たか
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2023/10/24
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女子高で引き継がれる非公式伝統行事 #読切応援
ハチャメチャに『六番目の小夜子』オマージュで興奮しました(恩田陸大好きマン)。 初めて読んだ恩田作品が『六番目の小夜子』で、小学生の頃にNHKのドラマ愛の詩でやってた栗山千明と杏と山田孝之が出てるドラマも観てました。 細かい設定までちゃんと『小夜子』で、読んでる間に口角がグイグイ上がって行きましたね。 こちらでは「津村」が先生サイドなのがエモい。 白と赤。 たまに引き継がれない鍵。 マリアに似すぎてる女の子。 ずっとゲームを見守ってきた先生。 ひぇー!めちゃめちゃ『小夜子』…!!! 本家からの変更点である「女子高・恋愛のおまじない・先生のマリアへの恋心」というオリジナル要素が見事に百合作品としての完成度に繋がっててすごかったです。 『六番目の小夜子』しか恩田作品を読んだことない人は、この読み切り読んで「いくらなんでもパクリすぎでは?」と感じるかもしれません。 ですが、恩田先生ご自身が萩尾望都先生のファンを公言されていて、「これまんま『トーマの心臓』じゃん!!」てなる『麦の海に沈む果実』というゴリゴリのオマージュ作品を書いてるので大丈夫だと思います(?)。マジでこの読み切りと同レベルの換骨奪胎してます。 私自身、恩田陸→萩尾望都という順番で作品を読んだので初めて『トーマ』を読んだときは「いや流石に恩田先生『トーマ』好きすぎだろ!!」とびっくりしてしまいました。 賛否はともかくとして、最近推してるイシイ渡先生と鳥トマト先生が『六番目の小夜子』を知っててむちゃくちゃ嬉しいですし、新規の要素を足すことで新しい作品に仕上がってて好きです。 これが『俺のリスク』より前に書かれたプロトタイプ作品だというのがアツいですね。絶対単行本に一緒に収録してほしい。
たか
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2023/10/20
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王道かつスタイリッシュな階層社会SF #読切応援
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階層社会って書いたけどようはバキバキの高層ビルみたいな巨大なの建物の上界と下界で治安が違うみたいな世界(自分の知ってる範囲だとJunk Headみたいな)。 消えた妹を探してる主人公は教団から「ハンドシェイク」という物体を奪い、妹のもとに辿り着くが…というあらすじ。 SFで小難しいワードとか多めでどうせ読まなくていいやつだろと斜め読みしてたんだけど、それでも画面の迫力と意外な結末に引き込まれた。 てかオチがマジでいい。 ハンドシェイクに「別の世界線で妹を探せばいい 身体は失って魂だけになるが」って言われて、主人公が教団の手を取ってこの世界に残る決断をしたのは正直予想外で湧いた。 別の世界線に行くハンドシェイク描写がSFらしいスケールのデカさで格好良い。 あと下界にエレベーターで降りたときの建物の巨大さもすごくいい。 勝手にハンドシェイクのこと陽気なオネエだと思って読んでたから、正体が普通にきれいなお姉さんでちょっと笑ってしまった。 白黒のコントラストとかバッキバキのパースとか。有名漫画家でいえば岸本斉史とか弐瓶勉っぽくて凄まじい。無機質な墓が並ぶシーンとか岸影様っぽい。 これが商業デビューって大型新人過ぎる。今後の連載に期待。
たか
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2023/10/19
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「1人美容部」が初めて女子の髪を切る話 #読切応援
