大谷翔平選手がドジャースと10年総額で約1014億円という巨額の契約が決まりました。いやー、1014億円とか現実の数字とは思えませんね。ところで、麻雀漫画で読んだことあるから知ってるんですが、プロ野球選手と言えばやっぱり麻雀ですよね!(曇り無き眼で) 天獅子悦也『むこうぶち』5-6巻収録の「花道」という名エピソードでは、神奈川シードッグスという球団のベテラン投手と若手投手が、傀に麻雀で敗れて学んだことを利用して、継投でのノーヒットノーランを達成するという話がありました。
現実のプロ野球選手でも元ホークスの城島健司氏とか元近鉄の加藤哲郎氏など麻雀の愛好家は多いですし、大谷翔平選手も野球の心理戦のためにと麻雀を嗜む可能性はゼロでは無いです。
そして、麻雀というゲームには対戦相手との心理的な駆け引きをする他に、多額の金銭や命など様々なものを賭けて勝負をしがちなゲームという一面もあります(※あくまで漫画の中の話です。現実では金銭を賭けるのは厳禁ですよ!)。麻雀漫画では様々な高レートの麻雀勝負が行われていますが、よくよく考えてみれば何百万円だとか何千万円までのものが多いため、高レートと言っても大谷翔平選手にとってはやや物足りなさそうな勝負をしている作品も多いです。
たとえば、先程も名前を出した天獅子悦也『むこうぶち』ですが、11巻収録の「海流」というエピソードでは、江崎さんと2千万円ビンタという大勝負をした乾さんが1人沈みのラスを引いて8044万円ものマイナスになっていましたが、大谷翔平選手からしたらきっと「あちゃー、負けちゃったな」くらいのものでしょう。
また、押川雲太朗『麻雀小僧』では、参加費1億円・優勝者が20億円近い賞金を得るという規模の麻雀大会が11巻から始まっています。しかし、大谷翔平選手からしたら参加費は契約総額のわずか1/1000、優勝賞金は契約総額の1/50程度となると、人生を賭けた大勝負ではなくて「ちょっと大きな麻雀大会」くらいの感覚になってしまうことでしょう。
また、福本伸行『賭博堕天録カイジ』の17歩勝負では、1回1億6千万円の勝負でカイジが三倍満を和了って村岡社長から4億8千万円を得ていました。しかし、大谷翔平選手にとってはせいぜい何試合か分の稼ぎがパーになってしまうくらいです。「地道にいこう‥‥‥‥‥!」と爽やかに言われても泣き叫んで失禁してしまうほどの金額ではなく、「たしかに、カイジさん良い事を言うな! これからは麻雀なんかにうつつを抜かさず地道に野球を頑張ろう!!」と心を入れ替えることでしょう。
また、あまりレートを上げすぎても賭けているものが具体性のある「大金」ではなくただの「記号」になってしまうため、実際にそのレートで金銭の支払いが行われなくなってしまいます。
たとえば、麻雀漫画家の大御所・片山まさゆき先生の『運王』では、2巻のばくちトライアスロン決勝戦にて東風戦1回勝負で千点1万ドル・サシウマ20億ドルというムチャクチャな麻雀勝負が行われます。負けたら2~3000億円相当がぶっ飛ぶ大勝負になりましたが、最終的には船が沈没して支払いは有耶無耶になってしまいました。
また、大和田秀樹『ムダヅモ無き改革』の点F-15(1機で約100億円?)は超高レート麻雀勝負として有名ですが、勝負後にこのレートで実際に支払いが行われたわけではなく、それくらい大きな勝負という比喩みたいなものでした。この後さらに、「点ーテポドン」「点ー地球」とエスカレートしていくことになりますし。
高レートの麻雀勝負というのはやはり実際に支払いが行われてナンボだと思います。そんなわけで、麻雀漫画の中で実際にそのレートで大金の授受が行われたことを確認できるものの中から、大谷翔平選手にオススメの高レート麻雀勝負を3つほどピックアップしてきました。
1.『アカギ』鷲巣麻雀
鷲巣麻雀と言えば、赤木しげるが自分の血液を賭けた勝負をすることで有名です。しかし、アカギは血液を賭けていますが鷲巣様の方は残った資産の全て賭けて勝負をしています(※最終的には資産を全て失い、鷲巣様も自分の血液を賭けることになるのですが)。
昭和40年の6億円は現在の価値で約60億円となるため、大谷翔平選手の契約総額のうち6%ほどになります。1014億円から思えばまだそこまでの痛手ではないですが、これだけの高レートならさすがの大谷翔平選手も多少はひりついてくれるのではないでしょうか。
