青池保子公式サイト LAND HAUS
【全国ツアー 公演 】 星組公演 《主演》 礼真琴、舞空瞳 グランステージ 『エル・アルコン― 鷹 』 ~青池保子原作「エル・アルコン―鷹―」「七つの海七つの空」より~ 原作:青池保子(秋田書店) 脚本・演出/ 齋藤吉正 Show Stars 『Ray 星の光線 』 作・演出/中村 一徳 2007年、安蘭けいさん・遠野あすかさんを中心とした星組で上演された、 宝塚歌劇「エル・アルコン―鷹―」が2020年6~7月に全国ツアーで再演されます。 青池保子先生の傑作歴史ピカレスク・ロマンの新たな船出を、 是非見届けましょう。 公演期間:2020年6月12日~7月1日 詳細は こちらから。
BLにまったく興味がない男性でも十二分に楽しめる作品であることは最初に断っておきたい。 少女マンガは萩尾望都、大島弓子、木原敏江、竹宮惠子、青池保子、山岸凉子ら24年組と呼ばれる作家陣によって、1970年代に多大な発展を遂げた。 その内の一つの成果は1973年の『トーマの心臓』や1976年の『風と木の詩』に代表される、今でいうBLという括りの物語の萌芽だ。美しい少年たちが織りなす美しい物語に人々は心酔し耽溺した。 1978年10月には、後にそのタイトル自体が代名詞のようにつかわれるようになる雑誌『JUNE』の前身である『COMIC JUN』が刊行される。 その狭間、1977年に始まったのが青池保子の『エロイカより愛をこめて』だ。この前年に描いた『イブの息子たち』共々、それまでは基本的にシリアス一辺倒だった男性同士の恋愛を描いた物語にコメディ要素を取り入れた先駆的な作品である。 この遺伝子は1978年開始の『パタリロ』にも受け継がれ、これらの作品に登場する美形黒髪長髪男子は今もなお多くの人に愛好されている。 『エロイカより愛をこめて』は、少女マンガの題材としては非常に硬派な東西冷戦時代の政治の世界も絡んだ怪盗とスパイの物語だ。当初はコメディ色が強かったが、硬派さが人気を博すと物語もシリアスな方向にも舵を切っていく。 美術品と男性が大好きなエロイカことドリアン侯爵と、彼に気に入られてしまう鉄のクラウスことエーベルバッハ少佐の奇妙で熱い関係は実に魅力的だ。 この作品のお陰でドイツのエーベルバッハ市への観光客が急増し、1990年にはエーベルバッハ市から表彰されたという逸話も存在する。 エーベルバッハ少佐の好物の一つがネスカフェゴールドブレンドなので、私が運営していたお店でも扱っていたのはゴールドブレンドであったことはここだけの秘密である(私は本来はエクセラの方が好きだ)。 冷戦時代の空気、背景を学ぶ歴史の参考書としても一読に値する名著なので長さに気圧されず少しでも触れてみて欲しい。