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川島・山内・ムーディが選ぶ、夢の最強「週刊ビッグコミックスピリッツ」|川島・山内のマンガ沼web

川島・山内・ムーディが選ぶ、夢の最強「週刊ビッグコミックスピリッツ」|川島・山内のマンガ沼web

麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、前回放送の「夢の最強ラインナップを考えよう!週刊ビッグコミックスピリッツ編」の模様をお送りします(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。

ピンポン』を読んで、書いていたネタを破り捨てた

川島 今回のテーマはこちら、「夢の最強ラインナップを考えよう!週刊ビッグコミックスピリッツ編」。この企画と言えば、この男でございます。マンガ沼チャコールグレー・ムーディ勝山です。

ムーディ チャラチャッチャッチャラッチャー、ムーディ勝山です。お願いします。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

川島 さあ、「夢の最強ラインナップを考えよう!」第4弾、小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ編」でございます。創刊は1980年。もう私とほぼ同い年ですよね。43年の歴史を持つ人気マンガ雑誌です。高校卒業したぐらいで一番最初にハマる雑誌じゃない?

ムーディ ちょっと大人の階段を上りかけた時にハマる。

山内 ちょい大人向けの。

川島 今回はそのスピリッツで過去に連載していた、そして現在連載中の全ての作品。なんと500作品以上の中からわれわれが大好きな作品。これをラインナップとして並べました「夢の最強週刊ビッグコミックスピリッツ」を作りたいと思います。

マンガ沼公式ルール説明させていただきます。

ルール
・今回選抜するのはそれぞれ7作品
・「自分のスピリッツ」に載せたい作品を、1つずつ同時に発表
・載せたい作品がかぶってしまった場合は、プロ野球のドラフトのようにくじ引きで決定
・同じ作者の作品は1作品まで

川島 もういきなりピーク来ますよ、これ。それではまいります。「夢の最強スピリッツ」1作品目は、せーのっ!

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

川島山内ムーディ うわーーーーーっ!

山内 ジャンっ。

ムーディ うそっ、行けた!

山内 行けた!

川島 いや、迷ったなーーー。では私から行きますか。松本大洋さんはね。これは取らないとっていうとこで、その中でも『ピンポン』、選ばせていただきました。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

松本大洋ピンポン
・1996〜1997年連載
・単行本は全5巻
・主演・窪塚洋介で実写映画化
・卓球に魅了された5人の高校生の青春卓球マンガ

川島 僕はマンガという概念がこの作品で変わってしまったんで、スポーツマンガとはちょっと言えないんですよ。「人間」というジャンルじゃないですか、これは。僕、芸人になってNSCに通ってコントを書いてたんですね、その時。でも、いろいろ相方と何か考えようと思って。とにかくネタ書くしかない時期じゃないですか、NSCって。

ムーディ はい。

川島 で、5本ぐらいコント書いて、その後『ピンポン』を読んだ時に、全部その時書いた物を破ったんです。

山内ムーディ へえーー。

川島 「こんなもん!」と思ってしまって。「こういうの(「ピンポン」)こそが世に出るものだ」と思って、それぐらい衝撃を受けて。それで改めて書いたコントを先生が褒めてくれたり、オーディションに受かったりしたんですけど、それぐらいギアを1本上げてくれた作品なんです。

山内 おおー。

川島 いまだに読み直します。これがないと川島スピリッツはちょっと成立しないです。

ムーディ いまだに1番っていう人が多いですよね、『ピンポン』は。

川島  体調、年代によって(読む人にとっての)主役が変わりますよ。もう一生読み続けると思います。山内は『20世紀少年』で浦沢直樹さん。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

浦沢直樹『20世紀少年』
・1999〜2007年連載
・単行本は『20世紀少年』全22巻+『21世紀少年』上下巻の全24巻
・世界滅亡の危機を救うため、謎の存在「ともだち」と戦う大ヒット本格科学冒険マンガ

