『VIVANT』の世界を先取りしていたマンガ『別班の犬』|川島・山内のマンガ沼web

『VIVANT』の世界を先取りしていたマンガ『別班の犬』|川島・山内のマンガ沼web

麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、先日放送された「川島・山内のおすすめマンガ」の模様をお送りします(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。

『VIVANT』より前に登場していた元祖・別班

川島 今回は久々、「川島・山内のおすすめマンガ」。われわれ、マンガを読みあさっておりました。さっそく行きましょう。私の紹介するマンガ、こちらです。『戦車椅子-TANK CHAIR-』。

山内 何それ? 知らないです。

川島 深夜1時くらいですかね。ムーディ勝山から突然LINEが来て、「『戦車椅子』、ヤバいです!」と(笑)。これは山内さん、絶対ハマると思う。めちゃくちゃおもろいです。

 

川島・山内のマンガ沼 |読売テレビ

 

やしろ学戦車椅子-TANK CHAIR-』(講談社)
・2022年から「マガジンポケット」「月刊少年シリウス」にて連載中。
・単行本は第5巻まで発売中。 

川島 これね、ちょっと複雑なんですけど、主人公は平良凪(たいら・なぎ)という男なんですね。この平良くんは伝説の最強の殺し屋なんです。最強の殺し屋としてバリバリやってたんですけど、妹の静ちゃんを銃弾から守ることによって大怪我をする。それで意識が戻らなくなってしまった。それで凪くんは特殊な体になってしまうんですね。それが「殺意を向けられると、わずかな時間だけ意識が戻る」というもの。そういう特殊体質になってしまった。

山内 ほう。

川島 でも足はもう動かないので、改造した車椅子=戦車椅子を使うんです。それで完全覚醒を果たすために、とんでもない殺意を求めて、静ちゃんがいろんな強敵のところに兄貴を連れ出すんです。

山内 なるほど。 

川島 強敵と戦うこと自体がリハビリになりますので。静ちゃんは殺人依頼で大金もらって、兄貴のリハビリもできて一石二鳥になるという。2人でご飯を食べるお金にもなりますし、とんでもない最強の敵が出てきたら兄貴がいつもの生活に戻れるんじゃないかということで、2人で旅して行く。この設定だけでもけっこう引っ張れると思うんですけど、敵がまた魅力的なんです。最初、敵だった奴らも実は組織に不満を持ってて、役目が終わって殺されそうになったところで、凪くんの方についたりするんですよ。人物関係を描くのもうまいですし、なんといっても絵がうまい。車椅子がでっかい戦車に変わったりするんです。とんでもない画力がないと成立しないと思いますけど、絵がめちゃくちゃうまくて、アニメ見てるぐらい爽快です。

山内 ストーリーめっちゃいいですね。殺意を向けられたときだけ意識戻るから、戦わないといけないという。

川島 強い敵であればあるほど覚醒していくんです。

山内 よりリハビリになるという。

川島 ムーディ勝山、絶賛。そして川島も絶賛という作品です。

山内 僕がオススメするマンガはこちら。『陸上自衛隊特務諜報機関 別班の犬』です。 

川島 別班!?

山内 『VIVANT』より前に、別班の作品が出てるんですよ。

久慈進之介陸上自衛隊特務諜報機関 別班の犬』(講談社)
・2022年から「イブニング」にて連載開始。 
・現在は「コミックDAYS」にて連載中。
・単行本は第4巻まで発売中。

山内 簡単なあらすじなんですが、陸上自衛隊の精鋭部隊「特殊作戦群」に、訓練ばかりの日々に飽きた1人の女性隊員がいます。ある日、 上官の命令を受け、とある駐屯地に向かった彼女は、謎の男から別班という部隊にスカウトされます。

川島 (『VIVANT』と)一緒や。

山内 そして名前が与えられ、「ナナ」と呼ばれるようになります。

川島 (『VIVANT』の)乃木やん。

山内 そして彼女は様々な策謀と暴力に彩られた国務防衛線の最前線へと身を投じることになります。スパイ天国の日本を守る、予測不能のハイスピードスパイ・アクションマンガです。

川島 ……『VIVANT』やん!?

