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あらすじ

この物語は、「累」のチーフアシスタントでもある小林銅蟲がおくる、限りになくノンフィクションに近いフィクション漫画である! 一切れがスマホ並みの分厚さの超級カツ丼や、風呂場を使って低温調理したローストビーフなど、とにかく“やり過ぎた”料理が満載!! 知られざる漫画制作の裏話も垣間見えて、「累」ファンにとっても必読の書ですよ!

あいのいでんし
AIの遺電子
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あらすじ

人類の夢…テクノロジーの結晶・ヒューマノイド。人さながらに「病」を抱える彼らには、人とは違う「治療」の選択肢があった…。悩めるAIたちに寄り添う新医者・須堂の物語、開幕! 近未来系ヒューマノイドSF医療物語!

いやがってるきみがすき
嫌がってるキミが好き
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あらすじ

ある日の学校で、生まれて初めて「好きです」と告白された白川みこと。相手の大槻まことは「顔も髪型も変。なんか暗そう。ていうかこんな人、この学校にいたっけ?」と思うほど、全然好みのタイプではない。しかし、彼氏がいることで女友達の話題に入れたり、自慢できると考えたみことは、その場でつき合うことを決めた。ずっと憧れていた「彼氏がいる私」というシチュエーションに浮かれるみこと。デートにキスにそれ以上……と妄想をふくらませていたのだが、まことはその後、声すらかけてこない。さんざん焦らされた頃、ようやくまことが声をかけてきた。みことの家で映画鑑賞をしたいという。ついに来たお誘いに、みことは初体験までを覚悟して慌てるのだが、そこで起きたのは……!? 次々と露呈するまことの性癖。そう、彼はみことが「嫌がってる顔が好き」なのだった。まことの歪んだ性癖は、やがてみことの新たな性癖を覚醒させていくのか……!? 多くの女性読者を「気持ち悪い。けど……早く続きを読みたい」と虜にした異色&魅惑のラブストーリー! もしかすると、あなたの秘めたる性癖が目覚めてしまうかも…!?

ひめごとじゅうきゅうさいのせいふく
ヒメゴト~十九歳の制服~
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あらすじ

周囲から男っぽく見られている女子大生・由樹(ユキ)。彼女は誰にも言えない秘密の儀式を行っていた――。燻り続ける己の欲望に苦悩する日々を送る由樹。一方、同じ大学に通う佳人(カイト)と未果子(ミカコ)の2人も他人には明かせぬ「秘密」を抱えていて――。「ヒメゴト」を持つ3人の19歳が繰り広げる「ヨクボウ」と「セイフク」の物語――。

ほーむるーむこうだんしゃ
ホームルーム
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あらすじ

毎日クラスで不快なイタズラを受け続けているイジメられっ子の女子高生・幸子。犯人は不明。でも、実はそんな日々もあんまり苦じゃない。なぜならいつだって憧れの愛田先生が彼女を助けてくれるから。爽やかでイケメン、そして正義感の強い先生はいつだって皆の人気者。もちろん幸子にとっては特別なヒーロー。でも、そんな愛田先生にはある隠された“秘密”があり‥‥? 異才の新人・千代が描く、戦慄の学園サイコ・ラブ!

はいからさんがとおるしんそうばん
はいからさんが通る 新装版
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あらすじ

70年代に少女たちの間で空前の「はいからさん」ブームを巻き起こしたラブコメの名作が、装いも新たに登場!! 時は大正、花村紅緒、17歳。明るく元気いっぱいのハイカラ娘。恋も結婚も自分で選びたいと夢見ていたある日、伊集院忍という許嫁の陸軍少尉が現れる! 自分のじゃじゃ馬ぶりをいつも面白がる笑い上戸の彼が気に入らない紅緒は、この結婚を破談にしようとして!? 2017年に劇場版新作アニメも公開予定!

