『LaLa』1981年7月号と1982年10月号。
『Z―ツェット―』第3話と第4話が掲載された号です。
つい先日入手しました。
巻頭カラーにうっとりしてしまいますが、先ずは『エロイカより愛をこめて』について少し話しましょう。
『エロイカ』をいつ頃読み始めたのか記憶はあいまいです。
実家にあった妹か姉が買っていたコミックスを読んだのが最初なのは確かですが、20歳は超えていたと思います。
1巻から順に読み始めたのか、途中の巻から拾い読みしたのか全く憶えてませんが気が付けばどっぷりハマってました。
もう40年くらいの付き合いかと思うと感慨深いですね。
こんなに面白い漫画はまず無いぞ、と少女漫画を読まない身近な知人に勧めては所有するコミックを進呈したりもしました。
『エロイカ』布教活動です。
24歳の時です。大阪から神奈川へ居を移す少し前でした。
37年くらい前ですか。
二つ年上のバイト先の社員の方に「何か面白い漫画教えてくれ」と聞かれ、真っ先に『エロイカ』を勧めました。
「あ、俺は少女漫画ダメなんだ」と即答されましたが、食い下がってとにかく読めばわかると所有してたコミックを全てあげましたよ。
「この漫画は少女漫画では括れない。2巻まで我慢して読めば3巻から凄い事になるから」と力説する私に対して「ふーん、そう」という気乗りしない反応。
しかし3巻以降も読まれたこの方は、もう何かというと「同志、同志」と連呼してすっかりエロイカワールドの住人になりました。
「こんなに面白い漫画を教えてくれてありがとう。あの時君が2巻までは我慢して読め、そこからだからと言ったのを本当に実感してる」と感慨深く言われたのをよく憶えてます。
他にも漫画が好きで色々読んでいると聞いて話してみると、まさかの『エロイカ』好きな男性に出会って盛り上がったこともあります。
作品内容に触れ出したらキリがありませんが、一つだけ語らせてください。
1989年からの東西冷戦の終結。
私ももうすぐ30歳になろうかという大人です。
といっても世界的な社会情勢を熱心に追いかけている立派な大人ではなく、一連の動きをテレビのニュースでずっと見ていた程度です。
それでも激動は充分に感じて、こんな世界の変化が起こるなんてと驚きました。
そんな時ふと「あれ、これで『エロイカより愛をこめて』は続けられるのか?」と考えて、個人的にですが連載はもう無理かなと思ったことがあります。
しかし大きく、そして嬉しさ大爆発と言っていいくらいにこの考えは覆されます。
現在私は『エロイカ』も『Z―ツェット―』もコミックを所有してません。
これも数年前に『エロイカ』を知らない若い子に進呈したからです。
なので正確な巻数も発行年度も確認できない状況ですが、モスクワ赤の広場に立つ少佐の画をコミックスで見たときは感極まりました。
冷戦世界で進めていた物語を変りに変わった世界情勢で新たにまた始める。
今更、そしてただの漫画読者が何を言うかですが、青池さん本当に凄いですよ。
「小熊のミーシャ」と「白クマ」が少佐を二人そろって出迎え、「時代は変わったのだよ」と話す場面を読んでまだまだ『エロイカ』は続くんだと嬉しかったのはよく憶えてます。
また私が大好きなロックバンド、「レッド・ツェッペリン」のメンバーがモデルなのもいいんですよ。
金髪巻き毛の伯爵、ジェームスくん、ボーナム君。
まんまレッド・ツェッペリンのメンバーそのものの外見です。
もう一人ジョン・ポール君がいますが、初期は名前付きで登場するものの途中からは姿を消してしまいました。
ジェームスくんがケチなのはギターの「ジミー・ペイジ」氏の有名なエピソード(だいぶ誇張されているとは思います)に基づいてます。
「へぇー」と思われた方は検索してみてください。
ちなみにジミー・ペイジ氏の正式名は「ジェームス・パトリック・ペイジ」です。
少佐やツェット君他部下のAさんなどは青池さんのオリジナルだと思いますが、もしモデルになった人物がいるのなら教えて欲しいところです。
ネタバレになる為あえて説明しませんが「小熊のミーシャ」や「白クマ」、「Aさん(エーさんではないです。アーさんです)」に、何を言ってるんだ?と思われた方。
こちらは是非、検索でなくお読みになるのをお勧めします。
そろそろまた読みたくなってきたのでまた入手しないとな、と思っていたところに『Z―ツェット―』掲載の『LaLa』を見つけてこの記事を書いている次第です。
では掲載号を紹介しましょう。
まず1981年7月号。
凛々しいツェット君のカラー見開きが神々しいですね。
口絵の読者プレゼントに『Z―ツェット―』Tシャツが!
少佐とツェット君の釣り帰りの絵柄です。
これは欲しい!と思ってももうどうにもなりませんね。
現存しているのでしょうか。
本編途中の柱に「おたよりください」とファンレター募集がありますが、青池さんの言葉(だと思います)が載ってます。
こういうのが雑誌の楽しみですね。
そして漫画家さんが近況を伝える「まんが家オンステージ」では青池さんが絵を描いておられます。
この一コマ、単行本や他の書籍に収録されているんでしょうか。
気になります。
続いて1982年10月号。
1年2ヶ月ぶりの『Z ツェット』掲載です。
雪の上に座り込むツェット。
これも神々しい見開きカラーです。
そして口絵の読者プレゼントはトレーナーです。
こちらも現存しているのか気になりますね。
柱の「おたよりください」には「この作品のために体重が3キロも減りました」との言葉が。
「まんが家オンステージ」には残念ながら青池さんの近況はありませんでした。
『エロイカより愛をこめて』のスピンオフ作品という事でもう一つ触れない訳にはいきません。
少佐だけの1冊、『魔弾の射手』です。
『Z―ツェット―』はミディアムボイルドとでもいいますか。
与えられた任務に対して懸命に頑張るツェット君の奮戦記です。
一方こちらはガチガチのハードボイルド。
伯爵と絡む時とは大違い、普段はエージェントとしてこんなシビアな任務をこなしているのがわかる素晴らしい作品です。
何と言っても終盤の、『エロイカ』にも『Z―ツェット―』にもない展開がとても強烈です。
初めて読んだときは「こんな直接な描写を」と驚き、でもだからこそ「鉄のクラウス」なんだと大いに納得しました
『エロイカより愛をこめて』、『Z―ツェット―』、『魔弾の射手』。
この『エロイカ』シリーズ、全く未読の方もいらっしゃるでしょう。
私はその方々がとても羨ましい。
白紙の状態でこれから読めるのですよ。
この記事を読まれて興味を持たれたなら是非に、絶対に、お勧めします。
そして2回言います。初読みの方、本当に羨ましい限りです。