ほんにゃらゴッコ かりあげクン
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あらすじ

万年ヒラ社員でイタズラの天才、かりあげクン。初登場の時から、独特のヘアスタイルは変わっていません。サラリーマンの癒しバイブルコミック、バブル期もリストラ時代も平常心でスィースィー。植田まさし、永遠の笑宇宙。

マエストロ
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あらすじ

不況で日本屈指の交響楽団が解散!食い詰めた連中が謎のジジイ、天道のもとに再結集。これは、身も心も音楽に捧げた者たちが、極上の「運命」と「未完成」を奏でる物語である。手塚治虫文化賞に輝いた傑作『神童』につづく、感動の音楽漫画です。

マンガを読んでいる時間にしかマンガは存在しない

『神童』とそれに続く『マエストロ』で、文字通り音楽漫画のマエストロになったさそうあきらですが、長年に渡り疑問に思っていたことがあります。さそうあきらを筆頭に『のだめカンタービレ』の二ノ宮知子や『BECK』のハロルド作石らの描く音楽漫画はどうしてここまでひとの心を打つのか、ということについてです、肝心の音楽は実際には耳に聴こえないのにもかかわらず。 この謎をひとつ解き明かしてみようではないか、ということで、数年ぶりに『マエストロ』を読み返してはみたものの、まあ、最後のコンサートではボロボロに泣いてしまったんですけど、謎は謎のまま残ってしまいました。 ただ、ちょっとヒントになりそうな台詞が作中にありました。 「音楽って切ないね」 「今確かに美しいものがあったって思っても、次の瞬間には消えてしまうんだ」 「川の、流れのように―――」 「だからこそ、愛おしい―――」 「大切に思うんだ」 つまり、音楽は音楽を聴いている時間にしか存在しないけれども、マンガもマンガを読んでいる時間にしか存在しないということ。この不可逆性、このマンガというコマのうねりと連なりをひとつびとつ読んでゆくことの幸せを今日も逃すことなく噛み締めようと思う次第なのでありました。

影絵が趣味
影絵が趣味

映画と見比べて再認識した漫画「マエストロ」の凄さ

交響楽団が舞台の漫画「マエストロ」を読み終えた後に すでに映画化されていると知り、 映画も観てみようと思った。 「マエストロ」という凄い漫画を、 どんな風に映画化したのかという興味が沸いて。 漫画は視覚で静止画を見ることで楽しむもの。 映画は視覚にも聴覚にも、静止画でも動画でも訴えるもの。 「マエストロ」は音楽を漫画で表現した素晴らしい作品だが、 音楽そのものを扱える映画ならば、もっと素晴らしい作品に なっているのではないか? 音楽を無音でしか表現出来ない漫画と、 動きや音で表現できる映画とでは、 どういう違いが出てくるのか? その辺を見てみたいなと思いながら映画をDVDで鑑賞した。 映画も素晴らしかったが、あらためて漫画「マエストロ」が 素晴らしいものだと再認識した。 音楽そのものを音で表現出来ないことがハンデになっていない。 むしろ、そこから生み出しているものが多い。 映画は音楽を流す。 効果音的な瞬間的な「音」ならともかく、 「曲」を流すのであれば、 簡単に音を切り崩してつぎはぎしたり改変できない。 曲が壊れてしまうし、演奏家の動きとズレも生じる。 いまは映像や音楽の編集技術も高度になっているだろうから、 実際には切り張り的な編集はしているのだろうし、 それで観客には違和感を感じさせないレベルには 仕上がっているのだろう。 恐らく、プロの音楽家がみてもわからないくらいに。 だが脚色的な演出は控えざるをえない。 リアルを追求しているのに、虚飾を交えることになる。 例えば単純に、スローモーションやストップモーション、 早送りなどの動画編集的な手法は多様できないだろう。 やれば非現実感が生じてしまう。違和感を感じてしまう。 漫画は自由自在だ。 大きなコマで大迫力の絵を見せようが、 細かいコマで矢継ぎ早にシーンを変えようが、 静止画のような絵であろうが、 スローモーション的だったり倍速的な動きを表現していようが、 キャラのセリフやモノローグがかぶさろうが、 読者の頭の中に流れる音楽は破綻しない。 途切れない。自由闊達に流れ続ける。 それは実際に音が聞こえないからこそ味わえる音楽だ。 映画と比較してみて、そのことを改めて感じた。 また、映画のクライマックスの演奏シーンでも 一箇所だけスローモーションになるシーンがあって、 それは良いシーンに感じた。 漫画も映画もどちらも色々と面白いです。

