壮大なSFの世界観と、ヒューマンドラマが見事に両立している傑作。

処女作から順に載っている短編集なので、序盤の方は絵の粗さが気になるけど、読み進めるほどに洗練され、2009年から2013年にかけての作者の進化をダイレクトに感じることができる。

個人的に好きな話は、第3話目の「まちあわせ」。
各要素のバランスが良くまとまっていて最も完成度が高いと思う。

作中には、異形の生き物が大量に登場するので、虫とか苦手な人にはキツい部分もあるのでご注意を。でも、気持ち悪さより面白さのほうが上回ると信じている。「風の谷のナウシカ」が問題ない人なら大丈夫。

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特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」

「ヒロシマのおばちゃん」を読みたくて購入

特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」
ひさぴよ
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https://www.shogakukan-cr.co.jp/book/b110795.html 『漫画が語る戦争 焦土の鎮魂歌』(小学館クリエイティブ)で読んだ曽根富美子の短編「ヒロシマのおばちゃん」が衝撃的だったので、もう一度読みたいと思って電子書籍版を探してたら、この短編集に収録されていた。 「ヒロシマのおばちゃん」以外の短編は、戦争の話というよりちょっと昼ドラっぽい話が多いものの、それでも表題作を読むためだけに買っても損はないと思う。 作品の詳しい時期は分かってないのだが、状況からして1990年代頃の設定と思われる。広島での戦争体験を語り継ぐの”一人のおばちゃん”を通して、戦時中の自身の半生を振り返るところから物語は始まる。巧みな語り口と、曽根先生お得意の、不幸で陰湿な心理描写にグイグイと引き込まれてゆく。そしておばちゃんは不幸のドン底と同時に、原爆の日を迎えるのだが…。 変わり果てた広島の街を、怨念そのものとも言える鬼気迫るタッチで描き出し、一度目にしたら忘れられないような光景がこの漫画にはある。おばちゃんは最後に「あれは地獄だったよ」とだけ語る。と同時に、この出来事が教科書の中のたった数行に収まってほしくない、と願うのだった。 個人的には「はだしのゲン」と同じく、ぜひ読み継がれてほしい戦争漫画の一つだ。

たなかゆういちさくひんしゅうまちあわせ
田中雄一作品集 まちあわせ
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