ネタバレ

周到に用意された流れに沿って描かれたマンガということで、これほど完成度が高くて面白いマンガってなかなか無いのではないでしょうか。

1話冒頭の2人が、べしゃり暮らしの2人なわけですね。「いやー思い出すな、高3の秋に俺ひとみちゃんに告られたんだよ」って言ってますが、確かに何巻かで「ひとみちゃん」に上妻が告白されてましたね。変な関西弁って言われてフッてましたが(笑)

森田まさのり先生は、この作品を描くにあたって、吉本興業の養成学校・NSCに1年間通うほどの力の入れようで、お笑いを学んだそうです。そして、最初から最後までの流れも決めて、ラストのコマも決めて連載に臨んだとのこと。物語の終盤、漫才中にアドリブが行われて、1話冒頭のシーンにつながったところは感動的。

そしてさすが感情表現を描くことに長けている森田先生。心に響くような台詞が多いこと多いこと。個人的には梵の台詞「もし才能が売ってたら………借金してでも買いたい………」はゾワッとしました。

読みたい
足摺り水族館

言葉で説明しづらい、不思議な読後感に浸れる

足摺り水族館
鳥人間
鳥人間

panpanya先生の作品は、不定期だけど繰り返しパラパラと読み直したくなる、アナログで手元に置いておきたいマンガのひとつ。 その商業第1作『足摺り水族館』。 個人作品を再構成しつつ、未収録作品を追加されたもの。この雑多な感じが魅力だなーと思う。panpanya先生といえば現実と非現実をフワフワと漂いながら行ったり来たりするような、不思議な世界観が魅力。 表題作「足摺り水族館」は作中で3編に分かれて描かれている。古めかしい栞に誘われて不可思議な空間へ向かう。中編は写真と文章で日記みたいな感じ。後編はなんだかもう集大成といった雰囲気。 他にも様々なテイストの作品があって面白い。 お母さんからのメモに全く読めない謎の言語で書かれた品物が一つあり、それをなんとかして買いに行こうとする「完全商店街」。木炭絵?っぽい画風の「イノセントタワー」(2つ目の京都タワーに向かうお話)。不可思議な空間を少年が歩いていく描写で台詞が一切ない「無題」。喋るし動く自動販売機のお話「マシン時代の動物たち」などなど多種多様。 これ以降の作品も、もちろん素晴らしいけれど、本作はとくに各作品個性が際立っている気がする。まさに混沌。中には合わない作品もあるかもしれないが、「読んでよかったなー」と思うエピソードがきっとみつかる、はず。 そして「無題」がさっぱりわからないので誰か教えてほしい……(笑)

半世紀の箱庭

近未来老後SF!

半世紀の箱庭
鳥人間
鳥人間

軌道エレベータが建設された結果、沸き起こる宇宙バブル。数多くの建造物が宇宙に作られ、そこに移住する人々が増えた時代。冒頭で、若い夫婦が宇宙へと旅立つ。その先にある夢が語られると思ったら……そういうのはすっ飛ばして、まさかの老後が描かれている。 老夫婦の暮らす場所は、宇宙バブルの頃には最先端だったホテルが老人ホーム化され、老朽化に耐えながら運用されているようなところ(低重力環境は老人ホームにちょうどいい)。医療の進歩で高齢者の肉体的な若返りはある程度、実現している。しかし脳についてはまだ未知数な領域で、認知症は解決されていない。そんな状況で暮らす、認知症を患った妻と、その夫のお話。 なるほど自分たちが年老いた場合、こういう環境に身をおくことになるのか……そんな想像をしてしまうほど近未来の世界観がすごく興味深かった。そして、ほとんどのSFが寿命を超越したり、心身共に若さを保ったものな気がするが、この作品は「わりと普通に老いる」という視点で描かれていてとても新鮮に感じた。 作中、リハビリを受ける高齢者たちが描かれている。認知症になっても手先を使うことは覚えているということで、キーボードやゲームコントローラーをガシガシ使っている姿にちょっと笑った。 自分が老人になっても……ゲームはしてそうだなぁ(笑)

Bloodborne: The Death of Sleep

原作リスペクト感がたっぷりあるコミック版

Bloodborne: The Death of Sleep
鳥人間
鳥人間

Bloodborneは元々はフロム・ソフトウェア開発のゲーム。その海外でのコミカライズ版があると知って早速買って読んでみた。購入したのは日本語化されたもの。中身は海外著者のアメコミ風(?)だが、日本語版のカバーイラストは、漫画家の林田球先生による描き下ろしだそうだ。 たぶん原作ゲームを知らない人が読むと、さっぱりわからないと思う。死んで、狩人の夢の中で目覚めて、また現実をやり直すというループめいた現象は、ゲームをやってる人しかピンとこないだろう。逆に原作を知っている人であれば、この雰囲気や謎めいたストーリーで「あぁこんな感じこんな感じ!」と思うはず。 ストーリーは著者のオリジナルだそうだ。とはいえ原作のストーリーはフロムお得意のユーザーに想像をさせるところが多く、多様な解釈ができる不明瞭なもの。ストーリーについては数あるアイテムテキストや状況から推測しなければならない部分が多いゲームだ。おそらく著者もその辺りをよく理解しており、原作の世界観に著者の考えを上手く盛り込んでいると思う。 そして原作リスペクトがとてもよくわかる描写やキャラクターたち。例えばボスモンスター「血に渇いた獣」が原作通り絶望感たっぷりに描かれている。ゲームで最初こいつに出会ったときの「どうやって倒すんだよ……」と途方に暮れた感覚を思い出した。他にもボスでいえばアメンドーズ。NPCでは狩人デュラ、ゲールマン、人形など。ノコギリ鉈や回転ノコギリといった仕掛け武器。旧市街や禁域の森、漁村などのエリアが描かれていてファンならニヤリとするだろう。 全編オールカラー、カッコいいコマも多く、見応えがある。ストーリーは希薄だが隙間を想像しながら楽しめる。とりあえず1回だけ読んでみたが、繰り返し読めば色々発見がありそう。言い換えれば不明瞭な話なので、モヤモヤとした感じを覚える人もいるかもしれない。原作ファンでも好みは分かれそうだ。

