少女マンガの最新クチコミ

たか
たか
2020/11/27
地元の小学校に寄贈したい! 17世紀スペインと仙台を結ぶヒストリカルラブロマンス
結構前に、伊達政宗が支倉常長をローマ教皇に向かわせた慶長遣欧使節について描いた少女漫画があると知り、マンガ図書館Zかどこかで読んで感動したのがこの作品。昨年電子で単行本が出ているのに気づき購入しましたが、とにかくめっちゃ良い恋愛&歴史漫画です! 上田倫子の作品ということでとにかく絵が美麗…! ヒロイン・マリアの可愛らしさ、ヒーロー・小次郎の格好良さがこれでもかと絵から伝わってきて1ページ1ページが眼福。 当時のスペイン、日本で着られていた衣服の描写も非常に丁寧で読み応えがあります。 物語は、マリアの住むスペインの港街に、遠い日本という国から奇妙な格好をした男たちがやってくるところから始まります。母の形見を持って逃げたネコを追いかけていたマリアは、人混みに押されて使節団の行列に飛び出し、ある1人の侍に抱きとめられて…というプロローグ。 https://i.imgur.com/TSUbOVn.jpg (△『ホーム』上田倫子 第1巻) も〜! 少女漫画においてこれ以上ないくらい完璧でロマンチックな恋の始まり方でたまりません…! そもそもマリアと小次郎の2人のキャラクターが無茶苦茶良い! マリアはツインテールが似合う可愛くて元気な女の子で、ネコを追っかけてドロワーズが見えるのも気にせず2階の窓から飛び出すようなお転婆。 一方の小次郎は言葉こそ通じない(※演技)が怜悧な顔立ちで、迷子になった異国の少年に折り紙を折ってやるような優しさを持つエキゾチックな青年。 最高の組み合わせですね…! ちなみにこの小次郎は、歴史上の人物である伊達政宗の息子で二代藩主・伊達忠宗の双子の弟。跡目は2人もいらないと支倉常長に命を狙われ大怪我をしたところをマリアに救われ、恋が進展していきます。 https://i.imgur.com/pKUHYAt.png (△『ホーム』上田倫子 第1巻) 伊達家で「小次郎」といえば、史実において政宗が殺したとされる弟の名で、この主人公の小次郎も、元服にあたり忌まわしい名を与えられたことを苦悩していると作中で告白するシーンがあります。 歴史モノの醍醐味である、この史実とフィクションが上手く絡まった設定がたまりません。 後編の2巻では、仙台にて小次郎と忠宗の双子をめぐる因縁の決着が描かれます。 元服時に行った試合で手を抜いて兄を勝たせた小次郎は、今度は本気で勝負に挑み兄を切り捨て、忠宗はようやく満足を得る。 これを受け父・政宗は小次郎の方を領主とすると告げるが双子の兄弟たちは入れ替わり、小次郎はマリアと同じ船に乗りスペインへ帰るという大団円ハッピーエンドを迎えます。 (ところで仙台に来てからマリアがものすごくゴージャスなドレスを来てるの、女の子の読者へのファンサービスっていう感じで大好きです) https://i.imgur.com/4cA9YFz.png (△『ホーム』上田倫子 第1巻) そしてプロローグは、 >「この物語から400年経った今… スペインの南部にはハポン(日本)という姓をもった人たちがたくさんいるのです…」 「それは… もしかしたら……」 というセリフで締めくくられています。はいブラボー!!(スタンディングオベーション) この2人の未来を、現実のそこと繋げるか〜〜〜!! すごい。 http://www.city.sendai.jp/koryu/shise/gaiyo/profile/koryu/h26/spain.html https://courrier.jp/news/archives/171165/ 実際、スペインに日本の侍の子孫がいるというのは有名なエピソードですが、それを主人公2人の未来と重ねるとはなんて粋なのか…! 歴史ロマンとラブロマンス、2つのロマンが見事に描かれていて最高。 機会があれば真剣に宮城県の小学校の図書館に寄贈したい、楽しみながら史実に触れることができる素晴らしい作品です!