山内 そうですね。やっぱりこの「ともだち」というキャラクターのセンセーショナルさ。「結局誰なの?」っていうまま話が進んでいく。ちょっとミステリアスな、犯人が誰か分かんないみたいな感じ。この後続でいろんなマンガ家さんが描きだしたんちゃうかなぐらいの影響を与えたマンガなので。

川島 勝っちゃんはもうそれ行った。

ムーディ はい、僕はこれを押さえたかったんです。やっぱり『美味しんぼ』。不朽の名作といいますか。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

作:雁屋哲/画:花咲アキラ美味しんぼ
・1983年〜連載中(現在は休載中)
・単行本は第111巻まで発売・累計発行部数は1億3,500部以上
・グルメブームを巻き起こし、アニメ・ドラマ・映画化もされた食マンガの金字塔

ムーディ まだ連載中なんです(現在は休載中)。単行本は111巻まで発売している。やっぱりこれ、全世代知ってるというのがでかくて。僕も子供の頃から見てますけども、最近若い芸人と話しても『美味しんぼ』を見てたりするんですよね。「どの回が好き?」みたいな話題で話せたり、「この回いいよね」みたいな話をしたり。累計発行部数も1億3,500万部っていう、とんでもない数字なんで。

川島 1人1冊持ってないとおかしい(笑)。

ムーディ 絶対にお店にありますもんね。僕にとっても生活の一部というか。サブスクで『美味しんぼ』のアニメを、家でずっと流してたりして。

川島 BGMになってる。

ムーディ もう体の一部になってて、これはやっぱ外せないなと。

エロをこんなに待ち遠しかったことはなかった『東京大学物語

川島 ということで、それぞれが理想の1位を取ることができました。それでは2作品目です、せーのっ!

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

ムーディ うわーーーっ、かぶらない!

山内 今回割れますね。

川島 ということで、かぶりなしなので全作品掲載でございます。では私から。吉田戦車先生の『伝染るんです。』。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

吉田戦車伝染るんです。
・1989〜1994年連載
・単行本は全5巻
・第37回「文藝春秋漫画賞」を受賞
・不条理ギャグマンガのパイオニア・吉田戦車先生の代表作

 

川島 ギャグマンガといえばこれです。シュールというものを、自分の人生に教えてくれた作品です。この企画、好きな作品を挙げていくのはもちろんですけども、やっぱ雑誌としてバランスを取らなきゃいけない。そうなった場合、絶対ギャグマンガが要るんです。

ムーディ 確かにね。

川島 これを取っておけば、後々絶対楽になる。

ムーディ これはでかい。

川島 そして山内さん、出ました!

山内 僕は『東京大学物語』でございます。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

江川達也東京大学物語
・1992〜2001年連載
・単行本は全34巻
・東大を目指す村上直樹と水野遥の偏差値81のラブコメディ

 

山内 ちょっと青春もありつつ、やっぱりエッチなんです。エロをこんなに待ち遠しかったのはなかったですから。

川島 江川先生の絵はやっぱセクシーなんですよね。

山内 「えっ、ちょっと待って。そんなとこまで描くの!?」って思ったら、妄想だったりして。でも「妄想でもいいからもっとエロをちょうだい!」っていう思いがあって。ちょっと大人向けの週刊スピリッツなので、雑誌の中でやっぱ1個は、エッチ系のは欲しいなっていうので。エッチ系として取りました。

ムーディ 僕が選んだのは『めぞん一刻』。高橋留美子先生でございます。

川島 うわっ、また大御所取るな!

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

高橋留美子めぞん一刻
・1980〜1987年連載
・単行本は全15巻
・「一刻館」の住人・五代裕作と、管理人の若い未亡人・音無響子のラブストーリー

 

ムーディ この未亡人の管理人さんと、浪人生の五代君とのラブストーリーです。ちょっと深いんですけども、それでもなんかちょっとドキドキしながら読んでて。それでギャグもやっぱりいっぱいあって、小学生のときに面白く読んでたっていう記憶がありますね。高橋先生ならではの、同じアパートに住む住人たちのキャラクター。これが面白くてね。エロい姿でうろつくアパートの住人とか、いつも一升瓶持ってる人とかいろいろいて。「ああ、こんな独り暮らしあんねや」とか、そういうのもわくわくしたりとか。

川島 それでは「夢の最強スピリッツ」3作目です。せーのっ!

