SENGOKU

戦国の世はバカ決定戦?不敬罪適用級の四コマ漫画

SENGOKU 山科けいすけ
名無し

戦国時代。 民衆は今日の食べ物にも事欠き、明日の命の保障も無い。 生きるだけで精一杯。 そんな日々のなかで民衆のため安定した国家を築くために 命がけで戦った男達、それが戦国武将。 己の信念に従い、文字通り命がけで 国を守り作り、天下統一という途方もない夢にかけて 傷つき倒れていった英雄達。 今の平和な日本は多くの戦国武将の流した血によって 築かれている。 そんな英傑達を、流した血と涙を、失った命を 山科けいすけ先生は心のそこから笑い飛ばす。 信長はただの鉄砲バカ、秀吉はただのお猿バカ。 不敬にもほどがあるどころか不敬しかない。 しかし山科先生の凄いというか怖いところは、 浅薄な閃きでバカと決め付けているのではないことだ。 戦国武将たちについてちゃんと歴史を理解していないと 認定できないバカ扱いをしている。 松永弾正なんか謀反バカ扱い。 細川藤考はインテリ風見鶏バカ扱い。 結局は全員バカ扱いになるのだが・・ 下手な歴史の教科書より、戦国武将の個性が正しく?伝わってくる。 というか教科書にかいてあることより、 こっちのほうが事実なんじゃないの、 とすら思えてくる。 ああコイツ(戦国武将の皆さん、すみません)、 ホントこんなふうにその日の気分で 行動したんじゃねーのか? と思ってしまいそうになる(笑)。 またキャラの顔とかも良く似ているんだなこれが。 普通は美化するところを激しくギャグ化しているが。 笑いながら歴史の勉強になる漫画。 歴史教科書の真面目な記述を読むよりも 百万倍、武将達の個性が記憶に残ってしまう。 読後は戦国武将を見る目が激しく捻じ曲がって しまいそうだけれども。

にがくてあまい

にがくてあまいのは行為ではなく心理

にがくてあまい 小林ユミヲ
名無し

にがくて美味い、と にがくてあまい、は違うものだと思う。 この漫画「にがくてあまい」に例えて言えば にがくて美味い、は、そのまんまBLでありゲイの味覚だと思う。 にがいのが美味いんだよ禁断の味で、というか、 ゲイとしてストレートに味わう快楽の味というか。 自分はゲイでもないしBL信者でもないので想像だが。 にがくてあまい、はBLでありゲイである男が 自分がゲイであることを自覚した上でそれでも 生きていくことで感じる心理的な味の事だと思う。 くどいようだが自分はゲイじゃないので想像だけれども 世の中に数多あるBLやらゲイやらの漫画は にがいのがうまい、を描いている「だけ」だと思う。 にがくてあまい、を描こうとするなら ゲイの心理にもう一歩、踏み込まなければ描けない。 この漫画「にがくてあまい」が凄いのは ゲイである渚の心理にも「だけ」でないレベルで 踏み込んでいるし、 同様に親子関係や仕事関係で屈折したものがあった マキの心理にも踏み込んでいく。 漫画家をめざし渚の兄と関わったミナミの心理にも踏み込む。 踏み込んで初めて見出せる「あまい」を見せてくれている。 単にイケメンのゲイとアラサー女の同居コメディではない。 ゲイという一般人がしらない禁断の味をあまいといっている わけでもない。 ゲイを切り口やとっかかりにして、 人の心や生き方に踏み込んでいくことでみつけられる 「にがくてあまい」を表現しているのだと思う。 さらに凄いのは、そうやってズカズカと渚やマキの 心に踏み込んだ上で、時によっては 単にイケメンのゲイとアラサー女の同居コメディとして 平気で渚やマキの心も 「踏み荒らしまくったりもする」 のだ。まあ主にギャグ回のオチとしてだけれども。 「人の不幸は蜜の味」という言葉もあるが、 唐突に無慈悲な面白コメディとしてソッチ方向に 舵を切って「笑えるにがくてあまい味」を 味あわせてくれたりもする。 そう思う。 くどいようだが自分はゲイではないので想像だけれども。

バットマン:ホワイトナイト

ゴッサムを守るのはジョーカー…!!

