翻訳家の本山田が移住してきたのは自然豊かな離島・磁辺島。彼が島で出会ったもの、それは島に流れる緩やかな時間、心優しい島民とのふれあい、空から降る謎の金属片、そして道端に置かれたネコの像に消えるお供え物…アレ、なんか変だぞ!?
そんな自然豊かな島でのスローライフとちょっとだけ不思議なSFとの組み合わせ。それらが島の人々の人間関係、そして翻訳家である本山田というピースと組み合わさることで1つの大きな物語を生み出していく。
それでも作品全体からはほのぼのとした雰囲気が滲み出ている。伊藤正臣さんの絵柄も相まって、しっかりSF要素がありながら穏やかな空気感が広がる不思議な作品。
ちなみに単行本は新潮社のバンチコミックスから出版されていますが、元々はジヘンというWEBマンガ誌で掲載されていた作品。島の名前もここから来てるのかなーとかいろいろ思いを巡らせながら読んでも楽しい作品。

全3巻読了

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ジヘン島!
本当だ漫画誌の名前ですね、気づきませんでした。
SFなのに穏やかな空気感の作品なかなかない気がして私もこの作品好きでした。

マグネット島通信

独特な磁場が、読後の満足感を引き寄せる

マグネット島通信 伊藤正臣
名無し

南の島に移住してきた低迷気味な青年翻訳家。 爽やかさとほのぼの感の両方が漂う島の女子高生。 空から降ってきたらしい謎の金属片。 ちょっとSFが混じったメルヘンでドリーミイな物語が 始まるのかと思いきや、謎のカケラが色々なことを引き起し、 繋がり、広がって、やがて時空を超えた壮大な物語になっていく。 空から金属片が降ってくるという完全なSF設定でありながら、 SF設定を夢や愛や物語を成就させるためだけで使っていない。 小さな部品それぞれがちゃんと繋がることで 凄い働きをする機械が出来上がるように、 夢も希望も不満も事情も抱えたそれぞれの人たちの心が いくつも繋がって動いて大きなものになっていく。 その「ちゃんとした繋がり」にするためにSF設定が 使われてはいるが、決して安直に使われていない。 SFで繋げることで、湿っぽい繋がりにならずに済んでいるし、 パニック物な展開もありながら、最後までほのぼの感も崩れない。 夢物語と論理的物語をバランスよく組み合わせて 「マグネット島通信」という物語を構築するために SF要素が必然性を持って組み込まれている。 読後には滅多にないそして独特な満足感を味わいました。

まぐねっととうつうしん
マグネット島通信 1巻
マグネット島通信 2巻
マグネット島通信 3巻(完)
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