アルキメデスのお風呂 単行本版

ありそうでなさそう?(いやないかなw)素粒子研究所内ラブコメ

アルキメデスのお風呂 単行本版
鳥人間
鳥人間

アルキメデスのお風呂ってあれか、黄金の王冠の逸話かな。 東海村のJ-PARCが監修しているということで、興味を湧いて読んでみた。 弁当屋店員でぽっちゃり女子の原陽子は仕事でもプライベートでもボロボロになり、駅のホームで自殺を図るという、いきなりなんとも重い話からスタートする。 しかし、そのとき助けた人物が(ちょっとおかしな)王子様のような理系男子。二人には意外な接点があり……といった感じでラブコメ展開へとつながっていく。 作中の舞台となるA-PARCは実質、実在のJ-PARCなのだろう。たぶん。筑波のKEKへは一般公開日に何度か行ったことがあるので、そういうときに見聞きしていたので存在は知っていたけど、さすがにこちらは行ったことがない。その内情が見て取れるというのは面白い。 ラブコメ要素には正直あんまり興味がない(笑)が、素粒子の基礎研究という何に役に立つんだかわからない研究と、暗中模索な恋愛模様を交錯させて描く様はなかなか面白い。それに各キャラクターがなかなか個性的で面白いし、1巻時点では各キャラクターの背景に何やら色々抱えていることがありそうで、この先が気になることは確か。おそらく今後登場するであろうエミィも曲者であってほしいなー。

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くらもち本~くらもちふさこ公式アンソロジーコミック~

くらもち本~くらもちふさこ公式アンソロジーコミック~

くらもちふさこ45年の画業のなかで生み出された数々の名作の、豪華執筆陣による描きおろしスピンオフストーリー&スピンオフイラスト! いくえみ綾の描く「チープスリル」、椎名軽穂の描く「天然コケッコー」、雲田はるこの描く「駅から5分/花に染む」、よしながふみの描く「Kiss+πr2」……ほか、人気作家たちの手によって新しく生まれた物語たち。もちろん、単行本初収録となる「天然コケッコー」特別編100ページ、花に染むと駅から5分をつなぐ「駅から5分」特別編など、くらもちふさこの作品もたっぷり読めます!

ザシス

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中学教師・山内海はある日、殺人事件のニュースを目にする。殺されたのは鈴木侑己、中学時代の同級生だった。数日後、山内の恋人で文芸書の新人編集・八木沢珠緒は、公募小説の落選作に事件と酷似した内容が描かれた作品を見つける。『ザシス』――作者名は佐伯遥人。やがて小説と同じように、旧友に同窓会の案内状が届いて…。森田まさのりが挑む初のサスペンスホラー第1巻!!

森田まさのり作品集

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青春不良漫画の金字塔『ろくでなしBLUES』の源『BACHI-ATARI ROCK』を始め、ボクシング読切『SYNCHRONICITY』、手塚賞佳作受賞作『ミステリアス・キッド』など、根性と笑いが詰まった初期作品を結集!! さらにコミック未収録である『ROOKIES』のショートギャグ『るーきーじゅ』や、森田先生の自伝漫画『まんが暮らし』を初収録した珠玉の短編傑作選、第1弾登場!! スペシャルインタビュー/森田まさのり

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ろくでなしBLUES

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帝拳高校にとんでもない奴がやってきた!泣く子も黙る超弩級のノーテンキ喧嘩ヤロウ、その名も前田太尊!!入学早々、反目しあう応援団とボクシング部の抗争に巻き込まれてしまった太尊、勝嗣、米示の3人。停学中のボクシング部主将の畑中が戻り、事態は混迷を極める!

ROOKIES

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二子玉川学園高校にやってきた新任教師・川藤幸一!その熱血漢ぶりは、担任クラスでも好感を持って受け入れられる。やがて不良の巣窟となっていた野球部再建に着手するが、猛反発する部員から、川藤が前の学校で“暴力教師”として学校を辞めた事を暴露されてしまった…!!

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【太尊も千秋も2.5頭身!】コワモテはそのままに、『ろくでなしBLUES』の面々が可愛い2.5頭身になって、他愛もない日常から、よく当たる心理テスト、さらには昔話風コントまで! おもしろおかしく描き出す、全61話のショートショート! 不定期に発表されていたシリーズをひとまとめにした、本編ファン必読の番外編!!

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