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

ムーディ おおー。

川島 かぶらんなー。私は『往生際の意味を知れ!』。

米代恭往生際の意味を知れ!
・2020〜2023年連載
・単行本は最終8集が8月30日に発売
・「元カノと結婚したい」は叶うのか!? 元カノ×元カレやり直しラブストーリー

 

川島 これまでレジェンド、レジェンドと来たので、現役の作品を入れておこうと。ラブストーリーというにはちょっと深過ぎる、ややこし過ぎるんです。どっちもが不安定で、単純にラブだけではない、人間の恐ろしさもあって。巻を追うごとに登場人物がバンバン出てきて、そのたびにすごくややこしくなるんですけども、いまだに目が離せません。ちょっとこれはもう自分の中では外せないところですね。さあ、ミスター山内。それはまあ、ここ来るよね。

山内 はい、『闇金ウシジマくん』です。

真鍋昌平闇金ウシジマくん
・2004〜2019年連載
・単行本は全46巻
・主人公の丑嶋が経営する闇金融に訪れる客と、社会の闇を描いた人気作品

山内 やっぱり僕の好きなバイオレンス入ってるし、お金も入ってるし。これも実写化、山田孝之さんでドラマ化されて。それもやっぱおもろかったし。この暴力系のアンダーグラウンドを描いた作品は絶対欲しかったんで。プラス、やっぱ『九条の大罪』もされてるんで、『九条の大罪』を選ばれないようにというブロックの意味も込めて。

川島 ではムーディスピリッツ。

ムーディ 僕が選んだのは『アイアムアヒーロー』、花沢健吾先生。もっと上位でもいいぐらいなんですけども。

花沢健吾アイアムアヒーロー
・2009〜2017年連載
・単行本は全22巻
・謎の感染症による日常の崩壊を描いた、SFホラーゾンビマンガ

ムーディ 花沢健吾先生のどの作品も面白いんですけども、やっぱこのゾンビを扱ったっていうところがね。ゾンビを扱ってこれだけおもろい作品を描いてくれたっていうところが、もうすごい評価に値するんじゃないかなという。日本でゾンビ物って、エンターテインメントでなかなか消化できなかったかなと思うんですけども、これはもう見事に面白く描いてくださって、大好きな作品ですね。個人的にはグルメ好きなんで。花沢健吾先生の描くグルメシーンも、めちゃくちゃうまそうなんですよ。1巻の冒頭から、恋人が作ってくれたタッパーをチンして食べるところとか最高なんですよね。ぜひ。

「ずーっと面白いマンガ賞」をあげたいマンガ「アオアシ

川島 さあ、それではまいります。「夢の最強スピリッツ」4作品目、せーのっ!

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

川島 あーーーーっ、かぶりなし!

ムーディ かぶらんなー。

川島 それぞれが好きな作品を発表してるだけの回!

ムーディ こんな回もあるんですね。

川島 さあ、川島は『土竜の唄』です。

ムーディ あー、『土竜の唄』取られた。

高橋のぼる土竜の唄
・2005年〜週刊ヤングサンデーにて連載後、移籍
・2008年〜連載中・単行本は第80巻まで発売
・警察の問題児である主人公の菊川玲二が、正義感と悪運を武器に活躍

川島 男はこういうの、一番好きじゃないですか。

ムーディ 潜入捜査官っていうのがね。

川島 高橋先生の作品の特徴として、男らしさとか男臭さ。ちょっとギトギトする中での熱い、泥だらけになりながらのし上がっていく姿を、どうしても応援したくなるんですよね。自分の中のラインナップをちょっと冷静になって今見返した時に、『ピンポン』でしょ、『伝染るんです。』でしょ、『往生際の意味を知れ!』。ちょっと雑誌として僕のはきれい過ぎるじゃない?

