe68b5.jpg これだけ聞くと、「ま〜〜〜たいつもの冴えない主人公が何故かハイスペックイケメンに好かれるやつかよ😡」と思いたくなるけどぜんぜん違います…!! いや、なぜかイケメンに好かれるとこはよくある少女漫画と同じなんですけど、それ以外の女同士の人間関係と主人公の心理描写がハチャメチャに現実的で生々しいんです…! 主人公・穂乃香はその見た目から男子には合コンであからさまにハズレ扱いされ、学校では至近距離でブスと言われる。中学からの友人・友葉は同じ大学に進学したけれど、新たな友人・丹菜との出会いで入学して1カ月で白目の面積を減らしたり(※カラコンのこと)、合コンに行きたがったりと変わってしまう。 丹菜という黒船によって、穂乃香は2人の『ごまめ』となってしまった。(※ごまめ…1人前ではないが仲間に混ぜてもらうこと) このような状況で苦悩する穂乃香は、妙にテンションが高かったり卑屈だったりする多くの少女漫画の主人公たちに比べ地に足ついた等身大の悩み方をしている。その心理描写がすごく現実味があって、自然と穂乃香の気持ちに寄り添いながら読んでいました。 入学してまだ1カ月頃のお話なので、今までずっと一緒だった友人と離れ、別々に人間関係を構築していくところが最高に新生活の幕開け感があってグッときます。懐かしい…。 そして、少女漫画でバチクソ大事なのがその作品を代表するイケメン(ヒーロー)ですよね。この漫画に登場するメインの男の子は、表紙を飾る同期の飯田君と3年の可児江先輩の2人。 https://i.imgur.com/lADf6l7.png (『やまとは恋のまほろば』浜谷みお 第1話) 「ごまめ」と化しているときに女友達の前で飯田君と話したり、女友達の前で可児江先輩が穂乃香をかばったり(※三和はそのことを知らない)。それが読者にとってカタルシスになっていてたまりません。正直めっちゃ気分い〜! …というか、主人公が2人に話しかけられる度にまるで自分が実生活でイケメンの友達に話しかけられたとき同じ高揚と緊張を感じます。この漫画リアルすぎる…! あと大事なことなんですけど、この作品は舞台が関西なので 2人とも関西弁です!! 最高か〜〜!! 先輩がクソみたいな合コンから助け出してくれたり、飯田君と2人で古墳を見に行ったり、古研で宅飲みしたり。悩みつつも三和が充実したキャンパスライフを送っているのを見ると、なぜだか不思議な満足感が得られます…なんなんだこの気持ちは…! 1巻の最後では、「古研に自分が居ていいのか」という葛藤にケリをつけた三和が、2人と距離を驚くほど縮めるので(マジで)、ぜひ読んで確かめてほしいです。 LINEマンガで連載中とのことで、これから連載を追っていこうと思います…! (下記画像は6話より。2つの「3人の世界」の対比がいい…)

たか
たか

近年稀に見るリアル・緻密・ピュア・ラブ=最高

大好きすぎて感想がうまくまとまらないので今まで書けずにいましだが新刊(5巻)の最高さに居ても立っても居られず書き込みです。ここまで既に読んでる人は5巻はもう最高すぎるので姿勢を正してバッチリ受け取れる状態で臨んでいただきたい。これはもうここでしか得られないきらきらが詰まっています。最高。 この作品は、初っ端から最高なんですけど、巻を追うごとに最高の種類が変わります。パフェみたいな感じというんでしょうか…全層美味しいんだけど層によって美味しさがまた違うというか。最初はいっしょにキャンパスライフを楽しんでいるような、言い方がほんとによくないんですが、なんとなく恋愛戦力外女子かな、みたいな、ある意味環境でなんとなくそう思われたり自分も思ったりしたことがある女の子の気持ちがリアル。共感もできたり、へーそんなふうに思うんだ?と思ったりできるかもしれません。LINEマンガで連載されてただけあって(?)LINEでのやりとりが非常にリアルです。現代の少女漫画だなー!ととても趣深い。からの、いまの感動を述べたいので間の巻も最高なんですがとりあえず5巻の素晴らしさなんですけど、これはもう私たちの夢が形になった!!というか、こ、これこれーーっっさいこうーーっっという正直さっきまでリアルな道を歩いていたと思ってたら、途中から虹の上を歩いていた的な、そんな最高な見たかったものを見せてくれるストーリーになっています。最高。私は多分今レインボーの上にいる。マジで。