名無し
るーざーずにほんはつのしゅうかんせいねんまんがしのたんじょう
ルーザーズ~日本初の週刊青年漫画誌の誕生~
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あらすじ

1967年7月、日本初の週刊青年マンガ誌「漫画アクション」が誕生―― その約2年前、後の初代編集長である清水文人は、「漫画ストーリー」編集長として新しい漫画を世に送り出そうと悩んでいた。そんな中、ゴミ箱から拾い上げた一冊の同人誌「マニア」に“何か”を感じる。徹底した取材と漫画への愛情から紡ぎだされる「漫画アクション」創刊秘話!

昭和まんが史を刻む快作

双葉社「漫画アクション」の初代編集長の話。 いわゆる、漫画家漫画の派生、漫画関係者漫画ともいえるジャンル。 編集者とか出版業界系を扱ったこの手のジャンル、自分好きなんですよね。 非効率でアナログな時代に、それでも何かを表現したくてたまらない人間たちの情熱とか、それを見抜くセンスとか読んでいて熱くなるのです。 本作も、そんな内容。 モンキー・パンチをみて何かを感じ、後に漫画アクションをつくり、はては双葉社の社長にまでなる男の話。 双葉社。控えめにいっても、大手ではない中堅出版社ですが、だからこそ飛び道具といいますが、王道ではないところで勝負にでて、結果を出していく様は、読んでいて痛快でした。 自分の価値観やセンスを信じるしかない。 これは、別に編集者だけではないと思います。 仕事も全て、最後は、自分の価値観、センス、いわゆる自分の中にある美学的なもので腹をくくるシーンが必ずでてくると思います。 特に、サラリーマンでも中堅を超えてくると決断を迫られるシーンが多々あるので。 そうした意思決定のプロセスも垣間見える作品で、読んでいてグッとくるものがありました。 自分の価値観を信じて動くって、実はとても怖いことなんですけどね。 だからこそ、最後は大きくはっていくしかないんでしょうね。 情熱を武器に、仲間を集め、自分の信じる道を行く。 昭和の激動のなか、小さくもアツい男たちの生き様に感動しました。

六文銭
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ぼっちゃんのじだいたんこうぼんばん
坊っちゃんの時代
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あらすじ

<明治>という時間軸に交錯する群像を、関川夏央の気鋭の原作を得て、名手・谷口ジローが渾身の力で描いた話題作。歴史上の人物たちの同時代的邂逅が意表を突く!!

谷口ジローの文体

小説を言い表すのに文体という言葉があるが、これは小説にかぎったことではなくて映画にも漫画にも文体はある。ここでいう文体というのは単に文章の持つ調子のようなものではない。作者がどのように世界を見ているか、という問題としての文体である。つまり、どういうふうに書かれるかというよりは、何が書かれるかということに直結してくる。 してみると映画の場合の文体は、カメラが何を映すかというになってくる。映画というのは製作者の役割が分業されていて、たとえば脚本と監督がちがう場合がほとんどである。それでいて、その映画は誰がつくったものなのかということになると、そこには監督の名前がくる。それは当然で、映画の文体を握っているのが監督だからである。監督は脚本通りに撮影を進めていくが、そこで何をカメラに映させるかのすべては監督にかかっている。 漫画の場合の文体は言わずもがな、何が描かれているかである。ようするに、谷口ジローの漫画を読む私たちは谷口ジローの目を通してそこに描かれる世界を見ることになる。ところで谷口ジローはいまや日本を飛び越えて世界に愛される作家であるが、世界は谷口ジローの何に魅せられているのか。漫画作家としては珍しく谷口ジローは原作をおくことが多い。つまり、世界の谷口ファンはストーリーに魅せられているのではない、谷口ジローの世界の捉え方、すなわち文体に魅せられているのだ。

