昭和元禄落語心中 雲田はるこ
面白かったです
『ちはやふる』とか『ましろのおと』とか、最近は日本の古典芸能を題材に使う漫画が人気のようで。日本人の心に深く根付いているものの若者には縁が薄く、それがかえって新鮮に映るのかもしれません。そして同じように題材として落語を選んでいるこの作品。テレビや雑誌にも取り上げられて、『このマンガがすごい!』のオンナ編第2位にも選ばれるなど評判高く、読んでみるとそんな評価にもちょっと納得してしまいます。一般社会とかけ離れた世界に生きる人々が持っているであろう”情”の部分が色濃く出ていると言えばいいんでしょうか。ムショ帰りの主人公・与太郎はキュートだけどすねに傷もつ元やくざ。その与太郎の師匠となる冷徹な大名人・八雲は同期ですでに他界した助六の芸に思うところがある様子。そして助六の死後に八雲が引き取ったやんちゃ娘・小夏はその死の原因が八雲にあるとにらみ…。そんな人間模様が織りなす人情ストーリー。「真打に女はいない」と小夏にいわせてさりげなく時代を説明するなど、なかなか小粋でもあります。