麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、前週から2回にわたって放送される「山内・山添のおすすめマンガ」を前後編まとめて紹介していきます(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。
赤ずきんちゃんが相手をバクバク食うマンガ
山内 今回は川島さんがお休みということで、相席スタートの山添くんに来てもらいました。山添くん、マンガ読むの?
山添 男女コンビのネタを書くにあたって、ラブストーリーや少女マンガを読んでおいた方がいいんじゃないかと思って、けっこう読んでた時期がありました。
山内 なるほど、それは僕も川島さんも手を出してない部分かもしれない。それでは今回のテーマはこちら、「山内・山添のおすすめマンガ」! マンガ沼の人気企画の一つなんですけれども、自分がおすすめのマンガをただただ紹介するという、そういうコーナーでございます。ではまず僕が紹介したいマンガはこちら、『おとぎぶっ殺シアム』!
山添 読んだことない……。
クロタロウ 『おとぎぶっ殺シアム』
- 2019年〜2022年、LINEマンガにて連載。
- 単行本は全5巻で完結。
- みんなが大好きなおとぎ話の主人公、でも一体誰が強いのか?
- 謎の生き物・グリムPはおとぎ話の主人公たちを生き返らせ、優勝したら大切な誰かを生き返らせることができるゲームへの参加を持ちかける。
- そのゲームとは「対戦者のどちらかが死亡するまで」というトーナメント形式のタイマンデスマッチ。
- 果たしてこのぶっ殺し合いを勝ち残るのは一体誰なのか?
山内 みんなが知ってるおとぎ話の主人公が、ワンエッセンスを加えた形でトーナメントに参加してて、桃太郎とヘンゼルとグレーテルが戦ったりとか、赤ずきんちゃんと桃太郎が戦ったりとかするわけです。
山添 赤ずきんちゃん、不利な気がしますけどね。
山内 ……めっちゃ強いねん(笑)。
山添 強いキャラクターでしたっけ(笑)?
山内 めちゃくちゃ強い。ワンエッセンスを加えてんねんけど、そのワンエッセンスの加え方が面白くて、白雪姫だったら「毒農場経営者・シングルマザー白雪」という形で出てきて、めっちゃ毒を使うのよ。本来の物語のサイドストーリー的な感じで、「ちょっとこんな部分があったんで、本当は毒使いだった」みたいな感じで出てきたり。
山添 なるほど。
山内 まずおとぎ話の主人公が戦う時点で楽しいねんけど、いま山添くんが言ったみたいに「赤ずきんちゃんがどう戦うの?」という部分も面白くて。
山添 カゴにリンゴ入れてるイメージしかないですけど……。
山内 ……じゃなくて、赤ずきんちゃん、もうめちゃくちゃ食べる(笑)。対戦相手をバクバク食べる。
山添 オオカミ側じゃないですか(笑)。
山内 あと3匹の子豚も出てくるのよ。すんごい弱そうな、絵本のタッチくらいの感じで出てくんねんけど……めっちゃ強い(笑)。だからこの作者の昔話への切り口が面白くて、「どう戦わせんねん」とか、そういうワクワク感も非常に上手く描かれているマンガです。
相席スタート山添が純愛を学んだマンガ
山添 僕が紹介するのはこちら、『スローモーションをもう一度』というマンガです。ご存知ないですか?
山内 なにこれ、お父さん世代のマンガ!?
山添 見ての通り、ちょっとレトロなマンガです。
加納梨衣『スローモーションをもう一度』
- 2016年〜2018年、週刊スピリッツにて連載。
- 単行本は全7巻。
- 主人公はクラスでイケてるグループに属している、一見リア充な高校1年生・大滝くん。
- そんな彼が抱えている秘密…それはアイドル・歌・おもちゃなどの80年代文化が大好き!ということ。
- 大滝くんはある日、隣の席の地味な女の子・薬師丸ちゃんが自分と同じ秘密を持っていることを知る。そこで始まる80年代が趣味の2人の胸キュンラブストーリー。
山内 連載時期、そんなに古くないね。
山添 僕が男女のネタを書くときに、純愛を学んだのがこのマンガです。
山内 だから中森明菜さんの髪型なのか。最初にその女の子の部屋に入るときに、その子がアイドルの格好してるんですよね。で、男の子が「いつの時代のアイドルだよ…」と言って、女の子が「…悪い?」って言ったら、「すごくいい」って。ここで2人の距離がぐっと縮まるんですね。
山添 そこで大滝くんは、今後も連絡取りたいからと言って、80年代のショップからレンタルしたポケベルを薬師丸ちゃんに渡すんです。一歩、勇気出すんですよ。それに対して、薬師丸ちゃんなんて返したと思います?
