麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、前回と前々回の2回にわたって放送された「夢の最強ラインナップを考えよう ヤングマガジン編」を前後編まとめてお送りします(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。
1本目からまさかのかぶり! そのマンガとは?
川島 今日のテーマは「夢の最強ラインナップを考えよう ヤングマガジン編」! 人気マンガ誌の最強のラインナップを自分たちで考えてみようという、夢のような企画でございます。記念すべき第1回は、講談社のヤングマガジンです。1980年創刊、42年の歴史を持つヤンマガの歴代&現役の連載マンガ、350作品以上の中から、われわれが独断と偏見で夢の最強ヤングマガジンを選びます。
山内 すごい企画です。連載していた時代を超えて最強ラインナップを決めるという。
川島 山内と僕は世代がちょっとずれてるので、選び方も違うと思うんですけど。
山内 うれしいわあ。もうこれ遊びやん(笑)。
川島 ハイボールないだけやん(笑)。ではこの企画の公式ルールを発表しましょう。
- お互いに選抜するのは10作品。
- 自分のヤンマガに載せたい作品を1つずつ同時に発表。
- 載せたい作品がかぶってしまった場合は、くじ引きで決定。
- 同じ作者の作品は1作品まで。
川島 全10作品を選び終えたら、最後はやはりヤンマガということで、表紙に載せたいグラビアアイドルを選びます。それでは、「夢の最強ラインナップを考えよう ヤングマガジン編」1作品目からいきましょう。
(シンキングタイム)
川島 1本目が幹になりますからね。これ取れる取れへんで、でかいですから。
山内 1本目は絶対取りたい。
川島 それではいきましょう。夢の最強ヤングマガジン、1作品目。せーーの、ドン!
川島 わああああああ!
山内 ちょっと待って!
川島 これ取れへんかったら後の展開、かなり変わるで。
(くじ引きでの決着へ)
山内 じゃ、一斉に開けましょう。せーの!
川島 よっし!!!
山内 うわー、あかんあかんあかん!
川島 これはうれしい。私が第1位指名させていただいたのは、南勝久先生の名作『ザ・ファブル』でございます。2014年から2019年に連載されました。現在は第2部が連載中でございます。単行本は全22巻。全く中だるみのない、走り切った全22巻でございました。一般人として新たな生活を送ることになった殺し屋の物語なんですが、身分を隠していて、殺し屋と知らずに関わってくる人間をどう駆除していくかみたいなお話です。山内も私も1位にするということで、誰が読んでもおもろい作品です。今のヤンマガの圧倒的なエースですね。
山内 バイオレンス具合のバランスが超いいですよね。
川島 では山内さん、外れ1位指名をお願いします。
【山内の1本目】藤沢とおる『GTO パラダイス・ロスト』
山内 『GTO』はやっぱり大ヒット作で、ドラマも流行りました。バイオレンスの要素もあるし、ちょいエロの要素もあって、全世代が楽しめるマンガなんで、これは間違いないかなと。
川島 『GTO』自体は少年マガジンで連載されていて、『GTO パラダイス・ロスト』としてヤンマガで連載しているという。お互い、いいエースを入れましたよ。
ギャグ、ギャンブル、車、歴史…それぞれのジャンルのトップたち
川島 夢の最強ヤングマガジン、2作品目いきます。せーーの!
