昭和42年の『週刊少年サンデー』新年合併号について以前に書きましたが今回はその1年前、昭和41年26号を紹介しましょう。
次号予告からこの号の発売は6月17日だと思われます。
ビートルズの武道館での第1回公演が6月30日。
直前です。
音楽や芸能関係の雑誌でのビートルズ来日特集は、古書の世界では割とよく目にします。
と言っても来日特集の物は人気が高く、すぐ売れるんですよね。
古書店の従業員時代には公演パンフレットも手にしたことがあります。
パンフレットはレプリカもあり、オリジナル含めて現存数は多いと思うのですがあまり市場には出てきませんね。
きっと所有している方々が大事になさっているのでしょう。
今回の『少年サンデー』はいつもの古書店で購入した物です。
表紙にはビートルズの文字はありません。
昭和42年合併号の記事で書きましたが、神保町のこのお店は目次ページをスキャンしてビニール袋に入れてあります。
表紙を見ただけではそれほど購入意欲は湧かなかったのですが、目次にビートルズの文字がある為購入しました。
正直に申しますとビートルズの音楽は大好きですが、購入の理由はそこではありません。
「『サンデー』がビートルズの特集したんだ」とちょっと驚いたからです。
従業員時代に多くの60年代の『マガジン』や『サンデー』、『キング』のグラビアを見ましたが、音楽がらみはあまり記憶にありません。
ましてビートルズです。
実は買う時に来日の年だと気付いていなくて、帰って中を見て「あ、そういう事か」と納得した次第です。
それでも児童漫画雑誌で取り上げているのは記憶に無く、『マガジン』や『キング』も調べて見なければいけませんね。
まず表紙をめくったカラー見開き。
「エレキ旋風の王者」と題されてます。
私は「エレキ」は不良の証と言われた時代より後の世代ですが、今「エレキ」とは言わないですよね。
概ねギターといえば「エレクトリックギター」の事を指していると思うのは私だけでしょうか。
これは語り出したら長くなるのでやめときますが、日本のロックミュージックの変遷と成長の故だと思ってます。
そんな「エレキ旋風」時代の第2特集は「エレキのひみつがビリビリわかる!!エレキ大学」、4ページです。
最初の2ページは「4大エレキグループ」の紹介。
ローリングストーンズは2024年の今も活動しているのが驚愕です。
次の2ページは「きみもエレキがひける!!」。
いつの時代も簡単に弾けるといったキャッチコピーが付くギターですが、そんな簡単には弾けません。
そして最後は「ビートルズ物語」4ページ。
6となっているので連載第6回目でしょう。
驚きなのは3ページ目と4ページ目にビートルズ4人の住所が載っている事です。
「ファンレターを出そう」的な意味合いでしょうし、この当時は漫画家さんの住所も公開されてました。
この住所がどこまで細かく記載してあるのかはわかりませんが、なんせビートルズメンバー個々の住所ですよ。
いやぁ、ビックリです。
ここまでページを割いて特集を組んでいるのに何故表紙にビートルズの文字が無いのか全くわかりません。
背表紙には「特別図解 エレキ大学」と記載されてますが、それだけです。
なんか大人の事情がありそうではありますが、ま、いいでしょう。
細かい事は気にしないがモットーです。
ビートルズ来日の昭和41年、私は幼稚園児です。
還暦過ぎた今も幼稚園の時の出来事は、不思議なくらい色んな事を憶えてます。
しかしビートルズ来日は全く記憶のどこにも存在しません。
これは九州の片田舎で「音楽といえば歌謡曲」、な大人に囲まれて育った事も大きな要因ではあります。
しかし何と言っても『ウルトラQ』と『ウルトラマン』の初回放送の年なんですよ。
ビートルズ来日前に『ウルトラQ』が、来日後に『ウルトラマン』が放送されてます。
更に『ウルトラマン』と同時期に『マグマ大使』も放送されているという神年です。
これはビートルズが記憶に残らないのは無理もありません。
ビートルズに興味を持つのはギターを弾き始めた中学生になってからですが、それまで来日している事すら知りませんでした。
昭和41年の幼稚園児がビートルズを記憶に留めるのも変な話なので、同じ時を過ごしただけでも良かったなと思う次第です。
ちなみに幼稚園の記憶で言いますと『マグマ大使』ごっこはよくやってました。
アース、マグマ大使、モル、ガム、ゴアを皆で割り振って真似をしてましたよ。
他にはお遊戯会で園児それぞれが描いた絵を持って前に立ち、交代で皆に見せるという際にウルトラマンの絵を描いて立ったのをはっきり憶えてます。
今も『ウルトラマン』は好きですからね。
ウルトラ歴58年の爺です。
では他のグラビアも紹介しましょう。
2色特集は「人類をおそったちいさなマイクロ怪物」。
細菌や昆虫といった人類から見れば小さな生き物が恐怖を巻き起こす内容ですが、事実として書かれてます。
どう読んでも創作としか思えない事件もあるんですが、そこはそういう時代です。
子供たちが読んで面白かったならいいんじゃないでしょうか。
そしてトップを飾るのが「石原豪人」さん。
もう本当、良いですとしか言えません。
カラー扉は『おそ松くん』と『オバケのQ太郎』という日本漫画界の「2大フジオ」です。
『オバQ』の小池さんが素敵すぎるカラー画ですが、話には「スタジオ・ゼロ」をもじった「スタジオ・ボロ」が出てきます。
記事を書いている現在、『釣りバカ日誌』の北見けんいちさんが出された『トキワ荘の遺伝子』という本の抜粋記事が『ビッグコミックオリジナル』に載ったばかりです。
「スタジオゼロ」の裏話がとても面白かったのですが、それに合わせたかのようなこの号の『オバQ』。
こんな偶然が嬉しいですね。
目次における漫画の立ち位置はトップではありません。
ただ昭和42年新年合併号と比較するとちょっと面白いんですよ。
半年ほどの差なのですが、この号の連載漫画が9作品。
読み物が5作品。
昭和42年新年合併号だと連載漫画が11作品。
読み物が3作品。
じわりと漫画が雑誌の中で存在を大きくしているのが伺えます。
もっともっと検証していきたいですね。
雑誌紹介記事、まだまだ入手して紹介検証していく所存です。