山内 「いいよ」とかじゃないってこと?
山添 「いいよ」で単純にキュンとしますよね? でも薬師丸ちゃんは、「あたしからはなんも送んないよ」と言うんです。
山内 くぅ〜……。なんやろ、今そのセリフ聞いたとき、頭ん中にケイさんが浮かんだ(笑)。
山添 今は忘れてください(笑)。こうやって少しずつ少しずつ恋が発展していきまして、大滝くんが告白するんですけれども、すぐにフラれるんですよ。
山内 えっ、絶対ハッピーエンドじゃないの!?
山添 なんでって思いますよね? ……マジで読んでください。
山内 めっちゃ気になる。今の感じからして、絶対付き合うやん。
山添 こうやって少しずつしか恋に発展していかないっていう部分がむずがゆくて、でも親心でも見れるし、自分の娘・息子がもしいたとしたらこういう恋愛してほしいなと思えるようなマンガです。
AVが禁止された世界で戦うマンガ
山添 続いて、山内さんお願いします。
山内 次の僕のおすすめマンガはこちらです。『レモンエロウ』。
古町『レモンエロウ』
- 2020年からヤングマガジンにて連載中。
- 単行本は第2巻まで発売。
- 20XX年に施行された過剰なポルノ対策「アダルトコンテンツ取締法」により、日本ではAVの所持・売買・使用が法律で禁止されてしまう。
- 青春の全てをエロに捧げてきた主人公・稲井有は、後輩・田中と違法にAVを販売することで、AVという文化を守ろうとしていた。
- エロの復活を信じ、立ち上がる男たちの前戯なき戦いがいま始まる。
山添 やかましいわ(笑)。
山内 という、笑いあり涙ありちょっとだけエロありの近未来SFマンガです。言ってみたらAVが麻薬みたいな扱いをされてて、主人公の稲井は麻薬の売人みたいな感じなんです。ただエロは絶対必要だろうという使命感もありながら、裏でAVを販売してるんですよね。でもこれ、ちょっと疑問感じませんか? AVを売るのも違法だけど、はじゃあもともとのAVってどこから出てきたの?って。
山添 たしかにそうですね。
山内 もう違法で逮捕されるのを覚悟で、1人だけ戦ってるAV女優の方もいるんです。
山添 ほお〜〜!
山内 そのAV女優の人はもう使命感からチームを組んで、バレない場所で撮影して、それを販売する。稲井はその販売する人から買い取って販売してる人なんですけど、そのAV女優の人がついに「私、青姦やります」って言うんですよ。
山添 めちゃくちゃ危険行為!
山内 みんな「それはリスクがでかすぎるからやめましょう」と言うんですけど、そのAV女優の人は使命感のもと「いや、今回はチャレンジしてみたい」と言って青姦にチャレンジするんですけど、そこで捕まっちゃうんです。
山添 やっぱりやめといた方が良かった!
山内 でも稲井はその女優さんの意思を継いで、何とかAVをみんなに広めようと戦っていく。
山添 気付いたら僕は稲井さんを僕は応援してました。
山内 つらいって思うじゃないすか。車で逃走してめっちゃ追われるんですよ。追われて、自分が乗ってるのがトラックみたいなので逃げるんすけど包囲されててもう絶体絶命だっていうときに、ボタン押すんですよね。そしたらボタン押した瞬間に車がピカッと光って逃げれるんですけど、なんで逃げられたんだと思って、相方の方がその車を見たら、「マジックミラー号だ!」って言うんです(笑)。
山添 ははははは!
山内 警察のライトを利用して、マジックミラー号の反射の光で目くらましで逃げるという。ちょっと面白い部分もふんだんに盛り込まれてて、笑いとサスペンス、シリアス感のバランスがすごい絶妙ですね。
不倫を「したくなくなる」マンガ
山内 続いて山添くんお願いします。
山添 続いての作品はこちらです。『サレタガワのブルー』。こちらご存知ですか?
山内 知らない。
山添 山内さん、不倫ってしてます?
山内 ええしてます、って何言うてんねん! 危ない誘導尋問やで。どんな質問してくれてんの。してないですよそりゃ。
山添 される前ですよね?
山内 される前です、される前ちゃう!