2.『凍牌~人柱篇~』桜輪会対山扇会の東西麻雀決戦
当初は100万円のサシウマ勝負というほどほどの高レートだったのですが、物語の展開で千点200万円→千点500万円→千点1億円とエスカレートしていきました。そして、なんだかんだで氷のK・堂嶋側の勝ちは100億円以上にまで積み上がったのですが、山扇会側は負けを取り戻すためにさらなるレートアップを持ちかけて、とうとう千点10億円という途方もないレートでの勝負が行われることになりました。
桜輪会がケツモチについた東側の氷のK・堂嶋コンビは、この勝負が始まるまでは102億円のリードがあったのに、最初の半荘2回でどちらも3着・4着を引かされてしまい一気に997億4千万円のマイナスにまで追い込まれてしまいます。しかし、変態ロリコン・南部が仕掛けたイカサマを見破って封じることに成功し、さらには逆用してハメることで大逆転、マイナスを取り戻して半荘4回戦で468億6千万円の勝利となりました。勝ち分のうち半分は堂嶋の口座へ、もう半分の234億2999万9900円(足りない100円分は山扇会・叶の小指1本)が氷のKのケツモチである桜輪会・高津へと現金で実際に支払われました。
さすがの大谷翔平選手でも234億円の負けは手痛いでしょうし、半荘2回で契約総額がほぼ全て吹っ飛んでしまうこともあるほどの勝負ならかなりアツくなれるのではないでしょうか。
3.『銀と金』誠京麻雀
『銀と金』新装版5-6巻で行われた誠京麻雀編ですが、平井銀二たちは自身を担保に蔵前から500億円を借り受けて勝負に挑みます。誠京麻雀は通常のオンレート麻雀のような千点何万円という計算方法ではなく、山から1回牌をツモってくるごとに場代として規定の金額を供託していき、トップを取った者がその半荘で溜まった供託金を総取りするという特殊なルールになっています。場代は1巡ごとに親番の者が倍にすることが可能で、最初は1ツモ100万円から始まるのですが、100万円→200万円→400万円→800万円→1600万円→3200万円→6400万円→1億2800万円→2億5600万円→5億1200万円→10億2400万円→20億4800万円→40億9600万円という狂気の倍々ゲームが行われたことで、最終的には1回ツモるだけの行為に81億9200万円を支払わなければいけないというムチャクチャな高レートになる局もありました。
さらに、この場代と供託金によって算出される役満祝儀はなお一層とんでもないレートになっており、クライマックスの一局では役満祝儀が6兆円以上(※作中ではずっと3兆円と言っていますが、1兆5千億円から3兆円になった後さらにもう一度場代を倍にしているため、約6兆円という数字が正しいはずです)、役満祝儀を生じさせる可能性がある海底牌を回す鳴きを止める権利を買うのに3000億円、交渉の結果として3000億円の代わりに「500億円のキャッシュ(※10億円の手形を50枚)と代議士58人の借用書」が実際にやり取りされました。
6兆円なんていう役満祝儀を支払うことになったらさすがの大谷翔平選手でも完全に破滅するでしょうし、500億円でも契約総額の半分近くにもなり、税金を払っていることを思えばほぼすっからかんになってしまうでしょう。これならさすがの大谷翔平選手も1巡ごとに背筋が寒くなるはずです。
しかし、大谷翔平選手は契約金額以外にスポンサー収入だけでもけっこうな金額を貰っているため、球団のぜいたく税を回避させて補強金額に回してもらうために契約金額のほとんどを後払いにしているような話もあります。つまり、誠京麻雀で年俸総額が吹き飛んでしまってもスポンサー収入があれば充分だし、そもそも大谷翔平選手は金銭に固執していないようなのでどんな高レート麻雀勝負でもひりつくという感覚が無いでしょう。むしろ、レートがどんなに高くても低くても、大谷翔平選手は「金銭を賭けて麻雀を打っていたことがバレてしまったら大好きな野球をできなくなる」ということを何よりも一番恐れるでしょうし、そのリスクを回避するために、高レート麻雀勝負なんて天地がひっくり返ってもすることはないでしょうね……。やめよう、高レート麻雀!