今年の甲子園の副読本はコレだ、『青高チア部はかわいくない! 』だ

今年の甲子園の副読本はコレだ、『青高チア部はかわいくない! 』だ

こんばんにゃ。マンバ通信の伊藤ガビンです。

単行本1巻をムキになって推すというこのコーナーなんですけども、今回わたしがムキになりたいのは、conixさんの『青高チア部はかわいくない! 』ですよ。

高校のチアリーディング部を舞台にした青春群像劇っていうと大げさかもだけど、そういうアレです。

1巻の表紙です。電子もいいけど、紙版だと蛍光色パッキパキでかわいいですよ。
 

絵がね。絵が、ド☆ポップでね。女の子はかんわええし、これだけで五穀米何杯でもいけるって人は多いのではないでしょうか。いわんや白米をやですわ。

最近、なんかおもろいマンガありますか、と聞かれた時に、

ビームで連載してるconixさんて人の『青高チア部はかわいくない! 』読んでみたら? 知らんけど」

と、ここ数ヶ月言ってたんですよね。

知らんけど、っていうのもナンだよな、と思いつつ、自分でもその魅力の中心をうまいこと言葉にできてないな、と思ってたので、まあ、知らんけど読んでみてや、と人に薦めてたと、かような状態でございます。

まあ、それだと原稿にならないので、パッと見でわかる「絵がかんわええ」とか以外のことで、痛い腰を揉みしだきながら書いてみたいと思います。

迸るマンガ愛

前にマンバ通信で「マンガ家の描く絵本が苦手」ということを書いたのですが、同時に、イラストレーターが描くマンガもちょっと苦手、なんですよね。絵が勝ちすぎていて、話にうまく入り込めないことが多いからかな。マンガとしては、絵が止まってる場合も多いし、登場人物がしゃべっているというよりは、ナレーションのように感じてしまう。逆にいえば、マンガの作法の中に、絵が動いている、キャラクターがしゃべっているということがあるってことなんだと思うんだけど。

ルポマンガをイラストレーターが描いてるのは好きなんですよね。まあ、アレは、文章のない挿絵みたいなもんなので、違和感が少ないのかもしれません。

話が脱線してしまったけれど、私がconixさんの絵をまじまじと見たのは、野球で食ってない方のマーくんこと中原昌也さんの『中原昌也の人生相談 悩んでるうちが花なのよ党宣言』の表紙絵だったんですよ。

「中原昌也の人生相談 悩んでるうちが花なのよ党宣言」お先にいただきました〜。中面の挿絵チラ見せ。リトルモアより6/27発売です! http://amzn.to/1BmLojS

147 Likes, 2 Comments – conix (@coni_x) on Instagram: “「中原昌也の人生相談 悩んでるうちが花なのよ党宣言」お先にいただきました〜。中面の挿絵チラ見せ。リトルモアより6/27発売です! http://amzn.to/1BmLojS”

 

なんだよこの表紙さい高だなと思ったのを覚えております。中原さんの本は、イルドーザーが装丁した『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』から、ずっとさい高なんだけれど、この人生相談もなんだよこの絵いったいなんなんだよと思ったんですよね。

Tumblrでは、彼女の作品がどんぶらこっこと流れてくるのを目撃します。

Purple(2015, conix expo)

Purple(2015, conix expo)

 

cheerleader

cheerleader

 

(null)

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はい、かわいい&サウナ〜

というわけで、conixさんのことはイラストレーターとして知ったわけなんだけど、ある日、コミックビームを開いたらドーンとマンガが始まっていて驚きました。と、同時にイラストレーターの描くマンガに対してひどい偏見のあるおじさんは、マンガ描いたのかーーと思ったんですよね。一瞬。

だけど賢明な読者のみなさんは20行くらい前にお気づきのように、このマンガがすこぶる楽しいものだった。つまり、めっちゃマンガだった。あー、この人はマンガすごい好きなんじゃん! と思ったのでした。

月なみな言い方するならば、これストーリー展開は正統派マンガなんですよ。

青高と呼ばれる高校のチアリーディング部は3年2人、2年2人のたった4人だけの部活。新部長となった真泉舞は、新入生部員確保のために新入生が集まる部活説明会でのパフォーマンスを練る。ってねえ、思いっきり正統派マンガの展開じゃないですか。週刊少年マンガ誌に載っててもおかしくないようなストーリー。と、いうか、展開だけとりだせば週刊少年ジャンプでやってた『背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~』横田卓馬)みたいじゃないですか。読後感はぜんぜん違うけど!

 

その後も個性豊かな新入生がやってきて、努力したり、友情を育んだり、絶妙にエロさを出したりするんですよ。ジャンプのモットーである、努力、友情、お色気、でしたっけ? うろ覚えですが。そういうのに近いんですよ。マンガだなあ。

というわけで、実にマンガらしいマンガとして読める。

実際、玄光社のイラストレーション誌2017年8月号に掲載されたconixさんのインタビューを読むと、冒頭から

「高校生までに影響を受けたものはそれだけと言えるくらい、マンガが好きです」

と、マンガ愛を迸らせていました。イラストレーションの専門誌でですよ?

イラストレーターとしてシンプルで強い絵が描くことができるスキルを持った描き手が、思いっきりマンガらしいマンガを描いているのが小気味よいのでありました。

チア読本として

青高チア部はかわいくない! 』には、話の展開に合わせて、その時チア部が披露することになった振り付けが図解されてるんです。

 

これが、楽しいねえ。

いままでチア部の動きをガン見してこなかったわたしですが、こうして図解されると、あああッ! たしかにそんな動きしとった! てなりますわ。

おっさんなので実際じぶんでやってみるということは我慢しておきますが、確かめたいぜ! という気にはなっておりまして、甲子園中継はもうね、おじさんはね、もうおじさんは「そおいう目」で見ますよ甲子園を。ええ、そうです。テレビにチア部が出る度に画面に食らいつきます。そしてこの単行本片手に持ってね。右目で画面、左目でマンガを見ながら、楽しみたいと思っております。

conixさん、おじさんに夏の楽しみをありがとう!

あんまり長くなるとアレなんで、このへんで。


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