父の転勤明けで5年ぶりに我が家へと帰ってきた瀬下あざみは、すぐに幼なじみの男の子・カッちゃんこと東部克彦(とうべかつひこ)に会いに行く。川原に座るカッちゃんを見つけたあざみは昔のように声をかけるが、彼に冷たくあしらわれてしまう…。
事故で大脳の半分を失った、希代の天才数学者・デュラム教授。突如、イルカの生態研究に転向した彼は、研究成果として1本のビデオを学会に発表。誰もが嘲笑したその映像だが、大学院生のテルナリはそこに隠された「人工知能」のアイデアを見つける。かくして、テルナリの世界征服へ向けた大いなる旅が始まる!? 文化人類学者という顔も持つ作者が、深い考察と全く新しい刺激的発想で放つ、各メディア仰天の沖縄海洋SF、開幕!
先生も、生徒も、親も、みんな怪物!頻出するトラブルを解消すべく、とびきり有能な英語教師が暗躍する。その果てに待っていたのは、犯罪史上に残る未曾有の大事件だった!!貴志祐介の話題作を完全漫画化した、漆黒のスクール・サイコホラー。
漆原友紀(『蟲師』『水域』)の最新タイトルは、”フロー”と呼ばれる奇妙な自然現象を処理するフロー業者・ヒロタと、アルバイトの智万ちゃん(見ため12歳、実年齢35歳)、そして”しゃちょう”(猫)が贈るストレンジなお仕事活劇! 三叉路が七叉路に増殖してたり、物体のカドがぜんぶ丸くなってたり、鏡の中に鏡反転の世界が生まれてたり。そんな変な光景を見かけたら、それは”フロー”。自然もときどき間違えるのだ。
島明夫(しま・あきお)と相馬芳乃(そうま・よしの)。恋人同士。彼らは大学4年生という季節を迎えた――。親・友人・将来・ふたりの関係……。考えても考えても、結論は出ない。痛く切ない青春が、ここにある。
【四季賞2021秋 四季大賞受賞作】激しく、そして美しい心の裡を描き出す鮮烈40ページ。(アフタヌーン2021年12月号)
医療とは、医者と患者の対決である。――なにより酒が大好きで、アウトローなアル中医者・飲部(ノンベ)。彼のもとに運び込まれた患者は、練習中に選手生命にかかわるほどの傷を右腕に負ったボクサー。ノンベは普通の手術では再起は不可能だが、ある方法ならボクシングに合った体になれると言うが……!?
虫、類人猿、巨獣…異生物と人間が織り成す、生存のドラマ!雑誌発表時に大反響を呼んだインパクト抜群の傑作SF短編群、ついに単行本化!!新種の昆虫の人間界への侵略『害虫駆除局』、人間と同じように進化してきた類人猿との共存『プリマーテス』、怪獣が闊歩する超未来『箱庭の巨獣』…。そして表題作『まちあわせ』は、予想不可能な壮大なイメージと感動へと導く究極のラブストーリー!期待の新人作家、初の作品集。
天狗!自在に飛行をなし、あやかしの術もて人をさらい、古来より畏怖と敬愛を享けた天狗!今かれらはどこにいるのか。どこから来てどこへ行くのか?何を食っているのか。寒い日はどうするのか。天狗にさらわれちゃった子は、それからどうなっちゃったのか?天狗の未来を憂う第一巻!