川島 僕はギャグの王将を取っておいたら、あとは戦いやすいと思いましたので、古谷実先生『行け!稲中卓球部』でいきました。古谷先生を取ったことで、『ヒミズ』『シガテラ』『わにとかげぎす』『僕といっしょ』『グリーンヒル』、全部取れなくなります。『行け!稲中卓球部』はそんな天才・古谷先生のデビュー作です。累計発行部数は2,500万部数を超える超人気ギャグマンガ。「日本で面白かったギャグマンガは何か?」という話題が出たら、今も絶対に上位に上がります。
山内 俺は1位っすね。
川島 ほんまにマンガで涙流したん、これやもん。
山内 「クスッ」は他でもあると思うんですけど。これはもうゲラゲラ笑えますから。僕が選んだのは福本伸行先生の『賭博黙示録カイジ』。1996年から1999年連載、単行本は全13巻。現在は『賭博堕天録カイジ 24億脱出編』を連載中です。シリーズ累計発行部数は2,100万部を突破している、ギャンブルマンガの金字塔でございます。
川島 僕、20代から読んでますけど、「ギャンブルの1個向こう側を見してくれたな」という心理戦がいいんですよね。
山内 やっぱり「金は命よりも重い」というセリフですよね。名言すぎて、今まで何回言ったかわかりません。
川島 では夢の最強ヤングマガジン、3作品目です。せーーの!
【山内の3本目】原作:山田風太郎/作画:せがわまさき『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』
川島 私は『頭文字D』。バランスを見ました。
山内 ジャンルを散らしてますよね。
川島 いろんなジャンルのトップを取っていってます。特に『頭文字D』とかぶるマンガって、なかなかないとは思うんですけど。1995年から2013年に連載されました『頭文字D』は、しげの秀一先生の名作でございます。単行本全48巻、シリーズ累計発行部数は5,500万部を突破。自動車を高速で走行させるのを目的とする、走り屋の若者たちを描いた作品です。それまでは「走り屋=ヤンキー、不良」というイメージがありましたけど、そこに革命を起こした作品ですね。そして山内さんの第3位は『バジリスク』。攻めましたね。
山内 僕の中ではやっぱり1個、時代ものが欲しくて。その中で、ワクワクするヒーロー的な要素もあるこの『バジリスク~甲賀忍法帖~』がいいなと。忍者って、日本人全員好きじゃないですか。
川島 好きです。男は全員好き。
山内 だからこれは選んでおきたいなと思ってた作品ですね。『バジリスク』は2003年から2004年連載。単行本は全5巻。江戸の世、天下人・徳川家康は甲賀と伊賀という忍法の二大宗家、どちらが生き残るかによって三代将軍の世継ぎ問題を解決させることにした……というマンガです。
川島 でも3位に持ってくるのは、なかなかサプライズ指名だった思いますよ。『ファブル』を取られたことで、ちょっとかかってんじゃないか?
山内 もう負けたくないんです!
マンガの歴史を大きく変えたマンガ
川島 それではいきましょう。夢の最強ヤングマガジン、4作品目の指名です。せーーの!
【山内の4本目】松本光司『彼岸島』
川島 『彼岸島』いかれた!
山内 これは超大作じゃないですか。『彼岸島』、松本光司先生。2002年から2010年連載。現在『彼岸島 48日後…』を連載中です。単行本は全33巻。人をさらい、生き血を吸う村人が住む島。そこから生きて帰って来た者は誰もいない。鮮血のサスペンスホラー……ということで、これはバランス的にいうと、ちょっと怖いマンガで。子供は苦手やけど、大人にちょうどいい感じのホラー。ベストですよ。『彼岸島』が始まってから、こういうホラー系のマンガ流行ったと思います。そういうパイオニア的なマンガなんで、押さえておきたかったです。
川島 嫌なキャラの描写も上手いし、人間ドラマも上手い。確かにパイオニア的な部分が大きいよね。
山内 「そのキャラは生かしといてあげてよ」っていう、子供マンガだったら絶対セーフティゾーンにいるはずのキャラたちが、容赦なくやられていくんですよね。その感じがヤンマガっぽい。
川島 そして私が大好きな『ストッパー毒島』、ハロルド作石先生の作品でございます。ハロルド先生というと、やっぱり『ゴリラーマン』、そして『BECK』。ハロルド先生のどの作品を選ぶかで意見がわかれるところですけれども、私はこの剛腕ピッチャー物語『ストッパー毒島』が大好きなんです。パ・リーグの京浜アスレチックスという球団があって、最弱集団と言われているんですけども、そこからどう復活していくかというストーリーでございます。僕は全ての野球マンガの中で、これが一番球速を感じますね。暴投もあり、人間ドラマもあり、読んでて勢いを感じます。
山内 もう1ターン後だったら僕、『BECK』を指名してました。
川島 そこもあんねん。『ゴリラーマン』も大好きなんですけど、スポーツで剛腕が欲しかったので。ずっと家の本棚にはエースのように置いてて、ストレスたまったら読むマンガです。それでは夢の最強ヤングマガジン、5作品目です。せーーの!