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めっちゃ良かった〜!よく美容師さんのshortでもっさりしたオタクっぽい男性(失礼ですいません)が、美容師さんの手で爽やかな好青年に変身する動画がありますよね。あれすげーなーっていつも見てるのですが、この読切はまさにその「髪型による印象の劇的ビフォアフター」を描いた読み切り。 理科の先生が教室に「予約してた田島です…」ってそろそろ入ってくるところで笑いました。本当にお店みたい。 しかも先生が渋いおじさまに大変身してて、まさにshort動画じゃん!!と興奮しました。 リアルな美容師描写がある一方で、主人公の若葉の前向きさとか、いじめっ子の苛烈さは少年漫画風に味付けされてて絶妙に少年漫画になっているなぁという印象。 あとヒロインの雨宮さんが陰キャすぎず、自分の癖毛のことも「好きな小説の主人公と同じだから気に入っている」っていう、地味ながらも前向きな子なのが好感を持ちました(よくこういう作品だと、いじめっ子は過度にビビりだったり自信がなかったりするので)。 というか小説のキャラと同じ髪型にしたいって発想、オタクのそれでニッコリしてしまった。めっちゃわかる……自分も同じことしたことある。 読切ですが続きが気になる終わり方でしたし、「理髪部」ではなく「美容部」ということで、もし続きがあればネイルとかメイクも登場する機会があるのかなぁと想像してしまいました。 マジすごいどうでもいい隙自語りをすると、私の高校には「美容サークル」があって文化祭でネイルチップとかピアス売ったりしてました。
たか
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2023/10/17
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かわぐちかいじファン必読の制作秘話 #1巻応援
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かわぐち先生ファンなので読まねばと手に取った作品。カワグチニラコ先生といえば田中圭一先生の連載「ペンと箸」で存在は知っていたのですが、まさかこんなドッタンバッタン大騒ぎな幼少期を過ごされていたとは…! ご自身でも幼少期の家庭環境を「(母は)海賊船か部室で子育てをしているよう」と描かれていましたが言い得て妙。男性のアシスタントさんがわんさかいて寝食をともにし、麻雀に飲み会に大騒ぎというまるでラピュタのドーラ一味のような賑やかな家庭。 父であるかわぐちかいじ先生は、衝撃の事実なのですが「現実世界よりも頭の中の想像の方がリアルに感じられ、現実世界のことはぼんやりとしか感じられない」という特異体質の持ち主。 この大所帯を仕切る母は、子供時代に闘病生活を漫画に支えられたという筋金入りの漫画好き。漫画家の妻なら24時間漫画読み放題だと大喜び。かわぐち先生に代わって一手に家計を仕切りますが、良くも悪くも豪快。家が手狭になったタイミングで裏の家が売りに出されると即決で購入し、旧自宅と新自宅の間を工事で繋いで食堂へとリフォームするなど決断力は圧巻。一方で、アシスタントたちと酒盛りし娘のお弁当を忘れたり、引き渡し前の新自宅でぼやを起こしたり天窓を踏んで壊したりとウッカリも豪快。 まあ繊細だったらそもそもこの環境に一緒に暮らすのも、大所帯を率いるのも無理なので当然かもしれません。 このお2人の大学時代の出会いがまた漫画のようで素敵でした…! https://souffle.life/manga/kaiji-kun-chi-no-nirako-san/20221220-2/ そんなかわぐちプロには素晴らしい腕前のチーフアシスタントさんがおり、その奥さんと娘共々家族のように育ったのだそう。 上記のお母さんが忘れたお弁当をチーフアシさんの奥様・ヒロコさんが急いで作って、アシさんが教室まで届けてくれたエピソードや、娘のななちゃんと新幹線の停車中に全員分の駅弁を買いに走らされた(※大人たちは酒盛り中)とか。 現在の価値観とは違う大らかな環境で大雑把に育てられた結果、ニラコ先生とご兄弟そしてななちゃんは逞しくしっかり育ったんだろうなぁとしみじみ。(お母さんのぼやをお兄ちゃん2人が的確に消したところには痺れました。) たびたびニラコ先生の子育ての様子が挿入されるのですが、家事に一切ノータッチだったかわぐち先生と対象的に、今どきのお父さんらしく旦那様は子育ても家事もバッチリ。その対比がまたニラコ先生が育った環境の得意さを引き立てていて、改めて凄まじいギャップを感じます。 かわぐちプロはドーラ一味のようだと描きましたが、こんな漫画のような環境で育ったなんて大変そうな一方でとても羨ましい…!ぜひ2巻も読みたいです!! (▼ヒロコさんとななちゃんと全員分の夕飯を用意するシーン。このあとに登場する枕のような卵焼きもすごい!)
