大島弓子のプロフィール

大島 弓子(おおしま ゆみこ、1947年8月31日 - )は、日本の漫画家。女性。栃木県出身。萩尾望都山岸凉子竹宮惠子と並び、少女漫画界において「24年組」と呼ばれる一人である。

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『グーグーだって猫である』待望の続編登場。喜びと悲しみ、生と死はいつも隣り合わせ――。今は亡き〈グーグー〉と〈テンミケ〉、そして〈クロ〉。左目の視力を失った〈タマ〉、グーグーのまねをする〈キジタロー〉、二重人格の〈トラ〉、トイレを失敗しない〈ビー〉……個性あふれる猫たちと交流する日々をやさしく(ある時は厳しく)描いた、傑作コミックエッセー。大島家の猫は、現在、家猫11匹、周りにいる外猫は5匹。新シリーズ、待望の第1巻!*〈キャットニップ〉とは猫の好きな草の名前。全30篇収録。1 タマの日/2 クロ/3 ケア/4 寒さ対策/5 トラ/6 ガスマスク/7 16年の不思議なできごと/8 2012年6月のビー/9 猫のフード/10 ふたたび ごはんの風景/11 なっちゃん病院に行く/12 ビーのPTSD/13 みず・ごはん・おしっこ・うんち/14 金針水晶(ルチルクオーツ)/15 ルチル逝く/16 ビーとルチル/17 ヤン君/18 虫歯・口内炎・歯周病/19 ビー16歳の異変/20 おしっこふとん/21 リボン茶とらねこ/22 ウリちゃんの趣味/23 ナイチンゲール/24 ビーの添い寝/25 ノラ猫の冬仕度/26 なっちゃん どうしらいいの/27 グーグーのツメとクロのツメ/28 お泊りヒゲちゃん/29 虫歯?/30 夜中のトイレ【ご注意】※レイアウトの関係で、お使いの端末によっては読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立読みファイルをご確認いただくことをお勧めいたします。

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グーグーだって猫である

猫のいた日々

グーグーだって猫である 大島弓子
影絵が趣味
影絵が趣味

小学生の頃、ある日、母が家族になんの相談もなくいっぴきの猫を連れ帰ってきた。もう子猫とは言いがたい白いチンチラで、目は綺麗なエメラルドグリーンだった。母曰く、気がついたらペットショップで購入していたとのことだった。当時の私は、この珍事件に歓喜したのか、さっそく翌日にはクラスメイト全員にアンケートをとり、そして名前が決められた。Jといった。 家族や私の友人にたいへん可愛がられたJだったが、数年が経つと、事態は少し変わっていた。私は中学生になり、部活や勉強に忙しく、あまりJの相手をしないようになった。その代わりに意外にも、父がJの世話に熱心になった。夜、父が仕事から帰ってくると、Jは歓喜乱舞した。父が外へ連れていってくれるからだ。毎夜、Jと父は15階建のマンションを上から下まで何往復もしてから疲れ果てて帰ってくるのだった。父と折り合いの悪かった私にとっても、この外での遊びは好都合だった。 しかし、世の中とは不可思議なもので、Jと父とは相思相愛にはならなかった。いわば父はJの遊びに利用されていただけで、Jを好きすぎる父はいかんせん触りすぎる。Jはそれをちょっと鬱陶しく思っていたらしかった。家族が寝静まる夜なか、Jはふらふらと寝床を探しはじめる。高校生になっていた私はいちばん遅くまで起きているようになった。父の部屋はJが出入りできるようにいつでも開けてあった。それでもJが父の布団で寝ることはなく、いつも私の部屋の閉ざされたドアをガリガリと引っ掻いた。その音のせいで寝られない日もしばしばあった。時々、気が向いた日にだけ(それはつまり色々あって落ち込んでいたり寂しい思いをしていた日だ)ドアを開けてやっていっしょに寝た。 大学生になると私はすぐに家を出た。Jのせいではないが、父との折り合いはますます悪くなっていた。家を出ると、すぐに生活が一変した。それまでずっと視界にモヤがかかっているかのようだった慢性的鼻炎が瞬時に治ったのだった。「バカは風邪をひかない」という言葉は真であるとそのとき私は思った。たぶん、私は猫アレルギーだったのだ。 グーグーを読んでいると、猫のいた日々を思い出す。長年、思い出しもしなかった記憶が沸々と湧き起こってくる。そして、なんだかよくわからないけれど、ボロボロと涙が溢れてくる。けっしていい飼い主ではなかったのに。 Jも父もいまだに健在だ。でも父は、年に一度あるかないかで会うたびに年老いたなあと思う。Jもそろそろ猫でいえば化けてもいいぐらいの年齢になっている。家出していらい、家には寄り付かないようにしていたが、そろそろこちらから訪ねてみてもいいかもしれないと柄でもないことを思った。Jは私のことをまだ憶えているだろうか。

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