大正時代を舞台にしたラブコメ大作といえばこの作品

テレビにも映画にもなった大和和紀先生の代表作の一つ、笑い有り、感動有り、ハチャメチャで元気な女の子、花村紅緒とイケメン少尉、伊集院忍の大正時代のラブストーリー大作です。この時代にこんな女の子、もし現実に居たらきっと生き辛かったと思います。でも紅緒はそんな時代でも負けない明るさと強さを持っています。そんな型破りなはいからさんに忍も伊集院家の人達も惹かれて行きます。紅緒は生まれた時から忍の許嫁。それが気に入らない紅緒は忍に嫌われようと頑張りますが、実は初対面から忍が気になっていて、忍の方も元気な紅緒に好感を持っていました。生まれた時から決められた相手をお互い本気で好きになるなんて本当に素敵な運命です。やりたい事が出来ない時代で特に女性は大変だったと思いますが、きっと紅緒の様に自分で切り開いて行く人もいたでしょう。自分も大正時代にスリップした気分になれるぐらい物語に引き込まれてしまいます。また所々に書かれている大和和紀先生のちょっとしたギャグがとても笑えるのです。泣ける感動シーンがあるかと思えば、思わず声をあげて笑ってしまうシーンも有りとにかく面白いのです。この時代が好きな人にはもちろんお勧めですが、マンガが好きな方には一度は読んで欲しい作品です。

名無し
アグネス仮面
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あらすじ

プロレスが今よりもダイナミックだった20数年前。羽田空港に、ひとりのレスラーが降り立った。彼の名は山本仁吾。5年に及ぶ海外修行を終え、日本のリングに帰って来たのだ!だが、彼の大和プロレスは、ライバル・帝日プロレスとの真剣勝負に敗れ、崩壊の危機にあった。亡き社長・ジャイアント安藤の未亡人から命を受け、道場破りに赴く山本だったが…!?ハイスピードで展開する、爆笑本格プロレスコメディ!!

真面目で暑苦しくて、それでいていい加減なプロレス馬鹿たちの物語

なぜだか無性に覆面レスラーがかっこ良く思えてきて、勢いでルチャリブレの写真集なんぞを買ってしまいましたが、特にプロレスファンというわけではありません(僕のプロレス知識はスーパーファイヤープロレスリングで終わっている)。ただ、マスクマンのおどけながらも真剣な在り方になぜか惹かれてしますのです。  そんな気持ちにさせてくれたのが『アグネス仮面』という相当な熱血馬鹿漫画。真面目で暑苦しくて、それでいていい加減なプロレス馬鹿たちの物語です。登場人物は皆、少し抜けていますが、それだからこそまっすぐな熱いドラマを魅せてくれるのです。  主人公の山本仁吾は大和プロレスのプロレスラー。長い海外修行から帰国した仁吾は、大和プロレスの社長・ジャイアント安藤(ジャイアント馬場ぽい)が死に、さらに大和プロレスが帝日プロレスに潰されてしまったと知ります。旧大和プロレスのプロレスラーは散り散りになり、海外にいたため皆から忘れられていた仁吾が、最後の大和プロレスのレスラーなのです。ジャイアント安藤の奥さんにそそのかされ、帝日プロレスに道場破りに向かった仁吾は、そこで帝日プロレス社長のマーベラス・虎嶋(アントニオ猪木っぽい)に勝負を挑みます。引退して2年のブランクがある虎嶋に完膚なきまでに叩きのめされた仁吾は、強制的に日系ブラジル人の覆面レスラー・アグネス仮面に仕立てあげられ、なぜか帝日のリングに立つはめに…。こうして仁吾の覆面レスラー人生が開幕するのです。  才能あふれる若きレスラー・仁吾は周囲の様々な人に振り回されます。アントニオ猪木に似ているマーベラス虎嶋がまず酷い。とんでもない無茶は言う、約束は守らない、言ったことは全て忘れる。そもそもアグネス仮面という名前もアマゾン仮面と間違えてつけただけなのです。しかし、仁吾はそれらの指示になんだかんだで従い、がむしゃらに達成してしまう。自分でもなんだかわからないまま、仁吾はアグネス仮面として活躍してしまうのです。  周囲の人たちはみな、目標に向かって真っ直ぐで、熱くて、ただすこしばかりテキトー。ときに凄惨なシーンもありますし、ショックな場面も出てきますが、プロレスに対する疑問はかけらも出てきません。なぜ彼らがプロレスに夢中なのか?なんてかけらも出てきません。ただただ、プロレスが好きで、プロレスが最強だと信じていて、その気持ちを裏切らないように生きていく人たちの熱き物語。  ここで描かれているのはある種の楽園のようなものかもしれないと思います。