【山内の5本目】阿部秀司『エリートヤンキー三郎』
川島 大友克洋先生の『AKIRA』でございます。『AKIRA』 を5位なんて、おこがましすぎるんですけど、なぜ私が5位にしたかというと、山内君はきっと選んでこないだろうと思ったから。山内君より僕のほうがちょっと年上なんで、影響受けた世代だと僕らくらいがギリなんじゃないかなと。たぶん山内君はラインナップ入れてこないから、安心して5位にしました。
山内 確かにそうです。
川島 『AKIRA』 は1982年か1990年まで連載されました。単行本はけっこうでかめで、全6巻でございます。大友先生自ら監督を務めて1988年にアニメ映画化もされました。近未来都市や、その崩壊後の世界を描いたマンガ界の伝説に残るSFマンガですが、この作品がなかったら、その後のいろんなマンガの歴史が変わってたんじゃないかというくらい、すごいマンガです。未来を予言してたマンガとも言われてます。
山内 僕は『エリートヤンキー三郎』。2000年から2005年連載。単行本は全26巻。2007年にはテレビドラマ化、2009年には映画化されてます。伝説の不良を兄に持つ主人公・大河内三郎は、実は気の弱い普通の高校生だったという、超人気のヤンキーギャグマンガです。『稲中卓球部』取られたとき、ほかで僕が好きなギャグマンガ『エリートヤンキー三郎』だったんで、これはもう絶対取っときたいと思ってました。普段は気が弱い感じなんですけど、覚醒したときの三郎の狂気の感じとか、当時読んでて笑っちゃったんですよ。最近はこれを知らない人もけっこういて、ぜひ読んでもらいたいと思ったので、ギャグマンガ枠として入れさせていただきました。
*ここまでの途中経過
川島のヤングマガジン
① 南勝久『ザ・ファブル』
② 古谷実『行け!稲中卓球部』
③ しげの秀一『頭文字D』
④ ハロルド作石『ストッパー毒島』
⑤ 大友克洋『AKIRA』
山内のヤングマガジン
① 藤沢とおる『GTO パラダイス・ロスト』
② 福本伸行『賭博黙示録カイジ』
③ 原作:山田風太郎/作画:せがわまさき『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』
④ 松本光司『彼岸島』
⑤ 阿部秀司『エリートヤンキー三郎』
火力を上げるために予定外の1本を投入
川島 夢の最強ヤングマガジン、6作品目です。せーーの!
山内 超ビッグネーム、取れた!
川島 そっちで来たか。まず私から。『センゴク』、宮下英樹先生の大好きな作品なんですけども、2004年から2007年に連載されました。単行本は全15巻。シリーズ累計発行部数は1,000万部を突破しております。
山内 すごいですね。
川島 時は戦国時代、主人公は美濃・斎藤家の家臣だった仙石権兵衛秀久でございます。この無骨な武士がむちゃくちゃなやり方で成り上がっていく。決してスマートではないんですけど、武功を上げるために血みどろになりながら成り上がっていく。なので、僕もバランスを見たときに、『バジリスク』ではなく、『センゴク』を選びました。
山内 僕が選んだのが『新宿スワン』。スカウト会社バーストの見習社員となった白鳥タツヒコ。歌舞伎町のディープビジネスの世界に飛び込んだ彼の身に待っていたのは、何よりも金がものを言う世界だった。スカウト業界の裏側を描いてたり、スカウト会社同士の抗争があったり、裏組織の絡みがあったりして、自分の知らなかった世界を描いてます。裏社会との兼ね合いも描いている、大人向けの大人気マンガです。作者は『東京卍リベンジャーズ』の和久井健先生。いつ取られるか、ずっとドキドキしてました。
川島 ちょっと火力上げていきます。もうちょっと泥臭くしよう。では夢の最強ヤングマガジン、7作品目です。せーーの!