影絵が趣味
影絵が趣味
おとうとのおっと
弟の夫
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あらすじ

ゲイアートの巨匠、田亀源五郎、初の一般誌連載作品。弥一と夏菜、父娘二人暮らしの家に、マイクと名乗る男がカナダからやって来た。マイクは、弥一の双子の弟の結婚相手だった。「パパに双子の弟がいたの?」「男同士で結婚って出来るの?」。幼い夏菜は突如現れたカナダ人の“おじさん”に大興奮。弥一と、“弟の夫”マイクの物語が始まる――。

極道めし
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あらすじ

全国から極道たちが集まる浪花南刑務所……。毎年、クリスマス・イブの夜に密やかに開かれる男たちの闘いがあった。刑務所では年に一度の楽しみとして、誰もが心待ちにしている“おせち料理”を賭けての“めし”自慢バトル!!待望のおせち料理は誰の手に!?

美味しいとこだけ見えないから美味しい漫画

野愛
野愛
神童
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あらすじ

はねっかえりだけど、可愛くて憎めない天才少女ピアニスト・うたが奏でるさよならの音、初恋の音、嫉妬の音、失恋の音……どんな音だと思います?ページをめくれば心に鳴り響く不思議で切ない物語!天賦の才能で世界のピアノ界に華々しくデビューする『神童』と呼ばれた少女の努力の過程を描いた感動の物語。手塚治虫文化賞マンガ優秀賞+文化庁メディア芸術祭優秀賞をダブル受賞!!

おおさかはむれっと
大阪ハムレット
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あらすじ

『少年アシベ』『ここだけのふたり』でおなじみの森下裕美の新境地!大阪の下町を舞台に繰り広げられる哀歓あふれる短編が、やさしくそしてほんの少し辛味が入って編まれている人生劇場第1弾!

モリのアサガオ
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あらすじ

死刑を執行する側とされる側。新人刑務官・及川直樹と死刑囚・渡瀬満の禁断の友情を通じ、死刑制度の《今》を描ききった衝撃の問題作!!『きらきらひかる』でおなじみの著者が描く、骨太の作品第1巻!

死刑を執行する刑務官

死刑という重いテーマと真正面から向き合った作品です。父親のコネで刑務官になり死刑囚と接することになった実直な性格の主人公・及川。凶悪殺人犯のことが怖いと感じるのは彼らのことを理解しようとしないからだ…という考えに至ってからは、積極的に彼らと関わり更生の道を一緒に模索するようになります。しかし心を入れ替えて自らの罪と向き合ってもすでに決まっている死刑からは逃れることは出来ません。いくら凶悪殺人犯とはいえ国が人を殺してしまう、命を持って罪を償うという死刑制度は本当に正しいのか、主人公は疑問に思うようになります。 登場する死刑囚たちの中でも渡瀬という男と主人公の物語を主軸に描かれていますが、個人的には食堂を経営していた家族を惨殺してしまった星山がメインの回が一番心に残りました。主人公が人形を手作りして家族というものを思い起こさせて自分の罪を認識させることに成功する訳ですが、改心してすぐに死刑が執行される展開にはなんとも言えなくなりました。そういう流れを組みながら親友と言えるまで深い仲になった渡瀬からの「死にたくない」という望みを主人公が却下したのには驚きです。最終的には疑問を持っていた死刑制度についても、死と向き合うことが自らの罪を反省するきっかけに繋がるんじゃないかという考えになっていました。 しかしモリのアサガオ2で、渡瀬の死に携わってから主人公が精神を病んだことが描かれていて、やはりこの問題は深い森の中にあるのだなと思いました。

