備忘。このコマは、シーモアで売っている「現代怪奇絵巻」のうち、5話に収録されています
根本尚先生は、秋田書店系の雑誌にギャグマンガを執筆している漫画家です。
週刊少年チャンピオンを長年読んでいた方でしたら、「現代怪奇絵巻」は印象に残っていることと思います。
なお現代怪奇絵巻は単行本化未了でしたが(厳密には、一部の話のみ、シーモア限定で読めます。ただし携帯電話用のものなので、パソコンからは読めない。)、連載終了後の書下ろし部分は、最近kindleにまとまりました。
長らく不遇の時代が続いていたのですが、趣味で描いてコミティアで売っていた本格ミステリの「怪奇探偵・写楽炎」シリーズが、ミステリマニアとミステリ作家にウケて、非常に高く評価されたことから(具体的には、芦辺拓・有栖川有栖・二階堂黎人)、文春デジタル漫画館のラインナップに加わることとなりました。
…が、私が語りたいのは、「それ以外の作品」の話です。
まず私が好きなのは、「札幌の六畳一間」シリーズ。
エッセイ漫画です。具体的には、貧乏漫画家である主人公(根本先生)が苦労する様を赤裸々に描くコメディエッセイです。
皆さん好きでしょう、漫画家が貧乏生活を送るエッセイ!
「札幌の六畳一間」「続・札幌の六畳一間」「札幌の六畳一間 無料編」などがありますが、アンリミ又は無料で全部読めます。
ここから派生して、「競売物語」もあります。これはツイッターでそこそこバズってました。
https://note.com/nemotosho/n/nd6099a76df12
根本先生のエッセイ漫画は非常に面白く、「90年代ミステリ漫画講座」も良くできています。私はこれを読んで「監察医SAYOKO」を買いました(でもまだ読んでない。)。
福井健太『本格ミステリ漫画ゼミ』(東京創元社)に誰も続かないので制作。 私自身が90年代当時の読者だったのと、ミステリ漫画家であることに意義がある(たぶん)。 紹介用のキャラも色々考えましたが、私の言葉で話した方がいいと判断。通常通り私とメイドです。 ツイッターにあげたものが流れてしまうので...
ツイッターにアップしたものと同じです。 「秘密警察ホームズ」 「探偵ボーズ21休さん」 「KYO」 1~8話はこちらです。 https://note.com/nemotosho/n/n576e649d2598
次に、「タイムスリップ・コレクター」。
初出はコミティアらしいのですが、最近電子化されて普通に読めるようになりました(これもアンリミで読めます。)。
根本先生は古書が趣味らしいのですが、「過去にタイムスリップして、現在ではプレミアがついている本を入手できたら…」という着想から生まれたと思われる作品です。
アイデアそのものはそれほど革新的というわけではないのですが、「実際にそうなった場合に直面するであろう苦労」が様々に描かれていて、楽しい作品です。
そして最後に、今回何より紹介したかったのが、「人形紳士」です!
もともとは、今年の3月ころ、根本先生が272頁を一気に書き下ろして(ただしサインペン一発書きでネーム状態)、noteに発表した作品なのですが、私は存在自体を知りませんでした。
知るきっかけとなったのは、以下のツイートです。
ミステリ好きが選ぶ年間ランキングで、この作品が1位(ただし非小説作品内での1位)に選ばれた、という内容です。
へーそうなんだあ、しかも無料なんだ読んでみるか、と手を出してみたのですが…いやあ…
傑作でしたよ!!
根本先生の「怪奇探偵・写楽炎」シリーズはですね、マジで「本格」なんですよね。
つまり、トリック重視で、ある意味で、ドラマ部分はそれほど重視されない。まぁ変な犯人はいますが、主人公側のキャラクターは弱い。
これに対して、「人形紳士」は、トリックも良いのですが、それよりもとにかくドラマ部分、特に、主人公たちの関係性が良いんですよ。まさかの青春ミステリ!エモい!
根本先生がこういう作品を描けるというのは本当に新鮮な喜びなんですが、贔屓目なしでも名作であり、是非もっとたくさんの人に読まれてほしい作品です。
noteでも、kindleでも無料で読めますので、皆さんガンガン読んでください!
なお、発表当時のツイッターでの反応が以下にまとまっています。
https://togetter.com/li/2099294
ぜひまたこういう方向性の作品を発表してほしい(なおそのときには普通にお金を払わせてほしい。)。
なお、サインペン一発書きで、ちょっと読みづらいところもありますので、ぜひ別の人の作画で読んでみたい作品でもあります。
どこかの編集部の方、よろしくお願いします!
ノンシリーズの推理漫画。本格ミステリです。 私の『怪奇探偵・写楽炎』(文藝春秋・刊)と同一世界というか、彼らの時代より前にあった事件の話です。 1話16ページ×17話で本編272ページ。 表紙やあとがきを入れると全280ページ。 サインペン一発描きのラフな絵です。 この絵で「販売」するわけにはいきません。 しかし下描きもなしに一発で描いたという緊張感が、この作品を支えているような気もします。
ノンシリーズの推理漫画。本格ミステリです。 私の『怪奇探偵・写楽炎』(文藝春秋・刊)と同一世界というか、彼らの時代より前にあった事件の話です。 1話16ページ×17話で本編272ページ。 表紙やあとがきを入れると全280ページ。 サインペン一発描きのラフな絵です。 この絵で「販売」するわけにはいきません。 しかし下描きもなしに一発で描いたという緊張感が、この作品を支えているような気もします。