ひさぴよ2024/01/19ネタバレ感想元犯罪者の社会復帰を支援する施設の話。施設を運営する吉村夫妻があまりにも親身になって寄り添ってくれる為、ストーリー的に裏切られるフリなんじゃないかと疑心暗鬼になるレベルだったが、そんなことはなく最後はホッとする結末に落ち着く話が多い。ビッグコミック連載の「前科者」も近いテーマだけど、過ちを犯した人たちの社会復帰の難しさをひしひしと感じる作品。1巻が出る気配がしないので、なんとか単行本になってほしい。帰る家がない犯罪者たち高崎ひいろ3わかる
ひさぴよ2024/01/13幼少期に読みたかった〜最近になって、原作を初めて読んでみたけど、めっちゃ良い漫画だった…。想像以上にファンキーで可愛くて、パワフルさがあって驚いた。幼少期に読んでいたらドラえもんくらい夢中になってたと思う。なぜこんな良い漫画が長年封印されてたのか…。70年代生まれの人は、アニメや漫画をリアルタイムで知ってるかと思うけど、自分が物心ついた頃には、テレビ放送はもちろん、本もどこにも無くて(少なくとも自分の周りでは) 「ちびくろさんぼ」と同様、差別的でイケナイからそういう本は置いちゃダメなんだ、と思っていた所がある。2010年からは全集で読めるようになり、さらに2021年に電子化もされて今は読めるハードルは下がった。表現の改訂は最小限に留めているとのことだけど、特に差別的な意識は特に感じられなかった。作品自体が封印されていた期間が20年もあったというのは本当に勿体無いことだ。藤子・F・不二雄大全集 ジャングル黒べえ藤子・F・不二雄3わかる
ひさぴよ2024/01/04酒エンターテイメントマンバ通信の記事きっかけで読んだ。想像以上に異端な酒マンガだった笑 豪快でスケールのデカいシェイクから、美しいカクテルが生み出され、細かなウンチクによって納得させられてしまう説得力がある。あと意外とエロい回が多いのはドカコックと一味違う良さがあった。とにかく最初から最後までボルテージの高い一冊だった。 あと巻末の読切「美獣R(ビジュアル)」は、シラフの状態で読むと、正直どうかしてる漫画としか思えないのだが、バッカスでハイになった感覚を持ってすれば最高のエンタメだと感じるから不思議。バッカス青木健生 井上元伸2わかる
ひさぴよ2023/10/16おすすめはC2000年代のヤングジャンプに掲載されていた連作短編集。A・B・Cとそれぞれの巻で話の繋がりは少しあるけど基本的にどの順番で読んでも良いと思う。おすすめはCの「どんぐり飴」「大恋愛」などは特に出色で、甘くてほろ苦い青春短編でスッと心に入りやすい。他の短編はちょっと重めで大人なビターさが強いので初見の人に薦めるなら断然3巻の「C」から手に取ってみてはどうでしょう。武富智短編集武富智3わかる
ひさぴよ2023/10/15いい意味で頭のネジがぶっ飛んでるジャンケットバンクやエンバンメイズなどの独特な世界観のギャンブラー漫画を描いてきた田中一行先生、初期の頃の作品。 人を操る事ができる能力を手にした青年が主人公で、能力を使って大金を奪うが、ヤクザの金に手を出してしまい、追われる羽目に…。 設定はありがちかもしれないが、この作者が描く人間たちは、やっぱりどこか普通じゃない。どいつもこいつも目が怖いし、頭のネジが外れぶっ飛んだセリフを、予想外の方向から繰り出してくる。街中にいたら絶対目を合わせたくない。でも目が離せない謎の引力がある。 全2巻と短いが最初から最後まで息をもつかせぬ展開で、スリルを欲してる人にはうってつけの漫画だと思う。イコン田中一行4わかる
ひさぴよ2023/10/12グラディエーターもの古代ローマ時代の花形「グラディエーター」を描いた歴史アクション漫画。 復讐の闘いである故に、物語全体の雰囲気はずっと重苦しく凄惨である。だが、それゆえに剣闘士という存在が、残酷なほど美しい存在として映る。背景の建造物や室内など、細部に至るまで描き込みにリアリティがあって映画を観ているかのよう。 今のところ単話版のみで、単行本は出ていない状態。 まだまだこれから盛り上がってく作品だと思うので、歴史漫画好きの方はぜひに。エゴ・エリス-剣奴の血-清水俊3わかる