SS
SS
うみがはしるえんどろーる
海が走るエンドロール
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65歳を過ぎ夫と死別し、数十年ぶりに映画館を訪れたうみ子。そこには、人生を変える衝撃的な出来事が待っていた。海(カイ)という映像専攻の美大生に出会い、うみ子は気づく。自分は「映画が撮りたい側」の人間なのだと……。心を騒ぎ立てる波に誘われ、65歳、映画の海へとダイブする!!

としょかんのだいまじゅつし
図書館の大魔術師
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アムンという小さな村に暮らす耳長の少年は本が大好きであったが、耳長で貧乏だった為、村の図書館を使うことができなかった。そんな少年は差別が存在しない本の都・アフツァックに行くことを夢見る。ある日、少年は憧れのアフツァックの図書館で働く司書(カフナ)と出会う。この司書との出会いが、少年の運命を大きく変えることに──。孤独な少年が未来を切り拓く、異世界ビブリオファンタジー堂々開幕!!

LIMBO THE KING
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多大なる犠牲者を出した眠り病撲滅から8年――。任務中に瀕死の重傷を負い、退役の危機にあったアダムは、軍幹部から特殊任務を伝えられる。それは、なくなったはずの眠り病再発に絡む極秘ミッションで!? 不屈のNAVY男と伝説の元英雄が記憶を食い荒らす奇病“眠り病”に立ち向かう!!

これは好きなやつだった

吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
ぼくだけがいないまち
僕だけがいない街
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毎日を懊悩して暮らす青年漫画家の藤沼。ただ彼には、彼にしか起きない特別な症状を持ち合わせていた。それは…時間が巻き戻るということ!この現象、藤沼にもたらすものは輝く未来?それとも…。

こいはあめあがりのように
恋は雨上がりのように
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橘あきら。17歳。高校2年生。感情表現が少ないクールな彼女が、胸に秘めし恋。その相手はバイト先のファミレス店長。ちょっと寝ぐせがついてて、たまにチャックが開いてて、後頭部には10円ハゲのあるそんな冴えないおじさん。海辺の街を舞台に青春の交差点で立ち止まったままの彼女と人生の折り返し地点にさしかかった彼が織りなす小さな恋のものがたり。

画力と繊細なトーンワークに裏打ちされた演出力

表紙の目ヂカラに心を掴まれてジャケ買いし、内容を読んでさらに心を掴まれました。とにかく画力を活かした演出が抜群です。 キャラの作画はCLAMPの目ヂカラと矢沢あいのフェミニンな細身のシルエットを見事に融合させており奇跡的なバランスで成り立っています。 そして手の細かな演技や表情付けなどは週刊漫画とは思えないほど繊細に描写されており手の動きだけでキャラの悲痛な感情が伝わってきます。 背景に関しては繊細なトーンワークによる光の表現が特に素晴らしく、この現実感のあまりないキャラたちを違和感なく世界に溶け込ませています。 さらに、シリアスとギャグの配分が非常によく。80〜90年代のサンデーが好きだった人にはたまらない配分になっていると思います。店長がパトレイバーの後藤さんに似ていますがその辺りの感覚はパトレイバーに近いと思います。 ストーリーに関しても初めての挫折を経験した少女の鬱と中年の危機に差し掛かったおじさんの鬱という2種類の鬱を恋愛という誰にでもわかる主題を使いながら見事に描き切っています。 少女漫画が好きな人、そして少年漫画が好きな人、もちろん青年漫画が好きな人、どの層の人にもお勧めできる恋愛マンガです!

