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法月理栄さん第4回 名前も判明、村で暮らし始めた町のお医者様と奥さんは元気にやってます。法月理栄『気まぐれデイパック』第2~3話

法月理栄さん第4回 名前も判明、村で暮らし始めた町のお医者様と奥さんは元気にやってます。法月理栄『気まぐれデイパック』第2~3話

法月さんの記事第4回です。

▼第1回

▼第2回

▼第3回

 

『気まぐれデイパック』は以前に第2回の記事で第1話をご紹介しましたが、努力の甲斐あって第2話以降も手に入れる事が出来ました。

早速ご紹介しましょう。

 

第2話 「石仏の里」

『ビッグコミック』1989年5月10日号掲載

第2話から表題が付けられました。

石仏の、ときたら大分県の「臼杵」と思い浮かんでサイコロを振りたくなります。

って関係ないですね、すいません。

お地蔵さまが多くある野間さん夫婦が住む村の話。ただし何処かの明確な場所の記載はありません。

第3話に出てくる描写で静岡県だと思われます。

法月さんは静岡の方ですからね。

ここは第3話の紹介で触れます。

第1話の最後が引っ越し当日でした。

そして第2話は「村に越して数か月が過ぎました」との説明から始まります。

村の人に起こされる野馬さん夫婦。

村中総出の道直しの日なのを忘れてて慌てますが、源ちゃんは仕事の疲れから行くのを拒みます。

ここでようやく奥さんの名前が「桃子」と判明します。

少し話がそれますがお許しください。

「桃子」という女性の名前に初めて遭遇したのは1980年、『ヤングマガジン』創刊号から連載されていた柴門ふみさんの『P.S.元気です、俊平』です。

それまで何故でしょうか。女性の名前での「桃子」を知りませんでした。

『ヤンマガ』は創刊号からしばらく買ってましたが、俊平を振り回す「桃子」。

面白く読んでましたが、女の人にそんな名前無いよなぁとも思っておりました。

次に「桃子」さんに大きく触れたのは漫画ではありませんが、1987年放送のドラマ『男女7人秋物語』です。

『夏物語』はあまり見てなかったのですが、シリアスさが増された『秋物語』での大竹しのぶさん演じる「桃子」にはかなり惹かれました。

『元気です、俊平』と『男女7人』の桃子さん。どちらも自由奔放な女性の印象が強いですね。

そして1989年の連載である「気まぐれデイパック」の「野馬桃子」さんは明るく元気。

現在では『咲-Saki-』という麻雀漫画に出てくる「東横桃子」が私の中では大きく存在感を示してます。

他にも「桃子」さんは多くの漫画に登場しますよね。

でも現実にこれまでの人生で本名「桃子」さんに出会ったことが無いんですよ。

それもあって私にとって「桃子」という女性は漫画含めたフィクションの世界にのみ存在する、ちょっと不思議な感情を抱く名前です。

第2話を読んで判明した奥さんの名前。

「あっ、桃子さんなんだ」と少しだけ嬉しかったですね。

脇道が長くてすいません、戻りましょう。

病院から緊急の呼び出しを受けた源ちゃんを送った桃子さんは村の人達と一緒に作業しますが、少し言い方がきついおばあさんに子供がいないことをつつかれます。

村の人のフォローもありましたが不機嫌になってしまう桃子さん。

「ムシャクシャするとなんでもかんでも洗濯する癖がある」との心の声と共に洗濯機を回しますがタンクに貯めた水が切れてしまいます。

やむなく洗濯物をすすぐために川へ行きますが先程のおばあさんと遭遇。

でも何か違う雰囲気です。

おばあさんは熱心にお地蔵様を拝み、すぐそばの桃子さんにも中々気付きません。

その信心深い姿に桃子さんは感心しますが、同時に村に石仏が多かったことに思い当たります。

午後から村の石仏巡りを始めた桃子さんは再度おばあさんと会い、村の石仏の由来など教えてもらい打ち解けます。