バットマン:ホワイトナイト ショーン・マーフィー マット・ホリングスワース 秋友克也
ANAGUMA
ANAGUMA

バットマン最大の宿敵といえば犯罪のカリスマ、ジョーカーです。 狂人である彼が正気を取り戻した時、ゴッサムに何が起こるのか、バットマンは彼を裁けるのか?という「もしも」を描いたシリーズ。 単に善悪の設定を入れ換えただけでなく、ブルース・ウェインという上流階級と、社会的弱者ジャック・ネイピアという対立構造を描くなど、現代のアメリカ社会を背景にしたテーマ構成が秀逸で、説得力があります。 市民の味方として声を上げた「ホワイトナイト」が現れたことで、法に縛られずに暴力を振るう「ダークナイト」とビランの違いはどこにあるのかという問題が浮き彫りになり、バットマンのフォロワーとして声援を送っていた読者の心も揺さぶられることに。 アルフレッドが病に倒れたことで深まるブルースの孤独、何時ジョーカーに戻るかわからない不安を抱えたジャックの葛藤…。 「ふたりのヒーロー」が悩み、傷つき、それでも戦うようすには胸が熱くなること必至です。 シリーズのヴィランも総登場するほか、ジョーカーを付け狙う黒幕ネオ・ジョーカーの設計などオタクが喜ぶ要素もタップリ。 特にクライマックスのバトルは『スパイダーバース』的なお祭り感があってテンション爆上がり。 映画になってくれ…!! 設定の奇抜さだけではない上質なエンタメに仕上がっているので、バットマンを読んだことがない人にこそ読んでほしい一作です!

マンガ酒

酒豪列伝よりも下戸の喜怒哀楽語りが多い酒エッセイ

マンガ酒 新久千映 鈴木小波 北駒生 他
名無し

お酒大好きな酒豪漫画家連中が登場するかと思いきや 「実は私は下戸でして」で始まる漫画が多い。 どうらやコミック・ゼノン連載陣を中心に リレー形式で酒に関する話を語ってもらった エッセイ的な漫画を纏めた本らしい。 下戸でもいいです酒にまつわる思い出話でもいいし、 みたいなワリと緩い感じの企画だったみたい。 そりゃそうだ、漫画家がみんな 土田世紀先生や西原理恵子先生みたいな人 ばかりのわけがない。 むしろ、このくらいの人が揃うほうが普通。 これで酒豪ばかりのエッセイ漫画がそろったら、 コミック・ゼノンはどんな雑誌だよ、となるし。 漫画ゴラクやアクションならともかく(ゴメン、偏見です)。 そんな感じで、ヘベレケに泥酔した話とか 酒乱気味に大暴れして大失態みたいな話とか それほどにはなくて、 下戸からみた客観的な酔っ払い観察記、 みたいな話が多い。 この漫画を読んで酒を飲みたくなる人は少ないだろうが、 お酒にたまに触れる生活、 家族や友達に酒好きがいる日常、 酒が引き出してくれて知った自分や知人の意外な一面、 世の中には、そんなあれこれがあってもイイんじゃないの、 と思ったりはする漫画だった。 そういう意味ではいわゆる飲兵衛漫画とは 別角度からの酒肯定漫画なんだけれども、 果たしてこの漫画を企画した意図が そういうことだったのかどうかは解らない。

マオの寄宿學校

ついにキタ!白泉社王道のボーイミーツボーイ!

マオの寄宿學校 安斎かりん
せのおです( ˘ω˘ )
せのおです( ˘ω˘ )

いつも少し違った視点から、数々の少女漫画の名作を生み出してきた白泉社。 (白泉社にハズレはないと思うほど私は花ゆめいとです、笑) ここ数年、前面に売り出していた作品は、 『覆面系ノイズ』『なまいきざかり。』『高嶺と花』『水玉ハニーボーイ』『フラレガール』『墜落JKと廃人教師』…などなど。 どれもすごく面白い!面白い…けれど、恋愛モノ以外の新作も読みたいなァ…と感じ始めていた時、 やっと現れたのが、『マオの寄宿學校』でした。 転校も多く引っ込み思案で友達作りが苦手、友達は植物だけ?!なマオのために、両親は寮制度のある榮歐學園へ編入させた。マオはルームメイトで、なんと学園一ナゾで一匹狼で嫌われ者?のルイと出会います。 最初はルイから距離を置かれるものの、いつも一人でいるルイに親近感を覚えたマオは、なんとか友達になりたい!と思い、得意な植物を用いてルイの心を開かせます。 やっとルイと友達になれたマオ、でも実はルイの性格はマオとまったくの真逆だった! そんな凸凹コンビが、マオは學園の監督生とそのファグのみ許される植物園に入るために、ルイは最も優秀な監督生に与えられる地位を得るために、學園の様々な人たちと関わっていきます。 ひとりぼっちだったけれど、真逆な性格な二人が、お互いを補いながら學園生活を変えていく様は、まさに青春そのもののようです! また、ボーイミーツボーイから始まる物語は、どうしても80年代白泉社黄金期を連想させてしまいます。 そしてその2人の様は、『桜蘭高校ホスト部』、『花ざかりの君たちへ』の学園もの、そして『ここはグリーン・ウッド』の寮ものに次ぐ名作になることをどうしても期待してしまいます…! 1巻登場にして今最も続きが気になる作品です。

ぶろおど!