山内 はいはいはい。

川島 清潔ですよね。それに越したことないとはいえ、ちょっとやっぱ読んでて手が黒くなる作品が欲しい。ここで『土竜の唄』入れることで、すごく他の3つのきれいさが際立つんじゃないかなと。

ムーディ バランス取れてますね、これ入ることによって。

川島 山内スピリッツ、『ROPPEN』をここで入れました。

ムーディ 早っ!

川島 今年1巻が出たマンガじゃん!

山内 『ROPPEN』を、もうここで出しました。取られたくないから。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

宮下暁ROPPEN-六篇-
・2022年〜連載中
・単行本は第2巻まで発売
・最凶の殺し屋6人による殺し合いバトルマンガ『東独にいた』の作者・宮下先生の最新作

山内 これはもう次世代のバトルマンガですよね。そういう枠で取らせていただきました。やっぱり殺し合いのバトルが多分メインに今後もなっていくと思うんですけど、ほんとに最初から主人公のキャラの際立たせ方がいいんです。「こいつ、どういう戦い方すんのや」とか、わくわくさせてくれる感じ。1巻の帯を僕が書かせていただいて。

ムーディ そんなんばっかりやで、ほんま。僕が面白いって言う、川島さんにお勧めする、川島さんが帯書くみたいな。いや、別にいいんですけど。

川島 それ言う時怒ってるでしょ?

ムーディ (笑)

川島 ではムーディ。

ムーディ 僕が選んだのは小林有吾先生、『アオアシ』です。

川島 サッカーで来たか。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

小林有吾アオアシ
・2015年〜連載中
・単行本は第32巻まで発売
・Jユースに所属する男子高校生・青井葦人の奮闘を描いたサッカーマンガ

ムーディ 『アオアシ』はほんとに面白いです。もうずーーっと面白い。「最近の面白かったマンガ」とかじゃなくて、「ずーっと面白いマンガ賞」をあげてほしい。マンガの面白いところって、バトルマンガでもそうですけど、主人公が成長していく過程ってめっちゃ面白いじゃないですか。修行して試合して、あ、めっちゃ強なってるみたいな。『アオアシ』の主人公の青井葦人は、ずっとそれなんですよ。

川島 成長が止まらない。

ムーディ ずっと成長してる。ちょっと壁が立ちはだかったりもするけど、でも試合を繰り返すことでそれを越えて、「ああ、この感覚や」みたいな感じで。ずっとその成長度合いのおもろいのが続いてるんですよ。

川島 「夢の最強スピリッツ」5作品目です、せーのっ!

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

川島 わあー。えーっ? あ、そう? この3作品ともバラバラでございます。5巡目もかぶりなしとなりました。私は『往生際の意味を知れ!』と同じぐらい欲しいっていう『ひらやすみ』。

ムーディ うわあ、『ひらやすみ』行かれた!

川島 『ひらやすみ』はね、今連載中のマンガで5本の指に必ず入ってるという。

ムーディ 僕も大好き。

真造圭伍ひらやすみ
・2021年〜連載中
・単行本は第6集が8月30日発売
・平屋を譲り受けた29歳フリーターの生田ヒロトと、いとこの小林なつみの日常を描いたハートフルホームドラマ

川島 読んでて「ほのぼの系ですか、ああいいですね」と思ってたら、意外とちょっと胸をぎゅっとつかまれたり。ヒロト君に過去何があったんだっていう。真造先生がこの番組に来てくれたんですよ。

ムーディ えっ? いいなあ。

川島 「実写版やるなら誰がいい?」という話をしてて、僕が「ヅラかぶったら、ヒデキはナダルがいい」って半分ボケみたいな気持ちで言ったのよ。そしたら「なんで知ってるんですか?」って言われて。ヒデキのモデルはナダルなの。

ムーディ えーっ、そうなの!?