かしこ
かしこ
すずきせんせい
鈴木先生
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あらすじ

鈴木先生が苦悩すればする程、我々はワクワクする(江口寿史談)。新聞・雑誌の書評でも大絶賛の本作。ささやかな問題も重大な試練も全力で挑む、まったく新しい教師像。平成18年度文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品。鈴木先生の流す脂汗と身に帯びたループタイは「誠実の証」!

教育と洗脳の違いとは何なのか…

ドラマ化も映画化もされた『鈴木先生』の連載中から今でも、先輩と飲む度に鈴木先生の教育論を「鈴木メソード」と呼んで、あーでもないこーでもないと盛り上がっています。先生が主人公の漫画は枚挙にいとまがないですが、その中でも『鈴木先生』は異色だったからです。これまでの先生漫画は、生徒が非行→先生が説教→改心というパターンや、生徒がヤクザと援交→先生がヤクザを殴る→改心という、ざっくりとしたイメージがありました。生徒に対する“愛”を叩きこめばなんでも治るというアナログ電化製品に対するかのような発想、たいへんおおらかな時代でしたね。けれど、『鈴木先生』は違います。「いくら強く言われても、自分で納得していないことを人は修正できない」という当たり前だけど難しい現実に鈴木先生は挑戦します。生徒本人が納得し、自分自身でよく考え、行動できるようになることが目標なのは、現実と変わりませんが、そこに至る物語は険しいものばかり。物語の始めでは生徒一人が相手だったのが、やがて保護者も交えてのものになり、最後には学校全体へと鈴木先生の“教育”の場は広がっていきます。鈴木先生は加害者、被害者、保護者、同僚の先生という考え方の違う人々が、思うままに自分の考えを述べる中で、流れを作って教育をするという離れ業をするのです。注目を集めるためにときに声を荒げることもしますし、生徒にわざと殴られることもしますが、それも手段でしか無い。情動的な行動すらも全てコントロールしながら、生徒指導という複数の勢力が拮抗し、リアルタイムに変化する戦場で、鈴木先生は最善手を探し続けるのです。面白いのは、鈴木先生に教えられ、自分で考えることが出来るようになった生徒たちは「鈴木メソード」の尖兵として、その後の鈴木先生の“戦い”の重要な役割をになっていくようになることです。つまりミニ鈴木先生として、他の生徒を誘導するのです。この感化された生徒の役割によって、鈴木先生は学校全体を巻き込むような大きな舞台でも戦うことができるようになるのですが、はたして教育と洗脳の違いとは何なのか…考えさせられます。『鈴木先生』には他にも謎や考察すべき点がたくさんあります。鈴木先生の評判が上がるごろに壊れていってしまう周囲の先生…。鈴木先生お気に入りの小川という生徒の存在…。「鈴木裁判」と“鈴木先生”の完成などなど、読む度に新しいことに気づき、疑問がわきます。今の私の疑問は『「鈴木メソード」から、鈴木先生の想像を上回る生徒が誕生するのだろうか』というもの。まだまだ呑み屋で盛り上がれそうです。

名無し
天国 ゴトウユキコ短編集
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あらすじ

ゴトウユキコ2冊目の短編集。webアクションで公開され13万PVを記録しSNSで大反響を呼んだ「天国までひとっとび」、新作「迷子犬とわたしたち」、ビッグコミックスピリッツで発表された「家庭教師」、ヤンマガWebで公開された「2月14日の思い出」の4作を収録。

