AIという言葉は無かった頃に衝撃のロボットSF。7年の構想を経てジャンプで発表された 永井豪『真夜中の戦士』

週刊少年ジャンプ1974年17号。

『週刊少年ジャンプ』(集英社)1974年17号

以前、『漫画ドリフターズ』の記事で少し紹介しました。

購入したのは2年程前です。

いつも行く古書店で見つけました。

24歳の頃からいわゆる古書漫画を買う様になり、古い年代の少年ジャンプはそこそこ目にしてきました。

しかしこの『真夜中の戦士』が掲載された号を見るのは初めてです。

それなりのプレミア価格でしたが、これを見て買わない手はありません。

フルカラーで描かれた主人公の「火鳥ジュン」。

表紙も扉ページも素晴らしいですね。

『週刊少年ジャンプ』(集英社)1974年17号より

若々しい永井さん御自身も、表紙だけでなく懸賞ページに登場されてます。

『週刊少年ジャンプ』(集英社)1974年17号より

「特製豪ちゃんチョウチン」が気になりますね。

一つくらいは現存しているのでしょうか。

真夜中の戦士』はこの号で発表されて以来、多くの書籍に再録されました。

後に加筆されて、その後も描かれた第1部として未完のままの様です。

初めて読んだのはリアルタイムです。

貸本屋さんで借りたのか、自分で購入したのかは覚えてません。

この頃のジャンプはたまに買ってたんですよ。

でも読んだ時の面白さは忘れてません。

中学校に入学する直前です。

小学校の頃からSF漫画は好きでした。といっても児童向けのもの以外は読みませんよね。

手塚治虫さん、石森章太郎さんなどの子供にとって理解しやすいSF漫画は貸本屋さんで何度も借りて読みました。

星新一さん、筒井康隆さんのSFを読み出すのは中学に入ってからです。

今もそうかもしれませんが、当時は星新一さんが小説を読み始める入門書でした。

そんな児童向けSFしか知らない12歳に突如として出された本格SF漫画。

「凄い、面白い、永井豪さんすげぇ」と感嘆したのをよく憶えてます。

永井豪さんは以前の記事で「ススムちゃん大ショック」を書かせて頂きました

その際も触れましたが、本当に短編をまとめるのが上手いですね。

全46ページ。

扉ページがありますが、巻頭フルカラーの6ページが起。

7から20ページが承。

21から43ページが転。

そして44ページからラスト3ページで結。

ページの分割は私の独断ですが、実に上手くまとまってます。

ちなみに1987年に出版された、後に加筆された版も所有してますがジャンプ版のラストのコマまでが扉ページを入れて79ページと大幅に増えてます。

細かい話の補足、キャラクターの表情やセリフが効果的に増やされて、未読の方には加筆された方をお読みになるのをお勧めします。

個人的にはラスト3ページで急速に解決して終わるジャンプ版の方が好みではありますが、これは最初に読んだ刷り込み効果が大きいのが原因です。

加筆版をお勧めしといてなんですが、可能であればジャンプ版の凝縮されたラスト3ページも読んで欲しいと思ってます。

目次ページには「ジャンプでJUMP」という漫画家さんのコメントコーナーがあります。

『週刊少年ジャンプ』(集英社)1974年17号より

永井豪さん御自身の言葉で「7年も前からあたためつづけていた作品」と書かれてます。

永井豪さんはデビューが1967年です。

温め続けていた作品が『真夜中の戦士』その物だったのかは不明ですが、デビュー当時からずっと「こういうの」が描きたかったんでしょうね。

描きたかった「SF漫画の大傑作」の『真夜中の戦士』は、翌年「’74年日本SFベスト集成」というアンソロジーに収録されます。

こちらは諸星大二郎さんの「生物都市」記事で紹介した書籍です。

選者の筒井康隆さんは『真夜中の戦士』をSF史に残したい傑作と評されてます。

漫画という枠を超えて「SF」の傑作であることには大いに同感します。

未読の方の為に内容には触れてませんがあえて言うと、思考と感情を持たされたロボットたち。

1974年当時、「人工知能」という言葉はあったと思います。

しかし現在でいう「AI」の概念はどうだったんでしょう。

1974年12歳の少年が読んだ衝撃は、2023年に61歳となった今も「AI」という単語で繋がってます。

デビルマン』『マジンガーZ』の後に描かれた大傑作短編。

リアルタイムで読んだ事は勿論、掲載された『週刊少年ジャンプ』が現在手元にあるのは漫画好きにとって幸せな事だと思っている次第です。

 

 

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