最終回間近のハイパーインフレーションですが、
最新話(55話)があまりにも良すぎてもう我慢できないので
ネタバレ全開で感想を書きます

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さて、55話の良さはいろいろあるんですが、
とにかく正々堂々鮮やかに勝利条件が書き換わって
ルークとレジャットの立ち位置が反転したという展開があまりにも見事だったので、
その点について書きます

もともと、ハイパーインフレーションというのは、
「ルークの生み出す贋札をどう活用するか?」という漫画でした
つまり、全く本物と見分けがつかないほど精巧でありながら、
番号が全て同じという致命的な弱点を持った贋札を
どのように活用するか?というお話です

当初は、見せ金に使ったり、
物理的に紙の束として使ったりしましたが、
その真価が明かされたのは12話でした
大量に作った贋札を全て同時に「帝国に巣くう魑魅魍魎」どもに卸売りして
大儲けするというやり方が示されたわけです

しかしこの方法には、「世界経済 壊れちゃうッ!」という欠点がありました
大量の贋札が見つかってしまうと、通貨の価値そのものが失墜し、
インフレーションが起き、世界的な大恐慌が起きる可能性がありました
レジャットはこれを防ぐため、流通前に贋札の番号を公表すべく、
贋札の番号を知ろうと動き出します

まぁ厳密にはルーク自身は本当に贋札を売りたいわけではなくて、
大量の贋札を売る準備を整えたうえで、
政府と「商談」しようとしていたのですが…

しかしいずれにしても、ここで、
「絶対に贋札の番号を知られたくないルーク」VS
「絶対に贋札の番号を知りたいレジャット」という構図が成立したわけです

ただ、最終的にはこの勝負にはレジャットが勝ちました
レジャットは贋札の番号を遂に突き止め、
ルークは敗北しました(49話)

だけどここからルークの大逆転が始まります
再起したルークは、番号だけを変えた大量の贋札(真・ハイパーノート)の生産に成功し、
これをもって政府との「商談」に挑みます

そしてここからが55話

まず驚いたのは、ルークは既に、贋札を売却してしまっていたという点です

読者としては、ルークは贋札を売りたいわけではなく、
脅しの道具として商談しに来たものだと思っていたのに、
もう売ってしまっているという点で度肝を抜かれます
それじゃあ交渉にならないじゃないか

次に驚いたのは、ルークが贋札を売却した結果、帝国経済が回復したという点です

これまでさんざん、
「世界経済 壊れちゃうッ!」とか
「世界経済をォォ ぶっ壊ァァ~す!!」とか言ってたので、
贋札を売却すれば世の中メチャクチャになると思うじゃないですか
でも、実際には景気が回復した
もともと、「大量の贋札が見つかってしまうと、通貨の価値そのものが失墜し、
(悪性の)インフレーションが起きる」ことが懸念されていました
でも、真・ハイパーノートは、もはや真札と見分けがつかず、
贋札だと見破られることすらなかったので、
単純に貨幣流通量が増えて、
その結果、景気が回復してしまったということですね
説明されればそのとおりなのですが、これも非常に驚いた点でした

そして最後に何より驚いたのが、ルークの商談の内容が、
「要求を実現できなければ贋札の判別方法を公表する」というものだったこと!!

これまでずーっと、
レジャットは贋札の番号を知ろうとしていました
これは、その番号をあらかじめ公表することで、贋札の流通を防ぐためでした
つまり、贋札の判別方法を公表することこそが、レジャットの目的でした
逆に、ルークにとっては、判別方法が公表されてしまっては、
贋札が使えなくなってしまうので、それだけは絶対に避けたいはずでした

ところが、
ルークが真・ハイパーノートを既に流通させてしまっていて、
しかも、それが真札と見分けがつかないがため、
景気が回復してしまっているという状況下では、
贋札の判別方法の公表は、
かえって、経済に大混乱をもたらしてしまう

いつの間にか、勝利条件そのものが書き換わっていて、
ルークが「贋札の判別方法を公表すること」を脅しとして使うことになるという、
この立場の逆転の見事さ、これこそが、55話の最大の驚き、興奮でした

