トーマの心臓のような安易なカタルシスはないけれど
トーマの心臓、ポーの一族と傑作を輩出している萩尾望都先生。 この作品はトーマの心臓で取りあげたかったテーマ「暴力からの再生」「愛とは何か」を深く掘り下げたものではないかと思う。 が、萩尾望都さんも年齢を重ねるとともに、トーマのような(おそらくページ数も限られた条件の中での制作)カタルシスのあるメルヘンなエンディングにはおちつかなかったようだ。 私的にはラストはまだモヤモヤする。 続編が読みたいなあ。
前半のこんなに恐ろしいことがいつまでも続くわけがない!いつ終わるんだ!のハラハラするサスペンス感にものすごく引き込まれました。立場を利用した行為の強要については読んでいて今話題になっているニュースのことを思い出しました。「残酷な神が支配する」で検索すると予測変換に出てきたので同じことを思う人が多いみたいです。母親のサンドラには前半の早い時点でイライラしてました。もっとしっかりしてくれよ!!
後半はガラリと雰囲気が変わりますね。途中のジェルミとイアンのやり取りは何度も同じことを繰り返しているようにも感じるのですが、これは心をケアするのに大切なプロセスなのかもしれないと読後に思いました。あのことを完全に忘れることはないという終わり方は現実的で厳しいものですが、萩尾望都先生がそう描き切ってくださることで救われたような気持ちにもなりました。バレンタインのエピソードも達観されていて思わず拝みたくなりますよね。モー様〜!
母とふたり、ボストンで暮らす15歳の少年ジェルミ。友達に恵まれ、ボランティアと勉強に励む幸せな生活を送っていた彼の日常は、ある男との出会いで一変する。母・サンドラの婚約者で大金持ちの英国紳士・グレッグ。絵に描いたような理想の義父の中には、恐るべき悪魔の顔が潜んでいた。サンドラの幸福を盾に、ジェルミに肉体関係を迫ったのだ。苦痛と苦悩に満ちた地獄の日々が始まった。愛と憎悪、喜びと悲しみ…綾なす複雑な人間の感情を、萩尾望都が熟練のペンで描き切った壮大なるヒューマン・ドラマ、開幕。
母とふたり、ボストンで暮らす15歳の少年ジェルミ。友達に恵まれ、ボランティアと勉強に励む幸せな生活を送っていた彼の日常は、ある男との出会いで一変する。母・サンドラの婚約者で大金持ちの英国紳士・グレッグ。絵に描いたような理想の義父の中には、恐るべき悪魔の顔が潜んでいた。サンドラの幸福を盾に、ジェルミに肉体関係を迫ったのだ。苦痛と苦悩に満ちた地獄の日々が始まった。愛と憎悪、喜びと悲しみ…綾なす複雑な人間の感情を、萩尾望都が熟練のペンで描き切った壮大なるヒューマン・ドラマ、開幕。