「創刊50周年記念 花とゆめ展」に行ってきました。
「すっごく懐かしい!」から「読んだなあ」まで、自分の人生を振り返るような展示でした。
「あれ? ないじゃん」って作品が『LaLa』掲載だったりして、意外に区別がついてなかったなというのも実感しました。
外国人の方もちらほらいて、『フルーツバスケット』のグッズを買い込んでました。海外でめっちゃ人気なんですよね。「好きなマンガは?」って聞くと「フルバ」って答える人、けっこう多いです。
過去に書いた『花とゆめ』掲載マンガの記事はこちら。
突然ですが、わたくし和久井の夢のひとつに、
「横浜で年末に汽笛を聴く」
ってのがあります。
ガラカメファンならすぐピンときますよね。
今となっては北島マヤの出自を思い出すことはあんまりないですが、ちょっと序盤を中心に振り返ってみたいと思います。
マヤは母子家庭で、横浜中華街にある中華料理屋さんに住み込みしていました。
そして毎日(たぶん)、学校から帰ると出前のお手伝いをさせられていたのです。
しかし集中力と協調性がない子でした。
映画館に出前に行くとそのまま映画に魅入ってしまい出前をすっぽかしてしまうことたびたび。母親にガミガミ叱られています。
すごい効果音がしてるので、むちゃくちゃぶっ叩かれてるようです。
ちなみに連載が始まった1976年ごろ、少女マンガでは割と暴力シーンがフツーに描かれてました。
恋人や友だちに、「パンっ!」とかほっぺ平手打ちしたり。ぶっ叩いて何かに気づかせる、みたいな軽い感じで暴力が描かれてたものですが、最近はなくなりましたね。
そして北島母娘が住み込みしている万福軒の令嬢()杉子は、なんでだかめっちゃ意地悪です。彼女はマヤに「椿姫」の舞台のチケットを「年越しそばを一人で全部配達したらチケットをあげる」などと挑発します。
舞台見たさにマヤは一人で配達をし、念願叶って初めて舞台劇を見に行くことができたのでした。
だがちょっと待て。
杉子さん、このチケットは「BFの松本君からいこうって誘われて券をもらったのよ」なのですね。
お前、もらい物のチケットを勝手に人に渡すなよ……ってか当日、杉子の代わりにマヤが観劇してたわけだけど、隣の席には松本君がいたはずですよね。
デートに誘ったチケットを他人に譲られたら「俺、嫌われてるのかな」とか思いませんかね?
思わないみたいです。
胸に「松」の字マークの松本君。相変わらず仲良しのようです。
そしてマヤには厳しい大人たちですが、令嬢の杉子には甘い。
「仕事を(くだらない)子どもの賭けに使うんじゃありません!」とは誰も叱りません。
しかも、年越しそばだからって「年内に配達すりゃーいい」って問題でもないはずですが。
しかしこのシーンは、よほど印象的なのか『パタリロ!』でも取り上げられてます。
というわけで、中学生2年生のマヤは、中華料理店で働かせられ、母親にはぶたれ、ケーキも買ってもらえず、まあ今ならフツーに虐待児でした。母親はマヤのことを「なんの取り柄もない子」とか言ってますが、そうさせてる元凶はあんただっつーの。
マヤは身ひとつで月影先生のところへ家出します。そうして先生が設立する劇団つきかげに押しかけるのです。母親の仕事を手伝わされ、なのに叱られ、自尊心のかけらも育ててもらえないのだからそりゃあ家を出ますわ。家にいられなくて、でも居場所がない女の子は今でもたくさんいます。こんな安全な場所がいろんなところにあればいいのに。
とはいうものの、序盤の月影先生はけっこう怪しいです。
そして今はすっかりマヤに片想い状態になってる桜小路くんですが、序盤はむちゃくちゃ積極的で、立場が逆転してますね。
さて連載も長くなったガラかめですが、最近は何をやっているかというと、亜弓さんチームとマヤチームに分かれて「紅天女」の練習やってます。そして速水さんは、想いを募らせて思い詰めちゃった元婚約者の紫織さんに頭悩ませてます。
ではここで、水に浮かぶ紫織さんをどうぞ。
水に浮かぶ人は、とても絵になりますね。浮舟も美しい。
エルヴァも美しい。
最新刊の最後で、速水さんは何かを決意したみたいなので、早く続きが読みたいです。