今さらですが、4月から『鎌倉殿の13人』を観てました。
NHKオンデマンドで配信されているのですが、ほんっっとに面白かったです!
「えっ? あ、そういう解釈!」みたいなのが随所にあったし、キャラがとにかく魅力的でした。こんな空気読まない唯我独尊源義経は初めて……。
和久井は鎌倉時代だと、源実朝が好きです。武士というよりは教養高い高貴な感じで、詠む歌も繊細でステキ。
「大海の 磯もとどろに よする波 われて砕けて 裂けて散るかも」
は好きすぎて胸がキュンとします。どどーんと波の打ち寄せるところに行くたびにこの歌を詠んじゃいます。
好きな歌でいうと後鳥羽院の、
「我こそは 新島守よ 隠岐の海の 荒き波風 心して吹け」
も威風堂々としていてかっこよくて好きです。
これらの歌は、鎌倉殿ではなくマンガで知りました。
木原敏江先生の『夢の碑 風恋記』です。
夢の碑シリーズは、時代や場所を超えて、鬼がテーマになった連作です。『風恋記』はまさに『鎌倉殿の13人』と同じ時代を描いた作品なのです。したがって、ドラマの登場人物がボロボロ出てきます。
主人公は、天真爛漫で活発な融明(とおるあき)と美しく聡明な露近(つゆちか)。
まったく異なるタイプのふたりは子どもの頃に出会い、兄弟のように育ちます。しかし太った毒蛇みたいな融明の継母のせいで、二人にはあれやこれやが起こり、離ればなれに。そして融明は和田のおじい(ドラマに出てきた!)に、露近は後鳥羽院(ドラマに出てきた!)にかわいがられるようになります。
少女マンガでは、主人公が世界征服とか権力で頂点に立つとか、海賊王になるとか、そういう大きな野望を持たないし、ストーリーの目的にもなることはほとんどありません。この『風恋記』も然りで、とにかく主人公ふたりは無欲でひたむきで、そしてガンダムのアムロよろしくクヨクヨ悩んだりしていきます。
本筋は、武に長けた融明と教養高い露近というふたりのバディな関係を描く物語なのですが、とにかく鎌倉殿と登場人物がかぶることかぶること。
三浦は融明の継母の実家という設定で、ちょいちょい嫌な感じのおっさんとして登場します。
義時おじ上はめっちゃおっさんです。
政子もほんのり出てきます。
和田のおじいはドラマ同様、豪傑です。
ドラマとの描かれかたの違いを比べるのもよし、歴史に思いっきりファンタジーを重ねた作品として楽しむのもよし。全3巻なので取っつきやすくてオススメです。