バレエ版『ガラスの仮面』?『舞子の詩』のトンデモっぷりが超絶面白い!

バレエ版『ガラスの仮面』?『舞子の詩』のトンデモっぷりが超絶面白い!

だいたい少女マンガが熱心に取り上げてきたスポーツってのは、世界的な選手が育ってるように思います。フィギュアスケートとかバレエとか。

ローザンヌのバレエコンクールにはだいたい毎年日本人が入賞しているイメージですよね。

そんなバレエ大国日本を支えたバレエマンガのひとつが、『舞子の詩』です、たぶん。1977年に「ちゃお」で連載開始された物語です。

読み返してみたら、すごかったです。

まず、自分は素人のくせに『舞姫 テレプシコーラ』などでクラシックバレエ知識が詰め込まれてるので、その架空の知識で読んでみると、これバレエの話じゃないです。「バレエってこんなかな」みたいな感じで割り切って描いた感がムンムンします。

 

でも、「なんかイメージで描いちゃった」的なトンデモっぷりが、70年代上原きみ子作品の大きな魅力です。

主人公の茜舞子は、母親が経営している茜バレエ団に所属しています。そのプリマである小山先生が、公演の前にバレエを引退することになります。小山先生は泣きながら「バレエか結婚か……悩みぬいたすえに選んだ道です」と言います。えっバレエか結婚かを選ぶんですか?

しかも来月の発表会も、結婚して外国(外国?)へ移住するので出られないという。むっちゃくちゃ無責任なんです。それでもみんな、「結婚だし仕方ないか……」みたいになんか納得しちゃう。女にとって結婚って、昔は自分の人生捨てるようなもんだったのですね、恐ろしい……。

そして舞子は、パパが作曲して、ママが振り付けをした「エレナの赤い花」という作品を、いつか踊りたいと夢見ています。だけど舞子は、お母さんの才能を全然受け継いでいないダメな子なんです。しかも一緒に踊りたい姿郎兄さんは家出中です。全然夢は叶いそうにありません。さて、どうする? みたいな物語です。

ちなみに「エレナの赤い花」は、神々と人間が共存していた時代、美少年ナルシスは、女神グローリア姫に気に入られて天界へ連れ去られてしまいます。ナルシスの恋人エレナは、「女神の衣を赤く染めることができればナルシスを返す」と言われて、懸命に赤い花を摘み、衣を染めようとします。何年間も。……。おいちょっと待て、何度かやって染まらなかったら他の方法を試そうよエレナ、なんで同じことを何度も繰り返すんだ、仕事できないヤツだなエレナよ……という物語です。

ところで、「ある作品を演じたい……!」と切望する少女の話、もうひとつありますよね少女マンガに。

そう、よくよく読んでみると『舞子の詩』は、バレエ版『ガラスの仮面』なんです。

経営難に陥った茜バレエ団に、大手の橘バレエシアターの会長がやってきて、「エレナの赤い花」の公演をしたいから売ってくれと言ってきます。たしか『ガラかめ』でも、「紅天女」の上映権を大都芸能に売ってましたよね。

そして「エレナの赤い花」の主人公をめぐり、舞子は橘バレエシアターの洋子さんと争うことになります。『がらカメ』でも、マヤと亜弓さんがそれぞれチームを作って主演の座を争ってますよね。マヤ=恐ろしいけど不器用な子、亜弓さん=美人で高い技術を持つっていうところも同じです。

そして舞子が絡むバレエの舞台は、なんかいっつもトラブルが起きて、舞台で即興を演じることになります。マヤもしょっちゅう舞台上であれこれ対応してましたよね、一人で舞台を演じきったり、泥饅頭食べたり……。まあ演劇はなんとかなるとして、なんというか、クラシックバレエって様式美の最たるものなので、即興で踊るってめちゃくちゃ大変そうですよね……。

そして舞子は、橘バレエシアターの流衣さんに言い寄られたり、姿郎兄さんに叱られたり、バレエをやめようとして体操やってる亮くんを好きになったりしながら、エレナ役を目指します。

ところが姿郎兄さんは、落ちてきた舞台の照明に当たって肩をケガしてしまうんです。舞踊家なのに大変です。そういや『ガラかめ』でも、落ちてきた照明に当たって月影先生が女優生命を絶たれ、亜弓さんも照明に当たって失明しかかってます。照明ってのは備え付ければ落ちてくるものなんですかね、恐ろしい。

そして照明が当たった姿郎兄さんは、悪性骨巨細胞腫という病気になってしまいます。腫瘍ができたのは、照明が当たったところです。姿郎兄さん、肩のケガがいつの間に病気に……? じゃなくて病気だった肩に偶然照明が当たって病気が発覚した……? 謎ですが、どのみち姿郎兄さんは舞踊家生命の危機に陥ります。どうする、姿郎兄さん、そして舞子……!?

というわけで、『ガラかめ』との共通点はいくつかありますが、主題はぜんぜん違うので、よく考えなければ共通点には気づきません。全4巻の中に、これでもかってほどトラブルが詰め込まれていて、舞子は引っ越しするわバレエをやめたり始めたりするわで、大忙しです。

昔のマンガってテンポよくてトラブルギッシリ詰まっているのでお買い得ですね。

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