ローストビーフ丼のような柔道漫画

ぶろおど! 笠原巴
名無し

周囲からは札付きの不良として疎まれている青葉マサムネ。 根は純真なのだが自分を持て余して 喧嘩ばかりしているマサムネが 色々とあって投げ飛ばされて好意を抱いた相手は フランス柔道王者で最近転校して来たハーフの女の子。 マサムネは彼女と親しくなろうと柔道部へ入部。 しかし恋敵?が現れて・・ 「ぶろおど!」を読み終えて この漫画はローストビーフ丼みたいだな、と思った。 しばらく前から流行っている「ローストビーフ丼」。 自分としては牛丼をオシャレで高級にしたようなもの、 と考えている。 牛丼は普通に美味い、値段を考えればかなりお値打ち。 でもいまどき「安くて美味しい牛丼」では 客の興味を特に引けない。 なら「ローストビーフ丼」にしてみたらどうだろう? ちゃんと米や牛肉は良いものを選んで、 和風にちょっと洋風テイストを加え、 丼料理をあえて高級洋食風に調理すれば 牛丼より付加価値のついた新感覚で、 結構良いものが出来上がるかも、 ・・みたいに考えて作られたのがローストビーフ丼であり、 ぶろおど!という漫画なのかな、と思った。 ギャグ展開も多いし、本格柔道漫画とは言いがたい。 どちらかというとコイバナ的な展開の青春柔道漫画。 全二巻の短い作品だからか柔道の公式試合すら一度も描かれない。 だが、試合風景こそないが、柔道の基礎練習、 基本動作、技の原理などに費やすページが 比較的に多くなっているせいか、 柔道シーンの扱いが軽いという印象は受けない。 なので柔道漫画としては他の作品と比べると、 面白さで上位とは言えないが、 独特の味は持っているし、 こういう柔道漫画もいいかもな、とは思った。 ただし、ヒロインがフランスと日本のハーフだとか、 フランス王者だったという設定は、あまり重要性を感じなかった。 強くて綺麗な大和撫子では話題として弱いかもしれないが、 フランス人で無ければ駄目だった、という盛り上がりは あまり感じなかった。 そのあたりに、 普通の牛丼に調理してもソコソコ美味しい丼になっただろうに、 わざわざローストビーフ丼に仕上げて良かったのかなあ? という感想が沸いた。

永世乙女の戦い方

スペリオールに強力なニューヒロイン誕生!

永世乙女の戦い方 くずしろ 香川愛生女流三段
mampuku
mampuku

 超好きな感じの新連載が始まったので(出遅れたけど)クチコまずにはいられなかった! 作者はこれまで数々の上質な百合漫画を世に送り出してきたくずしろ先生。「女子」特有の価値観や関係性などを下敷きにしつつ、将棋というジャンル、そして香という強烈なヒロインものとして極上エンタメに仕上がっています。  ヒロインのぶっ壊れたカッコよさや脇役たちの人間味など、同じスペリオールで連載中の「響」と共通する魅力を感じます。しかし「永世乙女」はそれだけでなく、とにかく絵が良いんです! 誌上で随一の華があります。線が美しく、構図やキャラの表情に力がある。  ちょうど最近「響」に登場した天才漫画家が曰く 「漫画の命はキャラクターでしょ。とにかくキャラがあってそいつらが次々に何かする。」 「キャラも作れない描きたいイベントも特にない。でも漫画に関わりたい。そんなアホがゴロゴロいる。そんな才能のない新人や枯れたじじいが行きつく先が情景描写に心理描写。」 「死がどうとか性がどうとかにいちいち葛藤するなんの内容もない話に背景だけ描きこんでうすら寒いポエムのっけて」  ……両手をあげて賛同はできないものの一理あるなと思いました。そして数週間後に始まった「永世乙女」を読んで「そうそうそれが読みたかったんだよ!」と笑。キャラが動き、絵が語る、これぞ漫画。