突然ですが皆さん、「夏が始まったなぁ」と思う瞬間はどんな時ですか?
セミの鳴き声がうるさく感じ始めた時、冷房や扇風機を使い始めた時、高校野球が盛り上がってきた時など、人それぞれだと思います。
僕にとってのそれは、南波あつこ先生の『青夏 Ao-Natsu』(以下、『青夏』)を読み返している時です!
ここ数年、夏になると必ず読み返しています。
6月くらいからソワソワし始めて、7月頭から「もうすぐもうすぐ…」とワクワクし、7月20日くらいに学生たちの夏休みスタートと同じタイミングで『青夏』を読み返し始めるというのが、近年の僕の夏開始の合図なのです。
何故夏になると読み返すのか、漫画なんだから別に季節関係なく読んだっていいじゃないか、そういった意見もあるかと思います。(僕もそう思います。)
では何故僕が毎年夏になるのを待ってから『青夏』を読み返すのか。
それは、夏真っ盛りの時期に『青夏』を読むことで、まるで学生時代の夏休みにトリップしたようなノスタルジックな感覚を味わえるからです。いわゆるエモ漫画です。
今回の記事では、『青夏』を夏に読むのが最高すぎるというポイントを熱く語らせていただきます!
夏休みの懐かしさを感じる描写と清涼感
まずは何と言っても、リアルに描かれる「夏休み感」です。
この漫画は、ヒロインである女子高校生・理緒(りお)が、親の都合で夏休みの間中ずっと田舎のおばあちゃんの家で過ごすことになる、というところから始まります。
イマドキの都会の女子高校生が、青春の大部分である夏休みの丸々40日間以上を友達から離れてド田舎で過ごす羽目になるという、一見絶望的なスタートなのですが、南波先生が描く田舎の夏の風景がもう本当に最高に魅力的すぎるんです…!
物語の舞台となっている田舎の町は、海も川も山もあって、夜は星空も綺麗で、本当に大自然に囲まれた素敵な田舎町なんですけど、その壮大な大自然がすごくリアルに描写されているんですよね。
どの景色も清涼感に溢れていて、リアルに夏を感じさせられます。
(僕のおばあちゃんちの周りの景色にそっくり!懐かしすぎて涙が出そう。)
そしてこの田舎の町で、海や川遊び、夏祭り、花火大会、虫取り、など夏休みのイベントがたくさん描かれていて、読んでいる自分も学生時代の夏休みに戻ったような感覚になるのがたまらないんです…!
しかもこの『青夏』は全8巻なのですが、8巻を通して一度の夏休みを最初から最後まで描かれています。
そのこともあって、この漫画を読むことで、一度の夏休みを追体験しているような感覚になるのかもしれません。
僕も小さい頃には毎年夏休みになると田舎のおばあちゃんの家に一週間くらい遊びに行って、テレビゲームなどの近代的な遊びから一時的に離れて、山・川・海という完全なる自然の中で遊び回っていたタイプなので、その頃の記憶とリンクしすぎて自然と涙が出てしまうほどです。
懐かしさと清涼感があふれる描写に夢中にさせられます…!
ひと夏限定の恋が切なすぎる
ヒロインの理緒は、この田舎町で地元の男子高校生・吟蔵(ぎんぞう)と出逢い、恋をします。
でも理緒は当然ながら、夏休みが終わると田舎から東京に帰らないといけないんですよね。
そして吟蔵は、家庭の事情などもあって、田舎から出ることはできないんです。
ということでこの二人の恋愛は、“ひと夏限定の恋”なのです。
さっきも言いましたが、この漫画では全編を通して一度の夏休みのことが描かれているのですが、たった40日くらいの話を全8巻かけて描かれていることで、理緒や吟蔵にとってこの夏休みの40日間がとても濃密でかけがえのない日々であることが読者にも伝わって、めちゃくちゃ感情移入させられるんですよね……。
そしてその分、ふたりで楽しく夏休みを過ごしているのを微笑ましく見守ると同時に、夏休みが1日1日着実に終わりへと近づいていっていることに気づいたとき、切なさと焦りがこみあげてきて、感情が大爆発しそうになります…!
(夏休みが1日減っちゃうから、と花火大会から帰ろうとしない理緒…切ない…)
夏休み後半になると、1日も無駄にしたくないという理緒の焦りが伝わってきて、感情移入してこっちまで胸が苦しくなります。
夏休みの終わりに向かってふたりがどのような行動をして、どのような決断を下すのか、是非見届けてほしいです!
最後に
いかがでしたでしょうか?
熱くて青くて爽やかな一夏限りの恋物語。
少しでもこの作品の魅力をお伝えすることができていれば幸いです。
2018年に『青夏 きみに恋した30日』というタイトルで実写映画化もされた人気作品なので、既読の方も多いと思いますが、もしまだ読んでいないという方は、是非!
夏が終わる前に一気読みすることをオススメします!!