たか
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2023/10/16
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これはいい終末人類SF #読切応援
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ジャンプTOONなるものが始まるようでその第1弾の作品。正直フルカラーの縦スク(いわゆるWEBTOON)はスクロールしながら絵を読むと気持ち悪くなるし、頻繁にスクロールするのが嫌であんまり好きじゃないのですが、それが全く気にならない面白さでした。やっぱ漫画は話が面白いかだなと改めて痛感させられました。あと絵が全体的に古地図のような薄茶色で描かれているのが、この世界が滅びた…ということを色だけで上手く表現していてすごい。フルカラーである意味がある。 巨大なイモムシのような化け物のせいで人が滅びつつある世界。 化け物から逃げ回ることで生き延びてきたコロニーに住む主人公たちは、打開策を求め主人公たち2人に外の世界を探索するよう指示する。 生存圏内とされていた200平方kmに人が住んでいないことを確認後、危険なその外まで探索を進めるとなんと様々なコロニーがあって…というあらすじ。 https://shonenjumpplus.com/episode/14079602755310456966 それぞれのコロニーが生存戦略として「逃げる」「戦う」「備える」「調べる」に特化していたことで、力を合わせてクロウラーを倒せたという設定には痺れました。やっぱ多様性というのはこういうときのためにあるんですね。 人間が環境に合わせて色んな姿に変化するところは『アフターマン』っぽくてニッコリしました。(『アフターマン』は全力でキッショい進化でそれが魅力ですが、こちらは少年漫画らしく可愛らしさのある姿をしていてそこがまたいい) 終末世界が舞台ではあるものの軽いボケも随所にあってなんだか優しい雰囲気だったのが良かったです。 戦うコロニーの住人の「これハム入ってるから」という、実家から帰るときのお母さんみたいなセリフ。 主人公を見つけた調べるコロニーの住人の「はあ!?あ!な!?」「な!何」「なん!はあ!?」っていう困惑しながらややキレ気味な反応。 相棒を猫と呼ばれて主人公が内心ずっと「猫ではないだろ」(場面転換のコマ)「猫ではないだろ」ってまだ言ってるとこ好きです。 備えるコロニーの住人がTwitterでバズってた、お父さんが夜中にトイレに行くのが怖い娘のために作ったロボットみたいな形しててメチャクチャかわいい。大好きですこういうロボ。 最後の最後の戦いに望むとき。 巨大な発射台の上にみんなが並んで座って無茶苦茶ロマン会ってエモくてよかったです…!! そんでやっぱこういう非常時はカップラーメンって決まってるんだ。日本では。(この世界は日本じゃないと思うけど) 素敵なSFを読ませていただきました。読んでよかったー!
たか
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2023/10/16
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縄文時代の密室殺人 #読切応援
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縄文時代大好きなのでホイホイされて読んでしまった。メッッッチャ面白かった!!なんだこれは。縄文時代と密室殺人を組み合わせるとかまずそこが天才すぎる。 ピアスやタトゥーなどファッションが明らかに他の時代と違ったり、ハチャメチャに原始的な暮らしをしているのに海流を使って馬鹿遠いところと貿易しているところにロマンを感じるのですが、この話にもミステリアスな旅人・ワユタがやって来て密室殺人の謎を解き明かします。 「人がギリ猿だった頃」という象徴的な言い回しが上手く機能してていいですね。 集落の人々があまり複雑なことや目の前に存在しないものや概念を考えることがニガテなために、序盤がボケ倒しのコントみたいになってたのが面白かったです。(実際10以上数えられなかった説がある…とかなんか聞いたことあった気がします。記憶違いかも) それにしても本当に絵が上手い! カケアミじゃないけど…たくさんの線で立体感だしてる描き方とか、白黒はっきりしたメリハリが火しか明かりがない闇が深かったであろう縄文時代に合っていてすごく好きです。 ほんでワユタがミステリアスでかっこいい〜〜〜…!もっと知りたいぞワユタのこと。続きが読みたい。 ワユタは遠い未来を知っているかのような発言をしていて、それが単に異様に頭がキレるからだけなのか、覡のような先見の力があるからなのか、はたまた未来からのタイムトラベラーだからなのか想像を掻き立てられます。 続き読みたい!!!