名無し
とうきょうときたくあかばね
東京都北区赤羽
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あらすじ

東京都のディープなスポット“赤羽”という街を舞台に、作者が遭遇する珍妙な人々や出来事を描いたノンフィクションコミック。連載が打ち切りになって失業した作者は、実家にいるのがいたたまれなくなり、赤羽の安アパートで一人暮らしを始めることに。そこで作者は、超失礼な居酒屋“ちから”のマスターや歌うホームレス・ペイティさん、恐怖の赤飯を差し出す“主”など、超個性的な人達と出会って……!?思わず赤羽へ行きたくなる第1巻!

おしてだめならおしてみろ
押して駄目なら押してみろ!
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あらすじ

JK×教師(蛇)!?訳アリアリ異種間ラブコメディ開幕――!

君が一番美味しいラブコメディー! #1巻応援

令和2年でイチオシしたくなるような、読めば絶対ニヤニヤしちゃう魅力を本作は持っている! 人間は恋愛対象外、蛇にしか恋愛感情を頂けないことを隠しながら生きてきた学園のアイドル的女子高生・財部つくしが、なぜか新任教師の加賀美肇に恋してしまうというラブコメディ。     ファーストコンタクトで人が恋に落ちる瞬間を読者が目撃してしまうのけれど、なぜ好きになってしまうのか……というのはもちろん読んでいけば分かる。異種間ラブコメと謳っていることから、色々と察して欲しい。 ただ一言、**ヒロインの嗅覚が凄すぎる……(笑)**     自分の感情を確かめるために、先生をグイグイ押していくヒロインの姿は可愛いし、自分の感情の理由を自覚してからはさらに推していくヒロインの可愛さは無限大。 フェチズム全開で頬ずりしようとするわ、嬉々として舐められようとするわ、タイトル通りで押しまくり。 駄目でも引かない、前進あるのみ!     ファーストインプレッションでヒロインに抱いた優等生的なイメージが、読み進めていくうちに崩れていく。 **学園で被っていた仮面など、「好き」というエネルギーの前にはあっさりと剥がされてしまうのだ。**     舐めるという行為が、実は教師の加賀美に取っては大事な行為なのだけれど、JKを舐めるというあまりにも非日常的な光景(というか普通なら教育委員会案件)が、時にえっちな雰囲気があったり、邪魔できないような尊い雰囲気が漂っていたり。     先生はペロリスト(舐める人)として照れを持つ稀有な存在だし、つくしちゃんはペロラレリスト(舐められる人)として反応が完璧。 舐めたい人と舐められたい人で、需要と供給が見事に満たされている!WinWinの関係性なのが素晴らしい(!?) 舐めるという行為にこんなに魅了されるのは、かつてアフタヌーンで連載していた『謎の彼女X』以来と言っても過言ではない(これもヒロインのよだれを舐める良い漫画なんだ) **ヒロインが作った手料理よりも、ヒロイン自身が一番美味しいというから、先生も読者も困ってしまうんだよなあ!!!(笑顔)**     まさにタイトルに書いた、「君が1番美味しいラブコメディー」が嘘ではないことが、読んでもらえれば絶対に分かる。 読み終わった頃には、すっかり胃袋を掴まれてしまっているはずだ。読者はつくしちゃんを舐められないので、熟読して胃袋を満たすしかない!   **つくしちゃんが美味しく食べられる様(嫌らしい意味ではなく)を、ぜひ楽しんで欲しい。**     また、めちゃくちゃ押しまくるつくしちゃんだけど、実は赤面シーンが多いのも大きな魅力。 赤面しているヒロインは人類の文化遺産なのだ。押して押して押しまくりながら赤面するつくしちゃんを、みんなで堪能しよう!     **訳アリ高校教師✕訳アリ女子高生=ニヤニヤ必須のラブコメディ**   令和2年以降の人類史では上記方程式が成り立つということを、漫画好きの全ての人間に、ぜひ提唱させて頂きたい……! 電撃マオウ2020年6月号の表紙のつくしちゃんも最高に可愛いことを、最後に報告してこの文を終える。