山内 あ、『喧嘩稼業』か。
川島 『喧嘩稼業』いかせてもらいました。直前まで予定になかったんですけど、ちょっと火力上げたくなって、急遽入れさせていただきました。『ザ・ファブル』『センゴク』も血みどろのシーンはあるんですけど、『喧嘩稼業』は拳を使った格闘マンガですね。出てくるキャラクターが全部かっこいいし、単純に格闘特化型のマンガだと思います。心理戦なんかもおもろいんで、疲れてても読めるバトルマンガですね。「伏線? 四の五の言ってんじゃねえよ!」というくらいのパワーがあります。
山内 私は『ドラゴンヘッド』をいかせていただきます。謎の火災が起きて、トンネルの中で閉じ込められて、「え? どうなっていくの?」っていう。すごいメイクをした奴が出てきたりとか、 最初に読んだときのあの不気味さと先の見えなさ。あの衝撃はやっぱり忘れられないです。ちょっとエロいシーンもあるじゃないですか。その感じもたまらないです。
川島 サバイバル系で言うと、これがほぼパイオニアになってるんじゃないかな? 何が起こったか分かんない中を、学生同士で進んでいかないといけない。でも、頭がちょっとおかしくなっちゃう人間が出てきて。「これは結局何の事件だったんだ?」というところが最高でした。
山内、グイグイ来るやん!?
川島 あと3本です。夢の最強ヤングマガジン、8作品目。せーーの!
【川島の8本目】平本アキラ『アゴなしゲンとオレ物語』
【山内の8本目】原作:金城宗幸/漫画:荒木光『僕たちがやりました』
川島 川島8巡目は『アゴなしゲンとオレ物語』でございます。
山内 うわあ、名作ですね。
川島 平本アキラ先生。1998年から2009年、およそ10年連載しました。単行本全32巻。今の『監獄学園』の平本先生のデビュー作でございます。「ギャグマンガでしょ」と思いきや、グッとくるゲンさんの名言が入ってたりして深い作品でございます。運送会社経営者の男ゲンと、その社員であるケンヂの日常生活を描いたギャグマンガ。ラインナップ的には、ギャグは「稲中」1本でいくつもりだったんですが、『喧嘩稼業』入れましたんで、もうちょっと砂糖まぶしたいと思って入れました。
山内 なるほど。
川島 感動できる回もあるし、あとやっぱり出てくる女性がしっかりエロです。おっぱいが最高です。特別な山場は、実はないのかもしれないですけど、終わってみて振り返ったら「結局全部がサビだったんじゃないか」と思うくらい、ずっと良質で面白いギャグマンガです。古谷先生はもうギャグを描かなくなっちゃったので、『アゴなしゲンとオレ物語』がヤンマガのギャグをかなり支えてたと思う。
山内 僕が選んだのは『僕たちがやりました』。原作が金城先生で、作画が荒木先生。2015年から2017年連載、単行本は全9巻。いたずら心で仕掛けた不良への復讐計画が思わぬ爆発事件に発展。初めて生きることに必死になり、右往左往しながらも成長していく青春逃亡サスペンスです。
川島 僕も大好きです。
