大人になって再会したQちゃんの衝撃 藤子・F・不二雄「劇画オバQ」

私が子供時代を過ごした昭和40年代は漫画、アニメ、特撮、などがどんどん成長する時代でした。

思い入れの強い作品は沢山ありますが、漫画でいえば『オバケのQ太郎』『ゲゲゲの鬼太郎』『鉄腕アトム』は特別です。

テレビのアニメはよく観てましたし、貸本屋さんでも何度も借りて読みました。

グッズも当時は様々な物が売られ、とにかく「Qちゃん」「鬼太郎」「アトム」は日常生活にも溶け込む存在でした。

しかし昭和も50年代に入り私自身も成長し、その3作品も懐かし物の範疇に入ります。

特に『オバケのQ太郎』はあまり触れた記憶がありません。

この辺は作品を取り巻く環境や事情がありそうですが、詳しくはわかりません。

単に私自身が触れなかっただけで特に理由は無いのかもしれません。

そして昭和は60年代に進みます。

昭和62年に『藤子不二雄SF全短篇』という本が中央公論社から刊行され始め、店頭で見た際に「これは凄い」と即購入しました。

分厚い本です。

読みごたえがある、と嬉しかったのを何となくですが覚えてます。

『SF全短篇』は全3巻ですが当然全て買いました。

そして収録された「劇画オバQ」で、衝撃の「Qちゃん」との再会です。

「劇画オバQ」はビッグコミック昭和48年2月25日号に掲載されましたが、当然当時12歳の私は読んでません。

昭和62年、26歳になっての初読みです。

びっくりしましたよ。

「藤子さんあんた何てもんを描くんじゃ」と思ったのと同時に、「藤子さんすげえなぁ」と感嘆しました。

FとAに分かれる少し前です。

藤子不二雄さんが二人なのは知ってましたが、作品表記は「藤子不二雄」。

FもAもない頃は全て「藤子不二雄」さんの漫画です。

どちらが描かれたのかはあまり気にしてませんでした。

この「劇画オバQ」は『トリビアの泉』というテレビ番組でも取り上げられましたね。

たまたまですが、その放送回を見たのは私もそれなりに漫画運があるという事だと思ってます。

その「劇画オバQ」掲載の『ビッグコミック』。

『利平さんとこのおばあちゃん』の掲載誌を探している際に入手しました。

『ビッグコミック』昭和48年2月25日号

表紙に書かれた『劇画オバQ』の文字に「マジか!」と驚きましたよ。

扉ページの柱には「アイドルスターQちゃん」と書かれてます。

『劇画オバQ』

しかし他には一切何も書かれてません。

ただ他の掲載作品もそうなので理由は無いと思います。

でもこの何も無さが「劇画オバQ」という作品の内容に妙な効果を出している様に感じます。

ただしページの下部にはミニ知識がずっと書かれてるので考えすぎかもしれません。

実は2月25日号の前号、2月10日号も所有してます。

当然予告があります。

『ビッグコミック』昭和48年2月10日号

この予告はなかなか貴重ではないでしょうか。

そしてもう一つ所有する本から紹介します。

藤子・F・不二雄の世界』。1998年発行の展覧会図録です。

もうその内容は素晴らしすぎて言葉にできないくらいですが、なんと『劇画オバQ』の扉ページの原画写真が載ってます。

『藤子・F・不二雄の世界』より

109と107が横線で消してありますがページ番号だと思いますがどうなんでしょう。

だとしたら実際は93ページなので、その辺も面白いですね。

茶色い汚れも何なのか気になります。

この原画は展示されていたのでしょうか。

もし展示されていたのなら見れた藤子ファンは幸せです。

「劇画オバQ」掲載の『ビッグコミック』はつい最近手に入れて、これは記事にしなければと思い書いた次第です。

藤子・F作品の中でも異色と言っていいでしょう。

捉え方は人それぞれなので、あえて内容には触れてません。

未読の方、昭和40年代の『オバケのQ太郎』を事前に予習してから読む事をお勧めします。

※編集部注…「劇画オバQ」は、『藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>』1巻および『藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編』1巻にも収録されています。

記事へのコメント

「正ちゃんはもう、子どもじゃないってことだな…」と言って立ち去るQちゃんがめちゃくちゃ切ない

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