ひさぴよ2023/10/1120年間の時代の移り変わりを感じたエッセイ漫画家・葛西りいち先生によるマンガ専門学校講師のお仕事マンガ。新しい価値観を持った「Z世代」の生徒たちに授業する難しさを描きながら、「私が若かった頃はな…」と過去のマンガ家としての回想(ほとんど「ピー」だらけの暴露エピソード)を披露し、20年で大きく変わったマンガ業界を浮き彫りにしている。 自分は著者と同世代なだけに、共感できる部分がとても多かった。コンプラなんて言葉のなかった時代をギリ体験してきた世代なら、同じような意識はきっとあるだろうし、実感を持って読めると思う。 それと、鈴木みそ先生のゲーム専門学校のリポート漫画も久しぶりに思い出した。アレほど酷く専門学校のダークサイドを描いた漫画もない…。だけど時代は変わっても生徒たちの根底にあるものは本質的にそこまで変わってなくて、大人側の意見が時代ごとに違うだけかもしれない。漫画専門学校講師のマンガ業界ウラの裏葛西りいち1わかる
ひさぴよ2023/10/07青春ハードSF2023年になって電子版で復刻された、アフタヌーンらしさ満載のハードSF「ラブ・エイティーン」 連載は2010年とかだったので、もう10年以上も昔の作品になるけど、圧倒的な描写力とスタイリッシュなSF設定、活き活きとした人間描写は、時を経ても古臭さを感じさせない。018宮川輝
ひさぴよ2023/10/06多くを語らないが故に心を動かされる土田世紀の遺作で、家族をテーマにしたショート短編集。 特に心動かされるのは2話のドライブする親子の話と、0話の「父ちゃんの関越道」の2編。主人公は子供視点ということもあり、言葉数は少なく、説明らしい説明もない。にも関わらず、そこに描かれているものすべてが物語っていて、そこには描かれてない部分にも、また感動してしまう… 試し読みで 0話「父ちゃんの関越道」は全部読めるのでぜひ読んでみてほしい。かぞく土田世紀2わかる
ひさぴよ2023/10/04身も蓋もないアドバイスだが一理ある!誰もが抱えている悩みに対して、その人が思い込んでいる思考の枠ごとズバッと外すようなカウンセリングの仕方が痛快だった。力技のアドバイスというか、世の中とか人間ってそういうものだよねと開き直りに近いスタンスを感じる。悩んでいたこと自体が、そもそも悩む必要のない事だったのだと。相談した方はあまりのトンデモアドバイスをすぐに受け止められなくて「何を言ってるのこの人・・・」と鳩が豆鉄砲を食ったような表情で、文句をいいつつも、いつの間にかスッキリして去っていく流れが読んでいて心地良い。一般的な本では解決しないモヤモヤを抱えてる方は、読めば意外と突破口が開けるかも? メンタル激強保健医の力技カウンセリング霰屋2わかる
ひさぴよ2023/08/13最終巻まで読んでよかった #完結応援フィリピン戦線で9度の特攻から生還した佐々木友次氏の物語。マカオ撤退あたりまでは雑誌で読んでいて連載がヤンマガからDAYSに移籍した辺りから一度読むのを中断していた。というのも終始、精神論を振りかざしす将校や戦争そのものに怒りしか湧いてこなかったし、無茶苦茶な命令に従わざるを得なかった兵士たちが次々と散ってくのを見続けるには辛すぎるものがあった。が、やはり物語の終わりまで知らなければいけないと覚悟を決めて単行本を揃え、最終巻まで読んでみたが本当に良かった。演出の部分が相当にあるにせよ、最期の光景は涙なしには読めない!不死身の特攻兵東直輝 鴻上尚史3わかる
ひさぴよ2023/08/10ビックリ仰天、恐怖のムカデ人間!! #推しを3行で推す人間同士の口と肛門とをつなげた「ムカデ人間」を作ろうとする村の因習を描くホラー。どこまでもB級な設定と展開でありながら、狂気的な作画密度に圧倒されること間違いなし。 ヒロインが可愛すぎずセクシー過ぎず、ちょうどいい塩梅なのもグッド。エピローグまでしっかり面白い。 ホラー映画の「ムカデ人間」が好きなら読むべし。ムカデムラ吉永龍太2わかる