山内 不良に仕返しするために爆弾を仕掛けたら、とんでもないことしてしまった……というその入り方が、「自分にも起こるかもしれない」と感じさせてくれるマンガです。夢でそういうのは見たことあったんですよ。夢ん中で何かアカンことして……。
川島 あ、分かる分かる。
山内 「どうしよ、俺。え? 刑務所に今から20年入る!? どうなんの、俺?」と思ってたら目が覚める、みたいな。それをマンガ化してくれたような作品です。実際にすごい犯罪をやらかしてしまった人の心情を描いてるのがリアルで、これは若者に刺さるんじゃないかな。
川島 ただ、「こんなこと起こすつもりじゃなかったんだけど」という設定でよく9巻までいきましたよね。これはもう1巻出たときから買いました。めちゃくちゃリアルで怖いと思って。夢の話で言ったら、昨日たまたまですけど、俺と山内が裸で座らされてて、知らん金持ちのおっさんに「お前ら、今からエッチしたら1,000万やるわ」って言われて、「はああ?」と思ってたら、山内に俺、押し倒されて。「グイグイ来るやん!?」と思って、めっちゃ引いてたら、アラームで目が覚めた(笑)。「明日マンガ沼やな……」と思いながら寝たからやと思うけど。山内めっちゃやるやん。
山内 『僕たちがやりました』って、そういうんじゃないのよ(笑)。
川島 では夢の最強ヤングマガジン、9作品目でございます。せーーの!
川島 まあそうだよね。そら取らなあかんよねっていうマンガですよね。僕はほんまに大好きなマンガを入れさしていただきました。『パパと踊ろう』、あまり知られてないかもしれないけど。
山内 これ、ヤンマガですか?
川島 ヤンマガでございます。1991年から1996年連載。僕は毎週読んでました。単行本も全部持ってます。全19巻。東京の吉祥寺を舞台に、風変わりな父子家庭が巻き起こすギャグマンガ。お母さんがいないんです。
山内 またギャグマンガなんだ。
川島 ギャグなんですけど、ちょっと人情話も入ってて、非常に分かりやすい。ちょっと大人向けにした『ちびまる子ちゃん』だと僕は思ってるんです。しかも、まる子じゃなくて、ひろしが主人公の。能天気に見えたおとんに子供たちが振り回されたり、でも子供たちもそのDNAを受け継いでて、同じような動きをしたりっていう、微笑ましいギャグマンガなんですけど、たまに胸が苦しくなるんです。父子家庭の悲しさもちょっと出てきたりするんですよ。そういうところも大好きなんですよね。
山内 私は、花沢健吾先生の『アンダーニンジャ』。2018年から連載中で、単行本は全7巻まで発売中。主人公・雲隠九郎は忍者、そんな九郎のもとに重大な任務がやってくる……というマンガです。ちょっと迷ったのは、すでに『バジリスク』で忍者ものを取ってるんです。
川島 忍者メガ盛りっすね(笑)。
山内 そんなに忍者忍者してるヤンマガってあったかな?と不安になったんですけど(笑)、「昔の忍者」と「現代の忍者」で別物ということにして、自分を納得させました。
グラビア、掲載順……考えることはまだまだある
川島 さあ、泣いても笑っても最後でございます。夢の最強ヤングマガジン、ついに10作品目です。せーーの!