川島 そんな奇跡が起こってます。改めて読み直したりしても、これはまだまだ広がる可能性がいっぱいある。ここからヒロト君の恋愛にも持っていけるし、ヒデキが立ち直っていく話もいけるし、なつみちゃんのマンガ家としての出世物語も見えたりする。いろんな話題の礎、種があって。先生はどう思ってるか分かんないですけど、僕はもうずっとこれ、長寿番組のように続いてほしいなと。いろんなマンガに行くけど、ここに帰ってくるという実家のようなマンガが欲しいというので、『ひらやすみ』を取りました。さあ、山内さん。

山内 伊藤先生の『ギョ』ですね。やっぱりホラー系の怖いマンガは、1個バランスとして、入れたいなっていうのがあって。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

伊藤潤二ギョ
・2001〜2002年連載
・単行本は全2巻
・突如出現した陸を歩く魚「歩行魚」が恐怖と混乱を巻き起こす、パニックホラーマンガ

山内 楳図先生もいらっしゃったんですけど、巨匠が2人いる中で、やっぱり自分で読んで記憶に残ってるのは『ギョ』なので。友達から高校生の時に「あの気持ち悪いマンガ、読んだ?」みたいな感じで、「何?」って言ったら「『ギョ』っていうマンガ知らない?」っていうので。「ギョ? 何? 何なん?」って言ったら「いや、タイトルが『ギョ』やねん」って言われて、何それと思って読んだのがきっかけなんですよ。ほんで、この魚を気持ち悪く描いてて、その感じがホラーなんですけど、ちょっと見方変えたら面白さも見えたりなんかして。

ムーディ 僕が選んだのは『Heaven?』。佐々木倫子先生です。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

佐々木倫子Heaven?
・1999〜2003年連載
・単行本は全6巻
・お墓の隣にあるレストランを経営する風変わりなオーナーと、それに振り回される従業員たちの物語

ムーディ 僕、この佐々木倫子先生が、もう大好きなんですよね。佐々木先生の手法として、キャラの強い1人がいて、それに振り回されるっていうのがあるんです。それがもうすごく面白くて。設定も、お墓の隣にあるレストランで「もう客が全然来おへん。どうする?」みたいな、その奮闘というか。オーナーはもうわがまま、思いつきのまま行動するので、周りがそれにあたふた、あたふたみたいなマンガなんですけど、やっぱセンスですよね。佐々木倫子先生のセンスで、もうすごいやクオリティー高いというか。ドラマ化もされるぐらいストーリーもすごい面白いんで、ぜひ読んでいただきたい作品の1つです。

山内 ラインナップが食事すぎる(笑)。

わたしは真悟』を読んでひっくり返った

川島 それでは行きます。「夢の最強スピリッツ」6作品目、せーのっ!

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

川島 うわー、やっぱかぶらない! すごいですね。

山内 ここで『チ。』かー!

川島 『チ。―地球の運動について―』。

魚豊チ。―地球の運動について―
・2020〜2022年連載
・単行本は全8巻
・舞台は15世紀のヨーロッパ
・禁じられた地動説を命がけで研究する生き様と信念を描いた作品

山内 一番短いタイトルですよね。それまでは『ギョ』だった(笑)。

ムーディ 『ギョ』を越えた。

川島 『ギョ』を越えて『チ。』。よく見たら、やっぱタイトルも句読点の丸かと思ったら、あれは地球だったという。動いていると。1集が出た時の楽屋瞬間最大風速すごかったなっていう。魚豊先生にも来てもらったりとか。まんま天才でしたけどね。

山内 川島さんのラインナップは清潔感ありますね。『土竜の唄』だけ浮いてますね。

川島 だから、それがないと駄目なのよ。ちょっと汚しとかないとっていう。山内さん、お願いします。

山内 僕は『月下の棋士』。これは僕、スポーツ枠として。将棋とはいえ脳のスポーツといわれるということで、スポーツ枠として入れようと。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

能條純一/監修:河口俊彦『月下の棋士
・1993〜2001年連載
・単行本は全32巻
・天才的な将棋の才能を持つ氷室将介が、プロ棋士となって死闘を繰り広げる将棋マンガ