さらに素晴らしいのは、作者の展開の上手さです

実は、55話で語られた内容というのは、
もともと、正々堂々、作中で全て言及されていました

贋札がばらまかれることで世界経済が壊れちゃう仕組は13話で説明されていましたし、
大量の貨幣が流通することで景気が回復するということも36話で言及されてました
なお、金本位制の話も、23話や36話で触れられてました

つまり、「偽札だとわからないほど精巧な偽札が大量に流通すれば経済は回復するし、
その場合、偽札の判別方法を公表することが脅しとして機能するようになる」という論理展開については、
全て材料が与えられていたうえ、
ごく常識的な推論として、本来、予想可能だったのです

でも、予測できなかった!(…予測していた人っているんですかね)

これはおそらくハイパーインフレーションという漫画の構造自体に秘密があって、
この漫画は、頭脳バトルが多いんですが、
その頭脳バトルの内容をかなりわかりやすく説明してくれますし、、
結構頻繁に「勝利条件を整理しよう」みたいなモノローグが入るんですよね
そうすると読者として、「ははぁよくわからんけどとにかく
今の勝利条件はそうなってんのか」で読み進めることができるわけです

ところが、今回は、何の説明もなく、
気づいたら勝利条件が書き換わっていた!!

そうすると何となく読み進めていた読者としては、
それはもう新鮮に驚くことになるわけで、
しかも前述のとおり、言われてみればごく常識的な論理展開でもあるわけで、
いやぁすっかりやられたなあという気持ちでいっぱいになるわけですよ!

上質なミステリのような見事などんでん返しで、本当に良い読書体験でした
終わるのは寂しいですが、残りの展開にも大いに期待です!!

