やじまけんじ2020/07/24お金という理解不可能な力を、福の神という比喩で描いたマンガ。説明のつかない力に解釈をつけるのが妖怪や幽霊、神や魔法を生み出す理由だと思うのですが、このゴールデンゴールドは「お金」というものの持つ力を「福の神」という具体的な比喩を用いて描いた作品だと思いました。 お金は人を集め、羨望や憎しみや、好意という気持ちすらもコントロールする。 怖い、でもお金のもつ魔性の力が人間にものすごく強く働いた時どうなるのか、その先が見てみたい、そう思って読んでいる作品です。ゴールデンゴールド堀尾省太3わかる
やじまけんじ2020/07/24ネタバレ自分の居場所はここじゃないのでは?あの気持ちがマンガで描かれた。黒田硫黄作品が大好きで全部読んでいますが、その中で特に好きなのがこの大日本天狗党絵詞です。 ただただ「居場所」を求める主人公の郷愁や天狗という存在そのものの悲哀が、サスペンススリラー的な演出とSF的な展開(巨大な天狗のボスや組織化された天狗たち)で描かれていて最高です。 子どもの時、どこかで「自分の居場所はここじゃないんじゃないか」と感じたあの気持ちが、まるっとマンガになったような、切ないような懐かしいようなマンガです。大日本天狗党絵詞黒田硫黄5わかる
やじまけんじ2020/07/18ネタバレ壮大なパロディとスイッチするバディを楽しむマンガ。三つ目がとおる、というタイトルは作中で「三つ目」をもつ主人公写楽を揶揄するときに同級生がはやし立てるフレーズだ。 この三つ目をもつ主人公、普段はばんそうこうで封じられた第三の目が解放されると超人的な頭脳と念力のような超能力を使えるようになる。。。 ========== 個人的に最高なのは、実在する歴史の遺物や、遺跡などの名所を舞台にして新たな解釈をしているところだ。 たとえばピラミッドは宇宙からのエネルギーを集める装置だったのではないか、とか、酒船石は危険な薬を調合する台だったのではないか、などオカルト的な解釈を写楽が見つけていく。 この伝奇的な新解釈や仮説は歴史自体の壮絶なパロディと言えそうだ。 内容もオカルト好きにはたまらないけれど、さらに主人公写楽と相棒の和登さんの関係がたまらない。 普段は幼稚園児のような知性の写楽の見守り役の和登さんが、第三の目が解放された危険な男になった写楽に惚れていて、関係がスイッチする。 オカルト的な事件の中での怪しい二人の関係、いつまでもみていたい。三つ目がとおる手塚治虫5わかる