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お洒落系漫画かなと思ったら違う テンポがよくて読みやすいそれでいて確かに切れば血の出る漫画! 主人公と想い人と父親の関係性がいい 最近読んだ漫画で良かったやつ何かと聞かれたらこれを買うように勧めますね。 分厚い本なのにちゃんと最後に向かって収束する。 よくある感じの話なのかもしれないけど、著者の独特な作風で素晴らしく仕上がってる気がします。 手の描写、ガラス質の描写が美しい…。
『花と頬』は、主人公・鳥井頬子の父が組んでいるバンドがリリースした楽曲名です。
本を読むことが好きな高校生の頬子は、最近転校してきた八尋豊から、"お父さんって「花と頬」の人って本当?"と聞かれます。
しかし、頬子の父親は、頬子が幼い時に妻と別居を始めており、世間に「妻子持ち」と公表していません。
そのため、八尋がなぜ"どうして私のことわかったの"か、気になり始めますが、父の作品をきっかけに頬子と八尋の交流が始まります。
そのうち、頬子は八尋に興味を持ち始めるようになります。
が、八尋が自分と仲良くしてくれているのは、"パパの娘"だからと考えたり、でも「"パパの娘"な自分」を利用して八尋の興味を引こうとしてしまう自分に嫌気がさしてしまいます。
幼い時の父と母の別居のことが心に残っており、"愛してるってなに?"と強く疑問を抱いている頬子。恋愛に対してかなり不器用なんです。
かく言う八尋も、医者の親を持つ家庭環境や過去の恋愛の経験から、どこか人に一歩踏み出せない様子です。
"愛"が欲しい故に"愛"に対して臆病になる頬子を救ったのは、頬子にとってたった1人の家族である父・哲でした。
実は、父・哲の妻との別居の背景には、偉大な愛が隠れていて、そんな哲の大きな優しさがこの作品全体を包んでいるようにも思えます。
爽やかな絵柄や淡々と進むストーリーだからこそ、人を愛することに対して臆病になる10代の頬子の焦りや切なさが、まるで声を絞って出てきた言葉のように痛いほど伝わってきます。
そんな頬子が見つけた、"愛してるってなに?"の答え、是非一読して見出してみてください。
稀代の新鋭が描く高校生男女とその家族のひと夏の物語。ガールミーツボーイを主軸に人々の過去と現在が交差する航跡のその先に「未来」への確かな手応えが心に残る全1巻。