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吉川きっちょむ(芸人)
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未読の君、まだ読んでないなんてもったいすぎるぜ…!! 読んでる奴らとはダチになれそうだ!! なぜなら俺たちはルークさんを知っているから!! 俺たちの救世主!!ルークさん!!はわわ……! と、読んだあとちょっと変なノリをしてみたくなるほどにこの漫画は魅力的です。 時代設定は我々の地球でいうどのへんか分かりませんが、17、18世紀あたりの技術レベルでしょうか?もっと前なのかな? ヴィクトニア帝国という大国があり主人公はその帝国に搾取される側の植民地に住む少数民族で、金貨や経済などあるもののわりと原始的な生活を送っていた。 幼少期に両親が奴隷狩りに殺害されてから7年後、12歳になったルークは奴隷狩りに対抗すべく知恵を使い騙したり工夫して帝国と商売しお金で安全を買おうとしていた。 しかし、その矢先に再び奴隷狩りにあってしまい、自らも捕まり大好きな姉を連れ去られてオークションにかけられてしまうことになり、殴られ朦朧とした意識の中で神にあい、とある能力を授かる。 本来、年頃の人間が当たり前のように享受しているのが「生殖能力」だが、神はその代わりにルークに授けたのが「金を生み出す能力」だった。 しかも、まだもろもろ不明だけど帝国の紙幣、しかも全て通し番号が同じ偽札…。この能力と知恵を武器にルークはどう戦っていくのか! お姉ちゃんを取り戻すことはできるのか!? という話です。 第1話→https://shonenjumpplus.com/episode/13933686331749163174 話の設定や展開、ハッタリや知恵比べのようなギャンブル的な部分はもちろん面白いのですが、合わせて注目してほしいのはこの作品の根底に流れるセリフ運びのテンションやリズムとキャラたちのノリ!! 初期のジョジョを彷彿とさせる! そこにシビれる!あこがれるゥ!!的な香りがするゥ!! みんな大真面目なので最初は真剣に読んでたんですが、途中からもしかしてこれって笑って読んでもいいんじゃないか?というシリアスな笑いに思えてきますし、実際そこはかなり意識されてるんじゃないでしょうか。 生殖能力の代わりに授かった能力なので、金を生み出す時にドクッドクッってなるのや、頬を赤らめてちょっと汗かいてはぁはぁしているのもおもしろい…。 そのクセの強さに、やみつきになってしまう自分が愛おしいです。 画像:第1話57pより
ハイパーインフレーション
新しいスタイルの頭脳戦もの
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酒チャビン
酒チャビン
主人公の限定的な特殊能力(超精巧な偽札を生み出せるが、全て同じ番号、紙の繊維の向きも全部同じ、1日に生み出せる数に限界がある、等の弱点あり)を使った経済も関係する頭脳戦ものです! 初期はジョジョや諸星大二郎先生っぽい感じもありましたね、後半はほぼ感じることはなかったですが。 経済も関連する頭脳戦というと、相当怜悧なキャラでシリアスな作風をイメージすると思いますが、かなりギャグ要素が混じっています。狙ってやってるのだと思いますが、そこが結構新しく、面白かったです。ギャグも良いです。というか絵柄は完全にギャグマンガのそれだと思います。 ギャグが入っているので頭脳戦部分が中途半端かというとそんなこともなく、結構捻られていて唸らされるので、作者すごいなと思います。しかも変態というか若干のエロ要素??も入っているので、相当な欲張りさんですね。 描き方によってはかなり重めな作品にもできたと思いますが、ライトに読めるので、間口は広めではないでしょうか。皆が広く楽しめると思います!! ただデスノートみたいな感じの絵で切れ味鋭く作ってみたらどういう読み心地になるのか読んでみたかった気はします。
トーマの心臓
「トーマの心臓」初読感想
トーマの心臓
toyoneko
toyoneko
私は、自分では漫画オタクのつもりなのですが、結構読んでない作品はあります。特に萩尾望都作品。 大学の漫研で萩尾望都を知って、いろいろ人に勧められましたし、私の嫁も萩尾望都が大好きですし、以前在籍していた職場の上司も萩尾望都が好きでしたし、その他にも、業界での圧倒的な評価とか、「漫勉」のときのTwitterの盛り上がりとか、そういういろいろがあって、知識としては、凄いというのは分かってました。 でも、ほとんど触れてこなかった。 以前、「ポーの一族」を少しだけ、あと「半神」を読んで、良いには良いのだけど、それほどのものかな…?と感じて、それっきりでした。 「百億の昼と千億の夜」は好きでしたが、でもこれはどちらかというと光瀬龍作品でしょうか。 ところで、最近、「トーマの心臓」のプレミアムエディションが発売されました。 https://shogakukan-comic.jp/book?isbn=9784091793799 雑誌サイズでカラーも完全収録の凄いやつですが、これを嫁が買ってきたんですよね。 ということで、いい機会だから、遂に「トーマの心臓」を読んでみた、という話です。 そのうえで、感想ですが… 凄かった。これは凄かったです。まごうことなき名作でした。 まずストーリー展開やキャラクター造形が上手い。単純に面白い。 しかしそれ以上に、「愛される資格」とか、「愛に殉ずること」とか、重すぎるけど一方で青臭くもあるテーマを、 ギムナジウムという世界観を中心に据えることで繊細に描ききるという手腕が衝撃でした。 今読んでもこんなに衝撃なのだから、直撃世代がどれほどの衝撃を受けたのかがわかります。 やはり萩尾望都作品はいろいろ読まなけばならないと思い知らされました…。読みます!とりあえず一度ポーの一族を読みます! 読んだことない方もこれを機に是非…! でも幾つか注意点があります。 1 絵は大変綺麗ですが、さすがに古いです。最初は面食らうかもしれません。 2 この時代の少女漫画はみんなそうだと思うのですが、少年愛(BL)は「当然のもの」として描かれます。 これはもう、そういうもんだと思ってください。 3 プレミアムエディションはとても良い本ですが…これでもかというくらい、でかくて重いです。百科事典みたいです(それでも一気に読み切ってしまうほど面白かったのですが。)。 正直、コレクション用です。最初に読むなら、電子版とか文庫版をおすすめまします。