山内 やっぱり今、藤井君出てきて将棋ブームもありますし、天才の将棋棋士が戦っていく様っていうのは、今読んでも面白いなと思う。

川島 渋いよな、これ入れてくるの。さあムーディさん、ここで楳図先生を入れてきましたね。

ムーディ 楳図かずお先生、『わたしは真悟』。

楳図かずおわたしは真悟
・1982〜1986年連載
・単行本は全10巻
・自我が芽生えた産業用ロボットが、遊び相手だった小学生を親と認識し、真悟と名乗ってその行方を捜すSFマンガ

ムーディ 2丁拳銃の修士さんもマンガがすごい好きなんですけど、楽屋で「面白いマンガあります?」って聞いたら、「読んだことある? 楳図かずおの『わたしは真悟』」って言われて。

川島 渋っ。

ムーディ 読んでみたら、もうすごい面白かったんです。衝撃レベルというか、「えっ、楳図先生ってこんなマンガ描かはるんや」って。僕ら世代やったら楳図かずお先生ってバラエティーのああいうイメージが強いじゃないですか。それで作品もあんまり読んでなくて、何となく「ホラーマンガ描かはるんやろな」、みたいなイメージだったんですけど、これ読んだらもうひっくり返りました。

川島 ホラーでもないよね。ホラーというか人間らしいというか、もっと怖そうですよね。

ムーディ これを描きだしたのが1982年から86年なんですけど、コンピューターとか産業用ロボットとかいろいろ出てくるんです。もう当時から現代を予知してたんじゃないかっていうぐらいの描き方で。先見の明というか。

山内 AI的なのをもうやったわけですよね。

川島 そうそう。「危ないよ、このままでは」っていう警鐘を鳴らしてたと思うんですけど。

ムーディ やっぱり現役から選んだほうが、編集さんに好感持たれるかな……。

川島 次の仕事につなげようとすな(笑)! では最後までかぶりなしなのか、それとも最後の最後でくじ引きがあるのか。行きます。最後の7巡目、こちらです!

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

川島 かぶりなしっ! 最後までかぶりありませんでした! 『あさひなぐ』は私のラインナップを見た時にスピードが欲しかったんです。

こざき亜衣あさひなぐ
・2011〜2020年連載
・単行本は全34巻
・中学まで運動音痴だった旭が、高校で初めてなぎなたに出会い、成長する青春なぎなたマンガ

川島 なぎなたという、ちょっとマイナーなスポーツを、これほどまで分かりやすく説明しつつ、人間に魅力がある、旭ちゃんの成長物語。これはケンコバさんに教えてもらいましたね。

ムーディ ケンコバさんも好きですよね。

川島 ケンコバさん、結構早い段階で「『あさひなぐ』読め」って言ってくれて。五反田の秋田料理屋で言われました。「『あさひなぐ』、読め」と。では山内さん、お願いします。

山内 はい。『高校アフロ田中』。

ムーディ これはおもろいからな。

のりつけ雅春高校アフロ田中
・2002〜2004年連載・単行本は全10巻
・現在はこのシリーズの最新作『マイホームアフロ田中』を連載中
・アフロヘアの高校生・田中をとりまく青春ギャグマンガ

山内 やっぱりぐっと見るっていうよりも、パパッとめくりながら、「くだらないな」って思いながら見れる感じのギャグマンガが必要だと思うので、これはやっぱ欲しかった。

ムーディ 息長いですからね、この作品は。ずーっと田中が成長していって作品のタイトルも変わって、今『マイホームアフロ田中』で、子育てしてますからね。

川島 やってます、育児マンガとして。でも泣くよね、ほんま。

ムーディ 泣きます。たまに、うるって来る回もあるんですよね。

川島 さあ、ここでムーディさんがもう1本レジェンド。

ムーディ スピリッツの中から好きな作品を選べって言われたら、やっぱこれは絶対入ってきますね。『ツルモク独身寮』。

窪之内英策ツルモク独身寮
・1988〜1991年連載
・単行本は全11巻
・「ツルモク家具」の新入社員・宮川正太が住む独身寮の住人たちとの人間模様を描いたラブコメディ