『ビッグコミック』(小学館)1989年5月10日号より

その後なんと桃子さんは自分で木彫りのお地蔵様を彫り出すんですよ。行動力ですね。

数日後なんとか形になったお地蔵様を玄関先に置いた翌日に花とお菓子が添えてあるのに源ちゃんが気付き、夫婦二人の笑顔で終わります。

『ビッグコミック』(小学館)1989年5月10日号より

この第2話で村の暮らしが描かれます。そして始まりに相応しいとても良いエピソードです。

親切な人もいればお節介な人もいる。ぶっきらぼうな人もいる。

明るい桃子さんが色んな村の人達と上手く付き合っていく様が気持ちいいですね。

やっぱり桃子さんは『利平さんとこのおばあちゃん』に出てくる芸術家先生に似ています。

この第2話は芸術家先生目線での『利平さんとこのおばあちゃん』と言ってもいいかもしれません。

また法月さんが描くお地蔵さまの表情がいいんですよ。

さりげなくも丁寧に描かれた村の風景と共に心に染み入り、『利平さんとこのおばあちゃん』共々本当稀有な漫画作品だと感じます。

 

第3話 「六月の夜に」

『ビッグコミック』1989年7月10日号掲載

久しぶりに都会へ出て買い物をした桃子さん。

帰りのバスまで40分待つ為、バス停前の食品から日用品まで扱う小さなお店に入ります。

そこになんと源ちゃんが。

源ちゃん囲碁が好きで患者さんでもあるお店の主人とよく打っているとの事。

すると店の中で寝かされていた老夫婦のお孫さんが泣き出します。

桃子さんも可愛いとあやしますがそこへ電話が。

子どもの泣き声を聞かせたくない相手だからと桃子さんはお孫さんを抱いたまま店の外へ出されます。

電話が長い為お孫さんを連れて駅まで足を伸ばした桃子さんですが、なんとそこに子供のお母さんがいます。

電話の主はこのお母さんです。

事情があって老夫婦に育ててもらう事になったものの、我慢できずに駅まで来て電話していたのを知ります。

ここから子供を産んだ女性と、なかなか子供が出来ない桃子さんとの間で少しばかり切ない展開になります。

母親は駅に残り、桃子さんはお孫さんを抱いて戻ります。

御主人に夕飯を誘われ喜ぶ源ちゃん。

「源ちゃんだけがはしゃいでた」と桃子さんの心の声。

訳あって孫を預かる老夫婦とその娘さんの事情は明かされません。

その娘さんと会い、詳しくはわからないけど何か悲しい理由があるのを知っている桃子さん。

村へは源ちゃんの車で帰りますが運転席で笑う源ちゃんにはトーンがかけられ、少し切なげな表情の桃子さんが描かれたコマで終わります。

第3話に村は出てきません。

大人の女性二人のやり取りが話の肝です。

『ビッグコミック』(小学館)1989年7月10日号より

扉ページの柱に「女と母親の心が交錯する」と書かれた短い物語。

子どもを育てながら作品を発表されていた法月さんならではの巧みなストーリーテリングが光る秀作です。

途中の駅の描写で「大井」「川根」と描かれてますから野馬さん夫婦が移り住んだ村へは大井川鉄道の駅から向かうと推察されます。

という事は舞台は静岡県ですね。

でもその駅の名前は山守駅です。

『ビッグコミック』(小学館)1989年7月10日号より

大井川鉄道にはありません。

調べたら鳥取県の廃駅に山守駅がありましたが、いくらなんでも違うと思います。

理由は不明ですが駅名は創作なのでしょう。

前年の1988年11月に掲載された短編「ボックスシートで」では実在の「家入駅」が描かれてましたから、何か配慮があってのことかもしれません。

けどそこは深く考えなくていいと思います。

さて『気まぐれデイパック』、さる筋から教えてもらいましたが全5話だそうです。

今回はこの第2話と第3話ですが、またいずれ第4話と第5話を紹介したい所存です。

法月ファンの方々、楽しみにお待ちください。

 


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