セモトちか『サレタガワのブルー』
- 2018年から集英社のマンガアプリ「マンガMee」にて連載中。
- アプリ内で3億PVを記録。
- 単行本は第6巻まで発売。
- 2021年には実写テレビドラマ化。
山添 主人公はイケメンで家事も完璧にこなす、愛妻家で高収入の田川暢くんです。彼は溺愛するかわいい年上の妻・藍子のために日々パーフェクトな夫としてかいがいしく尽くしておりました。幸せな結婚生活がずっと続くと思っていた矢先、そんな夫の気持ちをよそに身勝手な妻・藍子が他の男性と不倫します。
山内 うーわ、嫁がすんのかい! せえへんと思ったらすんのかい!
山添 不倫をされた側の葛藤と痛みをリアルに描くフルカラーマンガ……となんですけども、山内さん今「嫁がすんのかい!」とおっしゃったじゃないですか。もちろん逆もあります。
山内 えっ!
山添 女性側が旦那に不倫される物語も、もちろん並行して描かれてます。する側・された側すべての視点から描かれてるマンガなんです。もうドロドロすぎて、天下一品のラーメンもびっくりですわ。
山内 あれより? だいぶドロドロよ。
山添 これはなんと、「読めば必ず不倫をしたくなくなるマンガ」なんです。
山内 ええ? 「したくなる」じゃなくて「したくなくなる」? 『昼顔』でしたっけ、あのドラマ。みんなが不倫に憧れちゃうような、ちょっとしたブームになったじゃないですか。「不倫、なんか素敵かも」みたいな。じゃないんだ。
山添 逆です。僕はいま彼女もいないんで、もちろん結婚もしてないんですけど、「結婚前にこれ読めてよかったな」と思いました。山内さんも結婚されて、いまこれを読むのめちゃくちゃいいと思います。
山内 マジで?
山添 奥さんの大事さがわかるし、好きな人が隣にいることが嬉しいってシンプルに思えるし、自分がもし不倫してしまったら、されてしまったら、こんなことになるんやという悲惨さをリアルに描いてくれてるマンガです。このマンガに僕、ドハマリして、トークライブに作者のセモトさんに出ていただきまして。女性の方です。すごく優しくて素敵なかわいらしい方で、まさかこんなハラハラさせるようなマンガを描く方とは思えないくらいでしたね。
山内 なんでそういうマンガを描いてはるんやろ? めっちゃ気になる。
山添 「一度大好きな彼に、壮絶な浮気をされて、もう悔しすぎて、マンガだけが残った」と言ってました。
山内 めっちゃ面白そう。
山添 そうなんです。なので、すごく反面教師になる、「こういう男になったらあかんな」って思えるマンガです。
まだ1巻だけど「当たり」と断言できるマンガ
山添 続いて山内さんお願いします。
山内 僕がおすすめするマンガはこちらです。『アフターゴッド』。
江野朱美『アフターゴッド』
- 2021年から小学館のマンガアプリ「マンガワン」にて連載中。
- 単行本は第1巻まで発売。
- 物語の舞台は神々に「侵攻」され、神の居場所が危険区域の日本。
- 神と目が合うと身体が硬直し、口に息を吹き込まれると体は水に変えられてしまう。
- 危険区域となった東京で厳重に閉じられた柵の向こうをのぞいていた少女・神蔵和花は、「神」の研究員・時永と出会う。
- その直後。異様な雰囲気をまとった女性が2人の前に立ちはだかる。
- それは世界の運命を変えてしまう最初のきっかけだった。
山内 これ、まだ1巻なんで全容が見えてこないんですけど、何千冊というマンガを読んできた中の経験上……当たりです。
山添 もう肌で感じたという。それはどこで思われたんですか?
山内 キャラの描き方とかストーリーの広がり具合。「今後広がりそう!」って感じをプンプンさせてるんですけど、この世界だと神様がちょっと魔物的な感じで描かれてるんですよ。この主人公の女の子・和花さんの友達が、神様によって水に変えられて、死んじゃうんですよね。
だから、和花さんは神様を憎んでるんですよ。神様憎いという状態で、危険エリアの近くにいたら、神様の研究員・時永と出会うんです。その組織は「どうやったら神を倒せるのか」をいろいろ研究してるんですけど、その2人が出会ったときに、異様な雰囲気の女性が現れるんです。それが実は、神様によって魔物化した女性なんですよ。
山添 人間と神のハーフ?
