感情ステッカー

漫画ならではの表現が面白い!

感情ステッカー 正青コム
ましゅまろ

人の感情を表す擬態語が漫画の描き文字のように見える男が主人公。そのため仕事が忙しい時は、職場が刺々しい「イライラ・ピリピリ・カリカリ」などでいっぱいになっているのが見えるし、同僚が悲しいことを隠していても、背中に「しおしお」が浮かんでいるので見抜くことが出来ます。 さらに不思議なことに、主人公は**人の感情をステッカーのように剥がして自分にくっつけることができる**…というあらすじ。 前作の『かおる子さんは犬程ではないけれど』が目に見えない「匂い」をテーマにしたお話だったのに対して、こちらは「感情」がテーマでした。 https://twitter.com/masao_com_/status/1171085021525901312?s=20 **絵が可愛いのがとにかく良かった!** 今回の読切では、人の感情を奪ってしまったことへの罪悪感や、自分の能力が万能ではないことを描いていたけど、アイデア次第では能力もっと面白い使い方ができそうだなと思いました。特にこの設楽さんから奪ったドキドキを、うっかり相田さんの前でくっつけてしまうシーンにはすごく可能性(意味深)を感じます…! 正青コム先生の描かれる「すこしふしぎなお話」をこれからも楽しみにしています! http://www.moae.jp/comic/reiwaproject/6 (画像は本編より)

メダロット

メダロットが「生きてる」…

メダロット ほるまりん
ANAGUMA
ANAGUMA

原作ゲームにハマった時期にボンボンを買って読んでたんですが、結構読むのが怖かった思い出があります。 このマンガのメダロットは攻撃されると腕がちぎれて関節の被覆が裂けるし、ボディを撃たれればオイルが血しぶきのように飛ぶし(効果音は「ゴプッ」!)、殴り合えば顔のシェードが破損しカメラアイが露出します。フェティッシュと言えるほどに破壊の表現が緻密で、機械であるメダロットが、まるで生きた肉体を持っているかのように痛々しく傷ついていくのです。 ビーストマスターがメタビーの半身を吹き飛ばす表現は今でも脳裏にこびりついていて、トラウマものです…。 ゲームボーイの画面では、ロボトルで戦うメダロットはパーツが壊れて戦闘不能になるあくまでロボットっていうイメージがやっぱり強くて、それがマンガになるととたんに生々しくなって「実際はこんな壮絶なことが起きているんだ…」とビビリまくりましたね。(メダロット2、3になると色がついたり、表現力が増してもっと生き生きした感じになりますが…) この破壊の表現やリアリズムがあってこそ、人間の相棒であるメダロットへの愛着、キャラクターとしての個性がより際立ち、児童マンガの域を超えたストーリーの緊張感が保障されていました。メダロットの神秘性や出自の設定など、SFとしての見せ方もめちゃくちゃレベルが高い。 『ポケスペ』なんかもそうなのですが、子ども向けのゲームをネタに「そこまでやるのか???」という気合がビシバシ伝わってくるわけです。 特に3巻のセレクトビルでの攻防は『デビチル』のマーブルランド戦争編と並び立つ珠玉の名勝負だと思います。 限られた表現でつくられたゲームの魅力を、想像力を爆発させてマンガでブーストしていたんだなぁと思います。おかげでいい子ども時代を送れました。 この時代のボンボンマンガを代表する気迫溢れる一作なので、ゲームをやったことがない人にもぜひ読んでほしいですし、出来たらゲームもプレイしてそのギャップも味わってほしいですね。

白暮のクロニクル

白だ黒だが簡単にはハッキリしない、というリアリティ感

白暮のクロニクル ゆうきまさみ
名無し

分類をするなら探偵物とかミステリーになるか? 特殊能力を有する主人公のディテクティブ・ストーリー と言うべきか? だがそれだけにとどまらず、少々SF的な設定だが、 SFとしてもミステリーとしても ホラーだとかサスペンスだとかとしても 命とか人生を問う作品としても、とても良作だと思う。 主人公が有する特殊能力は「ほぼ不老不死」 息長(オキナガ)という殆ど不老不死の人間が、 1000人に1人くらいの割合で存在し、 世間もタテマエ的には認知し行政も仕組みを整えており、 一般人とオキナガがちゃんと共棲している、 とされている現代日本が舞台。 しかし現実にはマイノリティな存在のオキナガは 色々と差別・迫害を受けている。 厚労省の新人・伏木(身長180cm近い女性)は 行政側の人間としてオキナガと関わることになる。 オキナガにはほぼ不老不死と言うこと以外にも特徴があって ・オキナガとして「成り上がった」時点で容姿その他?  の成長が止まる ・日光を長時間浴びると死に至る ・食欲や性欲レベルで喫血嗜好が沸くこともある その他にも色々と特殊な面があるオキナガだが、 伏木が担当したオキナガ・雪村カイはさらに特殊だった。 見た目は18歳前後の少年。実年齢は88歳の雪村。 彼は、12年ごと70年以上に渡って羊年の年末に 繰り返されている連続殺人事件「羊殺し」の 真犯人を執拗に探していた。 伏木は巻き込まれる形で雪村と行動を共にすることになり、 「羊殺し」に関わっていくことに。 模倣犯罪やタテマエや現実や、行政の施策と効果のギャップ、 そして不老不死の人間達がそれゆえに直面し、 抱えこみ、蓄積していかざるを得ない社会的現実。 雪村と行動を共にすることでそれらを実体験しながら、 羊殺しの真相とともに思いもよらなかった世界を 伏木は知ることになる。