TKD@マンガの虫
TKD@マンガの虫
テセウスの船
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1989年6月24日、北海道・音臼村の小学校で、児童含む21人が毒殺された。逮捕されたのは、村の警察官だった佐野文吾。28年後、佐野の息子・田村心は、死刑判決を受けてなお一貫して無罪を主張する父親に冤罪の可能性を感じ、独自に調査を始める。事件現場を訪れた心は、突如発生した濃霧に包まれ、気付くと1989年にタイムスリップしていた。時空を超えて「真実」と対峙する、本格クライムサスペンス、開幕。

どちらかというと『テセウスの船』というより『動的平衡』じゃない?

時間遡行をして人生をやり直したとしたら、それは本当に同一の自分といえるのか?という問いを有名なパラドックス「テセウスの船」になぞらえたタイトルだ。 ストーリーに関しては論理的整合性や感情的整合性においてやや粗い部分も感じられたもののサスペンスとして緊張感もあり、ラストは新海誠監督『君の名は。』のような美しい締め方だったし概ね面白かった。 ただ、タイトル『テセウスの船』がイマイチストーリーにハマっていない感じがした。 どちらかといえば「動的平衡」のほうが比喩としてしっくりくるのではないだろうか。 「動的平衡」とはシェーンハイマーの提唱した概念であり、日本では福岡伸一氏による著書『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』で有名になった言葉である。“生命”とは、取り込まれ代謝されていく物質、生まれ変わり続ける細胞どうしの相互作用によって現れる“現象”である、という考え方だ。 主人公の田村心は生まれる前の過去に遡り、そこで巻き起こる惨劇を阻止することで、その惨劇により自身に降りかかった不幸な運命を変えようと奮闘する。作品では、過去を改変して自らの人生を曲げようとする一連の試みをテセウスの船にたとえているが、やはりピンとこない。作中、田村心は殺人事件を未然に防ぐため凶器となった薬物を隠したり被害者に避難を呼びかけたりするが、その影響で心の知る未来とは異なる人物が命を落としたり、結果的に大量殺人を防げなかったばかりか予想だにしなかった事態を招くことになる。 この予測不可能性こそがまさに動的平衡そのものって感じなのだ。生命体は、船の部品のように壊れた部分を取り替えれば前と変わらず機能する、ということにはならない。ある重要なホルモンの分泌に作用する細胞を、遺伝子操作によってあらかじめ削除してしまったとしても、ほかの細胞がそのポジションを埋めることがある。これは心が殺人事件の阻止に何度も失敗したことに似ている。思わぬ不運や予想しない死者が出てしまったのも、脚のツボを押すと胃腸の働きが改善するなどの神経細胞の複雑さに似ている。 船は組み立てて積み上げれば完成するが、生命は時間という大きな流れの中で分子同士が複雑に相互作用しあうことで初めて現象する。『テセウスの船』での田村心の試みは人生あるいは歴史という動的平衡に翻弄されながらも抗う物語だったのかもしれない。

mampuku
mampuku

ミステリーとしてもヒューマンドラマとしても楽しめる

小生、僕だけがいない街とか、タイムスリップ✕ミステリー・サスペンスが好きなんすよね。 事件を理解しているから修正していく要素も、結果として現代に影響を及ぼしてしまうのも、ほんのりロジカルな感じがいいんです。 本作も1巻読んで、これ超好き!と思っていたので、完結まで待ってました。 「待っている」理由は、至極単純で、ミステリー・サスペンスものは読み始めたら最後まで一気に読みたいんですよね。 じゃないと、毎回先が気になって発狂してしまう恐れがあるので。 (こういう方、多いと思います) テセウスの船も同様に、寝かせて楽しみの熟成をしていました。 まさか完結して速攻ドラマ放映とはね、やられました。 そんなの両方気になってみてしまいますよ。 そして、そのドラマの出来のいいこと。 (あんまりドラマ見ない勢だから、目が肥えてないだけかもですが。) 原作と犯人をかえるとかいう噂もあって、 結局、先が気になって発狂してしまう運命は避けられなかったです。 両方みているものとして、違いとしては原作のほうが犯人わかりやすかったなと感じました。 ドラマよりも怪しい雰囲気の人物が他にいなかったし、真犯人に関しても想像ができてしまいました。 そういう意味での驚きは少なかったのですが、とはいえ、最後にどういう終わり方するのかは予想もできなかったし、結末に関してはある種のカタルシスを得られました。 爽快感とは違うのですが、納得感というか満足感というか。 テセウスの船というパラドックスを使う意味も、最終話で再度納得した始末。(彼が、違う人になったのかどうかの疑問も含めて示唆してますね。) また、ミステリー要素だけでなく、本作は家族の描き方もいいですね。 こちらもドラマの影響が大きいのですが、家族が思い支え合っている姿に何度も心救われました。 犯人を追い詰めるハラハラする面も、家族の絆を描いたヒューマンドラマでほっこりする面も、両面で十分に楽しめる内容だったなと思います。 メディアミックスで相乗効果を得られた好例の作品ですね。