ひさぴよ2023/07/27シベリア抑留を描いた作品原作『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん・著)の映画化を機にコミカライズされた本作。人気俳優が演じた映画版に比べ、漫画版の方はというと地味に感じられ、感動の嵐はないかもしれないが、無理に泣かせようとせず淡々と描かれていて、個人的には漫画版の方が断然良いと感じた。 シベリア抑留の漫画と言えば、おざわゆき先生の「凍りの掌 シベリア抑留記」も忘れてはいけない。こちらも合わせて再読したい。 また、東京新宿の平和祈念展示資料館では、シベリア抑留に関する貴重な展示が常時公開されている。入館無料なので新宿に立ち寄った際は足を運んでみては。 https://www.heiwakinen.go.jp/ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉河井克夫 辺見じゅん3わかる
ひさぴよ2023/07/19「もしもカレー沢薫が異世界転生したら・・・」もしもカレー沢先生が異世界転生したら、こんな感じになりますという漫画。世に氾濫する異世界モノに対して独自の切り口で挑む意欲(?)作。語りが抜群に面白いのは今更言うまでもないが、今作ではカレー沢先生自身が転生者となり自分の空想の世界でもそのポンコツぶりをいかんなく発揮されていて、当然まともな立ち回りなど一切できないわけだがそれがまためちゃくちゃ面白い。悪いが俺は異世界転生させてもらうカレー沢薫5わかる
ひさぴよ2023/07/17こんな夢を見た「こんな夢を見た」で、有名な夏目漱石の『夢十夜』を漫画化した一冊。怖ろしくも幻想的な10編の夢の物語には、怪談のような少し怖いものもあれば、現実世界と歴史が入り混ざったような話、宗教性の強い話などバラエティに富んでいる。どの話にも近藤ようこ先生の筆致がドンピシャで合っていて素晴らしい。まるで白昼夢のような表現がずっと続くが、あまり意味は深く考えず感じるままに読むのが良いと思う。夢十夜近藤ようこ3わかる
ひさぴよ2023/07/13文庫版の最終巻に描き下ろし短編が3本収録📷2023年の令和にじゃりン子チエ描き下ろし短編が!! ・「チエちゃん」以前のチエちゃんの巻 ・夜のヒラメの巻 ・チエちゃんの定休日の巻 の3本立て! はるき悦巳先生からのミニメッセージも! https://www.futabasha.co.jp/book/97845757283920000000?type=1じゃりン子チエ【新訂版】はるき悦巳4わかる
ひさぴよ2023/07/10残酷だが美しい物語 #読切応援良いものを読ませいただいたという気持ち。作者さんの過去の読切も読んだけど、この作品はちょっと突き抜けてるなと思った。絵そのものが物語る力が素晴らしいし、間の取り方も大好き。ありきたりなハッピーエンドに持ち込まないのも良かった。魔物の城 みつたに
ひさぴよ2023/07/08どう説明すればいいのかわからないけど面白い1話目からインパクトが凄い始まり方だったが導入だけで作品の方向性を決めつけることなかれ。物語は徐々に変質して「怪物」を巡って群像劇が渦巻いてゆく。この面白さをどう説明すればいいのかわからないので読んでくれとしか言えない。万人受けはしないかもしれないけど、風変わりな面白い漫画を求めてる人にはぴったりの作品だと思う。ヴェ。 変身人間ちえ甲斐冬雪2わかる
ひさぴよ2023/07/01ヤクルトレディという不思議な存在ヤクルトレディのお仕事をわかりやすく描いたおそらく唯一の漫画。ウチも昔契約していたけど、なんとなく謎のベールに包まれたところがある不思議な存在だった。販路開拓のためのマニュアルは、有って無いようなものらしく、その時々で、お客様とどれだけ信頼関係を築けるかが大事らしい。いやはやこんな人間くさい仕事だったのね。と同時にいろんなドラマも生まれやすい環境だなと思った。これで面白くならないわけがない。ちなみに「トッキュー!!」にもヤクルトレディが出てきてたのを思い出した。めちゃくちゃ現場の人から信頼されてたなあニャクルトレディです!たみちん4わかる
