大人にも読んでほしい少女漫画!早く大人になりたいと背伸びする少女を描いた『小さな恋のでっかいメロディ』の3つの魅力とは

大人にも読んでほしい少女漫画!早く大人になりたいと背伸びする少女を描いた『小さな恋のでっかいメロディ』の3つの魅力とは

以前、「『こどものおもちゃ』は大人になってからの三周目がオススメ」という記事を書かせてもらいました。

少女漫画って、文字通り“少女”が読むことを前提とした作品がほとんどなのですが、『こどものおもちゃ』のように、子供目線で描かれながらも大人にも刺さるようなメッセージが込められている作品も結構あるのです。

今回紹介する『小さな恋のでっかいメロディ』も、少女向けに少女目線で描かれながらも大人にも読み応え十分な少女漫画です。

10歳年上のバー店員に恋をする小学6年生の環名という女の子と、クラスメイトの渋谷という男の子。
2人の小学生が、それぞれ違う形で「大人」ということに対してコンプレックスを抱きながら懸命にもがいて生きている姿を描いた、少女にも大人にも刺さる少女漫画です。

大人になってから本当にこういう作品に弱くなりました。全4話で1巻完結の短いお話なのですが、もう何回も読み返すくらいハマってしまいました。

僕が思うに、この作品には大きく3つの魅力があります。

まず1つ目の魅力は、大人顔負けすぎる女子小学生たちを描いた「ぶっ飛んだ世界観」です。連載開始当初、そのぶっ飛んだ世界観から「最近の少女漫画はヤバい」とネットなどで噂になったシーンがこちらです。

『小さな恋のでっかいメロディ』(木村恭子/集英社)

新連載1話目の1ページ目からこの様子だったので、「これはとんでもない漫画が始まったぞ……」と僕はこの時点で完全に心を鷲摑みにされました。

このシーン以外にも、クラスメイトの渋谷という男の子が耳にピアス穴を開けているのですが、そのことを「黒歴史」「若気の至り」などと表現するシーンもあります。まさか小学生の口からそんな言葉が出るなんて。

一見これらの表現はギャグのように感じられるかもしれませんが、作品を通して改めて考えてみると、たしかに子供(特に小学生高学年くらい)の頃って、自分の中にもこのような感覚があった気がします。というかありました。確実に。小学校に入学した当初は、5・6年生ってものすごく大人で大きな存在に見えていて、自分の学年が上がっていくにつれて、だんだんと自分があの頃見ていた高学年の大人たちに近づいていっている感覚で、まるで本物の大人になったような気分になっていました。

この作品は、そういった感覚を多少誇張して表現しているに過ぎず、多かれ少なかれ誰しもが経験したことのある感覚を描いているのではないかと思います。そう気づいたとき、この作品の大人びた小学生たちが、とても愛くるしく尊い存在に見えてきて、彼女たちが懸命に背伸びしようとする姿を見守りたい気持ちが芽生えてきます。そうなると完全にこの作品の虜です。

そして、2つ目の魅力は「対照的なようで実は似ている2人の主人公」です。

この作品は環名と渋谷という2人の小学6年生の男女を中心に描かれています。第1話では、先ほどのトイレの描写のように完全に大人びた環名と、それを茶化す「クソガキ(環名曰く)」の渋谷、という描かれ方をしているのですが、読み進めていくうちに2人の見え方がガラッと変わります。

『小さな恋のでっかいメロディ』(木村恭子/集英社)

環名は渋谷のことをクソガキだと言い、子供扱いして相手にしないのですが、実は渋谷はまあまあ複雑すぎる家庭(作中では暗く描かれずにポップに表現されてはいますが、結構えげつない家庭)で育っていて、言動や姿は子供ですが精神的にはかなり達観している部分があります。

逆に、環名は早く大人になりたいともがいているはいるけど中身はまだまだ幼い部分が垣間見えてきて、一見“大人”の環名と“子供”の渋谷、と見えていた2人ですが、実は内面的にはまったく逆であることがわかってきます。

『小さな恋のでっかいメロディ』(木村恭子/集英社)

しかし、「早く大人になりたい」という環名と、複雑な家庭で育ったため「いつか大人になるんだから今は子供でいい」という渋谷は、意見がぶつかり合って対照的に見えますが、「大人」に対して違う形でコンプレックスを抱えているという共通点はあります。

少しずつ、お互いの抱える悩みや闇を知り、2人の心が近づいていく様子がとても素敵で目が離せなくなります。物語として最高にバランスの取れたメインキャラクター2人だと思います。

そして最後、3つ目の魅力は「2人に影響を与える素敵な大人たち」です。メインキャラクターは環名と渋谷の2人ですが、物語は2人の間だけで進んでいくわけではなく、周囲の大人たちの言葉によって、2人が新たな気づきを得たり成長したりする姿が描かれます。

中でも僕が特に素敵だと思ったシーンは、環名の母親のバーで働くベガちゃんという女性(戸籍上は男性)が「子供であること」にコンプレックスを持つ環名に対してサラッと「(あなたたちは子供なんじゃなくて)若いのよ」と言うシーンです。

『小さな恋のでっかいメロディ』(木村恭子/集英社)

環名たちはどういう意味で言われたのかピンときていない様子ですが、これってものすごく素敵なセリフなんじゃないかと僕は思いました。

「子供」じゃなくて「若い」だけ。

早く大人になりたい、子供扱いされたくない、と悩む環名にとって、「子供」「大人」という区別をしない素敵な大人の存在が身近にあることは、ものすごく良いことなんじゃないかなと思いました。

また、環名が恋する、10歳年上のバーテンダーの凛太朗も(子ども扱いされてると環名が勘違いして傷つくシーンなどもありますが)、10歳も年下の環名のことをまるで同い年の友達と接するかのように対等に扱ってくれます。

このように、小学生たちだけの話で完結せずに周囲の大人たちを絡めることで、2人が精神的に成長する姿が想像でき、また、大人目線で共感できる部分がたくさん描かれていることも、この作品を盛り上げる要素のひとつだと思います。

全4話という短いストーリーではありますが、ここで紹介しきれなかった名シーンがまだまだたくさんありますので、少しでも興味のある方は是非ご一読を!


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