 

川島・山内のマンガ沼|読売テレビ

 

山内 ここが『VIVANT』と違うところではあるんですけど、部隊に裸の大男がいるんです。そいつは、特殊な遺伝子操作によって作られた、超人的な力を持ってるやつで。

川島 人型兵器みたいな。

山内 別班の作戦の元で動いてほしくて、そいつを入れてるんですけど、 言うことをなかなか聞かない。で、主人公のナナを別班に入れることによって、この超人が言うことを聞くようになるんです。赤ちゃんというか、知能はそんなにないんですけど、「ダメだよ。もうこれ以上、人を殺しちゃ」みたいにナナが言うと、言うことを聞いてくれるようになる。それで徐々に、別班内でのパワーバランスが変わっていく。

川島 これ、帯を出した方がいいですよね。『VIVANT』が流行ったからこの設定にしたと思われたら、作者的には不本意やん。帯に「元祖VIVANT」って書いたほうがいいよ。「うちは2022年から連載中!」って。豚骨ラーメンの店で「本家」とか「元祖」とか出すみたいな(笑)。しかし(設定が)かぶるなんて。

山内 かぶるんすよね。で、同じく公安にもこの別班が潜り込んでたり……。

川島 『VIVANT』やん(笑)!

山内 モンゴルにまだ行ってないだけ(笑)。

川島 久慈先生にお話聞きたいね。「『VIVANT』始まったとき、どう思いましたか?」って。いや、腰抜かしたやろ。「別班って言うてる!」って。

 

川島・山内のマンガ沼|読売テレビ

 

山内 だから『VIVANT』の熱が冷めやらぬ人は、これ読んでもらったらかなり面白いと思います。 

不妊治療の現場を描く、新しい医療マンガ

川島 次は流れがパッと変わりますけど、こちらでございます。『胚培養士(はいばいようし)ミズイロ~不妊治療のスペシャリスト~』。おかざき真里先生でございます。いやこれ、すごいテーマでやってますよ?

おかざき真里胚培養士ミズイロ~不妊治療のスペシャリスト~』(小学館)
・2022年から「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて連載中。
・単行本は第4巻まで発売中。

川島 現在、日本では14人に1人が体外受精で生まれてるんですって。主人公は、顕微鏡を使って自らの手で精子と卵子を受精させ、小さな命を導く胚培養士・水沢歩さんです。水沢さんは、治療件数が世界で最も多いにもかかわらず、妊娠率が最も低い日本で、子供を欲する夫婦たちの強い想いに応えていくという。

山内 なるほど。

川島 けっこうデリケートな問題なんで、 これをテーマに扱うって、ドラマでもマンガでも難しかったと思うんですけど。ページをめくるたびに「そんなことがあるんだ!」っていう勉強ですよ。子宝に恵まれない夫婦がいて、奥さんは自分の体を調べて、不妊治療もやって、旦那はそんなに協力的じゃないんです。旦那は「そういうのは自然に……」とか言うんですけど、 奥さんからしたら子供ができないのは嫌なので、自分で排卵日を調べるんですよ。で、「今日が(受精に最適な)その日だ!」という日の朝に、旦那にお願いするんだけど、旦那は仕事から帰って疲れてるからごめんと。

山内 はいはいはい。

川島 奥さんからしたら「私がこの日のために、どれだけ努力して、どれだけお金使って、自分の時間も捨てて今日にかけてるって、なんでわからないの?」となるわけです。でも「仕事」と言われたら何にも言い返せない。で、旦那さんは自分には全く原因がないと思ってるんです。でも胚培養士の歩さんがいる病院に行って調べたら……その精子の調べ方もめっちゃリアルに描かれてて、何もない部屋にやらしい本と、大人のビデオと、テレビとティッシュが置いてあるだけ。

山内 はあー……。

川島 めっちゃ恥ずかしいし、興奮もでけへん。 でも病院に来てるし、やらないといけない。そのいただいた精子の調べ方もちゃんと描いてるんです。で、調べた結果、実は旦那さんの精子がなかったということが発覚する。そこで旦那は初めて責任を感じるんです。この角度でマンガが描かれるんだ……と思いましたね。

山内 勉強になるマンガですね。

川島 こういうお仕事はもちろんあるし、どういう気持ちで、患者さんのこと考えてくれてるかっていうのもあるんです。そこに働いてる方々の人間ドラマが関わってくるんで、決して情報だけで終わってるわけではないんですけど、 僕は目からウロコなことばっかりでした。