川島 『ツルモク独身寮』な。今テレビ見てるおじさんが「おおー」って言ってますよ。

ムーディ 「ああ懐かしい、この表紙」ってね。兄貴が単行本持ってて、僕が小学生ぐらいの時に兄貴の部屋にこっそり忍び込んで『ツルモク独身寮』をこっそり読んでました。

川島 親戚の兄ちゃんの家に100%あるよな、『ツルモク』は。

ムーディ 絶対ありました。やっぱり大人なマンガで、大人なエッチな部分も描いてて。このコメディーの部分も結構かなり笑える。強烈なキャラクターがかなり出てくるんで。僕が一番好きなのは、班長の田畑さん。周りが結構モテるんですけど田畑さんだけモテない。で、いつも独身寮で男子の棟と、向かいに女子の棟があるんですけど、田畑さんは夜な夜なティッシュの箱と双眼鏡を持って屋上に行って、いつも何やらやっているっていう。小学生の頃は、それが何か分かんなかったんですよね。「なんでティッシュ持って行ってんのやろ」って。

川島 なんかちょっと背伸びしてドキドキする。ほんま親戚の兄ちゃんの部屋でドキドキしながら読んだもん。

山内 バランス悪くないですか?

ムーディ えっ?

山内 料理が2(『美味しんぼ』『Heaven?』)、寮が2(『めぞん一刻』『ツルモク独身寮』)って(笑)。

ムーディ 『めぞん一刻』はアパートやろ!

川島 これはちょっと色出たな。初のノーかぶり、ノー抽選。改めてちょっと自分たちのラインナップを見ますか。

 川島スピリッツ 
ピンポン
伝染るんです。
往生際の意味を知れ!
土竜の唄
ひらやすみ
チ。-地球の運動について-』
あさひなぐ

川島 私は『ピンポン』に始まり、レジェンドからちょっと若手にも手を伸ばして、『土竜の唄』でちょっと脂臭さも入れて、『チ。』『あさひなぐ』で仕上げたつもりでございます。中でせめぎ合いはありましたけどね。山内君はどうですか。

 山内スピリッツ 

『20世紀少年』
東京大学物語
闇金ウシジマくん
ROPPEN-六篇-
ギョ
月下の棋士
高校アフロ田中

山内 僕は『20世紀少年』を軸に枠をちりばめていったという感じで。『東京大学物語』、『闇金ウシジマくん』、『ROPPEN』、『ギョ』、『月下の棋士』、『高校アフロ田中』。全部のジャンルをうまい具合に今回バランスよく取れたので。中心に『20世紀少年』という……

川島 絶対王者がいるという。今回はバイオレンスに偏らすことなく。

山内 今までやっぱりバイオレンス偏りは票が入んなかったんですよ。マジで売れるってなると、バランスよくないと駄目だなっていうので、自分の色も残しつつ今回はバランスよく行けたという。

川島 さあ、ムーディさん。

 ムーディスピリッツ 

美味しんぼ
めぞん一刻
アイアムアヒーロー
アオアシ
Heaven?
わたしは真悟
ツルモク独身寮

ムーディ 『美味しんぼ』はやっぱり発行部数1億超えてる人気作品なんで、ここをやっぱり柱にして、まず『めぞん一刻』でちょっと恋愛物も入れて。『アイアムアヒーロー』はゾンビ物。『アオアシ』でスポーツ。『Heaven?』で飯。『わたしは真悟』、『ツルモク独身寮』。

最後に掲載順とグラビアを決めて、それぞれのスピリッツはこんな結果になりました。

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

川島 ということで、この3人のラインナップが週刊ビッグコミックスピリッツで特集されるそうです。これをご覧の出版社の方、やってもいいよということがあったらお声掛けください。「夢の最強ラインナップを考えよう!週刊ビッグコミックスピリッツ編」でした。ありがとうございました。

 

次回放送は「ヤンマガポーカー」をお送りします。

 

(構成:前田隆弘

 


【放送情報】
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次回放送
読売テレビ●9月2日(土)深1:46~2:16
日本テレビ●9月7日(木)深2:39〜3:09
「ヤンマガポーカー」を放送。
TVerでも配信中!)
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