【川島の10本目】原作:ずいの/作画:系山冏『税金で買った本』
川島 私は『税金で買った本』、現在連載中でございます。
山内 僕は『ミュージアム』。全然違いましたね。
川島 『税金で買った本』は2021年から始まって現在連載中。ずいの先生と系山冏先生、2人で描かれております。3巻まで発売中。珍しく図書館が舞台のマンガなんです。主人公はヤンキーの石平君ですね。10年前に借りた本をなくしていたことをきっかけに、図書館でアルバイトすることになるという。私、今は子供と一緒に図書館に行くことも多いので、子供が借りた本をビリッと破っちゃうこともあるんですよ。で、セロハンテープで貼って「すみません」と言ってたんですけど、実はそれはやってはいけないことだったらしくて。図書館にはちゃんと直す用のテープがあるんですよ。というのをこの本で読んで知ったんですけど。
山内 へえー。
川島 図書館のリアルな事情が描いてあって、これ褒め言葉で言うんですけど、「何でこれヤンマガ載ってるん?」という。
山内 確かに、全然ヤンマガっぽくない。
川島 子供向けの雑誌に載っててもいいくらいですよね。何だったら僕は、子供が「マンガを読みたい」と言い始めたら、まずこの本を勧めたいくらいです。もともとネットで連載してて、人気投票で圧倒的1位になって本誌のほうに来てるマンガです。「荒れる男子校」みたいなラインナップの中での、唯一の良心……まさに図書室みたいな存在として入れさせていただきました。これは最初から10位に入れると決めてました。
山内 これは俺、選ばないです。
川島 山内さんは選ばないだろうから、10位まで取っておいて大丈夫だろうと。で、山内さんは『ミュージアム』。
山内 はい、僕は『ミュージアム』です。雨の日にだけ現れ、残虐な猟奇殺人を続けるカエル男と、それを追う警視庁捜査一課の刑事のサスペンスホラーとなってます。やっぱり自分のラインナップ見たときに、「ちょっと濃ゆいな」って思ったんです。で、それだったら普通は「軽くしよう」と思うんですけど、「ここは逆に重くしよう」と。
川島 逃げ切ろうということね。
山内 より濃ゆい方へいく。で、『ミュージアム』はこのラインナップの中では一番血みどろで、ちょっと残虐性のあるマンガです。ヤンマガの中でギリギリの残虐性を持ったマンガだと思います。
川島 攻めたねー。
山内 あえて薄めずに、より濃くして、そっちの読者を引き寄せようと思って選びました。
川島 お互いやっぱ色が出るね。かぶったのは『ザ・ファブル』だけか。
お互い10作品が出そろったところで、最後に表紙のグラビアを決めます。
二人が選んだグラビアは……!?
さらに掲載順も考えに考えて、それぞれの最強のヤングマガジンはこうなりました。
川島のヤングマガジン
表紙グラビア:雛形あきこ
① 南勝久『ザ・ファブル』📕
② しげの秀一『頭文字D』📕
③ 宮下英樹『センゴク』📕
④ 平本アキラ『アゴなしゲンとオレ物語』📕
⑤ 原作:ずいの/作画:系山冏『税金で買った本』📕
⑥ 大友克洋『AKIRA』📕
⑦ 古谷実『行け!稲中卓球部』📕
⑧ 木多康昭『喧嘩稼業』📕
⑨ 地下沢中也『パパと踊ろう』📕
⑩ ハロルド作石『ストッパー毒島』📕
山内のヤングマガジン
表紙グラビア:インリン・オブ・ジョイトイ
① 和久井健『新宿スワン』 📙
② 藤沢とおる『GTO パラダイス・ロスト』 📙
③ 花沢健吾『アンダーニンジャ』 📙
④ 望月峯太郎『ドラゴンヘッド』 📙
⑤ 阿部秀司『エリートヤンキー三郎』 📙
⑥ 福本伸行『賭博黙示録カイジ』 📙
⑦ 松本光司『彼岸島』 📙
⑧ 原作:金城宗幸/漫画:荒木光『僕たちがやりました』 📙
⑨ 原作:山田風太郎/作画:せがわまさき『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』 📙
⑩ 巴亮介『ミュージアム』 📙
次回放送は「おすすめ一気読みマンガ」前編をお届けします。
(構成:前田隆弘)
【放送情報】
次回放送
読売テレビ●7月2日(土)深1:28~1:58
日本テレビ●7月7日(木)深1:59~2:29
「おすすめ一気読みマンガ」前編を放送。
(Tverでも配信中!)
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