ふな
ふな
しょくのぐんし
食の軍師
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普段、私たちが何気なく食べている料理…だが、そこには奥深い兵法が潜んでいる!!何を注文するのか?どんな順番で注文するのか?この選択によって「食の軍師」としての知力・能力・経験が現れる。主人公は、自分自身を「三国志」の名軍師・諸葛亮孔明になぞらえ、様々な戦略を繰り出す!!攻める相手は、料理。おでん、もつ焼、寿司、蕎麦、とんかつ、餃子、焼肉、弁当などなど、私たち一般人が日常的に食べているメニューがズラリ。だからこそ、面白い!!様々な店で繰り出される陣形!!店を訪れる客との真剣勝負!!このこだわり、この緻密さ!!一度読めば皆、軍師の気持ちになること間違いなし!!これぞまさに、エンターテインメント・グルメ漫画である!!!

やがてきみになる
やがて君になる
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人に恋する気持ちがわからず悩みを抱える新入生・小糸侑は、生徒会の先輩・七海燈子が告白を受ける場面に遭遇する。誰からの告白にも心を動かされたことがないという燈子に共感を覚える侑だったが、やがて燈子から思わぬ言葉を告げられる。「私、君のこと好きになりそう」

役を生きる、私が生まれる。

恋が分からない侑と、彼女に初恋を覚える先輩・燈子、そして燈子の親友・沙弥香。彼女達の心は、難解だ。 恋を知る私は、恋が分かない侑に感情移入しにくい。燈子の完璧さが隠す物も見えないし、沙弥香の燈子への心もどこか胡乱だ。 侑に甘えながら心を開き切らない燈子。燈子を受け止める侑の優しさ・苛立ち・変化。二人を見る沙弥香の複雑な心情。それを表現する彼女達の言葉は、時に鋭いが時に遠回り。 相手の事は思い遣れるのに、自分の心は掴めない三人。そのモノローグを追ううち、私は彼女達の本当に言いたい事を、未だ形にならない心を、考えずにはいられなくなる。 まるで人の複雑な心に踏み込む舞台の脚本の様な、彼女達の心理描写。そこには私を考え込ませ、よろめかせる強い引力がある。 ☆★☆★☆ 物語は、彼女達の心の変遷と生徒会劇の製作とをシンクロさせて進む。元々は燈子が自分の「人生の役」を完成される為に仕組んだ生徒会劇。図らずも燈子の内面と重なってしまった台本を巡り、三人の心は絡み・切迫し・圧縮されていく。 燈子のために侑が望んで変更した結末。そこに込められたメッセージを受け取った燈子は、舞台で役を生き切った時、「人生の役」から解放されていく。 舞台の完成と、燈子の新生。それが同時に表現される時、難解だった心情はシンプルになって私の心に届く。6巻まで積み上げた先に広がる光景は、凄い創作物を見た喜びと、燈子への祝福に満ちていて、脳が焼けつくような多幸感で煌めいている。 凄い創作物を見た時に、新たな発明品の目撃者である事と、純粋に描かれた内容に感激する事は、両立する事もあるし、そうで無いこともある。そして『やがて君になる』は、確実にそれらが両立する作品だ。 切ない人達の心の解放と新生を描いた、心に残る創造物が、創られ届けられた事に、深く感謝したい。

あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
オールド・ボーイ
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謎の監禁施設7.5階に10年間監禁されたされた男が、誰が何のために自分を監禁したのかを探っていく!! 2003年に韓国で映画化され、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した。2014年には、前年アメリカで公開されたハリウッド版映画が日本公開される。「漫画アクション」連載作品。※本作品は2014年小社より刊行された新装版の電子版となります。