六文銭
六文銭
はいぱーいんふれーしょん
ハイパーインフレーション
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【デジタル版限定!「少年ジャンプ+」掲載時のカラーページを完全収録!!】帝国の奴隷狩りによって、両親を失った少年ルーク。今度の奴隷狩りでは最愛の姉がオークションに出品されてしまう!! 絶望のドン底でルークが手に入れたのは、『体からカネを生み出す能力』だった!! オークションに参加するルーク――余裕で姉を落札か!? だが、この力には“致命的な欠陥”があって……!? カネが、生命が、怒りが、暴力が、欲望が、『加速≒インフレ』し――物語はハイパーインフレーションを巻き起こす!!

クセ強めで内容も面白い漫画好きな人は垂涎の一作!

未読の君、まだ読んでないなんてもったいすぎるぜ…!! 読んでる奴らとはダチになれそうだ!! なぜなら俺たちはルークさんを知っているから!! 俺たちの救世主!!ルークさん!!はわわ……! と、読んだあとちょっと変なノリをしてみたくなるほどにこの漫画は魅力的です。 時代設定は我々の地球でいうどのへんか分かりませんが、17、18世紀あたりの技術レベルでしょうか?もっと前なのかな? ヴィクトニア帝国という大国があり主人公はその帝国に搾取される側の植民地に住む少数民族で、金貨や経済などあるもののわりと原始的な生活を送っていた。 幼少期に両親が奴隷狩りに殺害されてから7年後、12歳になったルークは奴隷狩りに対抗すべく知恵を使い騙したり工夫して帝国と商売しお金で安全を買おうとしていた。 しかし、その矢先に再び奴隷狩りにあってしまい、自らも捕まり大好きな姉を連れ去られてオークションにかけられてしまうことになり、殴られ朦朧とした意識の中で神にあい、とある能力を授かる。 本来、年頃の人間が当たり前のように享受しているのが「生殖能力」だが、神はその代わりにルークに授けたのが「金を生み出す能力」だった。 しかも、まだもろもろ不明だけど帝国の紙幣、しかも全て通し番号が同じ偽札…。この能力と知恵を武器にルークはどう戦っていくのか! お姉ちゃんを取り戻すことはできるのか!? という話です。 第1話→https://shonenjumpplus.com/episode/13933686331749163174 話の設定や展開、ハッタリや知恵比べのようなギャンブル的な部分はもちろん面白いのですが、合わせて注目してほしいのはこの作品の根底に流れるセリフ運びのテンションやリズムとキャラたちのノリ!! 初期のジョジョを彷彿とさせる! そこにシビれる!あこがれるゥ!!的な香りがするゥ!! みんな大真面目なので最初は真剣に読んでたんですが、途中からもしかしてこれって笑って読んでもいいんじゃないか?というシリアスな笑いに思えてきますし、実際そこはかなり意識されてるんじゃないでしょうか。 生殖能力の代わりに授かった能力なので、金を生み出す時にドクッドクッってなるのや、頬を赤らめてちょっと汗かいてはぁはぁしているのもおもしろい…。 そのクセの強さに、やみつきになってしまう自分が愛おしいです。 画像:第1話57pより

吉川きっちょむ(芸人)
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