山内 僕のおすすめマンガはこちらです。『株式会社 神かくし』。

川島 よう見つけてくるな、ほんま(笑)。次から次へと。

山内 これ、マジで大好きなジャンルでした。

片山陽介株式会社 神かくし』(少年画報社)
・2022年から「ヤングキング」にて連載中。
・単行本は第5巻まで発売中。

山内 「株式会社 神かくし」というのは、不慮の事故に見せかけて人間を消してくれる会社なんです。つまり「神かくし」をしてくれる。その社長のモットーが「世の中には、神かくしにあった方がいい人がいる」と。そういう人を神かくしにする会社なんだと。だから誰でも彼でもというわけじゃない。依頼があって、その人が神かくしされるにふさわしい人だったら、依頼を受けて神隠しにあわせてくれるんですよ。

 

川島・山内のマンガ沼 |読売テレビ

 

川島 なるほど。

山内 ストーリーなんですが、振り込め詐欺グループにいる影井新太(かげい・あらた)は、グループの先輩に連れられ、ターゲットの人間を消してほしいと「神かくし」に依頼します。しかしこの会社の正体は、意外なクライアントに生け贄となる人材を紹介する裏の裏の仕事をする会社だった……。 主人公の少年・影井は、社長によって神かくしにあいそうになるんです。で、この社長の神かくしっていうのが、神かくしにあっても問題ない人間を、化け物とか神様とか妖怪とかのところに連れて行くんですよね。

川島 そこはちょっとSFというか。

 

川島・山内のマンガ沼 |読売テレビ

 

山内 本当にリアルに神かくしをするような神様や化け物のところに、生け贄として捧げに行くんです。そこで神様に食べられちゃったりする。新太くんは2人で生け贄として連れていかれるんですけど、もう1人の生け贄である先輩は、化け物みたいなのに食べられてしまうんです。でも新太くんは「もういい」ということで神様が帰って、 1人残されるんです。「え、どういうこと?」となるんですけど、社長が「神様がもういいって言ってるから助かったな」みたいな感じで。

川島 たまたま。

山内 たまたま助かって、この会社で働くことになるんです。で、この生け贄になる人物が連れていかれる場所が、そいつのクズさ加減によって「あんたにはちょうどいいやろ、こういうところで神隠しにあうのが」みたいな感じで、社長がチョイスするんです。

川島 いつも同じ神様じゃないんだ?

山内 毎回同じ神様じゃなくて、俺の好きな要素がふんだんに入ってるんですよ。山内定食ですね。

明らかに虐待されているのに、見て見ぬふりをしていたら…

川島 次のおすすめはこちらです。『マタギガンナー』。

原作:藤本正二/作画:JuanAlbarran(ファン・アルバラン)
マタギガンナー』(講談社)
・2022年から「モーニング」にて連載中。
・単行本は第6巻まで発売。 
・作画のファン・アルバラン先生は、バルセロナ在住の新星。

川島 ファン・アルバラン先生、スペインの方なんですよ。『AKIRA』を読んで衝撃を受けて、日本でマンガを当てることが夢なんです。でも言葉がわからない。というところに、藤本正二先生と手を組むことによって、スペインにいながらにして日本のマンガを描いているという。

山内 今の時代のマンガですね。

川島 そう、ワールドワイド。主人公は、孤独な田舎暮らしを送る元マタギの山野仁成(やまの・ひとなり)さん。夫婦で生活してたんですけど、奥様に他界されてしまいまして、ワンちゃんと一緒に生活してるんです。で、山で暮らしてますから、不法投棄とかがバンバンあるんですね。その中に、ゲーム機が捨てられていた。で、なんかわからんけどそれを拾って、電気屋さん呼んで直してもらって、ネットに繋いでもらって、わかんないままにプレイしてみたら、 それが「FPS」銃でバンバン撃ち合うようなバトルロイヤルゲームだったんです。あまりにもそのゲームがリアルなので、マタギとしての実力が通用してしまったと。

山内 はいはいはい。

川島 あまりにも強い超新星が現れたから、「eスポーツの選手になってほしい」「私と手を組んでほしい」という人が、都会からこの田舎にやって来るんですよ。面白いのが、 マタギとしては超一流ですけど、ゲームは初心者ですから、裸の侍をカッコいいと思って、それをアバターにしてしまうという(笑)。

