少女マンガの三大イケメンは『BANANA FISH』のアッシュ、『イタズラなKiss』の入江くん、そして『ときめきトゥナイト』の真壁くん……というのをどこかで見たんですが、今検索したら自分の発言しか出てきませんでした。なんだそれ自作自演だったか少女マンガ三大イケメン!
とはいっても彼らのかっこよさが損なわれるわけではないので、今回は『ときめきトゥナイト』をご案内します。
魔界の狼女と吸血鬼のハーフとして生まれた江藤蘭世は、人間界で中学校に通っています。そこで隣の席になった真壁俊くんに一目惚れ。
真壁くんを取り合う神谷曜子と、使い慣れない魔法に翻弄される蘭世やらなんやらのドタバタラブコメです。からーの、シリアス恋愛ものへ移行していきます。
今読み返しても、テンポがよくて、「これぞラブコメ!」という感じ。
そしてとにかく真壁くんがかっこいいです。
ボクシングのプロを目指して特訓中で、学校では札付きの悪と恐れられています。そんな真壁くんと仲良くなりたいという蘭世に、
「よしな。おれはしょせん一匹狼だ」
だって……中学生だけど。
ヤクザを父に持つ神谷さんに言い寄られても、
「いまんとこ女に興味はねえな」
とサラリとかわしています。
まあ、中学生だしね、これからかな……。
丁寧に泳ぎを教えてもらったカナヅチの蘭世がお礼を言うと、
「へへ こいつあおどろきだ そんなこといわれたのは生まれてはじめてだよ」
生まれて初めて……まあ、中学生だしね、初めてのこといっぱいありそうだよね……。へへ。
特訓にもかかわらず海で溺れた蘭世は、真壁くんに助けてもらい、そして人工呼吸を……!
すごいですね真壁くん。救命講習を受けたんでしょうか。和久井も消防署に受けに行きましたが、心肺蘇生やAEDの使い方などを教えてもらって、大変勉強になりました。もちろん人工呼吸のやり方も教わりましたよ! いつ蘭世が溺れても大丈夫です。
さてこのニヒルな真壁くんの喋り方、現在ではちょっと違和感があるかもしれません。
偉そうな口利いてても親に食べさせてもらってパンツ洗ってもらってる中学生が、「よしな」とか言っちゃって、ちょっと恥ずかしい!
でも「そういう時代だった」と言ってしまうとそれまでなんですが、ほんとにそういう時代だったのかも。
80年代に活躍したシブがき隊は、ちょっと悪ガキで売ってたので、真壁くんみたいなこと言ってる歌詞がいっぱいあります。
「惚れたぜべらんめぇ!」とか「惚れ抜いてやるぜ」とか。
惚れ抜いてやるって、あんまり聞かない日本語ですね。
改めて本作を読み返してみると、真壁くんが登場するシーンってあまり多くなくて、神谷さんや家族とのドタバタがメインです。
キュンキュンしてばっかりじゃないところが、おもしろさの理由なのかもしれません。
それにしても懐かしいので、最後に2点ほど、「これぞ80年代ネタ」を。
修学旅行の夜、蘭世達はキャンプファイヤーで『マイムマイム』を踊ってます。
『マイムマイム』と言えば『生徒諸君!』の名シーンを思い出すネット民の人は少なくないと思いますが、80年代は学校イベントといえばすーぐ『マイムマイム』を踊ってたんですね。もちろん和久井も学校で踊りました。マイムレッセッセ!!
そして2巻からT.E.って魔界人が出てきますが、これは当時バカ流行りしてた『E.T.』って映画のエイリアンがモチーフですね。
少年と指と指をタッチさせるシーンや、自転車に乗って空を飛ぶシーンが有名です。観てないんでそれ以上のこと言えませんが。
『ときめきトゥナイト』は姉妹作品が多いのも特徴です。『ときめきトゥナイト それから』は、アラフォーになった蘭世たちの物語。リアルタイムで無印を楽しんでいた人にはたまらないですね!