大人になっても、「これだけは一生守る」って決めてることがあります。
小さなことに喜び、新しい発見に興奮して、好奇心満載に生きることです。子どものように純粋な気持ちを保って生きるんだ。
そしていまのところそこそこ実践できているような気がします。
『那由他』は、80年代あるあるの「超能力者が追われる」世界の話です。80年代の超能力者はほんとうによく迫害されていますね。
この物語の世界では、ジャルンという頭にはめる輪っかをつけると、超能力者になれます。幼い頃からつけるほど高い能力を出すことができるんですが、ジャルンをつけた者……ジャルナーは、アザドーというUFOに乗ってやってくる人外の生物によって殺されてしまいます。
主人公の那由他は、ジャルナーのキロという少年を助けたことから、ジャルンをめぐる攻防戦に巻き込まれていくのです。
いやー、この話、小学生の頃に脳みそビンビンに洗脳されました。
全3巻、冒険活劇なんですよね。秘密基地に出入りしたり、太古の地球を旅したり、あてどもなくさまよって路上生活をしてみたり、仲間と小さなアパートに住んでみたり。厨二病臭がムンムンなんです。めっちゃワクワクするんです!
作品の魅力は厨二病臭だけではありません。
作者の佐々木淳子さんは、学園ものの胸キュンラブストーリーとかを描くタイプではなくガチSFが得意な人なのですが、ちゃんと少女マンガ的ツボは押さえてるんですよね。私は少年キロにたぶんなんかの超能力かけられてて、生涯洗脳され続けそうです。
キロは肌はダークなのに白髪ストレート。そんなビジュアルの人見たことないけど、なんかかっこよさそうです。ゲームでキャラクター作るときはつい濃い肌+銀髪ロン毛にしてしまいます。
強大な超能力を使って、キロはものすごい知識を蓄えていきます。そして冷酷に人を殺し……かと思うと、情に厚いところもある。クールかと思えば恋愛関係にはオクテ、だけど情熱的。なんですかそんな人、どこにいるんですか!?
そしてあれこれあって、キロは那由他をアザドーの母船に監禁します。リアルでやられたら絶対イヤだし犯罪だけど、妄想ならOKの典型が「監禁」です。ティーンズラブコミックにも監禁ものが結構ありますね。
ところでキロって、ギリシャの人みたいなズルズルとした布でできた服を着てます。でも丈はすごく短くて、マイクロミニスカート。生足です。寒くないんですかね。中にパンツを履いているのかずっと気になってるんですが、監禁中の那由他が仰向けで床にゴロゴロして考え事をしているとき、ふとテレポートしてキロがやってきます。寝転がった那由他の頭上にいきなりキロの足元が。……今だ那由他、覗け! ってか見えてないのかな、その位置から。
さて、ジャルナーを襲うアザドーとはなんなのか、なぜジャルナーは殺されなければいけないのか。ラストですべて明かされます。ここがなかなか読み応えがあるんですよね。結構科学的な話なので子どもの頭にはちょっと理解が難しくて、何度も読み返しました。
そしてジャルン。小さな子どもほどジャルンをつけると強大な超能力をもつことができます。それに引き換え、「頭の固くなった」大人がつけても、なにも起こりません。女子高生だった那由他は、ギリギリか弱い超能力を身につけることができました。
というわけで、もしかしたら大人になっても、頭が柔らかければジャルンをつけて超能力が身につくかもしれないですよね! だからいつまでも気持ちを若々しく、脳みそをフニャフニャに保っていようと思っているのです。
アザドーに襲われるのは困っちゃうけど超能力は欲しいんで!
※編集部注…『ダークグリーン』の外伝単行本『リュオン』には、クロスオーバーする『那由他』の外伝「ターン」も収録されています