35周年を記念して、この雑誌に黄金期を到来させた辣腕編集長の足跡を沙村広明が描く!(月刊アフタヌーン2022年2月号)
日照り続きで、給水制限中の街。酷暑にあてられて意識を失った川村千波(かわむら・ちなみ)は、豊かな水にあふれる村で、少年と老人に出会う夢を見る。祖母に夢の話を聞かせた千波は、意外な言葉を聞く。「それ……ばあちゃんの昔の家じゃないかねぇ」また行きたい──そう願った千波が目を覚ましたのは、夢だと思っていたあの村。そして再会した少年・スミオから、この村では雨が降り止まないことを知らされる。『蟲師』漆原友紀が描く、人々の想いと忘れえぬ記憶の物語。
転校先の学校で、同級生・理生の秘密を知ったなつる。少年と少女の、幼い恋と冒険の物語。――七尾(ななお)なつるは東京から転校してきた小学6年生。クラスの女子に無視され、サッカーチームの新任コーチともソリが合わない。そんな時、大人びたクラスメイト・鈴村理生(すずむら・りお)の、誰にも言えない秘密を知ることに……。夕立、お祭り、「とうふ」という名の白い猫。小学校最後の夏。ふたりの、ひそやかな冒険が始まる。
実力派漫画家、小原愼司×トニーたけざき両氏のコラボレーション実現。青年誌ならではの、ドラマチックでジェットコースターストーリーのSF!豆腐屋の子供・れい子とヒロシが出会った奇妙な生物ポン子は、なんと宇宙から来たセールスウーマンだった!?店を建て直すために協力するというポン子だが、上手くいくのか……。
推理作家・香月史郎は、大学の後輩・倉持結花に付き添いを頼まれ、死者が視える霊媒・城塚翡翠のもとを訪れる。翡翠の、人形のように整った精巧な顔付きと肌の蒼白さに、非生物的な印象を受けた史郎。だが後日、史郎は街中で男たちに絡まれている翡翠を目撃する。怒りに頬を赤くし、狼狽している彼女の様子は、以前の彼女とは全然違った印象で……。翡翠が心霊で犯人を当て、史郎が論理で「霊媒以外の証拠」を示す。数々の難事件に挑む二人だが、世間を震撼させている連続死体遺棄事件の犯人の魔手が、翡翠の元へと迫っていた――!! ミステリランキングの5冠を達成した原作を漫画化! 麗しい探偵・城塚翡翠の推理劇が開幕する!
探偵の仕事は、浮気調査のみにあらず! 家出、夜逃げ、駆け落ち、犯罪、様々な事情で、行方不明になる失踪者たち。彼らの痕跡を追うのは、「人捜し」の専門家・職業探偵! その「あしあと」が、どんなに小さくても彼らは見逃さない。都会の片隅で繰り広げられる、職業探偵の物語。
麗寧(れねい)が夢で会った青年クーは、若くして死んだ兄と同じ顔をしていた。しかも夢の中の異世界は、変な服の変な人、変な動物や生き物ばっかり!これってよくあるファンタジーってヤツ?中学生になったばかりの現実と、夢で旅する異世界が巻き起こす、少女の心の疾風怒濤!!
全身全霊をかけたバカ漫画!!その圧倒的画力で描き出される、恋と笑いと涙の青春残酷物語。アフタヌーン・シーズン増刊で掲載され、伝説となった謎の新進気鋭漫画家・竹易てあし最初で最後の?漫画全集!!――「愚痴っぽくて刹那的。おせっかいなくせに傷つきやすく。経験ないのに知ったかぶって。でも、まっすぐだったあの頃に、もう一度戻ってみたくなりました。――ナチュラル沙村ワールド万歳!!」(漫画家・藤沢とおる)
どこにでもいる普通の大学生・金子ナオヤが手に入れた特別な能力…… それは「誰にでも一つだけ言う事をきかせる」というもの。圧倒的な特殊能力と引き換えに失ったのは「平凡な日常」。その石はアヤシい組織の敷地内にあり、手に入れた瞬間からナオヤは追われる身に。さらに、軽い気持ちで「お金をちょうだい」と頼んでみればヤクザの娘から数百万巻き上げる結果に! 身を隠す場所とてなく、逃げ込む所もない。恋人と二人きりの逃避行が始まった! あらゆるものから逃げまくるジェットコースター・ロマン・ホラー! 金子ナオヤは普通の大学生。だが、奇妙な文献をもとに見つけ出した「石」には特別な力が宿っていた。それは、誰にでも1つ自分の言う事をきかせる事が出来るというもの。「こりゃあおもしれエ」と調子にのったとたんに、次々とトラブルに巻き込まれるナオヤと恋人のサヤ。二人はいつの間にか、アヤシい組織とヤクザと警察とに同時に追われる身となる。
空襲で家族を失った耳の聞こえない少女、文。親戚から厄介払いされ転々とする中、行きついたのは親族でも知人でもない夏目家。役に立つ人間だと思われないとまた私は追い出されてしまうと無理をして頑張る文だったが体がついていけず…。耳の聞こえない少女が新しい家族と出会い、戦時下を生き抜く青春物語。(アフタヌーン2023年10月号)
イラストレーター・十十骨ちにくが生み出した少年「#高峰くん」を『友達として大好き』のゆうち巳くみによる脚本で漫画化!(アフタヌーン2021年9月号)
【四季賞2020冬 四季大賞受賞作】若き画家の二宮は、実在しない同じ女性の夢を毎晩見ていた。その女性を描き好評を得ていたが、ある日、阿久沢と名乗る男に「見せたいものがある」と自宅に招待される。そこには、「同じ女性」をモデルにした様々な美術品が並んでおり———。(アフタヌーン2021年3月号)
ここまで順風満帆だった俺のリーマン生活。このたび子会社が進めるプロジェクトのため地元に出向することになった。成功の暁には昇進が待っている! …だがそこで出会ったのは小学校時代の天敵・倉田由紀子! イジられまくったあの頃同様、大人になったアイツに俺はイロイロ乱されて、エリート人生黄信号! でもおあいにくさま、俺は負けない……!?