たか
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2023/10/04
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石がお嫁さんに!? 兄と領地を守るため戦う架空古代日本×戦記×ファンタジー! #1巻応援
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お、面白すぎる〜!!!こんな面白いものを読んでなかった自分を殴りたい。今なら1話から最新話の7話まで読めるのでマンバの全員読んでください(過激派) https://comic-action.com/episode/4855956445111972974 日本史の中でも縄文〜平安頃までが好きなので架空日本史ものとしてもドストライクでしたし、心優しき真っ直ぐなショタ主人公と黒髪美人の大胆な年上のお嫁さんというカップルもまたドドドド・ドストライクでした。ありがたや…こんな素晴らしいものを拝ませていただけるなんて。 日倭津国の領地をめぐる政治的・戦略的戦いも見ものですが、そこに「石の民」と呼ばれる石を操る能力を持った民族が絡んできて、勢力争いも複雑なら石を使ったバトルも迫力満点で面白い! イサザの腕が石になり暴走してしまい、右腕に集中して操ろうとするシーンで腕が「アタリ→ラフ→スケッチ」と徐々に形作られていく演出が見事でした…!絵を描くことが好きなイサザだからこそできる、集中が深まっていく様子が描かれていて痺れました。 謀反に遭いながら死の淵を生き延びた兄。 心優しい義理姉。 優しくときに厳しく導いてくれる爺。 「ただ家族がほしい」色っぽくて大胆で強いお嫁さん・ヤチホ。 最高〜〜〜。最高…。 2020年代、自分の中で最も理想に和風ファンタジーマンガ説まであります。 これは今年も残すところ3カ月ですが、どうか来てほしい作品です’。
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2023/09/27
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ただ「居合わせた人」なだけ #読切応援
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「バイスタンダー」という言葉は、事故や突然倒れた人の「そばに居合わせた人」という意味だったと思いますが、この読切にぴったりなタイトルだと思います。 主人公の美柑ちゃんは中学生ぐらいの一人っ子だと思いますが、一見なんの不満も辛さもなさそうにみえる美柑ちゃんの感じているであろう、窮屈さや居場所のなさというのは、自分も当時抱えていたなぁとしみじみ思います。 学校でも家族でもない、自分だけしか知らない男の子、と猫のニャータ。 しかもその子は家庭に問題を抱えていそう。 自分よりもか弱い存在に寄り添い保護することが、実は自分自身を救っている。 セラピーみたいな感じで、他人を助けることで自分の心が軽くなっていたんだろうな…というのが手に取るようにわかる。 別に感謝されたくてやったわけじゃないけど、自分があの子のお陰で救われていたから。ニャータは死んじゃうし、男の子は急に居なくなっちゃってしかも幸せそうにしている姿をみたら、辛いのは結局自分だけで、また居場所がなくなっちゃって……。 複雑な感情に包まれて気分が落ちちゃうの共感しか無い。 こんな複雑な感情を読切で描けるなんてすごすぎる…心に残るメチャクチャいい読切でした。
たか
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2023/09/25
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憧れの選手と独学初心者が組むペアスケート漫画!
元スケオタとして「ふーん?ジャンプでフィギュア漫画ですか…やれやれ見せてもらいますよ(眼鏡クイッ)」という、面倒くさいオタクとして読んだのですが悪くなかったです!あとヒロインがショートカットのクール系でニッチャリ笑ってしまいました。ショートカット大好き。 https://youtu.be/BXhQ5iXtUqE 独学で遅くからスケートを始め、天然のリンクで滑っていたというエピソードはあのジョニー・ウィアーを彷彿とさせますね。 私が思うフィギュアスケートという競技の魅力の1つが、男女が互いの技術に影響を与え高め合っているところ。 伊藤みどりさんは当時男子しかしていなかったトリプルアクセルを成功させ、プルシェンコさんは女子の技だったビールマンスピンを演技に取り入れ、羽生結弦さんは地元の金メダリストである荒川静香さんのレイバック・イナバウアーを演技に入れるなど枚挙にいとまがありません。 主人公がヒロインに憧れ手本として真似するところは、まさにそれを体現していて嬉しかったです! ペアは氷の上で平然と人を持ち上げる男子選手の筋力かマジでエグいですし、かってぇかってぇ氷の上で相手を信じて身を任せてブン投げられる女子選手の度胸も本当にスゴい。 そんなシングルにはない、ペアならではのすごさが伝わるようなお話になってほしいです。楽しみにしてます!
たか
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2023/09/22
亡き親父と息子の確執。父と懇意の謎の少年
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古書店を営んでいた父との間に確執を抱えたまま父と死に別れた息子・樹。父の三回忌をバックレ店に飛び込んだ樹だったが、そこへ父のことを「柊平さん」と呼び親しい間柄だった様子の自分とそう歳は変わらない少年・土屋と出会う。 いや〜〜〜〜〜もうこんだけでお腹いっぱい!!!好きです……。父と息子の確執なんてなんぼあってもいいですからね。土屋が1話の中で何回「柊平さん」って言ったか数えたくなるくらい名前呼びすぎ。そんなことして樹のこと煽るなよな〜(ニッコリ) 土屋くんがエヴァのカヲルくんとか、ふたつのスピカの秋とか、スキローの志摩くんみたいな、ハンサムな見た目以上に内面から「特別な男の子」という印象を与えるタイプの男の子で否が応でもでも惹かれてしまう…! こんな自分好みの作品を見落としていたなんて忸怩たる思いです。来週単行本上下巻が出るようなので絶対買うしまた感想書きます! 【追記】 アマゾンで過去作を見てみたら、なんと『たゆたう種子』の作者の方でした!一般漫画なのに、雨に降られて男の子が上裸になるシーンがあってドキッとしたらそういうことだったんですね。気づかない人は気づかない、さりげないファンサービスだったとはありがとうございます!!!