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toyoneko
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根本尚先生は、秋田書店系の雑誌にギャグマンガを執筆している漫画家です。 週刊少年チャンピオンを長年読んでいた方でしたら、「現代怪奇絵巻」は印象に残っていることと思います。 なお現代怪奇絵巻は単行本化未了でしたが(厳密には、一部の話のみ、シーモア限定で読めます。ただし携帯電話用のものなので、パソコンからは読めない。)、連載終了後の書下ろし部分は、最近kindleにまとまりました。 https://manba.co.jp/boards/196294 長らく不遇の時代が続いていたのですが、趣味で描いてコミティアで売っていた本格ミステリの「怪奇探偵・写楽炎」シリーズが、ミステリマニアとミステリ作家にウケて、非常に高く評価されたことから(具体的には、芦辺拓・有栖川有栖・二階堂黎人)、文春デジタル漫画館のラインナップに加わることとなりました。 https://manba.co.jp/boards/102998 …が、私が語りたいのは、「それ以外の作品」の話です。 まず私が好きなのは、「札幌の六畳一間」シリーズ。 https://manba.co.jp/boards/177553 エッセイ漫画です。具体的には、貧乏漫画家である主人公(根本先生)が苦労する様を赤裸々に描くコメディエッセイです。 皆さん好きでしょう、漫画家が貧乏生活を送るエッセイ! 「札幌の六畳一間」「続・札幌の六畳一間」「札幌の六畳一間 無料編」などがありますが、アンリミ又は無料で全部読めます。 ここから派生して、「競売物語」もあります。これはツイッターでそこそこバズってました。 https://note.com/nemotosho/n/nd6099a76df12 根本先生のエッセイ漫画は非常に面白く、「90年代ミステリ漫画講座」も良くできています。私はこれを読んで「監察医SAYOKO」を買いました(でもまだ読んでない。)。 https://note.com/nemotosho/n/n576e649d2598 https://note.com/nemotosho/n/nd98daacdbcd6 次に、「タイムスリップ・コレクター」。 https://manba.co.jp/boards/196295 初出はコミティアらしいのですが、最近電子化されて普通に読めるようになりました(これもアンリミで読めます。)。 根本先生は古書が趣味らしいのですが、「過去にタイムスリップして、現在ではプレミアがついている本を入手できたら…」という着想から生まれたと思われる作品です。 アイデアそのものはそれほど革新的というわけではないのですが、「実際にそうなった場合に直面するであろう苦労」が様々に描かれていて、楽しい作品です。 そして最後に、今回何より紹介したかったのが、「人形紳士」です! https://manba.co.jp/boards/196296 もともとは、今年の3月ころ、根本先生が272頁を一気に書き下ろして(ただしサインペン一発書きでネーム状態)、noteに発表した作品なのですが、私は存在自体を知りませんでした。 知るきっかけとなったのは、以下のツイートです。 https://twitter.com/mysteryEQ/status/1725849354626613601 ミステリ好きが選ぶ年間ランキングで、この作品が1位(ただし非小説作品内での1位)に選ばれた、という内容です。 へーそうなんだあ、しかも無料なんだ読んでみるか、と手を出してみたのですが…いやあ… 傑作でしたよ!! 根本先生の「怪奇探偵・写楽炎」シリーズはですね、マジで「本格」なんですよね。 つまり、トリック重視で、ある意味で、ドラマ部分はそれほど重視されない。まぁ変な犯人はいますが、主人公側のキャラクターは弱い。 これに対して、「人形紳士」は、トリックも良いのですが、それよりもとにかくドラマ部分、特に、主人公たちの関係性が良いんですよ。まさかの青春ミステリ!エモい! 根本先生がこういう作品を描けるというのは本当に新鮮な喜びなんですが、贔屓目なしでも名作であり、是非もっとたくさんの人に読まれてほしい作品です。 noteでも、kindleでも無料で読めますので、皆さんガンガン読んでください! なお、発表当時のツイッターでの反応が以下にまとまっています。 https://togetter.com/li/2099294 ぜひまたこういう方向性の作品を発表してほしい(なおそのときには普通にお金を払わせてほしい。)。 なお、サインペン一発書きで、ちょっと読みづらいところもありますので、ぜひ別の人の作画で読んでみたい作品でもあります。 どこかの編集部の方、よろしくお願いします!
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