遺伝子操作が産業として発達した世界。水没した街の残骸で暮らす人々の中には、“異種キャリア”と呼ばれる異種遺伝子を持つ者が存在する。遺伝操作を生業とする生体操作師・音喜多(おときた)。自身も何種もの“異種キャリア”を抱えている彼の元に、様々な事情を抱えた者たちが訪れる――。「人間と他の生物を分かつものは何か」――普遍的なテーマを、作者の専門知識に根ざした緻密な設定と、広大無辺な想像力で描き出す!
植村一紗(うえむら・かずさ)、高校生。趣味は遊ぶこと、歌うこと、寝ること。高校生活を満喫して、近々好きな男の子に告白してつきあうことになるかも。そんな日々をこれからも生きていくはずだった。……そんな一紗を襲う運命とは!?『秒速5センチメートル』の緻密で繊細なコミカライズで読者を魅了した清家雪子の初オリジナル作品、堂々のスタートです!
じぶんの存在が拡散して、塵や空気のように雲散霧消してしまう少年の物語という触れ込みですが、とんでもない! そんな手では触れられないようなヤワな物語ではありません! と、まずは言っておきたい。むしろ、ザラザラとして、ゴツゴツとして、きわめて肉感にあふれる物語だと思います。 物語、あるいはもっと一般的に語りというものは、基本的に拡散しがちなものです。放っておけば、しぜんに拡散します。ですから、物語の話者たちは、語りが自然に還らないようにあれこれと工夫を凝らす。塵や空気のようにではなく、ひとつの結晶たろうとするんです。まあ、しかし、どんな物語も、どんなに強固そうにみえる結晶も、拡散してしまう運命からは逃れられない。むしろ、より強靭な結晶力をもつ物語ほど、みずから率先して拡散しているようにさえ思えます。たとえば、スピノザは『エチカ - 幾何学的秩序に従って論証された』で、神の証明を試みましたが、そのあまりにも強靭なテキストは、答えに辿り着くさいごの一点で、まるで、てんとう虫が枝の先の一点に辿り着いたときのように拡散しているように思われてなりません。 ほとんどの物語は、みずからの語りの結晶が拡散してしまうなど想像してもいないなか、それがより強靭で精巧な語りになってくると、みずからの拡散を予見してしまうようなところがあるんだと思います。それにつき、この『拡散』は、結晶が拡散してしまうところから始まっている。ほとんどの物語のように結晶を形作ろうとすることを目的としているのではなく、拡散してしまわないよう抵抗することを目的としているんです。 でも、だからといって、何ら特別なことをしているわけではないんです。むしろ、ほとんどの一般的な物語のほうが特別といいますか、ほんとうに魔法のように語りを紡いでいきますよね。とても大好きな物語はいつだって魔法のようです。が、『拡散』には、そんな魔法はありません。『拡散』にあるのは、結晶が拡散して消え入らんとするのを随所でどうにか防ごうとする草の根の抵抗活動のみ。それはそれは地道な、魔法とは程遠い、泥くさい作業の連続。それは川のように海へと拡散してしまう語りに、ひたすら瘤を穿っていくかのような地道な作業。でも、そんな瘤のひとつびとつが『拡散』にザラザラとして、ゴツゴツとした、物語ならざる肉感を与えているのだと思います。