山内 そうですね。その女性は危険なんですよ。悪なんですよ。だから神の研究員が「この女性に近づいたらあかん」みたいな感じで和花を逃がそうとするんです。でもそこで、神様を憎んでるはずの和花がなぜか神様と同じ瞳を持ってることがここで判明するんですよ。つまり和花は神様と同じ能力が使えたんです。「もしかして神様に唯一対抗できる人間なんじゃないか?」ということで、神を倒す側の組織に連れて行かれる。神様と同じ瞳を持っているこの女性を使って、神様を殺していけないか……という話が今から始まるところなんです。
山添 えええええええ! どうなるんやろ!?
山内 本当に始まりすぎて全くわからないんですけど、僕の感性が告げてるんですよ。当たりです。
山添 確かに。
山内 「俺は早くから知ってたんだ」って言いたい人は、今から読んでください。
人を信じるとは?人生の教科書のようなマンガ
山添 続いてのおすすめマンガ、ちょっと男くさい本になるんですけども、こちらです。『RAINBOW 二舎六房の七人』。
山内 これはもう知ってます。
山添 もう本当にこれ、大好きなマンガなんですけども。
原作:安部譲二/作画:柿崎正澄『RAINBOW 二舎六房の七人』
- 2002年〜2008年まで「週刊ヤングサンデー」にて連載。
- 一時休載を経て、2009年〜2010年「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて連載。
- 単行本は全22巻。
- 2005年には「第51回小学館漫画賞」を受賞。
- 2010年にはテレビアニメ化。
- 原作者の安部譲二の自叙伝とも言える作品。
- 物語の舞台は、まだ敗戦の傷跡が残っている昭和30年の日本。
- 戦争のあおりを食らって心に傷を負い、犯罪に手を染めてしまった6人の少年たちが「湘南特別少年院の二舎六房」に送られてきた。
- 教官たちから虫けらのように扱われ、絶望していた少年6人がこの少年院で出会ったのが、先に入所していたアンチャンこと六郎太。
- 7人はいつしか友情と絆が芽生え、「再来年の夏、シャバに出ること」を唯一の大いなる夢として心に抱き過酷な日々を乗り越えていく。
山内 正直これは「読んでないと話になりません」レベルの名作ですよね。
山添 ほんとに名作ですよね。今日は好きなマンガを3つ選べるということで、これはどうしても入れたいと思ったマンガなんですよね。
山内 どの部分が一番山添くん的にはひかれましたか?
山添 みんなすごく傷を持って、傷ついて生きてきた6人なんですよ。この6人は仲間ではあるんですけれども、バレモトは6人中で一番、まだ人を信じられない。自分1人しか結局は信じられないってどこか思ってるところがありまして。そんな中でみんなの兄貴的な、人生を変える人物・アンチャンに出会うんですけれども、みんなが「この人は信用できる」となってる中で、バレモトだけはまだ信用しきれていない。
そんなときに、石原という最悪な看守がいて、みんなめちゃくちゃいじめられているんですけど、その石原がバレモトにアンチャンに不信感を抱かせるようなこと吹き込むんです。吹き込まれたバレモトは「やっぱり誰も信じなくてよかった」となって、自分だけこっそりタバコを吸うんですね。そこを石原に見つかって。タバコをポイッと窓の外に投げ捨てるんです。そしたらその投げたタバコが原因で、この少年院が火事になってしまうんですよ。
山内 はい。そうですね。
山添 石原はアンチャンを含めた7人のことを目の敵にしてるので、「火事きっかけで死んだらいい」と思って、彼らの部屋の鍵を捨てるんです。で、大火事になって閉じ込められてるところに、バレモトが鍵を見つけてみんなを助けに来る。それで全員助かるんですけど、もともとバレモトが原因でこの火事は起きたわけです。それだったら普通はみんなバレモトを責めると思うんです。でも「お前は俺たちを助けに来たヒーローってことでいいじゃないか」ということで、納めるんです。そこで初めてバレモトは「こいつらを一生信じ抜こう」と決意する、そこが僕は一番きましたね。「この瞬間、自分やったらどうするか」がめっちゃ詰まってて、人生の参考書になったマンガですね。
次回放送は「山内・山添のおすすめマンガ」後編をお届けします。
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(構成:前田隆弘)
【放送情報】
次回放送
読売テレビ●4月2日(土)深1:28~1:58
日本テレビ●4月7日(木)深1:59~2:29
「山内・山添のおすすめマンガ」後編を放送。
(Tverでも配信中!)
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