かしこ
かしこ
2020/11/27
清原なつの先生の猫マンガであり自伝マンガでもある
金沢大学の薬学部に通いながら少女マンガにSFを描いていた清原なつの先生。『じゃあまたね 完全版』は、編集者さんからの「猫のマンガ描きませんか?」という提案をきっかけに描かれたそうで、猫のタイガーを飼い始めた少女時代からタイガーが亡くなる大学卒業までを回想した自伝マンガになっています。 読んでみてオリジナリティに溢れた作品がどうして生み出されたのか少しだけ分かったような気がしました。りぼんでデビューしたのが偶然だったのには驚いたし、ペンネームにまつわるエピソードも面白かったです。就職ではなくマンガ家を専業に選ばれた理由も先生らしいと思いました。 大学生の頃にはすでに花岡ちゃんシリーズも描き始めていたそうで、これから先の清原なつの先生のまんが道も知りたい!というのが正直なところですが、タイガーが亡くなってから40年ペットロスだと語られていたので、これはこれで完結するべき作品なのでしょう。でも気が向いたらぜひ続きを描いてくださいね! ちなみに紙版の単行本には収めきれなかった複数のエピソードが電子版には収録されています。なので電子版はタイトルが『完全版』となっています。
たか
たか
2020/11/26
スポーツ少女漫画の名手が描く1970年代女子バスケ
camera以前、突然「ガチな女子バスケ漫画ってないのかな」と気になって調べたときに見つけたのがこれ。 表紙を見ての通り、金髪で目の大きいお人形さんみたいに可愛い女の子が主人公の古き良き華麗な少女漫画にみえますが、「オリンピック金メダル」を目指してガチガチにバスケをしています。 https://cdn-image.sukima.me/pubridge/BT0000362730/001/cover.jpg 高校に入学したばかりの美鹿は、風に飛ばされた帽子を追いかけ道路に飛び出しトラックに轢かれかけるものの、ナショナルチームに属する有望なバスケ選手・鈴子が突き飛ばしてくれて命拾いする。 九死に一生を得た美鹿だったが、鈴子のボールケースに付いていた鈴の音が耳から離れずふとした瞬間に事故の記憶がフラッシュバックしてしまう。亡くなった鈴子の葬式で妹・冴子から人殺しと罵られたことで、罪悪感を抱えて生きる傍ら鈴子の身代わりとなりオリンピックを目指し、鈴を金メダルに変えることで償いを果たそうと決意する…! 【見どころ①】美鹿の周りに敵が多すぎ&恋ともつれすぎ 妹・冴子は「鈴子の持っていた鈴を婚約者に渡して『私が殺しました』って謝ってこい」と罵り婚約者の名前も教えずに鈴を美鹿に渡す。 いろいろあって、鈴子の母校で美鹿の通っている高校のバスケ部で鈴子の婚約者 ・風巻がコーチを務めることになるが、美鹿のような新人にもボールを触らせる練習方法に反発する部員は多く、特にメガネの春日先輩は美鹿の強靭な指から繰り出されるパスが取れなかったことで恥をかかされ、美鹿を恨み妨害するようになる。 そしてラッピングした鈴を美鹿がコーチに返す場面を目撃した春日先輩は2人が良い仲であると誤解し、それを友人の冴子に手紙で伝えてしまう。 誤解が憎しみを呼ぶ展開に、いやこの意地悪2人繋がってんのかい…! と思わず頭を抱えてしまいました。 さらにそのうえ、事故がきっかけでバスケと学校を辞めるはめになったトラック運転手の息子・村神が登場。親切顔で美鹿に怪我した腕を酷使するようなアドバイスをしたものの、美鹿の一生懸命なすがたに心を動かされ惚れるが、当の美鹿は風巻コーチに惹かれていて…と、もつれまくったうえできっちり解消されるところが面白かったです。 【見どころ②】3ポイントルール導入前のバスケ 個人的なバスケ漫画を読む楽しみの1つが、最新のルールとの差異を楽しむことです。バスケは頻繁にルールの改定があり、自分が中学生のときも1年生に覚えたことが2年生で変わるというようなことを経験しましたし。実際中学校でバスケ部に入って思ったのが「スラムダンクとルール全然違うじゃん!」ということでした。(30秒は24秒だし、前半後半じゃなくて4Q制だし、後半開始にジャンプボールがない) 主人公・美鹿の得意技は、亡き鈴子の得意技でもあるフリースローラインよりさらに後ろから放つ「9mシュート」で、作中に「3ポイント」という言葉は一切出てきませんでした。 そこでもしや…と思いバスケのルールの変遷を確認したところ、3ポイントシュートが生まれたのはなんと1985年!! てっきりバスケが発明されたときからあるものだと思ってたので無茶苦茶衝撃でした。 『主なルールの変遷(Wikipedia)』 https://bit.ly/2V76MXP 美鹿が腕の痛みに耐えつつ決めまくる9mシュート…今のルールだったらもっと報われていたんだなと思うとちょっと切ない。 【見どころ③】タイトル通りのエンディング 美鹿がモスクワ五輪の予備チームであるジュニア選抜に美鹿が選ばれディフェンスに目覚め、ライバルと連携した速攻という新たな武器を手に入れソ連に向かうところで物語は終わり。 すっかり美鹿がバスケ選手として成長していく様に夢中になっていたので割と「えっ、ここで終わり!?」とショックだったのですが、思えば最初からタイトルは『栄光への出発』なんですよね。 もっと続きを見たいと思わせつつテーマを描ききって終わる見事なエンディングでした。 ちなみに3巻には2本の短編(『雨あがりのライバル』新体操、『燃えるライバル』スピードスケート)が収録されていて、その2つもガッツリスポ根で面白かったです。 【追記】 ちなみに『雨あがりのライバル』には、「紫水あずさ……おそろしい子 ムーンサルトを失敗したとはいえ一度見ただけでおぼえてしまうなんて…」というメチャクチャ姫川亜弓っぽいセリフが出てきます。 が、調べたところガラスの仮面の連載が始まったのは1975年で、この読切『雨あがりのライバル』が掲載されたのは1973年なのでこちらの方が早かったんですね。 いま「おそろしい子…」なんて使ったら狙った狙わないに関わらず全部パロディになってしまいますよね。偶然にも、ガラスの仮面以前に描かれた純粋な「おそろしい子…」を発見できて嬉しかったです。 【全話無料(全25話) スキマ】 https://www.sukima.me/book/title/BT0000362730/
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