最高の美しさで綴られる、永遠の命と永遠の愛の物語『竜の眠る星』

清水玲子先生の原画展が開催中です。
とにかくとにかく美しい清水玲子先生の原画ですが、物語もマンガも最高に美しいのです。
キャラクターたちが植物や動物のなかに佇む構図は、アート作品そのもの。現代美術のコレクションに入れてほしいです。

清水先生の作品は、永遠の愛、揺るがない愛がテーマです。
少女マンガでは、心変わりは第一級の犯罪なので、「変わらない想い」は基本的条項なのですが、清水先生のそれはスケールが違うのです。
相手が知らないうちにすり替わっても姿形は変わってもちゃんと本物を選んだり、
異星に落ちちゃった相手を何十年も想い続けたり、
とにかく手を替え品を替え、永遠の愛の物語を見せてくれます。
それがどれも切なくて胸をつくんですよね。

竜の眠る星』は、ロボットのジャックとエレナが主人公の『ジャック&エレナシリーズ』最長物語です。
永遠の命を持つ2人は、永遠の愛+永遠の命のコンボなんですね。

『竜の眠る星』(清水玲子/白泉社)

舞台となる星、竜星王(セレツネワ)には、地球から移民した人類が住んでいます。しかしそこで人類は、やたら長寿のシュマリ人と、水中で暮らせるルルブ人に進化しておりました。シュマリとルルブの二国は互いに争っていて、小競り合いを繰り返しています。そんな中、竜星王に乗り込んだジャックとエレナは、ふたつの国の争いに巻き込まれていきます。そして、なんかエレナの様子がおかしい。

ルルブの王女であるモニークは、ルルブ人であればとうに水中を飛ぶように泳げるようになってもおかしくない年頃なのに、16歳になっても泳げないまま。彼女は敬愛する母親のためにも、早く泳げるようになりたい、彼女の役に立ちたいと思い悩んでいます。

『竜の眠る星』(清水玲子/白泉社)1巻より

みんなができていることが、自分にはできない。
自分が不出来であることは母親である女王の不名誉にもなる。
いっぽうの女王は、いつまでも泳げないモニークを、素直に愛することが難しい。
そんな自己否定感や焦燥感が高校生だった和久井の胸にズドンと響いて重かった。

そこにジャックとエレナが絡んできて、物語が進んでいくのですが、その他にもいくつもの葛藤が描かれます。

もし、自分が従うべきボスに、人の道に外れたことを命令されたら?
主人の大いなる秘密を知ってしまったら部下としてはどうするべき?
愛する人が絶対に自分に振り向いてくれなかったら?
過去の大きな過ちを目の前に突きつけられたら?

ちなみにファッションにもかなりこだわっていて美しい。
女王の衣装、和久井は授業中ずーっとノートに似顔絵の落書きしてました。
見て下さい、女王のドレスのゴージャスなこと! もうファッションショーです。

『竜の眠る星』(清水玲子/白泉社)1巻より
『竜の眠る星』(清水玲子/白泉社)2巻より
『竜の眠る星』(清水玲子/白泉社)2巻より

凝ってるのは女王の衣装だけじゃありません。エレナのこの服、総柄なんですよ、面倒くさそう……!

『竜の眠る星』(清水玲子/白泉社)2巻より

そしてラスト(の一歩手前)は、何度読み返してもバク泣きしてしまいます。

また、この頃から清水先生は生物学っぽいネタを物語に突っ込んでくるようになりました。
竜の眠る星』では「托卵」がネタになってます。
次作の『月の子』はクマノミの生態がネタだし、『パピヨン』はプラナリア、『22XX』はホタル。
生物図鑑かなにかを見ながら、「この生態を人間が持ったらどんなドラマが生まれるかしら」って想像してるのでしょうか。

生物ネタといえば『天地創造デザイン部』が現在進行中ですが、生物ネタに少女マンガのホルモンシャワーを振りかけると、清水玲子先生になるのですね。

はー、美しい!

 

 

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