山内 (笑)

川島 それで「謎の侍がいる」みたいなことになって、ゲーム業界で話題になるんです。世界的に有名なeスポーツ選手も「誰やねんあいつ」と一目置く存在になっていく。「これ、2巻ぐらいで終わるんちゃう?」と思ってたんですけど、 2巻から新しい登場人物が増えて、『シャングリラ・フロンティア』とはまた違う、ゲーム内でのアバターの対決になってます。非常に読みやすくて、流行りそうだなという予感があります。

山内 僕のおすすめマンガはこちらです。『見て見ぬふりは、罪ですか?』。

原作:君塚力/作画:日丘円
見て見ぬふりは、罪ですか?』(スクウェア・エニックス)
・2022年から「ガンガンONLINE」にて連載中。
・単行本は第2巻まで発売。

山内 主人公は大学生の三宅宏樹くん。宏樹くんは402号室で家族と暮らしているんです。上の階の502号室から日々子供の泣き声と怒号が聞こえてきて、気になっていたんですね。502号室は、シングルマザーと1人娘の2人暮らしだったんですけど、そこに1年前、ガラの悪い男性が住み始めた頃からドカドカと音が聞こえるようになったんです。

川島 ちょっと事件の匂いしますね。

山内 で、明らかに虐待だろうなとわかってるんですけど、三宅一家は見て見ぬふりをしてしまいます。

川島 リアルやね。怖いもんね。

山内 数日後、1人で自宅にいた宏樹くんは、上の階からいつも以上に大きな物音が聞こえたので外に飛び出してみると、アザだらけの女の子が泣いて飛び出してきたんです。 その娘の後を追う義理の父親に、宏樹は「何やってんですか」みたいな感じで、義理の父親の腕をつかみます。で、「警察へ行くぞ」とちょっと凄んだんですけど、その父親が手を振りほどこうとした瞬間、意図せず階段から父親が足を滑らせてしまうんですよね。

川島 え、どうなんのこれ?

山内 で、足を滑らせて落ちて、まだ息をしてるっぽいんですけど、宏樹くんは「これはこのままの方がいいんじゃないのか?」と思ってしまうんです。救急車を呼ぶことはできるけど、助けることはできるけど、 ほっといていいんじゃねえのかと考えて、ほっとくんですよね。そしたら後日、 そいつが死んでたとわかるんです。「でも俺が殺したんじゃねえよな?」みたいな葛藤もあって。

川島 事故ですからね。

山内 うわ、やっちゃった。でも誰も俺のこと見てないはずだから……と思ってたら、同じマンションの、喋ったことないヤバそうなやつが「あの……見てました」って。

 

川島・山内のマンガ沼 |読売テレビ

 

川島 こわっ!

山内 で、ドキーッ!てなるんですよですね。「見てました。助けなかったですよね」みたいな感じで言ってきて、ちょっと待て、これどうなんねん……と思ったら、実はその人も助けてあげたいと思っていたけど、何もできなかったんだと。だからあなたは素晴らしいですと言うんですよ。「私は絶対このことは言いません」ということで、ああよかったとなるんですけど、それからそいつが「あいつも悪いやつっぽいですよ? やっちゃいましょうよ」って。

川島 そそのかしてくるんだ。

山内 「いや、俺は別にそういうつもりはないから」と言っても、「あなた、前は助けたじゃないですか?」と言ってくるんですよ。

川島 そいつもおかしいんや。 

山内 「助けないんだったら、あのときのこと、もう言いますよ」って。

川島 怖ーーっ!

山内 で、全然乗り気じゃないけど、今後も人助けをしないといけない状況に宏樹は追い込まれちゃうんです。 

川島 いいですね。深夜のドラマになりそう。

山内 深夜の読売でやってそう。

 

次回放送は「マンガ家ガチアンケート・伊奈子編」前編をお届けします。

 

(構成:前田隆弘

 


【放送情報】
マンガ沼 公式サイト
次回放送
読売テレビ●2月3日(土)深1:35~2:05
日本テレビ●2月8日(木)深2:35〜3:05
「マンガ家ガチアンケート・伊奈子編」前編を放送。
TVerでも配信中!)
公式HP公式X公式YouTube

記事へのコメント
コメントする
user_private

おすすめ記事