人智を超えた怪事件に挑む SRI (SCIENCE RESEARCE INSTITUTE・科学捜査研究所)桑田次郎『怪奇大作戦』

1966年1月に『ウルトラQ』の放送が開始されます。

毎週日曜日午後7時から。

冒頭「タケダ、タケダ、タケダ」と歌われる番組スポンサーである「武田薬品」のCM曲は、この歳になっても忘れることはありません。

以降『ウルトラマン』『キャプテンウルトラ』『ウルトラセブン』と続き、5作目となった『怪奇大作戦』。

1968年9月の放送開始です。

当時私は小学校2年生です。

少しは観た筈だと思うのですが怪獣も宇宙人も出ない難事件解決という高度な内容からいって、7歳の子供が完全に理解できなかったのでしょう。

残念ながらリアルタイムの記憶はありません。

大人になって再放送された際に数話を観た程度で、のめり込むという程ではありませんでした。

しかしテレビ特撮番組として高い評価を得ているこの番組は、同時代の子供だった私にとってずっと気になる存在であり続けてます。

特に「岸田森(きしだ しん)」さんという名優の演技が素晴らしく、この作品の評価を高めていると言っていいでしょう。

『週刊少年キング』昭和43年40号

現在は欠番となっている「狂鬼人間」という回のラスト。

笑顔でありながら鬼気迫る演技は、観ている側に得体のしれない恐怖を植え付けて忘れられません。

当然前4作同様多くの漫画家さんによってコミカライズされており、わずかながらですが今私の手元にある物と共にご紹介したいと思います。

まずは月刊誌『少年ブック』昭和44年1月号の別冊付録。

『少年ブック』(集英社)昭和44年1月号付録

雑誌本体と同じB5サイズの大判付録です。

『少年ブック』の付録として出された『怪奇大作戦』は全て桑田次郎さんによるもので、特有のシャープな線がとても魅力的です。

第1話が本誌掲載。

第2話以降が別冊付録として5冊出されました。

この第4話「まぼろし殺人事件」から最後の第6話までは桑田次郎さんのオリジナルストーリーで描かれ、桑田さんのストーリーテリングの上手さが光ります。

表紙にちょこっと写真が使用されているのがいいですね。

表紙をめくるとSRI(科学捜査研究所)のメンバー紹介と表紙とは違う扉絵。

『少年ブック』(集英社)昭和44年1月号付録

最後のページは読者コーナーと番組の主題歌が放送ネットと共に載ってます。

『少年ブック』(集英社)昭和44年1月号付録

 

次は朝日ソノラマサンコミックス。

『怪奇大作戦』(桑田次郎/朝日ソノラマ)

放映から10年経過して初の漫画単行本です。

残念ながらこのサンコミックス版には、『少年ブック』本誌に掲載された第1話が収録されてません。

それでも他の作品を含め、多くの過去の名作を出版した朝日ソノラマ社の姿勢には脱帽です。

最後は本放送直前の『週刊少年キング』昭和43年40号。

『週刊少年キング』(少年画報社)昭和43年40号

表紙は勿論、大々的に巻頭グラビアで特集されてます。

『週刊少年キング』昭和43年40号
『週刊少年キング』昭和43年40号

写真とイラストを交え全11ページというボリュームの巻頭グラビアを擁したこの号は、次号予告から判断して発売日が9月13日。

『怪奇大作戦』第1回放送が9月15日。

影丸譲也」さんの手による漫画は37号から開始され、第1話の「人喰い蛾」の最終話がこの40号です。

『週刊少年キング』昭和43年40号

放映2日前に発売される雑誌に第1話の最終回を据え、巻頭グラビアで特集を組むという用意周到さは充分に子供たちの期待を煽ったのではないでしょうか。

といっても本放送の第1回は「壁ぬけ男」という話で「人喰い蛾」は第2回の放送です。

何故第2回放送の話を先行して漫画化したのかは謎ですが、第1回の情報は抑えたかったのかなと推察します。

目次を見てみましょう。

『週刊少年キング』昭和43年40号

なかなか強力な漫画家陣です。

この頃の『少年キング』の目次は漫画作品のページ下部に載ってます。

漫画以外も含めて古い雑誌ではよくある事ですが、所有する同じ1968年の『少年マガジン』や『少年サンデー』は最後のページに目次が載ってます。

ちなみに1970年の『少年キング』も1冊所持してますが、やはり目次は最初の掲載漫画の作中に載ってます。

この辺の雑誌によって違う目次の扱いも検証してみたいですね。

さて今回記事を書く際に改めてこの1968年40号を見ましたが、凄い(かもしれない)事に気が付きました。

読者の投稿イラストの一つが「長崎県・丸尾元広くん」となってます。

名前が似てるなと思い検索してみると、あの「丸尾末広」さんの出身は長崎県じゃないですか。

御本人だとすると12歳くらいです。

確証は得られませんでしたが、もし「丸尾末広」さんの子供時代の投稿だとすると丸尾ファンにとって貴重な資料ではないでしょうか。

今回は今も評価が高いテレビ特撮番組『怪奇大作戦』の漫画版を、極一部ですが紹介しました。

 

 

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