ひさぴよ2023/06/29雑兵物語 明日はどっちへの感想2巻まで読了。徹底的な雑兵の目線で、戦国時代を描いた歴史絵巻! 身分の低い二人の若者が、天下取りを夢見て戦国の合戦場を渡り歩くのだが「長篠の戦い」などの歴史的な戦いに参戦しても、雑兵にとっては全体の戦況など当然見えていない。何が起きてるのかわからないまま、無我夢中で戦い続ける。ときに滑稽にも見える必死さだが、雑兵の目線を通しているからこそ、戦場のリアリティを感じる。 ちなみに戦国武将の活躍とかは描かれてはいないのでご注意くだされ。有名な武将の登場もあるにはあるが、雑兵からは表情も見えないほど、高い位の存在として描かれている。 ちなみに、やまさき拓味先生の代名詞といえば「馬」であるが、もちろん馬も要所で活躍。なんと戦場で怪我を治すために、馬糞を使った料理を作るというのだから驚き。そんなマニアックな馬知識も得られる。雑兵物語 明日はどっちへやまさき拓味2わかる
ひさぴよ2023/06/23自費出版のSF長編作超科学文明崩壊後の世界で、なんでも可能にする万能物質を巡る少女の戦いを描いたSF。一般的なSF作品よりもオリジナル色がだいぶ強く、「オートマトン」「コマンド」などコンピュータープログラムの用語が多く登場する。ITに慣れてる人ならイメージしやすい世界観かと。絵柄も内容も、ややマニアックではあるが、機械や人間の魂の存在を問いかけるようなテーマで、とても優しくて心あたたまる物語だった。あとがきで知ったのは、この本は自費出版作品で東日本大震災をきっかけに、7年以上もの歳月を費やして描かれた作品とのこと。そういう意味では、あとがき文を先頭に載せておいた方が良かったのでは。作品に込められた想いや背景を知ってから読んだ方が、より素直に物語に入り込めてただろうし、感動も多くなると思うからだ。天涯のカロン 完全版加勢丈士
ひさぴよ2023/06/20SFジャンル×読切漫画のおすすめは?SFのおすすめについては既存トピがあると思いますが、 https://manba.co.jp/free_spaces/12256 それとは別に、読切形式のSF漫画のおすすめを書いてくトピです。 個人的にはスケールの大きい話が好み。 できればここ数年でWeb上で公開されている作品が良いですね。自由広場1わかる
ひさぴよ2023/04/27センゴクシリーズの外伝的作品📷https://manba.co.jp/boards/61748/books/27 同作者のセンゴクシリーズにて、朝鮮出兵後から関ケ原の戦いまでの歴史については、センゴク権兵衛の終盤でも描かれていたが、だいぶ駆け足であった。そこに最新の研究や考察を盛り込み新たに始まった作品。 掲載誌がヤングマガジンからコミック乱に移り、タイトルも変わっているため別作品と思われる方もいるかもしれないが、各人物のキャラデザはセンゴクシリーズを引き継いでおり、外伝的な位置付けの作品と言っても良いだろう。(ちなみにセンゴクはいまのところ登場してない) センゴクシリーズを未読でも当然楽しめるが、家康が主人公となったことで、センゴクの家康とはまた違った一面が感じられる。「馬鹿者!」と怒ったり、裏工作がバレて周りの信頼を失ったり、老獪さのイメージとは裏腹に、何かと思った通りに事が運ばなくて慌てる家康の姿が印象的だった。 最終的にどれくらいの長さの巻数になるかわからないが、今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」も始まったこともあり、「センゴク外伝 桶狭間戦記」と同じくらいの長さになるのではと予想。従来の家康像とはまた違った姿を見せてくれる事と思う。完結まで要注目の作品である。大乱 関ヶ原宮下英樹1わかる