無記名的な、無国籍的な、大陸横断的な

狩撫麻礼の名義でもっとも世に知られる土屋ガロンが原作をつとめているのが『オールド・ボーイ』。韓国の名監督パク・チャヌクにより映画化され、カンヌ国際映画祭では審査員特別グランプリ、さらには映画大国アメリカはハリウッドでもリメイクされ、その際、それら会社間での権利関係で色々と揉め事が発生したようである。 そんな作品のほうが勝手にひとり歩きしている状況は原作者冥利には違いないが、この原作者、狩撫麻礼という名義でもっとも知られている男はじつに変な男である。まず、狩撫麻礼という名はカリブ=マーレー、つまりレゲエ音楽家のボブ・マーリーと彼の生活の拠点であったカリブ海とを掛け合わせたものらしいが、土地や名前などの固定的なイメージをペンネームに使用していながら、当の本人、狩撫麻礼という名義でもっとも知られているこの男は、土地や名前などの固定化したイメージから浮遊して逃げさるかのように極めて無記名的な存在である。いくつものペンネームを使い分けるさまは言うまでもなく、そもそもマンガ原作者であるために絵柄は作画担当に委ねられ、ひとつのイメージに定まることはない。さらにはいっさいメディアに顔を現さないために誰も彼の姿形を知らず、狩撫麻礼は彼のマンガに出てくる登場人物たちのように部屋には冷蔵庫とサンドバッグだけがポツンと置いてある、冷蔵庫の中身はすべてビールで埋め尽くされている、なんていうような妙に信憑性のある伝説だけが勝手にひとり歩きしているのである。そう、作品だけではなく、彼の存在自体も"物語"となり勝手にひとり歩きしているのである。 そもそも物語とは何か。物語とは話し語ることであり、物語の起源とは伝承にほかならない。当然のことだが、物語の伝承には著作権などなければ固有性も何らそなわっておらず、しかし当の物語のほうは極めて匿名的に、希薄にも、希薄であるが故に霧や空気のように所かまわず浸透して、あらゆる隙間を縫って各方面へひろく拡大伝播していく性質をもっている。著作者という概念など人類のながい歴史において近代になってようやく発生したものにすぎない。では、物語の本質とは何か。著作者という概念が発生した近代以降は、それは著作者その本人に帰依するものと一般には言われているようだが、人類のながい歴史からみた物語の場合はそうはいかない。その物語の発話者を遡って探していこうにも、その先には深淵があるばかりである。あるいは都市伝説によくあるように、その物語伝承の起源を仔細に追っていった結果がじつに身も蓋もないことであることも往々にしてあるだろう。すなわち物語の本質とは、その発生の起源ではない。物語の本質とは、むしろ、著作者を置き去りにして、極めて匿名的に、希薄にも、希薄であるが故に霧や空気のように所かまわず浸透して、あらゆる隙間を縫って各方面へひろく拡大伝播していく性質のほうにあるのではないか。それはまさしく物語が勝手にひとり歩きするということである。 そして、まさしく『オールド・ボーイ』はそんな物語の本質を貫くかのように、狩撫麻礼の名を置き去りにして、マンガというジャンルを越えて日本から韓国へ漂流し、ヨーロッパへ渡り、とうとうアメリカ大陸にまで辿り着く。しかも、ひとつひとつ国を跨ぐごとに、その物語の中身は少しずつ改変されているのである。狩撫麻礼とは物語の本質を身に纏い、世界各地をさながら無記名の幽霊のように彷徨い歩く男の仮の名前ではないか。そして、そんな男が、わけもわからずに何十年も監禁されて、そのわけを探すために街を彷徨い歩く、さながら記憶喪失のような男の後ろ姿と妙にかぶさるのである。 ところで、幽霊で思い出したのがロシア文学の代表格ゴーゴリが書いた『外套』という小説である。極寒の地、ロシアで、アカーキイ・アカーキエウィッチというひとりの男が新調したての外套を追い剥ぎに奪われて死んでしまうという小説だが、アカーキイの死後、各地でアカーキイの幽霊が現れて外套を奪っていくという噂が流れはじめる。じっさいに幽霊をみたというひとが遠い街から現れたが、その幽霊の風貌はアカーキイの姿形とはまったく違っていたという。 カリブ=マーレ―から拝借したという狩撫麻礼の名をみるたびに、私にはそれがカリブ海の南国のイメージとはどうしても繋がってこない。むしろ、なぜだか、狩撫麻礼ときくと大陸を横断してはしる極寒のシベリア鉄道を思い浮かべるのである。

影絵が趣味
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