エモい漫画読みたいならこれ

率直にそう思いました。 エモいとか、正直、何か言っているようで何も言ってない感じがあるのですが、伝わりやすい表現なのであえて使わせていただきます。 短編集って音楽アルバムみたいなもんで全体で完成させているから、 この曲は個人的にイマイチだなー って思うようなものがあるんですが、本作はどれも外れなし。 ベストアルバムみたいな感じ。 それくらい、本当にどの話も素晴らしかった。 思春期の苦悩や葛藤とか、子供だからどうにもできない環境、それに対する稚拙なアプローチ。これらの表現が、とにかく秀逸。 しかも、そんな閉塞感だけで決して終わらせなくて、読後感はどれも最高に良い。 だから、読んでいて感傷的になったり、ノスタルジックな気分にさせてくれます。 最後の「迷子犬とわたしたち」が、自分の好きな要素(幼少期の冒険、初恋、打算のない友情など)が盛りだくさんであり、個人的にすごい好きでしたが、作者のあとがきで 「あの3人は中学に上がったらほとんど会うことはありません」 と、リアリティを突きつけられて、取り残された気分です。 まぁ、特に、小学校の出会いってそんなもんですよね・・・ その時にしかだせないからこそ、眩しく映るのでしょうから。

六文銭
六文銭

人の世の痛みや醜さが天国の光を輝かせる #1巻応援

『36度』以来となる、ゴトウユキコさん2冊目の短編集が5年ぶり発売されました。 その名も『天国』。 さまざまなフックがあり読む人によって引っ掛かるところは違うであろうものの、何かしらの痕は残されるSNS公開た時にはバズっていた作品ばかりの短編集です。 天国とは、一体どのようなところでしょうか。 地獄の対極にある、死後に行く場所。 痛みや苦しみから解放された、幸福と安寧に満ちた世界。 現世で叶わなかった望みが叶うところ。 翻って、目の前にある現実の今生きているこの世界はどうでしょうか。痛みや苦しみが溢れ返り、叶わない想いが充満してはち切れんばかりです。 この『天国』に収録された4つの物語では、どれもそんな現実世界におけるそれぞれのままならなさに翻弄される人間たちが描かれています。 綺麗な感情だけ抱えて他人や自分を傷つけることなく生きることなど到底できない、思うようにはならない世界。祝いと呪いが表裏一体であるように、ある面では美しいと表される感情の別の側面にある醜さがどうしたって露わになる瞬間が人生にはあります。 ゴトウユキコさんはいつもそこを、人が目を背けてしまいがちな部分を上手に力強く剔出して提示してくれます。一見すると荒々しく無造作なようで、その実非常に繊細に作られた職人の名品のように。 ある人にとっては、記憶の奥底の泥濘に沈んでいた呪物を引き摺り出されるような。 またある人にとっては、決して切り離せない厄介な自分の一部が不意に肯定され奉賀されるような。 不気味で得体の知れない魔物のようでもあり、大切に宝箱にしまっておきたい輝石のようでもある。 表紙画と装丁はただただ美しいですがその中身は決して美しさだけではない、けれど醜さや絶望だけでもない。 「天国」へ至れるかどうかもわからない煩瑣な現実を営む私たちへ、同じように繁雑な世界を生きる人々を通して間接的に天国を覗かせてくれる1冊です。 ふと、『新世紀エヴァンゲリオン』の碇ユイのセリフを思い出します。 ″ 生きていこうとすればどこだって「天国」になるわ。だって、生きているんですもの″

兎来栄寿
兎来栄寿
るぱんさんせいいち
ルパン三世
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あらすじ

幅広いファンを抱えるモンキー・パンチの代表作。漫画をコミックに変えた、日本の漫画史上に残る傑作です。女好きだけど、変身と盗みのテクニックは超一流。そんなルパンと生涯のライバル ・銭形警部とのバトルは、まさにエンドレス。セクシーな峰不二子、次元、五右ェ門 など、多彩な脇役も魅力的。まさに不滅の名作です。